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85話
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「うぉー!!!!!」
会場中が盛り上がった。やはり強い奴が勝つのが当たり前。それはどこの世界でも変わらない。
「続いては第2試合、Aクラス『ジャック』対Bクラス『マスタッシュ』だ!」
次の試合が始まるとジャックと呼ばれた男は剣を構えていた。それに対してマスタッシュと呼ばれた男は完全に無防備の状態のまま立ち尽くしていた。
「なんだあの野郎、完全に隙だらけじゃねぇか」
(まあ見てろ)
「よし、行くぜ!」
「待ってください!」
突然の制止命令で困惑する男に対してマスターは話を続けた。
「あなた……その力……その身のこなし……相当お強いのでしょう?」
「ああ、そうだよ」
「そうですか……でも私はあなたよりも弱い、だからこそ私とあなたは戦っても勝てません。だから……私からあなたにお願いがあります」
「言ってみろ」
「どうか私と戦っていただけないでしょうか?」
「どういうことだ?」
「つまり、私が負けたらあなたに従えということです」
「なるほど、いいだろう」
「ありがとうございます。あなたはとても優しい方ですね」
「別にそんなんじゃねーよ」
(あいつら何やってんだ?)
(多分、時間稼ぎだよ)
(どうしてわかるんだ?)
(まず一つはあの人が明らかに素人っぽい動きをしていることだね、そしてもう一つが……ほら来たよ)
「なっ!?」
(なんであいつらがここに!?」
そこには見覚えのある顔があった。
「お前ら無事だったのか!」
そう言ったのは紛れもなく姫川愛佳とその仲間達であった。
「うん!大丈夫だよ!それより……」
「おう、話は聞いたぜ、どうせそいつは俺達が相手しても勝てねーからその男に頼んだんだろ?まあ、当然だな、だって俺達は魔王の幹部一人とタイマンで渡り合えるんだからな」
その言葉を聞いた時俺は驚いた。なぜなら魔王の幹部とは俺の体を乗っ取った奴のことだからだ。
「魔王の幹部だと!?おい優斗、どうなってるんだ?」
「ああ、実は僕も知らなかったんだけどあいつ魔王の幹部らしいんだ」
俺は魔王の幹部という言葉を聞いて動揺してしまったが、よく考えてみれば俺も魔王の幹部みたいなもんなので落ち着くことにした。
(あいつが魔王の幹部……なら俺と同じだ)
俺は少し嬉しかった。なぜなら俺もあいつと一緒なのだから。するとザックは姫川に話しかけた。
「ところで、あんたがこの男の嫁か?」
ザックの言葉に会場中の空気が一瞬で変わった。
(こいつは……何を言っている?)
(僕にもわからないよ)
俺はこの状況に戸惑いながらも、姫川がなんて答えるのかとても気になった。
「なっ……なに言ってるのよ!この人は私の……友達よ!」
「ふ~ん、でもこの男、お前のことが好きみたいだけど」
「はぁ!?なに言ってるのよ! この人にはもう彼女いるのよ!」
姫川はなぜか俺の方を指さして言った。俺としては、まだ付き合ってもないのにいきなりそんな事言われても困ってしまう。
「優斗は『彼氏』ならいるはずだけどな」
「か……『かれ……じ……?』ちょっと待ちなさい!それって……」
「ああ、俺と零の事だけど?」
ザックは堂々と嘘をついた。俺達にとってはありがたい状況だったが、あまりにも自然すぎて違和感が全くなかった。すると、ザックはとんでもない爆弾発言をした。
「なぁ零、もうキスくらい済ませたのか?」
その瞬間俺達は凍る。
((バラすな!!))
俺と優斗は心の中でそう叫んだ。だが、時すでに遅し。
会場中はざわめき出した。
(うわぁぁー!!最悪だ!!これじゃただでさえ噂になっててさらに変なことされるじゃないか!!)
そして会場の中が騒がしくなってきた。
するとギルド長が話しを始めた。
「皆のもの静まれ!」
その声のおかげでなんとかその場は収まった。
(危ない……なんとか助かった……)
「今から試合を始めるぞ、両者位置につけ!」
そして俺達は配置についた。
「よし!じゃあやるか!」
「はい!よろしくお願いします!」
「いくぜ!スキル発動!『神眼』」
すると、マスタッシュのステータスが表示された。
「なっ!?」
そこには信じられない数値が記されていた。
名前:『マスタッシュ』職業『聖騎士』Lv『100』HP『10000』MP『0』ATK『3000』DF『5000』
AGI『500』
MAG『0』
LUK『200』スキル『絶対防御』『光属性耐性』『自動回復』『光魔法』
「なんだよ!あいつのステータスは!完全に化け物じゃんか!」
「おい!早く試合を始めろ!あと10秒だぞ!」
「ああ!悪い!」
「では始め!」
「スキル『絶対切断』!」
マスタッシュが剣を振り下ろすと剣先から光の柱が出現しマスタッシュの剣先に集まり一本の光輝く剣ができた。
「これが『絶対破壊』の剣『エクスカリバー』です」
「なんだそのチート能力は……」
その瞬間光の剣で斬られ俺の意識は無くなった。
~~3日後~~ 俺は病院にいた。理由は単純、俺はあの一撃で致命傷を受け、そのまま死んでしまったのだ、つまり俺は死んだ。
しかし、その事に俺はなんの悲しみも感じなかった。なぜならそれは仕方の無いことであり運命だと思っているからだ。それに、俺は死を受け入れている。
なぜなら、俺はもうこの世に未練はないから……だから俺は目を閉じた、その時だった。
「待って!!」
後ろから聞こえたのは姫川の声だ。
「私ね、気づいたことがあるんだ。あなたと過ごした時間は短かったけどそれでも楽しかった、あなたと出会っていなかったら今の私はいない、私はあなたに救ってもらえた、だから私はあなたに感謝してもしきれないほどの恩がある」
「でもね、そんな私だからこそあなたを失いたくない、あなたは私の事を好きじゃないかもしれない、私が勝手に想っているだけだけど、あなたに私を忘れないで欲しい、それが私がこの世界に来て思った本当の気持ちだよ。
だからさっさと転生しろよ!」
とんでもねーな!こいつ、まあそこまで言われたら断れねーな。俺だってこの数日間は悪くはなかった。この世界にも慣れてきた。
「わかったよ。ありがとうな、姫川。」
そう言うと姫川は泣いていた。その涙は悲しさや悔しさではない、嬉しさだ。
「えへへ♪」
「じゃあな、またどこかで会おうぜ」
「うん!バイバ~イ」
「おう!」
こうして俺は新しい人生へと歩み始めた。
俺は目が覚めた。そこは森の中、俺はとりあえず近くの村まで歩いた。そして俺は自分のステータスを確認した。
名前:零
年齢:15歳
性別:男
Lv1 HP:1000
MP:2000
ATK:100
DEF:120
AGI:300
MAG:400 SKILL(スキル)『言語理解』『無限収納』『絶対防御』
どうやらレベルも上がったらしい。俺は少し歩くと森を出た。そこには広大な大地と大きな壁に囲まれた街があった。俺は街の中に入ると冒険者らしき人達が集まっていた。
(なんだ?何かあるのか?)
すると、1人の男がこちらへ近づく。
「やあ、こんにちは!俺は優斗!小此木優斗だ。転生してくる前は……如月優斗だった」
「え!?如月優斗!?……いまは小此木優斗……か……」
「ふふ、そうだよ……君は零だよね?斉木零で合ってる?」
「それは転生の名前だ。いまは裾野零だ」
「そうなんだ。でも零くんって今まで通りに呼んでいい?」
「それは構わないぞ……それに……優斗に会えたし……エッチなこともしたい」
ばしっ!
「いて!」
「んもう!……でも嬉しい」
「なぁ優斗……ここは一体……」
「ああ、僕もよくわかってないんだけど、なんか勇者として召喚されたみたいで、これから魔王を倒さないといけないみたいなんだ」
「まじかよ……」
「あっ!そういえば僕の仲間がいるはずだ!探してみよう!」
俺達はしばらく歩きながら辺りを探し回った。
「なぁ優斗……その仲間たちの特徴ってわかるか?」
「ああ、全員女性だ、それもみんな美少女ばかりだ」
その瞬間、嫌な予感がした。だがその予感はすぐに的中する。
「ゆ、優斗さん……まさか……その人たちはいま」
「僕の後ろにいます……ごめんね」
そこには2人の女神が立っていた。
(なんなんだよ!この異世界は!なんでこうも俺の邪魔をするんだよ!!しかも今回は仲間になるパターンじゃなくて敵だろ!普通こういう展開の時は必ず仲間になってくれるのがお約束だろ! いや待てよ、これはこれで面白いじゃないか、仲間になった時はその時で対処しよう!)
よし!まずはステータスの確認だ。
~~ステータス確認中~~
(よし!把握完了!)
名前:『アリス』職業『魔法師』Lv100 HP『0』MP『0』ATK『0』DF『3000』
AGI『200』
MAG『4000』
SKILL『火属性魔法』『水属性魔法』『雷属性魔法』
名前:『アイラ』職業『騎士』Lv100 HP『0』MP『0』ATK『3000』DF『3000』
AGI『200』
MAG『2000』
SKILL『風属性魔法』『土属性魔法』『聖属性魔法』
名前:『サラ』職業『剣士』Lv100 HP『500』MP『0』ATK『1500』DF『3500』
AGI『700』
MAG『2500』
SKILL『炎属性魔法』
~~ステータス確認終了~~
やはり女神たちは強かった。それにこの世界の住人達とは格が違う。おそらくこの3人が本気を出したらこの世界など一瞬で滅ぶだろう。しかしそんなことをしたら神から罰が下るのは必然、なのでこの3人は全力を出すことは出来ない。それにこの3人も優斗といるときだけは人間と同じ感情を持っている、それはもう1人の女性も同じ、3人は優斗のことが好きなのだから……まあそれはおいといて、このステータスを見る限りこの3人は絶対に勝てない相手、俺はそう確信していた。
「零、ステータス見終わったのかい?」
「おう、大丈夫だ」
「そう、じゃあそろそろいこうか」
にこっとすると
、3人の手を取り走り出した。すると目の前に城が現れた。そしてそのまま城に連れて行かれた。
城内には大勢の兵士がいた。その兵士たちの前には玉座があり、そこに1人の少女と1人の少年と5人の女戦士と4人のメイドが立っていた。
「お前たち!よくぞ参った!我が名はアリア!この国の王である!」
この少女こそ俺たちを召喚した
張本人、そしてこの国の頂点に立つ者だ。この世界の王は勇者に絶大な信頼を寄せている。
それはそうであろう。なぜならこの世界は今魔王軍の脅威にさらされているのだ。もし、その時に人類を救う救世主が現れればそれは希望となる。つまりその者は人類の未来を担うものだ。
「早速だが、諸君らにはこれから修行の旅に出てもらう!」
「はい!」
「質問いいですか!」
「許可する!」
「ありがとうございます!どうして俺らは旅に出なければいけないんですか?そもそも魔王って何者なんですか?」
「ふむ、良い質問だ!説明してやろう!」
それから王様の説明によると、まず魔王の正体はわかっていない。そして魔王の目的、それは不明だが魔族が世界を支配することが目的だという、さらにその目的を阻止しようとする勢力と魔王軍が戦っている。その結果、魔王軍は徐々に勢力を拡大し、ついには人間の国に戦争を仕掛けてきた。
そのため魔王軍の侵攻を防ぐために魔王軍と対抗している、とのことだった。ちなみに、魔王と対する勢力が俺たちというわけだ。魔王を倒すためには強くなければならない、だから修行するしかないと、それがこの世界での理由だ。
「なるほど、わかりました」
「理解が早くて助かる」
「ところで1つ聞きたいのですが、魔王が支配しようと企んでいる目的はなんなんでしょうか?」
「わからない……が、どうせくだらないことだろ。それよりさっさと出ていけ!もう時間がないんだ!」
すると、後ろにいた女がこちらへ歩み寄ってきた。
「あなたたちには悪いけど、すぐに消えてもらうわ」
「それは困るな」
「なに!?」
「俺は優斗と一緒に行きます」
「なにを!?」
「それに俺は勇者でもなければただの冒険者だ。あんたらに言われる筋合いはない」
(それに俺も勇者だしな……)
「ふん、まあいい!ならさっさと行ってくれ!それとこれをやる」
そう言って小さな袋を投げ渡された。
「なんすかこれ?」
「金貨が入っている。金はいくらあっても困らないからな!」
それを言われた瞬間、嫌な予感がした。しかし、ここで断っても殺されるのがオチ、それに優斗もいるため仕方なく承諾した。
こうして俺たちはこの城を後にし、旅立つことになった。
そして城を出て少し離れたところで優斗が声をかけた。
「みんな!ごめんね……」
「謝る必要なんてないですよ」
「えぇ……私たちは仲間です。例え世界は違えど」
「それに……また会えるかもしれない」
「私達はいつでも繋がっています」
やはりこの3人の信頼関係はすごい……と思った。
会場中が盛り上がった。やはり強い奴が勝つのが当たり前。それはどこの世界でも変わらない。
「続いては第2試合、Aクラス『ジャック』対Bクラス『マスタッシュ』だ!」
次の試合が始まるとジャックと呼ばれた男は剣を構えていた。それに対してマスタッシュと呼ばれた男は完全に無防備の状態のまま立ち尽くしていた。
「なんだあの野郎、完全に隙だらけじゃねぇか」
(まあ見てろ)
「よし、行くぜ!」
「待ってください!」
突然の制止命令で困惑する男に対してマスターは話を続けた。
「あなた……その力……その身のこなし……相当お強いのでしょう?」
「ああ、そうだよ」
「そうですか……でも私はあなたよりも弱い、だからこそ私とあなたは戦っても勝てません。だから……私からあなたにお願いがあります」
「言ってみろ」
「どうか私と戦っていただけないでしょうか?」
「どういうことだ?」
「つまり、私が負けたらあなたに従えということです」
「なるほど、いいだろう」
「ありがとうございます。あなたはとても優しい方ですね」
「別にそんなんじゃねーよ」
(あいつら何やってんだ?)
(多分、時間稼ぎだよ)
(どうしてわかるんだ?)
(まず一つはあの人が明らかに素人っぽい動きをしていることだね、そしてもう一つが……ほら来たよ)
「なっ!?」
(なんであいつらがここに!?」
そこには見覚えのある顔があった。
「お前ら無事だったのか!」
そう言ったのは紛れもなく姫川愛佳とその仲間達であった。
「うん!大丈夫だよ!それより……」
「おう、話は聞いたぜ、どうせそいつは俺達が相手しても勝てねーからその男に頼んだんだろ?まあ、当然だな、だって俺達は魔王の幹部一人とタイマンで渡り合えるんだからな」
その言葉を聞いた時俺は驚いた。なぜなら魔王の幹部とは俺の体を乗っ取った奴のことだからだ。
「魔王の幹部だと!?おい優斗、どうなってるんだ?」
「ああ、実は僕も知らなかったんだけどあいつ魔王の幹部らしいんだ」
俺は魔王の幹部という言葉を聞いて動揺してしまったが、よく考えてみれば俺も魔王の幹部みたいなもんなので落ち着くことにした。
(あいつが魔王の幹部……なら俺と同じだ)
俺は少し嬉しかった。なぜなら俺もあいつと一緒なのだから。するとザックは姫川に話しかけた。
「ところで、あんたがこの男の嫁か?」
ザックの言葉に会場中の空気が一瞬で変わった。
(こいつは……何を言っている?)
(僕にもわからないよ)
俺はこの状況に戸惑いながらも、姫川がなんて答えるのかとても気になった。
「なっ……なに言ってるのよ!この人は私の……友達よ!」
「ふ~ん、でもこの男、お前のことが好きみたいだけど」
「はぁ!?なに言ってるのよ! この人にはもう彼女いるのよ!」
姫川はなぜか俺の方を指さして言った。俺としては、まだ付き合ってもないのにいきなりそんな事言われても困ってしまう。
「優斗は『彼氏』ならいるはずだけどな」
「か……『かれ……じ……?』ちょっと待ちなさい!それって……」
「ああ、俺と零の事だけど?」
ザックは堂々と嘘をついた。俺達にとってはありがたい状況だったが、あまりにも自然すぎて違和感が全くなかった。すると、ザックはとんでもない爆弾発言をした。
「なぁ零、もうキスくらい済ませたのか?」
その瞬間俺達は凍る。
((バラすな!!))
俺と優斗は心の中でそう叫んだ。だが、時すでに遅し。
会場中はざわめき出した。
(うわぁぁー!!最悪だ!!これじゃただでさえ噂になっててさらに変なことされるじゃないか!!)
そして会場の中が騒がしくなってきた。
するとギルド長が話しを始めた。
「皆のもの静まれ!」
その声のおかげでなんとかその場は収まった。
(危ない……なんとか助かった……)
「今から試合を始めるぞ、両者位置につけ!」
そして俺達は配置についた。
「よし!じゃあやるか!」
「はい!よろしくお願いします!」
「いくぜ!スキル発動!『神眼』」
すると、マスタッシュのステータスが表示された。
「なっ!?」
そこには信じられない数値が記されていた。
名前:『マスタッシュ』職業『聖騎士』Lv『100』HP『10000』MP『0』ATK『3000』DF『5000』
AGI『500』
MAG『0』
LUK『200』スキル『絶対防御』『光属性耐性』『自動回復』『光魔法』
「なんだよ!あいつのステータスは!完全に化け物じゃんか!」
「おい!早く試合を始めろ!あと10秒だぞ!」
「ああ!悪い!」
「では始め!」
「スキル『絶対切断』!」
マスタッシュが剣を振り下ろすと剣先から光の柱が出現しマスタッシュの剣先に集まり一本の光輝く剣ができた。
「これが『絶対破壊』の剣『エクスカリバー』です」
「なんだそのチート能力は……」
その瞬間光の剣で斬られ俺の意識は無くなった。
~~3日後~~ 俺は病院にいた。理由は単純、俺はあの一撃で致命傷を受け、そのまま死んでしまったのだ、つまり俺は死んだ。
しかし、その事に俺はなんの悲しみも感じなかった。なぜならそれは仕方の無いことであり運命だと思っているからだ。それに、俺は死を受け入れている。
なぜなら、俺はもうこの世に未練はないから……だから俺は目を閉じた、その時だった。
「待って!!」
後ろから聞こえたのは姫川の声だ。
「私ね、気づいたことがあるんだ。あなたと過ごした時間は短かったけどそれでも楽しかった、あなたと出会っていなかったら今の私はいない、私はあなたに救ってもらえた、だから私はあなたに感謝してもしきれないほどの恩がある」
「でもね、そんな私だからこそあなたを失いたくない、あなたは私の事を好きじゃないかもしれない、私が勝手に想っているだけだけど、あなたに私を忘れないで欲しい、それが私がこの世界に来て思った本当の気持ちだよ。
だからさっさと転生しろよ!」
とんでもねーな!こいつ、まあそこまで言われたら断れねーな。俺だってこの数日間は悪くはなかった。この世界にも慣れてきた。
「わかったよ。ありがとうな、姫川。」
そう言うと姫川は泣いていた。その涙は悲しさや悔しさではない、嬉しさだ。
「えへへ♪」
「じゃあな、またどこかで会おうぜ」
「うん!バイバ~イ」
「おう!」
こうして俺は新しい人生へと歩み始めた。
俺は目が覚めた。そこは森の中、俺はとりあえず近くの村まで歩いた。そして俺は自分のステータスを確認した。
名前:零
年齢:15歳
性別:男
Lv1 HP:1000
MP:2000
ATK:100
DEF:120
AGI:300
MAG:400 SKILL(スキル)『言語理解』『無限収納』『絶対防御』
どうやらレベルも上がったらしい。俺は少し歩くと森を出た。そこには広大な大地と大きな壁に囲まれた街があった。俺は街の中に入ると冒険者らしき人達が集まっていた。
(なんだ?何かあるのか?)
すると、1人の男がこちらへ近づく。
「やあ、こんにちは!俺は優斗!小此木優斗だ。転生してくる前は……如月優斗だった」
「え!?如月優斗!?……いまは小此木優斗……か……」
「ふふ、そうだよ……君は零だよね?斉木零で合ってる?」
「それは転生の名前だ。いまは裾野零だ」
「そうなんだ。でも零くんって今まで通りに呼んでいい?」
「それは構わないぞ……それに……優斗に会えたし……エッチなこともしたい」
ばしっ!
「いて!」
「んもう!……でも嬉しい」
「なぁ優斗……ここは一体……」
「ああ、僕もよくわかってないんだけど、なんか勇者として召喚されたみたいで、これから魔王を倒さないといけないみたいなんだ」
「まじかよ……」
「あっ!そういえば僕の仲間がいるはずだ!探してみよう!」
俺達はしばらく歩きながら辺りを探し回った。
「なぁ優斗……その仲間たちの特徴ってわかるか?」
「ああ、全員女性だ、それもみんな美少女ばかりだ」
その瞬間、嫌な予感がした。だがその予感はすぐに的中する。
「ゆ、優斗さん……まさか……その人たちはいま」
「僕の後ろにいます……ごめんね」
そこには2人の女神が立っていた。
(なんなんだよ!この異世界は!なんでこうも俺の邪魔をするんだよ!!しかも今回は仲間になるパターンじゃなくて敵だろ!普通こういう展開の時は必ず仲間になってくれるのがお約束だろ! いや待てよ、これはこれで面白いじゃないか、仲間になった時はその時で対処しよう!)
よし!まずはステータスの確認だ。
~~ステータス確認中~~
(よし!把握完了!)
名前:『アリス』職業『魔法師』Lv100 HP『0』MP『0』ATK『0』DF『3000』
AGI『200』
MAG『4000』
SKILL『火属性魔法』『水属性魔法』『雷属性魔法』
名前:『アイラ』職業『騎士』Lv100 HP『0』MP『0』ATK『3000』DF『3000』
AGI『200』
MAG『2000』
SKILL『風属性魔法』『土属性魔法』『聖属性魔法』
名前:『サラ』職業『剣士』Lv100 HP『500』MP『0』ATK『1500』DF『3500』
AGI『700』
MAG『2500』
SKILL『炎属性魔法』
~~ステータス確認終了~~
やはり女神たちは強かった。それにこの世界の住人達とは格が違う。おそらくこの3人が本気を出したらこの世界など一瞬で滅ぶだろう。しかしそんなことをしたら神から罰が下るのは必然、なのでこの3人は全力を出すことは出来ない。それにこの3人も優斗といるときだけは人間と同じ感情を持っている、それはもう1人の女性も同じ、3人は優斗のことが好きなのだから……まあそれはおいといて、このステータスを見る限りこの3人は絶対に勝てない相手、俺はそう確信していた。
「零、ステータス見終わったのかい?」
「おう、大丈夫だ」
「そう、じゃあそろそろいこうか」
にこっとすると
、3人の手を取り走り出した。すると目の前に城が現れた。そしてそのまま城に連れて行かれた。
城内には大勢の兵士がいた。その兵士たちの前には玉座があり、そこに1人の少女と1人の少年と5人の女戦士と4人のメイドが立っていた。
「お前たち!よくぞ参った!我が名はアリア!この国の王である!」
この少女こそ俺たちを召喚した
張本人、そしてこの国の頂点に立つ者だ。この世界の王は勇者に絶大な信頼を寄せている。
それはそうであろう。なぜならこの世界は今魔王軍の脅威にさらされているのだ。もし、その時に人類を救う救世主が現れればそれは希望となる。つまりその者は人類の未来を担うものだ。
「早速だが、諸君らにはこれから修行の旅に出てもらう!」
「はい!」
「質問いいですか!」
「許可する!」
「ありがとうございます!どうして俺らは旅に出なければいけないんですか?そもそも魔王って何者なんですか?」
「ふむ、良い質問だ!説明してやろう!」
それから王様の説明によると、まず魔王の正体はわかっていない。そして魔王の目的、それは不明だが魔族が世界を支配することが目的だという、さらにその目的を阻止しようとする勢力と魔王軍が戦っている。その結果、魔王軍は徐々に勢力を拡大し、ついには人間の国に戦争を仕掛けてきた。
そのため魔王軍の侵攻を防ぐために魔王軍と対抗している、とのことだった。ちなみに、魔王と対する勢力が俺たちというわけだ。魔王を倒すためには強くなければならない、だから修行するしかないと、それがこの世界での理由だ。
「なるほど、わかりました」
「理解が早くて助かる」
「ところで1つ聞きたいのですが、魔王が支配しようと企んでいる目的はなんなんでしょうか?」
「わからない……が、どうせくだらないことだろ。それよりさっさと出ていけ!もう時間がないんだ!」
すると、後ろにいた女がこちらへ歩み寄ってきた。
「あなたたちには悪いけど、すぐに消えてもらうわ」
「それは困るな」
「なに!?」
「俺は優斗と一緒に行きます」
「なにを!?」
「それに俺は勇者でもなければただの冒険者だ。あんたらに言われる筋合いはない」
(それに俺も勇者だしな……)
「ふん、まあいい!ならさっさと行ってくれ!それとこれをやる」
そう言って小さな袋を投げ渡された。
「なんすかこれ?」
「金貨が入っている。金はいくらあっても困らないからな!」
それを言われた瞬間、嫌な予感がした。しかし、ここで断っても殺されるのがオチ、それに優斗もいるため仕方なく承諾した。
こうして俺たちはこの城を後にし、旅立つことになった。
そして城を出て少し離れたところで優斗が声をかけた。
「みんな!ごめんね……」
「謝る必要なんてないですよ」
「えぇ……私たちは仲間です。例え世界は違えど」
「それに……また会えるかもしれない」
「私達はいつでも繋がっています」
やはりこの3人の信頼関係はすごい……と思った。
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そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
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北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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