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二章・魔界ファーステリア編
ノルン
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「ーー所で乃亜よ、お主“ちゃんと目覚めておらん”だろ?」
陸斗達が北に向かった直後、初代魔王リィールが話を切り出します。しかし、彼女が言った目覚めていないという問いは乃亜に正しく伝わらなく、起きていないとここに居ないと正論を言っていました。
勿論それとこれとで意味合いが違うため。
「たわけ、ちゃんと魔力を制御できとらんだろと言っている!たまにお主から魔力が漏れておるしな!」
「え?ということは私も魔力暴走……え?」
「……なに、自覚がないというのか?」
「自覚ないと言われても私は強引に連れてこられただけですし……」
「……ふむ、ならば仕方がない……と言いたいところなんだがイレギュラーを放っておくことも出来ぬしな……どうしたものか」
「イレギュラー?私が……ですか?」
「うむ、普通ならば魔王の子以外の者は魔王の力なんぞ身に宿しておらぬ。なのにお主は魔王の力を宿し、ましてや暴走になりかねない魔力の放出もしておるのだ」
もちろんそんなことを言われて信じる人なんて誰もいません。初対面の人……いえ初対面の魔王にそんなこと言われれば誰だって信じることはないでしょう。
ですが、まるで乃亜以外にもイレギュラーの人を見たことがあるとでも言わんばかりに説得力が強く、不思議とその話を信じてしまうことに。
「ともかく本来の力……つまり魔力制御を目覚めさせた方が良いのだが……なんせお主はここの奴らとは違う、目覚めさせ魔王の力が逆流し自我崩壊する危険性もある」
「その場合って……」
「当然“死”しかないだろう。だから困っているのだ。だがこのまま放置するとなるとお主の魔力に当てられて辺りの者が死ぬ。それまで時間はないだろう」
彼女が言う通り乃亜の中に眠る魔王の力はとても絶大な物。つい先日も無意識に魔力が解放され、その魔力の力により陸斗達が悪寒を感じ取っています。
その時は悪寒が感じ取れるくらいで済んでいましたが、もう少し多く魔力が放出されていれば一大事になっていたでしょう。
それ程迄に乃亜の魔王の力は絶大で初代魔王だからこそそれが危険だと知っているのです。
「つまり嫌と言ってもやらないといけないってことですか?」
「そういう事だ。だからこの場に残したのだ。……さて乃亜よ、我が初代魔王が問う。汝は自らの人格を保つ覚悟があるか?」
「急に魔王感出しましたね。言葉は国想いなのに」
「そ、そそそそんなことはどうでも良いだろう!?」
「そうですよね……それでえっと目覚めさせるにはどうしたら良いのですか?」
「む、それを聞くということは目覚めさせるのだな。よかろう……今しばらく目を瞑っておれ」
それだけでいいのかなと不安になりつつ瞼を閉じた数秒後。ぷにっとマシュマロのような、されども若干弾力のある何かが乃亜の唇に触れました。
「ん!?」
その触感に驚き瞼を開けると、椅子にたったリィールが自らの唇を乃亜の唇に当てているという……いわばキスを……いやそれだけではありません。何かを吸い尽くすかのようにその状態でゆっくりと吸引までし始めました。
その事態に流石に顔を真っ赤に染めて、必死にリィールを離そうとしますが、不思議と思ったように力が入らず、離すことはままならない状態、どうしてこうなったのか、リィールは何しているのかと色んな言葉が乃亜の頭をグルグルと駆け巡り、短い時間がとても長く感じることとなります。
数秒後、それも乃亜にだけ凄く長く感じた数秒後にようやく乃亜は解放されますがリィールはまるで慣れているかのように何ともありませんでした。
「ふぅ……あとはーー」
「……な、ななな、何するんですか!!?く、くく、口の中吸ってましたよね!?」
「あぁ、お主の余分な魔力を吸い込んだだけだ。問題はないぞ」
「そういう問題じゃないです!」
「うむ、そんなに元気なら大丈夫そうだな。あとは……〈魔王解放の儀・ノルン〉」
「話を聞いてください!」
「とりあえず落ち着け。中途半端こそ命が危うくなるからな」
急に魔法を唱え掌に青く冷たそうな小さい一粒の冰を浮かべたと思いきや、それを彼女の口内に押し込み、飲み込ませます。
実は先程のキス……ではなく魔力吸引からこの工程までが魔王の力を解放するやり方。その証拠に冰を飲み込んだ彼女の心臓が苦しさを覚える程に高鳴り、胸元をぎゅっと手で押さえつけていました。
しかしその刹那、パキリと透明で壊れやすい氷にヒビが入ったような音がすると共に、胸元で抑えていた手がぶらりと力が抜け垂れ下がりました。
「……汝、名は?」
「『ノルン』」
「ほう、してノルン……いや絶冰の魔王ノルンよ。我が問いに答えよ。汝は乃亜のなんだ?」
陸斗達が北に向かった直後、初代魔王リィールが話を切り出します。しかし、彼女が言った目覚めていないという問いは乃亜に正しく伝わらなく、起きていないとここに居ないと正論を言っていました。
勿論それとこれとで意味合いが違うため。
「たわけ、ちゃんと魔力を制御できとらんだろと言っている!たまにお主から魔力が漏れておるしな!」
「え?ということは私も魔力暴走……え?」
「……なに、自覚がないというのか?」
「自覚ないと言われても私は強引に連れてこられただけですし……」
「……ふむ、ならば仕方がない……と言いたいところなんだがイレギュラーを放っておくことも出来ぬしな……どうしたものか」
「イレギュラー?私が……ですか?」
「うむ、普通ならば魔王の子以外の者は魔王の力なんぞ身に宿しておらぬ。なのにお主は魔王の力を宿し、ましてや暴走になりかねない魔力の放出もしておるのだ」
もちろんそんなことを言われて信じる人なんて誰もいません。初対面の人……いえ初対面の魔王にそんなこと言われれば誰だって信じることはないでしょう。
ですが、まるで乃亜以外にもイレギュラーの人を見たことがあるとでも言わんばかりに説得力が強く、不思議とその話を信じてしまうことに。
「ともかく本来の力……つまり魔力制御を目覚めさせた方が良いのだが……なんせお主はここの奴らとは違う、目覚めさせ魔王の力が逆流し自我崩壊する危険性もある」
「その場合って……」
「当然“死”しかないだろう。だから困っているのだ。だがこのまま放置するとなるとお主の魔力に当てられて辺りの者が死ぬ。それまで時間はないだろう」
彼女が言う通り乃亜の中に眠る魔王の力はとても絶大な物。つい先日も無意識に魔力が解放され、その魔力の力により陸斗達が悪寒を感じ取っています。
その時は悪寒が感じ取れるくらいで済んでいましたが、もう少し多く魔力が放出されていれば一大事になっていたでしょう。
それ程迄に乃亜の魔王の力は絶大で初代魔王だからこそそれが危険だと知っているのです。
「つまり嫌と言ってもやらないといけないってことですか?」
「そういう事だ。だからこの場に残したのだ。……さて乃亜よ、我が初代魔王が問う。汝は自らの人格を保つ覚悟があるか?」
「急に魔王感出しましたね。言葉は国想いなのに」
「そ、そそそそんなことはどうでも良いだろう!?」
「そうですよね……それでえっと目覚めさせるにはどうしたら良いのですか?」
「む、それを聞くということは目覚めさせるのだな。よかろう……今しばらく目を瞑っておれ」
それだけでいいのかなと不安になりつつ瞼を閉じた数秒後。ぷにっとマシュマロのような、されども若干弾力のある何かが乃亜の唇に触れました。
「ん!?」
その触感に驚き瞼を開けると、椅子にたったリィールが自らの唇を乃亜の唇に当てているという……いわばキスを……いやそれだけではありません。何かを吸い尽くすかのようにその状態でゆっくりと吸引までし始めました。
その事態に流石に顔を真っ赤に染めて、必死にリィールを離そうとしますが、不思議と思ったように力が入らず、離すことはままならない状態、どうしてこうなったのか、リィールは何しているのかと色んな言葉が乃亜の頭をグルグルと駆け巡り、短い時間がとても長く感じることとなります。
数秒後、それも乃亜にだけ凄く長く感じた数秒後にようやく乃亜は解放されますがリィールはまるで慣れているかのように何ともありませんでした。
「ふぅ……あとはーー」
「……な、ななな、何するんですか!!?く、くく、口の中吸ってましたよね!?」
「あぁ、お主の余分な魔力を吸い込んだだけだ。問題はないぞ」
「そういう問題じゃないです!」
「うむ、そんなに元気なら大丈夫そうだな。あとは……〈魔王解放の儀・ノルン〉」
「話を聞いてください!」
「とりあえず落ち着け。中途半端こそ命が危うくなるからな」
急に魔法を唱え掌に青く冷たそうな小さい一粒の冰を浮かべたと思いきや、それを彼女の口内に押し込み、飲み込ませます。
実は先程のキス……ではなく魔力吸引からこの工程までが魔王の力を解放するやり方。その証拠に冰を飲み込んだ彼女の心臓が苦しさを覚える程に高鳴り、胸元をぎゅっと手で押さえつけていました。
しかしその刹那、パキリと透明で壊れやすい氷にヒビが入ったような音がすると共に、胸元で抑えていた手がぶらりと力が抜け垂れ下がりました。
「……汝、名は?」
「『ノルン』」
「ほう、してノルン……いや絶冰の魔王ノルンよ。我が問いに答えよ。汝は乃亜のなんだ?」
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