いきなり異世界転生!?~目覚めて始まる異世界生活~

夜色シアン

文字の大きさ
20 / 23
二章・魔界ファーステリア編

暴走

しおりを挟む
 ーー魔力暴走の対応は魔力を使い切らせる。もしくは血を流すことだーー

 数時間前、リィールは魔力暴走の対処方法。彼女曰くこの方法をもってすれば魔力暴走は収まる……と彼女は言ってました。

「〈終焉ノ刃クロノス〉!」

 バンッと地面を強く叩くと漆黒かつうっすらとした鮮やかな紅色の小刀を召喚します。

 というのも現時点で光線を放つ者の魔力は少なからず尽きることの無い魔力を一時的に所持していると考え、消極的に傷を与え暴走を収める他ありません。

 一方で光線を放つ者も先程よりも高火力の光線を放つべくと大きな光線の種の様な光の弾を作り始めたかと思いきや、攻撃する間を与えないようにまた別の光線を次から次へと放ち始めます。

「無詠唱かつ速さを重視した魔法か……だが甘い!」

 間を詰められつつあるもののその距離はほぼ二百メートル。その距離を僅か一秒から二秒程で駆け抜ける緑色の光線は普通の人間ならまともに避けることも不可能です。

 しかしそれは普通の人間ならの話。現在魔王の力を高ぶらせた初代魔王ならば避けることも、ましてや後ろにいる陸斗達を守る事など容易く、光線の発射と同時に防御魔法を無詠唱で使用し見事無傷の状態を保ちます。

「す……すげぇ……本当に魔王だったんだな……」

「最初からそう言っておる。……さて、こちらも仕掛けるとするか……時間もないしな」

 静かくされども豪快に〈終焉ノ刃クロノス〉を雲の向こうまで届く程天高く投擲し、たった一言「堕ちろ」という言葉でそれが光線を放つ者に向かって落ちていきます。

 それも一本しか投げていないというのに数百もの刃が雨のように降り注ぎました。

 そして光線を放つ者が何故か“防御もせず全て食らった”後のことでした。

 その場に鮮やかな紅色の“”が広がりつつ咲き誇り、初代魔王魔王の立派な角や髪、呼び出した刃が燃え盛っている業火の如く更に紅く変化し始めたのです。

「……もう終わりか?つまらぬ……さて次はお主か?それともお主か?」

 変化が止まると共にいつになく殺気に満ちた雰囲気のリィールが踵を返して唖然としていた陸斗達を鋭い目付きで睨み付けます。

 それに留まらず展開していた防御魔法も解き、強烈な殺気とともに彼らに近づいて行き。

「名乗り出ぬのなら我が指名しよう……お主、我の血肉の糧となれ」

「……おいおいおい!本気で言ってるのかリィール!」

「我の名を容易く呼ぶな、して、相手をしてくれるのか?勿論拒否は許さんが」

「……陸斗、それリィール、違う……やるしかない」

「ほう?貴様は物わかりが良いな。ならば貴様も一緒に来い。先程のやつにこやつだけじゃ物足りぬしな」

 気高き魔王のような凛とした話し方に、まるで友人になった陸斗達を忘れたかのような言い方と、どうやら先程までのリィールとは全く別人の何かが彼女を支配しているような不思議な感覚が彼らを襲います。

「本当にどうしたんだよ!お前は友達をそんな簡単に殺すとかできるやつなのかよ!」

「友達?ハッそんなもの我には要らん。我は……我は血を、肉を、人間の死を求むそれだけだ。それに貴様と話していると変な気持ちが襲う……あぁ、目障りだ……貴様は一刻も早く殺さねばならぬな!〈終焉の双刃クロノス・エンド〉!」

「本当にやらないとダメなのかよ……くそっ!」

 魔王だと言いつつもいい人だと思っていたからこそ、彼は剣を抜くことに抵抗が生じることとなりますが、彼女のとてつもない殺気で剣を抜かねば死ぬと悟ると嫌々ながらシェラから貰った剣を引き抜ーーけませんでした。

 いや正しくはその貰った剣を、あろう事か魔城リンドヴルムで宿泊した際に置いてきてしまったのです。

「どうしよう鈴……剣忘れてきた……」

「…………馬鹿、阿呆、マヌケ……ドラン、支度して、言った。もう一度言う、馬鹿」

「仕方ないだろ!?まさか戦うなんて思ってもなかったし話するだけだと思ったからな!?」

 忘れた理由は明白でした。というのも彼が一番その理由を知っているわけですが、つまるところ“油断”というものです。

 外には魔物がいるというのにリィールと話すだけだと油断した結果こうなってしまったのです。

 その結果、様子がおかしくなったリィールですら呆れてしまっていました。

「………………はぁ、貴様は本当の馬鹿だ。剣を忘れ命を落とすこととなるとはな……仕方ない、せめてもの救いだ、遺言はあるか?」

 ジャキっと呼び出した二つの刃〈終焉の双刃クロノス・エンド〉を今にも突き刺すかのように彼に切っ先を向けその言葉を発しました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...