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144話

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優斗が美鈴の方を見ると美鈴はうなずいて見せた。それを見た優斗が再び蓮司の方を向くと蓮司が優斗を見て言う。
「それでだ!俺はグレンさんを連れていくけど……どうするつもりだ?」
それを聞くと、優斗はグレンに向かって言った。
「これから言うことは全部本当のことです……聞いてくれますか?」
グレンはそれを聞いて驚く。
「はぁ!?お前は一体何者なんだよ……」
そして、蓮司に向かって言う。
「お前も一緒に来い!2人ともだ!」

***
その後グレンが美鈴に対して話すとグレンと美鈴も、リリスの元へと向かうことになった。

***
~数時間前~
グレンが、真司と優斗と蓮司と一緒に、建物の中で、敵の集団と戦っていると真司たちの背後にリリスが現れた。
そして、リリスが襲われるのを見た真司はすぐに動き出した。そして、襲ってきた敵を簡単に倒すと、リリスに向かって叫んだ。
「リリス!お前はここに居ろ!俺達がどうにかしてやるから、そこにいろ!」
その声が聞こえていないかのように無視をしたリリスだったが、グレンの叫び声で我に返ったのかすぐに動き始めた。
「早く!私の元に来て!」
「お、おう!」
真司たちは、その場から離れるために急いで移動を始めるとリリスに、ある事について聞くことにした。それは、敵を倒し終わったあとの話である。
***
リリスは敵を倒してすぐ、自分の服を破って脱ぎ捨てると、先程までとは打って変わって別人のように話しはじめた。
その声を聞いたリリスが叫ぶ。
「私は『白虎』のリリスです!皆さんは、『黒豹』ですか?」
「いえ、『黒豹』のリリスが、どうして、私たちを襲うの?」
それを聞いたリリスは笑いながら答える。
「そんなの決まっていますよ!私が『白虎』のリーダーだからですよ!」
リリスが、そこまで言うと美鈴が怒りをあらわにして言う。
「貴方は『黒豹』のメンバーよ!嘘をつくならもっとマシな嘘をつきなさい!」
それを聞いたリリスは言う。
「はあ?何を言ってるんだ?お前は……まあいいわ、ここでお前らを殺せば良いだけの話だもんね……」
リリスがそう言った瞬間、グレンが飛び出していった。それに続いて、蓮司も動く。
「やめとけよ……てめぇら、今から殺すとかそんなこと言わない方がいいぜ……」
それを見た美鈴がグレンを止めようとする。
「ちょっと、グレン!」
しかしグレンは、それを聞かずに『白豹』のメンバーを殴り飛ばす。
「てめぇらは下がってろ!こいつは俺がぶっ殺す!」
それを見たリリスは少し驚いた表情を浮かべるが直ぐに笑顔になった。
「ふーん、面白いね君、私に殺されてみる?それとも殺される前に殺す?」
「はっ!やれるものならやってみやがれ!」
「そっか……でも、殺すのはやめとくよ、今は殺すより殺したい奴がいるからね……」
グレンは疑問に思いながらも構えをとる。
それを見てリリスは、グレンに話しかけた。
「ねぇねぇ、君の大切な人を殺してきたんだけどさ!どんな気持ち?」
それを聞いたグレンの顔には、笑みが浮かんでいた。
「そうか……テメェがあのクソ野郎の仲間か……」
「あれれ……もしかして怒ってくれた?」
「ああ、そうだよ!テメェのせいであいつらが殺されたからなぁ! だけど……今は、もういい……お前はただ死ね……」
その会話の後、2人の攻撃が同時に始まった。グレンは炎で身体を強化してから、リリスに攻撃を仕掛けた。それに対し、リリスは素手で受け止めた。
その事に、驚きながらもすぐに蹴り技に移行する。だが、その攻撃はリリスの腕によって受け止められてしまう。それを見たグレンは、一旦後ろに下がる。
(くそ!どうすれば……)
その様子を見かねた美鈴が叫ぶ。
「私も加勢するわ!」
それを聞くとグレンは美鈴に向かって叫んだ。
「待ってくれ!俺1人で十分だ!」
それを聞いて、美鈴は一瞬ためらうがすぐに走り出す。そして、グレンに回復魔法をかけ始めた。
「これぐらいしかできないけど……大丈夫よね?」
それを聞くとグレンは答えた。
「ああ、問題ねぇ!俺はこんなところでくたばる訳ねぇだろ!」
「グレン!死ぬなよ……」
グレンが返事を返すと蓮司の声が聞こえる。
「グレンさん……後は任せました……」
それを聞くとグレンは再び戦い始める。

***
それから数分後、蓮司たちの方も決着がついたようだった。
蓮司たちが、真司と美鈴の方に向かってくるとグレンは倒れ込んでいた。それを見て真司が言う。
「どうしたんだよ!グレンさん!?」
グレンは答える。
「気にすんな……それより……あいつはどこ行った?」
それを聞いて優斗は答える。
「僕たちが来たときには……誰もいなかった……」
それを聞くとグレンは悔しそうな顔をして言った。
「そうか……」

***
~数時間前~
グレンは、蓮司たちと別れて『白虎』のリリスを探していたが、なかなか見つからずにいると、急に現れたリリスが、襲いかかってきた。それを迎え撃とうとした時、グレンの後ろからもリリスが現れて挟み撃ちのような形になってしまった。

***
グレンが目を覚ますと、蓮司が声をかける。
「グレンさん!良かったぁ~目が覚めたんですね!」
それを聞いたグレンは、起き上がると、真司と優斗と蓮司に向かって言う。
「心配かけて悪かった!俺に構わずに先に行っててくれ!」
「いや、そういうわけにも行かないよ!俺も一緒に戦う!」
「いや、足手まといだ!先に行け!」
「そんなの嫌だよ!」
グレンはそんなことを言い合いをしている間に、リリスの攻撃を受けてしまった。
グレンは、そのまま倒れると、それを見たリリスが言う。
「へえ、今のを受けて立ってられるなんて凄いな!」
それを聞いたグレンは立ち上がると、「まだだ!」
と言って戦闘を再開する。
***
そして現在に戻るとグレンたちは再び戦い始めていた。グレンは『白虎』のリリスを探そうとするが一向に見つかる気配がない。それどころか敵が増え続けていた。そんな中グレンが呟いた。
「ちっ!こうなったら一か八かだ!」
グレンはリリスを探すのを諦めて敵を倒し続けた。しかしそれでも、数が多すぎて倒しきることはできない、徐々に傷ついて行きグレンが膝をついた時、グレンの元に美鈴が近づいてきて回復をし始める。するとグレンは立ち上がり、美鈴に聞く。
「ありがとな……美鈴、お前は下がれ……」
それを聞いた美鈴は反論する。
「何言ってるのよ!私もやるわ!」
それを聞いたグレンが答える。
「いや……ここは俺たちに任せてお前は休んでろ……」
それを聞いて美鈴が怒る。
「なんでよ!私は貴方たちよりも強くないかもしれない……だけど……皆と一緒に戦うことはできる!」
それを聞くとグレンが真剣な顔で言う。
「そんなに、強くなりたいのか?」
それを聞いて美鈴がうなずく。
「もちろんよ!大切な人たちを守るためにはもっと強くなる必要があると思うから!」
それを聞くとグレンは笑いながら答える。
「ふっ……お前ならそう言うと思ったぜ……だからこれは俺からの頼みだ……この世界に来て初めてあった時に言った俺の本当の気持ちだ……」
美鈴はそれを聞いて驚く。
(あの時のって……)
「俺が、今から何を言っても黙って聞いてくれ……」
それを聞いて美鈴が「わかった……」と言う。それを聞くとグレンは話し始めた。
「お前は強い!俺なんかとは比べものにならないくらいな……」
それを聞いて美鈴はグレンが自分を励まそうとしてくれていると思い微笑む。
しかし次の瞬間、グレンの言葉の意味を知る。
「だからよ……俺は……俺は……お前を守りたい!それが……俺の本当の気持ちなんだ……頼むからよ、これ以上俺に守らせようとしないでくれよ……じゃないと……いつまで経ってもお前のこと好きになれねえだろうがよ……お前はさ……もう十分過ぎるほどに頑張ってきたんだからよ……そろそろ自分の為に生きろよ……じゃあな……俺はあいつらを追わせてもらう……」
それを聞いて美鈴は涙を流していた。
「馬鹿……こんな時までカッコつけなくていいじゃん……いつもみたいに素直になればいいのに……」
美鈴がそう言っている間も涙は流れ続ける。
「ほんと……あんたには負けるわ……」
グレンが去った後、美鈴は涙を流すのをやめた。
***
美鈴が泣き止み、蓮司たちと合流する。そして蓮司が質問する。
「美鈴、もういいのか?」
それを聞いて美鈴は答えた。
「うん……大丈夫……それとさ……私もちょっとやりたいことができたんだよね……」
それを聞いた蓮司は、驚いた表情をする。
「それはどういうこと?」
「私の能力を使うんだよ……」
それを聞いて優斗が聞く。
「もしかして『幻術』を?」
「そうだよ……」
それを聞くと蓮司は納得したような表情をした。
蓮司は前に美鈴の能力を教えてもらったことがあった。その時の美鈴の能力は、『幻術師』と呼ばれるにふさわしい能力だと思っていた。
そして美鈴は蓮司に向かって言う。
「それじゃあ、行って来るね!」
それを聞いて、蓮司が答える。
「ああ、頼んだよ!」

***
その頃、真司は『白虎』のリリスと戦っていたが、押されていた。
「くっ……全然攻撃が当たらない……」
真司は、剣を使って攻撃を仕掛けるが、全て避けられてしまう。そして『白虎』のリリスが言う。「どうした?その程度なのか?」
それを聞いて真司が答える。
「まだまだ!」
それを聞くと『白虎』のリリスが言った。
「そうこなくっちゃ!」

***
美鈴が蓮司たちの元を離れて、しばらく経った頃、グレンのところに真司と美鈴が合流していた。
グレンが2人に言う。
「お前ら、無事だったか!」
それを聞いた真司が答える。
「はい、なんとか……」
それを聞いたグレンは「そうか」と言い、真司に言う。
「真司……お前は下がっていろ……」
それを聞いた真司は反論する。
「なんでだよ!俺も一緒に戦うよ!俺だってみんなを守りたいんだ!」
それを聞いてグレンが言う。
「お前がいても邪魔になるだけだ!」
それを聞いた真司が言う。
「そんなの嫌だよ!俺はまだ何もできていない!」
それを聞いたグレンが言う。
「お前は十分やってくれたよ……だからここからは俺に任せてくれないか?」
それを聞いた真司が言う。
「嫌だ!絶対に嫌だ!」
それを聞いたグレンが怒鳴りつける。
「うるせえ!ガキが大人に口出ししてんじゃねえ!」
それを聞いて真司が言う。
「そんなの関係ないよ!俺は俺の意思で戦うって決めたんだ!」
それを聞くとグレンは呆れた顔をして言う。
「はぁ~お前は本当に面倒くさいな……わかった……じゃあ勝手にしろ……」
それを聞いた真司が
「ありがとう……」
と言う。
それを聞いたグレンはため息をつくと、敵に向かい始めた。

***
真司たちが敵を倒し始めてから少し時間が経つと、敵の数が少しずつ減っていき、残り一人となった。
それを見たグレンが言う。
「これで終わりだな……」
グレンが剣を構えて敵を倒そうとした時、突然、美鈴が現れてグレンの代わりに攻撃をし、残りの1人を美鈴一人で倒した。
それを見てグレンが美鈴に聞く。
「なんで戻ってきた?」
それを聞いて美鈴が答える。
「なんでかな……私にもわからないや……」
それを聞いてグレンが言う。
「そうか……ならいい……」
すると、美鈴がグレンに抱きついた。
それを見たグレンは驚きながら美鈴に言う。
「お、おい……急にどうした……」
それを聞いて美鈴が答える。
「ごめん……今だけはこうさせて……」
美鈴の目からは涙が流れており、美鈴はそれを拭き取ると、グレンから離れて笑顔で言う。
「ありがとね!助けに来てくれて……」
それを聞いたグレンが照れながら言う。
「おう……」
それを聞くと美鈴は蓮司たちの元に戻っていった。
グレンは美鈴の後ろ姿を見ていた。
(美鈴……お前は、どうしてそこまで強くなった……?)

***
それからしばらくして、戦いが終わると、蓮司たちは優斗の作った結界の中に集まって話を始めた。
まず最初に、美鈴と優斗以外の皆が思っていたことを蓮司が言った。
「とりあえず、今回は助かったよ。それと優斗も美鈴も、よく頑張ったな……」
それを聞いて優斗が答える。
「うん、僕も美鈴もよくやったと思うよ……」
美鈴も続けて話す。
「そうだよ!今回ばっかりはマジで死ぬと思ったもん!」
2人がそう言うと、蓮司が真面目な顔になって言う。
「今回の件についてだが……俺たちが思っている以上にヤバいことが起きてるかもしれん……」
それを聞いて、グレンが言う。
「どういうことだ?」
それを聞いて蓮司が答える。
「それはだな……まあいいか、今はそれよりも重要なことがあるからな」
それを聞いて、全員が蓮司の方を見る。
「それは一体なんだ?」
それを聞いて蓮司が答える。
「ああ、それはだな……お前らの呼び方の問題だよ」
それを聞いて優斗が聞く。
「どういうこと?」
蓮司が答えた。
「いや……お前らはいいかもしれないけどさ……俺のことは『先生』とか『蓮司さん』とか『蓮司』とか色々あるじゃん?でも、この先一緒にいるとしたら、全員のことを呼び捨てで呼ばないとダメだろ?」
それを聞いて美鈴が言う。
「確かにそれは一理あるかもね!」
それを聞いて蓮司がうなずく。
「だろ?」
それを聞いて、今度は美鈴が蓮司に聞いた。
「じゃあさ、蓮司は誰の呼び捨てにするの?」
それを聞いた蓮司はしばらく考えてから答える。
「やっぱり最初は、お前ら3人の誰かからだと思う」
それを聞いた美鈴が言う。
「じゃあ、私は『優斗』『真司』『真一』で!よろしく!」
それを聞いた優斗が答える。
「僕は『美鈴』でお願いします!」
それを聞いた真司が答える。
「俺は『蓮司』で頼むよ!」
それを聞いた蓮司が答える。
「よし、じゃあ決まりだな!」
それを聞いた美鈴が言う。
「いやー!これから楽しみだね!」
それを聞いた蓮司は、少し心配そうな顔をしてつぶやく。
「いや……俺は少し不安だぞ……」
その日の夜……
優斗と真司は
「んあ……真司……あん」
「くっ……ゆうと……そこ気持ちいい……」
「はぁ……真司……いくよ……」
「ゆうと……俺もう……イっちゃった……」
「真司のおちんちん……きもちい……中でてりゅ!」
一方、美鈴と真一は
「真一……もっと激しくして……」
「わかってるよ……美鈴……」
「真一……大好き……んあ……真一……真一……あぁ……」
「美鈴……俺もだよ……美鈴……美鈴……中出していい?」
「子供出来ちゃうよ……真一……でも出して」
「ぁ!」
「真一の精子でてりゅ」
そして、グレンと蓮司は
「ぁ……グレン……そこ……きもちい」
「ここか?蓮司?」
「ひゃう……グレンのおちんちん……俺の……奥まできてりゅ」
「お前の体は正直だな……蓮司……そろそろいいか?」
「グレン……中に出して……いっぱいちょうだい……」
「わかったよ……蓮司……出すぞ……」
「グレン……俺も……出る……」
「蓮司……愛している……」
「グレン……俺もだ……」
こうして、夜は更けていった……

***
次の日の朝……
真司は目を覚ますと、隣には裸の真一がいた。
真司は、昨日の出来事を思い出して顔を真っ赤にしてベッドから出て服を着ると、リビングに向かった。
するとそこには、いつものようにコーヒーを飲んでいる蓮司と美鈴の姿があった。
美鈴は、真司に気づくと、真司に話しかけた。
「おっはよう!真司……その……優斗とは?」
「昨日めっちゃエッチしたわ!久しぶりで少し激しくしちまった」
「真一も昨日激しかった」
「そうか」
それを聞いて美鈴が恥ずかしそうにしながら言う。
「ま、まあ……そういうことだからさ!私と真一は……」
それを聞いた真司が言う。
「大丈夫!俺たちは気にしないからさ!」
それからほどなくして皆がリビングに下りてくる
「ギルド行くぞ」
「OK」
「はい」
「はーい」
「了解です」
「おう」
蓮司たちは、ギルドに向かって歩き出した。

***
それからしばらくして、蓮司たちは、ギルドに着くと、早速クエストを受けることにした。
受付嬢に話を聞くと、今ならちょうどいい依頼があると言われたので、それを受けることにし、皆でその依頼を受けることにした。
***
それからしばらくして、蓮司たちは目的地に着いた。
そこは、山の中にある洞窟で、そこにいるモンスターの討伐だった。
それを見た蓮司が言う。
「今回は、これだな……」
それを聞いて美鈴が聞く。
「何が?」
蓮司が答える。
「この前戦ったやつより強い敵が出るかもしれないから、気を引き締めていくぞ」
それを聞いて皆が返事をする。
「おう!」
それを聞いて蓮司たちが、洞窟に入っていく。
(さあ、鬼ごっこの始まりだぜ)
蓮司が心の中で思った。
その頃、蓮司たちの知らないところで、蓮司たちを見つめている謎の人物がいた……
その人物は、フードを被っていて顔が見えない。
しかし、蓮司はその人の顔が見えていた。
その人は、女性であった。
蓮司は、その人を見ると、すぐにその場を離れた。
なぜなら、その女性の目が、蓮司のことを見据えていたからだ。
蓮司が、離れようとすると、女性が言う。
「貴方は、私のことを知っているはずよ?」
それを聞いて蓮司が答える。
「さあな?少なくとも、お前みたいな奴は知らねえな」
それを聞いて女が答える。
「まあいいわ……いずれわかるでしょうから」
それを聞いた蓮司が言う。
「そうかい」
それを聞いた女性は、一瞬で姿を消した。
蓮司は、そのことを確認すると、美鈴達の方へ走っていった。
そして、美鈴達と合流した蓮司達は、洞窟の奥へと進んでいった。
しばらく進むと、目の前に大きな扉が現れた。
蓮司が言う。
「この先だな……」
優斗が答える。
「うん、そうだね」
それを聞いて、蓮司達が警戒しながら進んでいく。
すると、大きな広場に出た。
そこには、3体のドラゴンのようなモンスターがいた。
それを見て美鈴が言う。
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