のほほん異世界暮らし

ルーセリックの芽吹きと観察

次の週末、農場を訪れるとルーセリックの苗が新しい芽を出していた。鮮やかな緑色の小さな葉が太陽に向かって伸びる姿に、自然の力強さを感じる。

「おお、順調に育っているみたいだな。」

三匹もこの成長に気づいたようで、シャズナは苗の周りを慎重に歩き、リッキーは葉の匂いを嗅いで何かを確認するような仕草を見せる。ルシファンはというと、じっと苗を見つめて、まるで何かを守るかのようにその場に座り込んだ。

「ルシファン、お前が守ってくれるなら安心だな。」

そう声をかけると、ルシファンは得意げに吠えた。そして、三匹とともに苗の観察を続けながら、僕はこれからの手入れについて考える。

翌日、苗の成長を助けるために必要な肥料を作る作業を始めた。堆肥を作るために土と有機物を混ぜ、丁寧に攪拌する。その作業を見たリッキーが興味を持ったらしく、鼻を突っ込んで匂いを嗅ぎ始めた。

「こらリッキー！ これは食べ物じゃないぞ！」

リッキーは少し残念そうに僕を見つめたが、すぐにシャズナとルシファンが近づき、三匹で遊び始めた。彼らの無邪気な様子に癒されながらも、僕は作業を続ける。

堆肥を苗の周りに丁寧に撒き、水を与えると、土壌全体に豊かな香りが漂った。これがルーセリックの成長をさらに加速させるはずだ。

昼休憩の時間になると、三匹と一緒に木陰でお弁当を広げた。今日は特製の野菜サンドイッチを作ってきた。ルーセリックが収穫できたら、このサンドイッチに新しい味を加えられるだろうと想像しながら食べる。

三匹には特製のおやつを渡すと、喜びの声をあげて飛び跳ねた。リッキーがルシファンを追いかけ、シャズナはその様子を眺めている。そして突然、リッキーが小さな木の枝を拾ってきて、僕の足元に置いた。

「これで遊べってことか？」

その言葉に応えるようにリッキーが尻尾を振る。僕が枝を投げると、三匹が一斉に走り出し、取り合いを始める。その姿を見ながら、笑みがこぼれる。

夕方になると、ルーセリックの苗に最後の水やりをしながら、今日一日を振り返った。三匹もそろそろ疲れたのか、シャズナは草むらで休み、リッキーとルシファンは僕のそばで横になっていた。

「よし、今日もお疲れさまだ。あとは無事に育ってくれるのを祈るだけだな。」

夕焼けが農場を包む中、三匹の穏やかな寝顔を見つめながら、自然と感謝の気持ちが湧き上がる。

トラックに三匹を乗せて農場を後にすると、彼らは安心したように丸くなり眠りについた。窓の外には赤い夕日とともに、緑豊かな風景が広がっている。その景色を眺めながら、僕は次に挑戦する交配のアイデアを思い浮かべた。

「ルーセリックが収穫できたら、新しい交配にも挑戦してみよう。どんな野菜ができるか楽しみだな。」

静かな帰路の中、三匹の寝息を聞きながら、これからの農場での新たな試みと三匹との日々に胸を弾ませるのだった。