のほほん異世界暮らし

みなと劉

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午後からの作業と三匹の観察

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昼食後のひと息でエネルギーを取り戻した僕は、午後の作業を再開することにした。三匹もそれぞれ動き出し、いつもの農場での時間が流れ始める。

「まずは、苗の植え替えからだな。」

倉庫に戻り、先日購入した赤ペスウの苗を取り出す。小さな苗は葉先が少し赤みを帯びていて、春の陽気に力強く成長しそうな気配が漂っている。苗を両手に抱え、僕は畑へと向かった。

シャズナはいつも通り優雅な足取りで僕の後ろをついてくる。苗を植える場所を決めるために僕がスコップを振るうと、その土の動きに興味を引かれたのか、シャズナがその場にちょこんと座り込んだ。

「にゃー。」

優雅に尻尾を揺らしながら、土を軽く前足で掘るような仕草をする。まるで僕の作業を真似しているようで、少し笑いそうになる。

「お前は働かなくてもいいんだぞ。」

そう言って笑いかけると、シャズナはプイッと顔を背け、何事もなかったかのように毛繕いを始める。だが、その仕草がまた可愛らしい。

ルシファンは黒い小さな体を活発に動かしながら、畑の端から端まで忙しそうに走り回っている。草の陰に顔を突っ込み、「ちちっ!」と鳴いては、何かを確認するように動き回る姿はまるで農場の探検隊だ。

「何を探しているんだ?」

ルシファンに声をかけると、こちらを一瞬だけ振り向いて「ちちっ!」と鳴き、またどこかへ走っていく。どうやら特に目的はないらしい。好奇心だけで動く姿は、見ていて飽きない。

リッキーはその小さなホーンラビットの鼻を「ぴっ!ぴっ!」と鳴らしながら、僕の近くで跳ねている。作業の途中、僕が気を抜いて手を止めると、すかさずリッキーが寄ってきて足元に座り込む。

「お前は遊びたいのか?」

リッキーは鼻をふんふんと鳴らしてから、土の上に転がり、背中をこすりつけて気持ちよさそうにする。太陽の光を浴びながら、無邪気に土遊びをする姿に、自然とこちらの肩の力も抜けてくる。

三匹の様子を観察しながら、僕は一列ずつ赤ペスウの苗を植えていった。土を掘り、苗を優しく置き、根がしっかりと定着するように土をかける。単調な作業だけど、心地よい春の風が疲れを吹き飛ばしてくれる。

時折、ルシファンが僕の足元を駆け抜けていったり、シャズナが背中越しに僕を見つめていたりする。リッキーは途中から近くに転がり込み、眠ってしまったようだ。

「まるでお前たちが見張り番みたいだな。」

三匹に向かって呟くと、シャズナは気高く尾をふり、ルシファンは小さな鳴き声を返してきた。リッキーは変わらず、ぴくりとも動かず土の上で寝息を立てている。

夕方になると、作業もほぼ完了した。赤ペスウの苗は整然と並び、その姿が夕日に照らされて輝いて見える。満足げにその光景を眺めながら、僕は軍手を外し、額の汗を拭った。

「今日もよく頑張ったな。」

三匹に声をかけると、シャズナが先頭を切ってトラックへと向かい、ルシファンがその後を駆け、リッキーは眠たそうに伸びをしながらついてきた。

帰り道、トラックを運転しながら振り返ると、三匹は荷台で疲れた様子を見せながらも満足そうに座っている。穏やかな日常に感謝しつつ、僕は農場を後にした。

「明日も一緒に頑張ろうな。」

シャズナが「にゃー」と返事をし、ルシファンが「ちちっ!」と小さく鳴く。リッキーは鼻をふんっと鳴らして、瞼を閉じて眠りに落ちた。

今日も三匹と一緒に、僕は少しだけ成長した気がする。

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