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88話

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俺の脳内に一つの光景が流れた。
~約100年前~
ある国にある大きな屋敷の庭に4人の子供たちがいた。彼らは皆同年代のようでとても仲が良いようだ。
そこに一人の少女が現れた。どうやら迷ってしまったらしい。
「ねえ君たち、どこから来たのかわかる?」
4人は顔を見合わせる。
「私達も分からないの」
少女は困った顔になる。すると少年が提案をした。
「お姉ちゃん。僕らと一緒に遊ぶ?」
少女はパァっと明るくなる。
「いいの?」
「うん、もちろんだよ」
そうして少女を加えた5人で楽しく遊んでいた。するとその時、少女の体が宙に浮かび上がった。
「あれ?なんで浮かんでるのかな?ねぇ助けてぇ!」
そしてその体はどこかへ消えてしまった。その様子を目撃した子供達はそのショックで泣き出してしまう。しかし大人達にその声が届くことはなかった。
それから約2年後。今度は3人の姿が見える。その表情には暗いものが見て取れた。そしてそのまま何処かへと行ってしまう。
その数年後、更に人数が増えた。その人数は6人に増えていた。彼らの間には深い絆があるように見えた。しかし彼らの内一人だけ心から笑ってはいなかった。
それから数年の月日が流れ、今から数年前に新たな出来事が起こる。
この世界に住む全ての者が恐れている『災厄の時代』の始まりである。ある日、世界が闇に覆われたのだ。そして人々は思った。魔王が復活したと。
その後、勇者達が立ち上がり魔王を倒すことに成功する。
しかしその代償は大きく、生き残ったのはほんの一握りだけだった。その中には彼等の成長した姿があった。だがその姿はあまりにも変わり果てたものになっていた。
それから数日後、彼はとある街でこう言い放った。
「俺達はあの日からずっとこの時を待っていたんだ。これでやっと復讐が出来る。さあ、行こうじゃないか!世界を我がものにする為に!」
そうして世界は再び闇に覆われてしまう。しかしそれは終わりではなく、新たな始まりだったのかもしれない……
~現在・回想終了~
俺は記憶を取り戻すとすぐにその場から逃げ出した。今の俺の頭では理解できないことが多すぎる。まず俺が何故ここに居るのかが謎だし、なぜ100年前に起こったはずの出来事を知っているのかという疑問もあったからだ。とりあえず落ち着くために俺は宿に戻ることにした。
~零視点~
先程の現象は何だったんだろうか?それにしてもあいつは一体何者なんだ?そんなことを考えながら歩いていた時、急に声をかけられた。
「そこの兄さんちょっと待ってくれるか」
そこには大柄な男性とその仲間らしき者達が数人居た。そして彼らは武器を構え俺に向かってくる。
「俺らに絡まれるとはついてないな兄ちゃん」
「俺らを誰だと思ってんだ?この街で有名なパーティ、『黒龍団』だぞ」
「だからどうしたんだ?お前らなんか俺の敵じゃないんだよ」
軽めの手刀を浴びせたら意図も簡単に気絶した
「な!?こいつ何者!?うちのリーダーがこんなにも簡単に」
弱すぎだろ。
遠くから
「零くん!……はあはあ……もう……なにこれ……零くんがやったの?」
リリアじゃないここでは『優斗』だったな。
「まあそんなところだ」
「おい、俺達のことを無視するんじゃない」
「おっと、悪いな」
「ふざけやがって。全員やっちまえ!」
そうして俺達の周りは大勢の男で囲まれた。そして一斉に襲ってきた。
(はぁ……やっぱりこうなったか。しょうがない。ここは一つ手加減をしてあげるとするか)
「全員動くな」
俺は殺気を込めた声で言った。すると全員が固まったまま動かなくなった。俺はその間に一人づつ確実に仕留めていく。するとあっという間に全滅してしまった。
「はい、全員おしまいっと」
すると奥の方で気配を感じた。そちらに目をやるとリーダーらしき人物がいた。
「ほう、俺の部下を瞬殺しやがったか。なかなかやるじゃねえか。でも俺を倒せるかな?」
「試してみると良いよ。君には俺と戦う権利があるからね」
俺は一瞬にしてそいつとの間合いを詰め、鳩尾あたりに手を当て衝撃波を放つイメージをしながら殴った。すると相手の体は吹き飛び壁に衝突し意識を失った。
すると突然目の前が暗くなったと思った瞬間誰かに呼ばれた気がした
《我の声に応えよ。そしてこの力を託す。この力はお主の力となるであろう》
そこで俺は意識を取り戻した。そして周りを見るとそこは見知らぬ天井だった。すると部屋のドアが開かれ、レイラが入ってきた。
「あ、目が覚めたんだね。大丈夫?」
「えっと、確か俺はあいつに攻撃されて……ってそうだ!?俺はあいつと戦って……」
「そう、私達が着いた時にあなたは倒れていたのよ。それでここまで運んできたの」
俺はベットから起き上がる。
「ありがとうございます。ところで他のみんなはまだ寝てるんですか?」
「ううん、アリシャとリリィは仕事に行ったわ。アリスとレオナに関しては部屋に戻ってまだ寝ていると思うけど」
「なるほど……じゃあそろそろ起きた方がいいですかね?」
「うん、その方が良いかも」
俺は体を軽く動かしてみる。どうやら問題はなさそうである。
そして服を着替えてから下に降りるとそこに居たのは昨日の女の子達だった。
「おう、目覚めたのか。おはよう」
「うん、心配かけたみたいでごめんなさい」
「別に謝ることなんて無いさ。それよりも体の方はどうだ?」
「ああ、特に問題はないよ」
「なら良かったぜ」
そしてしばらくすると、
「おお、ようやく降りてきたの。ほれ朝食を用意したから一緒に食べるのじゃ」
「わかった」
そして食事を食べ終わるとすぐに出かける準備をした。
そして出発の時間になると俺は改めて挨拶をする事にした。
「改めてこれからよろしくお願いします」
「ふむ、元気になってくれたようでよかったわい。こちらこそよろしく頼むぞ」
「うん、これからよろしくね」
こうして俺たちの旅が始まった。
そして街を出てから数分後、
「それじゃあまた後でな」
そう言って二人は馬車から降りた。ここからは別行動になるからだ。そしてそこから数時間後、目的の場所に着いた。
~リリア(優斗)視点~
僕達は今とある森にいる。
「零……くん……んう!」
「はぁ……あ……優斗……」
「零くんのおちんちん……きもちいい」
「リリアの中気持ち良すぎて出ちゃいそうだ」
僕達はお互いに体を求めあった。もう何回出したか分からないくらい出し尽くした後、休憩をしている。
「零くんの精液すごく濃いね」
「そういうリリアだって」
リリアのちんこは小さくなっているがまだ少し硬さが残っているようだ。
「もう、だめだってば……ぁー、……っ……っ!」
僕は我慢できなくなって再び動き出す。
「ん……っ……!……あっ!また……出るぅ!んん!ぁ……ぁ!……」
「あぁ!リリアぁ!……俺も!んん!あぁ!」
俺はリリア(優斗)の中に射精。
リリア(優斗)は俺のお腹に射精する。
「はぁ……あ……零くん」
「リリア」
「僕、零くん……大好き」
~零視点~
今俺達はギルドに来ている。理由は依頼を受けるためだ。
ちなみにパーティは俺が臨時メンバーとして入るという形になっている。まあ、依頼自体は簡単なものだ。ただの護衛任務である。俺達は護衛対象が乗る馬車の近くに待機していた。
すると急に辺りが暗くなり雷が鳴り始めた。空を見上げるとそこには大きな翼を広げたドラゴンがいた。
『グルルルァ!』
(あれってまさか!?でもどうしてこんな所に?)
俺は動揺を隠せなかった。
だがここで戦うわけにはいかない。ここは一旦退くしかないだろう。そう思った時、突然体が動かなくなった。
「な!?これはどういう事だ!?」
俺が動けない事に戸惑っている間にもドラゴンは攻撃の準備を始めた。俺はどうにかして避けようとしたのだが、それは無理な話だったらしい。俺はあっけなく死んだ。
~?視点~
はあ……全く、せっかくこの世界を満喫できると思っていたのに……あの方のせいで計画が狂ってしまったではないか……仕方ない、一度この世界を離れ次の機会を待つとしよう……だがこのままではつまらん……だから、ちょっとだけ遊んでやろうじゃないか……まずはこの街の人間共で楽しんでやるとしましょうかねぇ……
「やめて……来ないで……」
彼女は必死に逃げるがそのスピードは遅いものだった。
「はははははは!!!」
俺は笑いながらその光景を眺めていた。
俺はその男を殺し終えると今度はリリア達の方を向く。俺はリリア達に向かってこう告げた。
「お前らも殺しちまった方が早えよな」
すると、突然視界が真っ暗になった。そして気がついた時には元の場所にいた。そして横を見るとそこに居たのは紛れもなく俺だったのだ。そして目の前に広がっている景色を見て思い出した。
(そっか、これがこの世界の結末なんだ)
~優斗視点~
「うそ……」
僕が呆然としているともう一人の僕が声をかけてきた。
「よう、久しぶりだな」
すると目の前にいるもう一人の僕が僕の頭を掴んできた。
「ぐ!?」
「どうだ、これでお前が体験してきた事を理解できただろ?」
すると後ろの方から聞き覚えのある女の子の声が聞こえてきた。
「おい!何やってんだよ!って……は!?えっと誰だよ?」
「ん……うわ!?ってあんたかよ」
どうやらアリシャとリリィも起きたみたいだ。すると突然もう一人の僕の姿が変わった。
「悪い、こいつの中に入ってみたんだけどなかなか居心地が良くてさ」
「えっと、どちら様でしょうか?」
アリシャが質問をした。
「ああ、すまない。俺の名前は……んー、零とでも名乗っておこうかな」
「そうですか。それであなたは零さんなんですね?」
「いや、今は零じゃない。そうだな、今からはレイラと名乗っておくか」
「はあ……じゃあ改めて聞くけど君は零なのか?」
アリシャは警戒しながら聞いた。
「ああ、俺は確かに神崎零でもあるし、それと同時に零でもある。まあ簡単に言えば並行世界みたいな感じで考えて貰えば良いさ」
「なるほど、大体わかった。じゃあそっちのリリア達はどうなってるんだ?」
「あいつらか?多分普通に戻ってると思うぞ。それにしてもこいつ面白いな。こいつを通して色々見させてもらったぜ」
そしてその後、俺達四人はしばらく話をしていた。するとそこへ依頼主が来た。
そして帰り道に俺はリリア達に言った。
「そういえばみんなに一つ言っておきたい事がある」
「なんじゃ?いきなり改まってからに」
「いやなに、この世界に来てからずっと考えていたことがあるんだ。もしこの世界に俺達以外にも俺と同じ様な状況になってる人が居るなら助けないとダメだと思ったから」
するとリリアが聞いてきた。
「ほう……何故そこまでして助けようとするのかのう?」
「俺もこの世界で暮らしてきて色んなものを得た。だけどそのせいで元の世界に残してきた家族をほったらかしにしてきてしまった……でも俺はこの世界に来たことでそれを知った、この世界で生きている人達の事を知ってしまった以上、見てみぬふりは出来ない、例えそれがどんな奴だろうと関係ない……この気持ちは嘘なんかじゃない!」
俺は今まで自分の考えを伝えていなかった。それを今回初めて伝えたというわけである。
するとリリア達が近づいてきて抱きしめられた。三人の温もりを感じた。
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