のほほん異世界暮らし

自宅へ着くや否やシャズナとルシファンが落ち着きない

魔力式トラックを停め、自宅の玄関を開けると、シャズナとルシファンが勢いよく家の中へ飛び込んだ。普段はもう少し落ち着いているはずの二匹が、今日は妙にそわそわしている。玄関の土間でシャズナが小さく「にゃっ」と鳴き、ルシファンも「ちち！」と短く声を上げると、二匹は顔を見合わせてから家の奥へと駆け出していった。

「おいおい、どうしたんだよ？」
靴を脱ぎながら声をかけるが、二匹の興奮は収まらない。シャズナはリビングのソファに飛び乗り、しっぽをぴんと立ててあたりを見回している。ルシファンは床のラグをくんくんと嗅ぎながら、まるで何かを探しているかのようだ。

「まさか、何か家の中に……？」
少し不安になりつつも、二匹の様子を見守る。けれど、彼らの行動は何か危険を察知しているというよりも、純粋な好奇心と楽しげな雰囲気に満ちていた。

シャズナがソファの背もたれに乗り、優雅に伸びをしながら僕を見下ろす。その瞳はキラキラと輝き、どこか誇らしげだ。一方、ルシファンはテーブルの下に潜り込み、そこから顔だけを出して僕をじっと見つめている。

「まったく、何がそんなに楽しいんだか……」
苦笑しながらキッチンへ向かおうとすると、突然ルシファンが勢いよく走り出し、僕の足元に飛びついてきた。

「わっ、危ないって！」
バランスを崩しそうになりながらも、なんとか踏みとどまる。ルシファンはそのまま僕の足にしがみつき、前脚で軽くトントンと叩いてくる。まるで「こっちを見て！」と言っているようだった。

「はいはい、わかったよ。どうしたの？」
しゃがみ込んでルシファンの頭を撫でると、満足げに目を細めて喉を鳴らす。その音に気づいたシャズナもソファから飛び降り、僕の膝の上に乗ってくる。

「二匹揃って甘えん坊かよ……」
ため息をつきながらも、そのぬくもりが心地よくて、自然と笑顔になる。シャズナの柔らかい毛並みを撫でながら、ルシファンの耳の後ろを優しくかく。

しばらくそのまま二匹と戯れていると、シャズナが突然立ち上がり、リビングの窓際へ向かった。窓の外には、白い雪が静かに降り積もっている。

「雪が気になるのか？」
僕の声に反応して、シャズナが振り返る。瞳には、どこか神秘的な輝きが宿っていた。ルシファンも窓際に駆け寄り、二匹並んで外を見つめる。

「よし、今日は早めに夕食を作ろうか。それから、二匹と一緒にゆっくりしよう。」
そう言って立ち上がると、シャズナとルシファンが同時にこちらを振り返り、まるで「早くしてね」と言いたげに鳴いた。

「はいはい、今すぐ準備するから待ってろよ。」
暖かい光に包まれたリビングで、静かな夜の訪れを感じながら、僕はキッチンへ向かった。シャズナとルシファンのそわそわした様子も、きっとこれからの楽しい時間の予兆だろう。