のほほん異世界暮らし

みなと劉

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311 あと少しで大晦日

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冷たい風が頬をかすめ、冬の深まりを感じさせる季節がやってきた。僕の家の周りでは、木々の葉がすっかり落ち、乾いた枝が青空に映える。シャズナとルシファンはそんな冬の景色の中でも元気いっぱいで、家の中を駆け回ったり、ぬくもりを求めて僕のそばに寄り添ったりしている。

大晦日まで残りわずかとなり、街もどこかせわしない空気に包まれている。市場の行商人たちは特別な年越し用の食材を揃え、人々は新年を迎える準備に忙しくしていた。僕も例に漏れず、家の大掃除や食材の買い出しに奔走していたが、ふと立ち止まると、シャズナとルシファンの温かな存在が心をほっとさせてくれる。

その日の午後、キッチンで新年を迎えるためのお菓子を焼いていると、シャズナがするすると足元に忍び寄り、尾をふわりと揺らして僕の注意を引いた。黄金色の瞳は好奇心で輝き、僕が持っているボウルをじっと見つめている。「これはまだ食べられないよ、シャズナ。」僕が優しく言うと、彼女は一瞬だけしょんぼりしたように見せてから、すぐに前足を上げて僕のズボンを引っ張った。

その後ろからはルシファンが、小さな足でちょこちょこと近づいてきて、同じように僕の足元にすり寄ってきた。ルシファンの黒く丸い目もまた興味津々で、キッチンの甘い香りに反応して鼻をひくひくと動かしている。二匹が僕の足元ですりすり合戦を始めると、僕は思わず笑い声を上げてしまった。「君たちは本当に仲がいいね。」

窓の外では、寒空に薄暗い雲がゆっくりと流れ、遠くからは街の賑やかな声が聞こえてくる。人々の笑い声や鐘の音が風に乗って届き、その音がこの家にも新年が近いことを知らせてくれるようだった。

夕暮れには、魔力式のランプを灯して家をほのかな明かりで満たし、シャズナとルシファンと一緒に暖炉の前でくつろいだ。シャズナは僕の足元で体を丸めて、ルシファンはそのすぐ隣で毛づくろいをしている。彼らの温もりが伝わってきて、部屋の中は外の冷たさを忘れるほどのぬくもりに包まれていた。

もうすぐ訪れる新年を思うと、これからもこの日常が続いていくことに感謝せずにはいられない。シャズナとルシファンと共に過ごす日々は、何気ないけれど、それこそが僕にとっての幸せなのだ。

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