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二章・魔界ファーステリア編
紅に染まる漆黒の王
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「ーー我が問いに答えよ。汝は乃亜のなんだ?」
「『ノア……?あぁ、このカラダの事か。私はこのカラダの……なんなんだ?』」
「いや、こっちが聞いておるのだがな?」
腕をだらしなくぶら下げた乃亜はいつもとは全く別の雰囲気を出し、ギラリと睨みつける目でリィールを見ながら不思議なことを言い始めます。
というのも今彼女の意識は絶冰の魔王と呼ばれたノルンという魔王が乗っ取り乃亜の声に被せるようにして声を、言葉を出しているので不思議な事を言っているのです。
「まぁよい。してノルンよ、今しがたお主の体である乃亜と対話するが良い」
「『言われなくてもする。無論私が負けるなどありえないが』」
「対話するだけだから勝敗など決まらぬのだが……ってもう聞こえておらぬか」
乃亜とノルンの被った声が聞こえなくなったと同時に彼女の意識は完全に途絶えそのままばたりと倒れ込んでしまいます。勿論気絶しただけなので、心優しい初代魔王リィールは倒れた乃亜をその場に座らせる様な楽な体勢へと変えてあげていました。
「さて、陸斗達はどうなったか」
まだ安心はできないものの一段落着き、短く息を吐いた後陸斗達の様子を伺うべく外へと出ました。ですが乃亜が気絶し無防備の状態のため遠くには行くことはできません。そのためか彼女はただ北の方角をじっと見るだけで、それ以外は何もする様子はありません。
それから暫くたった頃、遠くから緑色の光の筋がこちらに向かってきているのが見て取れました。しかしその筋は彼女の所には届かない上、彼女やボロボロの建物に当たらないコースのためリィールはビクともしなく、遠くで必死に逃げ回りながら彼女の元に走ってきている陸斗と鈴を捉えていました。
「ふむ、あれだけの魔力を消費してなお暴走が止まらぬとは……もはや暴走ではなく操られてるレベルか……おーい!陸斗、鈴!早うこっちこんか!」
腕を大きくあげ、更に大きく腕を振り遠くにいる陸斗達に呼びかけますが当然離れているため言葉は届きません。しかし腕を大きくあげ人を呼ぶように振っているからこそ言葉は伝わらずとも自分達を呼んでいるということは彼らもわかりました。
数分もの間必死に逃げ回りながら漸くリィールの所にたどり着いたところで緑色の光線の攻撃が止みました。ですが光線を放つ者は歩みを止めず未だに近づいてきます。
「な、なんなんだ……あいつ……」
「……暴走、違う……?」
「よく連れてきたぞ陸斗、鈴。しかし……ふぅむ……とりあえずいつも通りやってみよう『終焉の淵に眠る漆黒の力よ、我リィールが汝の力を望む……覚醒せよ!〈紅に染まる漆黒の王〉!』」
逃げ回り疲れ切った陸斗達を護るように前に出て彼女は地獄の淵に届くのではと思うほどの大声で自らの本名を叫ぶと、バキボキっと骨が絶たれるような、またブチブチっと肉が割かれるかのような生々しい音がその場に響き渡り、みるみるうちにリィールの容姿が変わっていきます。
「おま……その姿は……」
「これが本来の我だ。いつもは封印しているのでな。……で、どうだ?この姿の我はボンキュッボンで美しいだろう?」
生々しい音が止むと幼い女の子の容姿だったリィールが一瞬で大人の姿に変化していました。
それも自分で自信を持って言えるほど他人が羨む綺麗な顔立ちとそのスタイル、更に艶の増した紅の髪もさらさらとしていて誰がどう見ても妖艶で綺麗としか言葉はでません。
また、大人の姿になった故かちょこんと生えていた角が大きく立派なものになっていて、より魔王ぽく……いや、完全に魔王と言える程の雰囲気を放っていました。
「……自己評価、乙、でも綺麗」
「ふん、別に綺麗だと言われても嬉しくはない。それと自己評価は余計だ」
「……美しい、自分で言ったくせに」
「う、うっさいわ!」
自己評価し、疲れ果てている彼等に聞いたのにも関わらず何故かツンとした表情で、思っていることと真逆のことを言ってしまいます。
その結果、言葉と行動があってないと言わんばかりに鈴からのツッコミを受け、赤面しながら後悔することになったようですが。
「ま、まぁよい。とりあえず先刻お主らに言った暴走解除方法でいつも通りやるからな。お主らはそこで安心して見ておれ。〈終焉ノ刃〉!」
「『ノア……?あぁ、このカラダの事か。私はこのカラダの……なんなんだ?』」
「いや、こっちが聞いておるのだがな?」
腕をだらしなくぶら下げた乃亜はいつもとは全く別の雰囲気を出し、ギラリと睨みつける目でリィールを見ながら不思議なことを言い始めます。
というのも今彼女の意識は絶冰の魔王と呼ばれたノルンという魔王が乗っ取り乃亜の声に被せるようにして声を、言葉を出しているので不思議な事を言っているのです。
「まぁよい。してノルンよ、今しがたお主の体である乃亜と対話するが良い」
「『言われなくてもする。無論私が負けるなどありえないが』」
「対話するだけだから勝敗など決まらぬのだが……ってもう聞こえておらぬか」
乃亜とノルンの被った声が聞こえなくなったと同時に彼女の意識は完全に途絶えそのままばたりと倒れ込んでしまいます。勿論気絶しただけなので、心優しい初代魔王リィールは倒れた乃亜をその場に座らせる様な楽な体勢へと変えてあげていました。
「さて、陸斗達はどうなったか」
まだ安心はできないものの一段落着き、短く息を吐いた後陸斗達の様子を伺うべく外へと出ました。ですが乃亜が気絶し無防備の状態のため遠くには行くことはできません。そのためか彼女はただ北の方角をじっと見るだけで、それ以外は何もする様子はありません。
それから暫くたった頃、遠くから緑色の光の筋がこちらに向かってきているのが見て取れました。しかしその筋は彼女の所には届かない上、彼女やボロボロの建物に当たらないコースのためリィールはビクともしなく、遠くで必死に逃げ回りながら彼女の元に走ってきている陸斗と鈴を捉えていました。
「ふむ、あれだけの魔力を消費してなお暴走が止まらぬとは……もはや暴走ではなく操られてるレベルか……おーい!陸斗、鈴!早うこっちこんか!」
腕を大きくあげ、更に大きく腕を振り遠くにいる陸斗達に呼びかけますが当然離れているため言葉は届きません。しかし腕を大きくあげ人を呼ぶように振っているからこそ言葉は伝わらずとも自分達を呼んでいるということは彼らもわかりました。
数分もの間必死に逃げ回りながら漸くリィールの所にたどり着いたところで緑色の光線の攻撃が止みました。ですが光線を放つ者は歩みを止めず未だに近づいてきます。
「な、なんなんだ……あいつ……」
「……暴走、違う……?」
「よく連れてきたぞ陸斗、鈴。しかし……ふぅむ……とりあえずいつも通りやってみよう『終焉の淵に眠る漆黒の力よ、我リィールが汝の力を望む……覚醒せよ!〈紅に染まる漆黒の王〉!』」
逃げ回り疲れ切った陸斗達を護るように前に出て彼女は地獄の淵に届くのではと思うほどの大声で自らの本名を叫ぶと、バキボキっと骨が絶たれるような、またブチブチっと肉が割かれるかのような生々しい音がその場に響き渡り、みるみるうちにリィールの容姿が変わっていきます。
「おま……その姿は……」
「これが本来の我だ。いつもは封印しているのでな。……で、どうだ?この姿の我はボンキュッボンで美しいだろう?」
生々しい音が止むと幼い女の子の容姿だったリィールが一瞬で大人の姿に変化していました。
それも自分で自信を持って言えるほど他人が羨む綺麗な顔立ちとそのスタイル、更に艶の増した紅の髪もさらさらとしていて誰がどう見ても妖艶で綺麗としか言葉はでません。
また、大人の姿になった故かちょこんと生えていた角が大きく立派なものになっていて、より魔王ぽく……いや、完全に魔王と言える程の雰囲気を放っていました。
「……自己評価、乙、でも綺麗」
「ふん、別に綺麗だと言われても嬉しくはない。それと自己評価は余計だ」
「……美しい、自分で言ったくせに」
「う、うっさいわ!」
自己評価し、疲れ果てている彼等に聞いたのにも関わらず何故かツンとした表情で、思っていることと真逆のことを言ってしまいます。
その結果、言葉と行動があってないと言わんばかりに鈴からのツッコミを受け、赤面しながら後悔することになったようですが。
「ま、まぁよい。とりあえず先刻お主らに言った暴走解除方法でいつも通りやるからな。お主らはそこで安心して見ておれ。〈終焉ノ刃〉!」
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