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107話

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呪文を唱えて真司の前に黒い空間が出現する。
(この中から出てきた瞬間……殺れる!)
真司の作戦はこうだった。
神から聞いた話では魔王城のある場所は魔素の濃度が高くレベルが上がりやすいらしい。つまり、ここに来る前にある程度の強さを手に入れてから挑むことで生存率を上げようということだった。
真司は早速それを試すことにしたのだ。
真司が使った魔法はこの世界では知られていない闇の属性魔法であり、魔力を大量に消費するが強力なものだった。
そして真司は魔王城に辿り着くまでのレベル上げをするつもりだった。
(これじゃ足りないかもな……もう少しだけ……いけるか)
「もっと……もっと……」
どんどん強くなるイメージで唱え続ける。
「もっと強く……もっと……」
次第にそれは形になり始めた。
「はぁ……はぁ……やった……」
真司が生み出した魔法、シャドウイーターは真司の目の前で黒い塊となって宙に浮いていた。
大きさはサッカーボールぐらいあるだろうか。
形は球体に近い。
色は真っ黒でまるでブラックホールのようだ。
「これをぶっ放せば終わりだ……」
「グルルルゥ」
いつの間に現れたのだろう、目の前にいたはずの巨大な黒い竜がいない。
「どこに行ったんだ?」
周りを見渡すがどこにもいない。
すると真上から物凄い衝撃が走る。
咄嵯に腕でガードする。
その攻撃は重く地面に足がくい込むほどだった。
「ぐっ!なんだよ今の……」
上を向くが何も見えない。
(あれはなんだ?まさかとは思うが……)
「ガァ!」
声が聞こえた方へ顔を向ける。
やはりそこには何も見えなかった。
だが真司は剣を抜いて上に振る。すると、手応えがあった。
斬ったのではない、殴った感触だ。
それも、柔らかいものではなく固いものだ。
その証拠に真司の拳からは血が出ていた。
「痛ってぇ!何だよこいつ、全然見えねえぞ!それにこいつ、めちゃくちゃ強いじゃないか」
さっきの攻撃でかなりダメージを受けている。
「こんなところで死んでたまるかよ」
真司は再び構えると、先程と同じものを出して同じように打ち出した。
今度は命中したらしく悲鳴が上がる。
「今だ!!」
真司は走り出して相手の姿を確認しようとする。
(いた!!)
真司は確認する前に、相手に斬りかかった。
「おりゃぁぁぁ!」
「グアア!」
当たった、と思ったのだが……
(う、動じていない……!?)
確かに当たっていた。だが相手は微動だにしていない。
その事実に驚いてしまった真司は反応が遅れてしまった。黒い竜は口を開けてこちらに向かってきた。
「や、やべぇ!!」
慌てて後ろに下がる。
そのすぐ後にさっきまで立っていた場所に口が現れて噛みついてきた。
ギリギリ避けたが、次はないだろう。
(どうすればいい!?このまま戦っても勝てないぞ……何か弱点はないか……?)
「あ」
思い出した。
あの時の事を思い出す。
(俺がやられて……俺が食われて……そうか!)
「こいつは生き物を食べて強くなるのか!」
その予想は当たっていた。
「よし、ならやってみる価値はあるな」
真司は黒い玉を出すと一気にそれを食べた。
真司は黒い球を食べると、身体に活力と力が溢れるのを感じた。
「これであいつを倒す!いくぞぉ!」
真司は剣を抜くとそのまま突撃していった。
そして剣を黒い竜に突き刺す!
「おらあああ!!!!」
「ギャオオォ!」
黒い竜は真司の攻撃を受け、少し怯む。
(効いてる!行けるぞ!)
真司は剣を振る。しかし、黒いドラゴンも黙っていない。口から光線を出してくる。
「んなもんきかねぇよ!!」
真司は光線を避けるとそのまま剣を振り続けた。
真司は更に黒い球体を出し
食べる
更なる活力と力が漲る。
(さあて、これで俺は戦える!)
「ウオリャァァァ!!」
真司が黒いドラゴンを攻撃する。
「オラオラオラ!!」
真司の連続攻撃がドラゴンを襲う。
そして遂に真司がドラゴンにとどめをさすことに成功したのだ。
黒いドラゴンはそのまま息絶える……。
そして真司は気付く、ドラゴンから魔石が落ちることに……
(あれは!?)
「ま、まじか……ドラゴンって、倒せるのかよ……というか倒したのか……?マジでか!?いやー、俺つえぇ!超つえぇ!これ、俺の時代キターッ!!!」
真司は嬉しさのあまり飛び跳ねる。
「真司!大丈夫!?」
神崎が真司の元へ走ってくる。
他のクラスメイト達も駆け寄ってきた。
「怪我してるじゃない!」
「いや、かすり傷だから平気だって」
「だめだ!回復するぞ!……ヒール」
神崎がヒールを使って真司を回復させる。
(神崎……ぁー、キスしてぇ……セックスしてぇ……けど他に人いるからなぁ……我慢しよ)
真司は心の中でそんなことを考えていた。
「桐谷くん、ありがとう!」
「おう!」
その後全員で洞窟を出ることになった。
「おい、お前が行けって!」
「うるせえな、早くいけって言ってんだろ!」
「じゃあお前が先にいけよ!」
男子2人が喧嘩をしているのを見て女子達が注意する。
「あんたらやめなさい!今は仲間割れなんかしてる場合じゃないでしょ!」
「ちっ……」
男達はお互いに悪態をつく。
そして全員が外に出たのを確認すると、すぐにダンジョンの入口を破壊した。
(このやり方で良かったんだよな?)
真司は疑問に思っていたが神の言葉を信じて破壊したのだ。
(それにしてもここ、かなり危ない場所だよな……何だか変な雰囲気だし……やっぱり魔王がいるのかな……?)
真司はそう考えながら、クラスメイトと共に学園へ戻ったのだった。
「真司!もう!あんなことしたらダメでしょ!」
「はい……」
今、俺の部屋で怒られているところだ。
理由は、黒い竜と戦った時に無茶をして怪我をしたからだ。
ヒールで怪我は治っていたけど神崎から注意を受けている。
その注意のあと
ベッドに彼を押し倒した。
「…………っ……!」
(いきなり押し倒すなんて……でもこれはチャンスかも……真司が求めてるなら……いいよね?)
耳許で真司が
「……はぁ……神崎……いや……健吾……キスさせてくれ」
「……っ!」
真司は俺の服を脱がそうとする。
「……健吾」
「……し、真司……お、俺は」
そのあとは言葉はいらなかった。
お互いの唇を重ね、舌を絡ませる濃厚な大人のキスだ。
そのまま俺の身体は真司に押し倒された。
そしてそのまま……
「んぁ……いやぁ……っ!……んく」
「ふぅ……どうだい?」
「す、すごいよ真司……こんなに激しくされてぇ……俺ぇ、イっちゃうよぉ!」
健吾はちんこを擦られ喘ぐ。
(やばい!やばすぎる!真司とエッチしたい……けど、皆には内緒にしてるし……前に洞窟内でされてから……真司のこと……好きになっちゃった)
真司に愛撫され感じてしまう健吾だったが、やはり心の奥底では躊躇していた。
だが、そんな健吾を見透かしたかのように
「なあ、健吾」
「あ、真司……あの、その」
真司の声色が急に真面目なものに変わる。
「ねぇ、どうしていつも俺を拒んでるの?そんなに嫌い?俺は好きだよ」
「ううん……大好き……だい……しゅき……すぎて……んあ!……こわい」
「そうか……ならさ、一緒に気持ちよくなれば問題ないんじゃない?」
「あ……そう、なのかな……?あ……あ……あ……だめ、出ちゃう!」
健吾の精液が溢れ出す。
それを手で受けとめた真司は口に含んだ。
そして、その手を今度は自分の股間に当てた。
すると真司の股間はもう完全に勃起していた。
(…………っ!ふぅ……入れられたい)
健吾はその光景を見て身体が熱くなるのを感じる。
「ね?俺も……そろそろ……いいだろ?」
「……え!?ま、待ってよ!心の準備が……まだぁ……ひゃん!あっ!ああああああああ!」
「ん……入った……はぁ、すげぇよ……健吾の中……」
真司はピストンを始める。
(んああ!すごぉ!これが真司のおちん○ん!もっと!欲しい!奥まで突いて!!)
健吾も自ら腰を振り快楽を求める。
(あぁ、イクゥ!真司と合体したまま!真司に中出しされたまま!イッちゃう!)
真司のピストンは更に激しさを増す。
(ああ!また!また出るよ!出して!真司!)
「いくぞ!」
(きた!真司のザーメン!熱いぃ!これ最高!)
そして二人は同時に果てた。
その後何度も体位を変え、お互いが満足するまで行為をしたのだった……。
真司が洞窟から帰ってきた後、神崎はクラスの皆から心配されていた。
真司はクラスメイト達と仲良くなっているため人気者なのだ。そして、今日は授業もないので真司達は解散することになった。
そして現在真司の部屋にいる。
真司はベッドの上で座っているが神崎はまだ立ったままだった。
(なんだろう?もしかして怒ってる?もしかして、無理矢理襲ったからとか!?)
真司がそう考えていると神崎が声をかける。
「ねえ、真司……キス、しよっか」「……はい」
こうして二人はキスをする。
(あれ?神崎からしてきたのか?)
神崎からキスをして来たことに驚く真司だったが、神崎からキスしてくれたことが嬉しかった。
キスを終えた後、真司が話し始める。
「なぁ、神崎」
「なぁに?真司♪」
笑顔で応えてくれる神崎。そんな彼を可愛く思う。
(うぅ……健吾可愛い……健吾可愛い……襲いたいけど我慢だ俺)
そして再び口を開く。
「その、なんだ……俺と付き合ってくれる?」
その言葉に驚いた顔をする神崎。そして涙を流す。
「……う、嬉しいよぉ……ありがとう……俺、本当に真司のこと好きなんだ……だから……よろしくお願いします」
そう言うと、神崎は抱きついてきた。
真司はそんな神崎を優しく抱きしめる。
翌朝、俺達も
神の言う場所へクラスメイトと一緒に向かう。
『パルテナ神殿』という場所らしい。
『パルテナ神殿』とは、天空に浮かぶ城にある神族の女神様がいる場所だ。
「おい……ここってまさか!」
「うん……この世界のラスボスが居る場所だと思う」
「やっぱりそうか!」
神崎はどうやら分かっていたみたいだ。
そして俺達が扉の前に着く。
すると、その扉が勝手に開いた。
俺達は中に入ろうとする。
すると後ろから
「お待ちください」
振り向くと、金髪で白髪が少し混じった男がいた。
(誰だよ……おっさん)
「私は、ガルバと言います。この世界を救う勇者の方々ですね?」
俺達は顔を見合わせる。そして全員で
「「「はい!」」」と答えた。
その返事を聞き、微笑むガルバ。
「ようこそ、『絶望の場所』へ」
「「え!?」」
「今……なんて?」
「はい。ここは、あなた達の言う通り『絶望の場所』です」
「ど、どういうことだ……?魔王が倒されて……?」
「魔王を倒したのは、貴方ではありませんよ」
「はぁ!?何言ってんだよ!俺があの黒い竜を倒したじゃねぇーか!」
俺は、思わず大声で怒鳴ってしまう。
「何を言うかと思えばあんなヘボを倒したってなんも変わりはしない。魔王?あんなんが?だりーな」
(口悪)
真司はそんなことを思っていた。
そんなことは知らないと言わんばかりに、話を続けるガルバ。
「そもそも、お前らの言っているのは『闇の王』だろ?あれは魔王ではない。あの方は……もっと恐ろしい存在だ。あの方の力の前だと、我々は無力でしかない」
そう言いながら頭を抱え込むガルバ。
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