3人の令嬢は婚約破棄の断罪劇に好き勝手物申す

芹澤©️

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王太子はストーカーをストーキングしたい

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アーヴァインがちょろちょろと周りをうろつく男爵令嬢の対処をやっとの事で終えたのは夏の終わりの頃だった。
それは自分の護衛隊長であるダルトンが、何とも似つかわしくない本を渋面を作りつつ持って来たのが始まりだった。無言で渡され、つい受け取ってしまったものの、本の題名を見て困惑する。『哀しみの先にあなたが』……どう見ても女性向け小説だろう。

「……これは一体何だ? 」

「……妻が面白いから読めと。子女に人気らしいから、ベアトリーチェ嬢の話の種にどうかと思ったんだが……ちょっとな」

護衛としては大分砕けた態度だが、何せダルトンはアーヴァインが子供の頃からのお付きなので、お互い家族の様に接している。
説明を受けてアーヴァインはパラパラとページを巡る。勉強に執務、そうして学園での生徒会長としての事務作業のおかげなのかはたまた弊害か。速読を身につけたアーヴァインは、無言で読み進めると、途中で顔を上げた。

「……え、僕じゃないか、この話……」

「そう思うか? 」

「いや、だって教師から面倒を押し付けられ、その押し付けられた男爵令嬢に付き纏われ、挙句婚約者を蔑ろにする……この前までの僕だろう」

「そうだよなぁ、何だか気味が悪い。あの男爵令嬢が書いた……なんて無いよな? 」

「確かに一番怪しいけど、あの娘にこんな表現力が果たしてあると思うか? 」

「……無いな」

「だな」

何気に失礼な憶測を立てて納得する2人。まあ、そのぐらい件の令嬢には手を焼いたのだ。

「……勘弁しろよ。やっと時間が作れるかと思ってたのに」

気心知れた相手だと割と口が悪いアーヴァインは、憎々しげに本を読み込む。どうやら後半は完璧に創作な様で、取り敢えず今は指して問題も無いかと、夜寝る前にでも読むかと本を閉じた。

「……ダルトン。ストーカーを駆除しないといけなくなった」

「……目星は」

「今のところ無い。学園で、ここ最近僕と接する時間の長い者……ぐらいか」

「……やはりあの娘……」

「あぁっ! くそ面倒臭いっ」

そして直ぐにアーヴァインは頭を抱えた。
怪しいのは男爵令嬢、生徒会役員に教師。悲しい事に、一番身近な筈の婚約者と、ここ最近は接していない事に気付いたのだ。
婚約者のベアトリーチェとの仲は可もなく不可もなく。実にドライな関係だ。しかし、長年婚約者として大切にして来た自負があるし、成長して美しく育った彼女を側に置いておきたい男の欲も無い訳ではない。なので、少しの期間だとはいえ放っておいた事に僅かに罪悪感や焦燥感がある。

関係性を思えば、暫く会っていようとなかろうと、ベアトリーチェの態度は変わらないのは想像に難く無い……のがまた悲しいやら悔しいやら。無理矢理視点を変えれば、ある意味では信頼しているとも思えなくはないのだが。

(それにしても……)

先入観は足下を掬うとは思うものの、男爵令嬢は限りなく黒に近いグレーだと感じているアーヴァインは、他に最近良く関わる面子を思い浮かべた。今、生徒会役員は全て男性であり、果たして小説を書く様な……しかもあの繊細な表現が描ける細やかさがある人物が浮かばない。小説の執筆者名は男性名なのだが、内容は元より文章的にも女性な気がする。まだ女性が表立って名乗るよりも、男性を装った方が商売がしやすい社会は、今後改善の余地有りだと脱線する思考を抑え、ここ数週間関わる人物を洗い出す。

因みに生徒会役員が男性ばかりなのは、そういった社会的要素と、ベアトリーチェなど優秀な女性は王子妃教育であったり、家での役割を担っていたりと案外忙しくて断る者が多いという背景のせいである。

ベアトリーチェが生徒会役員であれば面倒な集まりでも幾分心持ち軽くなるのに……なんて、また脱線するアーヴァインだったが、既に詰みな推理が面倒になった。何故なら、考えた結果自分の周りに半分暴露めいた本を出すものなどいない。バレたら自分に目を付けられるどころの話ではないからだ。
そしてアーヴァインは業務中に役員が顔を突き合わせる大テーブルに投げやりに本を置いた。

そうして、教師の控え室に書類の承認を取りに行った者、お茶を煎れて戻って来た者、他の委員との打ち合わせを終えらせて戻って来た者など、それぞれがテーブルの上の本に一度は興味を示すが、それだけだ。題名からして女性向けなことは丸分かりであるし、何故あるのか聞いたり、アーヴァインの本の説明を受けて自分達の婚約者に購入しようと話す者はいたが、それだけだ。まあ、結果はアーヴァインが思っていた通りになった。直ぐに本への興味を無くして皆それぞれの雑務をこなしているからだ。

普段から業務中は会話も少ないし、特に今は生徒会役員の入れ替えもあり忙しいのだ。それぞれが後任に仕事を教えてやったりする中、アーヴァインの後任も遅れて入室してきた。

「失礼します」

軽やかな声の持ち主は、真っ直ぐに自分の元へ寄って来た。が、対するアーヴァインはその後任者を睨む。

「……遅い」

「すみません、キャスティーネが見つからなくて、探してました」

「……何か急な用事か? 」

「いいえ? 可愛い顔を見てからじゃないと仕事したくなくて」

(そんなの鏡で自分の顔でも見ておけ)

とアーヴァインは思ったが、口には出さない。そんな事を言えば、ぐちぐちと愚痴を吐かれるに決まっているからだ。ただでさえ遅れてやってきて、愚痴を吐かれると更に遅くなってしまう。
どう見てもやる気が無い可憐な美少女……ではなく、肩に掛かる銀の長髪が滑らかで、肌が白く張りがあり尚且つ血色も良く、青い瞳は大きく吸い込まれそうと評判なこの正真正銘生まれた時から男性のメイガスは、生徒会役員に決まってものらりくらりとしてかなりのマイペースなのだ。
……まあ、役員どころか実は生徒会長であるのだが。入学からずっと学年でトップの成績を誇り、伯爵家の子息が生徒会長を務めるのは長い学園の歴史上数人しかいないにも関わらず、彼にはそんな栄誉など全く価値が無いに違いない。だから平気で遅れて来るし、口を開けば婚約者のキャスティーネ・ジェストの惚気ばかり口にする。けれども可愛らしい外見で許され、受け入れられている何とも得な人物だ。本人は納得しないだろうが。

「あれ、『哀しみの先にあなたが』じゃないですか? こんな流行りの恋愛小説、誰が持って来たんですか? 』

「知っているのか? 」

「まあ。キャシーが読んでましたし。女性に人気だと聞きます」

「持って来たのはダルトンだが」

「ぶっ」

「……文句あるのか小僧」

扉の側で押し黙っていたダルトンが吹き出したメイガスに睨みを利かす。

「いえいえ、きっと奥方から持たされたのでしょう? ダルトンさんも大変だと思って」

アーヴァインとメイガスの付き合いはお互いの婚約者が決まってから始まり、それはつまり軽く10年は経っているので、同じくダルトンとの付き合いもそのぐらいだ。しかも人懐っこいメイガスである。昔から強面のダルトンにも臆する事なく気安い。

「で、恋愛小説を読んで女性の心を勉強しろという事ですよね? 殿下、読みました? 」

妻帯者のダルトンにも婚約者がいるアーヴァインにもこの発言は大概失礼な話である。しかし、ダルトンは剣一筋で女心に沿うなど夢のまた夢であると近しい者なら誰もが知っているし、最近あの男爵令嬢のせいで婚約者とろくに会っていないアーヴァインもまた然り、なのだ。

「余計なお世話だが少しな……ちょっと待て。まさかお前じゃないよな? 」

「へ? 」

メイガスはきょとんと小首を傾げる。大の男が小首を傾げても……似合うので仕方ない。この行動でアーヴァインは覚った。こいつは確かに男で、更に女の気持ちが分かりそうではあるのだが……白だろうと。

「この小説の中身、知っているのか? 」

「自分では読んでないですが、キャシーが楽しそうに説明してくれたので、大まかですけど……。あの時の彼女は凄く嬉しそうで」

「いい、お前達の仲の良さなど飽きる程聞いたからいらん。メイガス、今日は事務方は良いから、これを読め」

「えっ……何で」

「読め」

メイガスは困惑気味に本を受け取る。彼もアーヴァイン程では無いものの、速読は出来る方だ。恐らくアーヴァインの作業が終わる頃には読み終えるだろう。
生徒役員室には、部屋の真ん中に皆が座れるような大テーブルがある他に、右端にソファーセットが置かれている。メイガスはパラパラと本を流し読みしながらそのソファーへと近付き、仰向けに横になった。仕事をしている他のメンバーに対して、随分と太え野郎である。だが、仕方ないなぁ……という雰囲気が漂うだけで、殺伐としないのはメイガスの人柄と役員達の心根が優しいからに他ならない。

アーヴァインはメイガスが本を読んでいるのを見ながら他の役員の様子を伺ったが、やはり関わっている者はいないと判断して、書類整理を続けた。




「ちょっ、ちょっと殿下。これは不味いですよ」

メイガスが読み終える頃にはすっかりと陽が沈み、メイガスが声を上げたのは残っていた役員が丁度帰って行った時だった。アーヴァインも会長として充てがわれた専用の机の片付けが終わり、そろそろ帰ろうとしていた。

「何ですかこの『貴方の肩に掛かる重荷を一緒に背負ってあげたい』とか、『もう無理に笑わなくて良いんです』とか! これもうあの女じゃないですか! どーゆー事ですかっこれぇ? 」

怒りと焦りが入り混じった様な困惑顔でアーヴァインに詰め寄るメイガス。余りの圧に流石のアーヴァインも一歩後退りをした。メイガスが何かする訳ではないので、ダルトンは傍観している。

「お前じゃないよな? 」

アーヴァインは分かってはいたが揶揄い気味でそう尋ねると、メイガスはかっ! と大きな瞳を更に大きく開いた。

「は? 僕がこれを?! 書くならキャシーとの甘やかな日々を書き連ねますよ! ……え、ちょっと待って下さい。良いな、それ。やってみるか」

「「それは辞めておいた方が良い」」

絶対キャスティーネが笑いながら怒る案件である。付き合いの長いアーヴァインとダルトンはメイガスがキャスティーネに怒られた挙句無視されて、そうして2人に泣きながら愚痴を吐くまでの未来が予見されて、思わず本気で止めた。

メイガスは本当に本気でキャスティーネが大大大好きなのである。確かに、子供の頃の彼女は金髪碧眼に桃色の頬にさくらんぼ色の唇……と、天使と見まごう容貌で、幼いメイガスも負けず劣らず天使の姿だったのだが……それは置いておいて。とにかく一目惚れからの猛烈アピールが始まったのだ。婚約は既に決まっているにも関わらずに……何故なら、婚約して初顔合わせで2人は出会ったからだった。そうして、一目惚れをしたメイガスはキャスティーネにアピール&アタック(エンドレス)を繰り返し、やり過ぎては口を聞いて貰えなくなる……を、何年も何年も懲りずに繰り返している。そして、愚痴(という惚気)を周囲に吐いて回るのだ。

「まあ、僕の自叙伝は置いておいて」

(こいつ、絶対書く気でいやがる)

長年の感によりアーヴァインは目が据わったが、メイガスは気にも止めない。

「これ、ベアトリーチェさんは知っているんですか? 知ってますよね? 寧ろキャシーが教えない筈がない」

「っ…………しまった失念していた。頼む、誰か嘘だと言ってくれ」

「いやこれ嘘ついてどうするんですか……前半の事実に沿う様な内容は後で調べるとして。後半のこれ何ですか? 男爵令嬢と結ばれてハッピーエンド? しかも婚約者である公爵令嬢は修道院送りって……」

「は? リーチェを修道院送りにする訳ないだろう」

「知ってます。てか架空の話ですよ? ベアトリーチェさんが絡むと途端に頭の働きが鈍くなるの辞めてもらって良いですかね」

「流石にお前に言われたくない」

「いや、僕は常日頃からキャシーしか考えてないんで、キャシーの事で頭の回転が鈍くなる事はありません」

「くそ、何だこいつ会話したくない」

肯定するとその通りとなってしまうし、反論するとベアトリーチェの事は何とも思っていないとなるし、単に頭の回転が遅いと自分で言っている事になる。しかも極めつけに惚気られた。アーヴァインは退路を絶たれた状態だ。いや、ここは国の重鎮相手の会議でも無ければ悪鬼蔓延る夜会でも無いので、そこまで気にする事ではないのだが。本の後半を読んでいなかったので、メイガスの発言に何でそうなるのかと呆気に取られてしまった自分の隙が憎い。

「認めますか? 殿下はベアトリーチェさんに夢中で、考え始めると他に意識が回らないと」

「あぁ……って何を認めさせられているんだ僕は? 」

「いつもキャシーの惚気に苦情を言われる仕返しです! 」

「分かったから……だが惚気は辞めろ」

「嫌です無理です! 」

「お前……」

無駄に口が立つ男に、アーヴァインはどっと疲れが押し寄せた。次期生徒会長には頼もしいがかなり面倒臭い。

「取り敢えず、帰ったら僕もそれをじっくり読んで、それからストーカーを調べる。まあ、登場人物の外見も名前もかすりもしないから暴露本とはならないだろうが、厳重注意はしないといけないからな」

「了解です! 僕もキャシーに聞いてみます」

「ああ、明日は他の役員にも聞いて回るか」

そうして、この日は解散となったが、帰ってからアーヴァインは頭を抱える事態になる。




✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎




『貴方はきっと立場に縛られているだけです! もっと身近に貴方を思いやる大切な人がいます。気付いて下さい! 』

『貴方の優しい心は伝わっています。ですから、そんなに自分を蔑ろにしないであげて下さい! 』

アーヴァインは自分の寝室で、本を最初からじっくりと読んでいた。そうして、進めば進む程うんざりしていくのに時間は掛からなかった。読めば読む程黒歴史を晒されているかの様で破りたくなる。が、これはダルトンの奥方からの借り物である。破いてしまったら新しいものを買って返せば良いだろうが、人気だというこの本がすぐ手に入るか分からない。故に衝動を抑えて読み進めた。主人公の台詞に実際に返した言葉で突っ込みを入れながら。

『立場を無視して自由に振る舞う恥を晒せと言うのかな? 大切だと思う者は自分で決めるので助言のみ貰っておこう』

『優しいと言ってくれるのは有り難いが、貴女に上から言われる筋合いはないんだが』

と、アーヴァインは猫を被りながら塩対応していた筈だった。しかし男爵令嬢のへこたれない事、打たれ強い事と言ったら……。思い出してもうざったい記憶にもやもやしながら読むのを辞めないアーヴァイン。物語は中盤から徐々に後半のクライマックスへと進んでいく。

(何だこいつは)

感想はこの一言に尽きた。主人公も大概だが、相手役の王子ヨアキムの言動に驚いた。話は婚約者セリスが主人公を誹謗中傷した挙句、階段から突き落として害そうとしたとして、ヨアキムがその証拠を公の場で突き付け、断罪する場面。ヨアキムはしっかりと主人公をその手で抱き、対して婚約者には射殺さんばかりに睨み付け、非難を浴びせる……と表現されている。

(正気とは思えない……)

そもそも、ヨアキムが主人公を必要以上に構って心を砕くから、セリスの行いが酷くなったのだ。長年の婚約者なのに配慮もせず放置して、挙句にあげつらって断罪する。極端が過ぎていっそ冗談かと思える。
確かに前提としてヨアキムとセリスは仲が良くない。けれど、これはヨアキムのせいである。セリスはヨアキムが好きなのだ。例えその愛情表現が稚拙で我儘に見えるのだとしても。嫉妬から主人公を虐め抜いたのも、全ては振り向いてくれないヨアキムのせいだ。好きになる、ならないは仕方ない。けれど、やれる手立ては沢山あるではないか。それが、セリスの望む事にならないとしても、最大限心を配る事は出来た。

アーヴァインは内心はらわたが煮え繰り返る思いをしながら最後まで読む。
罪を認め、諦めたセリスはぽつりと言った。

『……初めてお会いした日。あの日貴方がわたくしの髪に黄色い薔薇の花を挿して微笑んでくれた時から……きっとわたくしは貴方が好きでした』

その言葉はヨアキムには聞こえない。声が弱々しく、そして何よりセリスに目もくれず主人公を抱きしめているから。
そうして、彼女は引っ立てられ修道院へと連れられた。その後、主人公とヨアキムは結婚式を挙げて物語はハッピーエンドを迎えた。

「…………」

アーヴァインは頭を抱えた。世間的にはハッピーエンドなのだろうが後味が悪いのは元より、

「リーチェェェ……」

自分のストーカーの正体が唐突に分かったからであった。


長年の婚約者であるベアトリーチェ・ストロフは、王子妃に相応しい女性である。公爵令嬢として身に付けた教養と、長年培った気品。優しげなブルネットの髪に新緑を思わせる淡い緑色の瞳。細いが女性らしい丸みを帯びた華奢な体。王太子として、そして何よりも誰もが憧れる女性が恥ずかしい思いをしないよう、アーヴァインは勉強も仕事も頑張って来た。何でも卒なくこなせると見せたくて(つまり格好付けていた)猫を被って来たせいで、彼女との関係は随分とビジネスライクなものになってしまった。
けれど、婚約者として些細なやり取りにも彼女の気遣いがあるのを知っている。決してヨアキムとセリスの様な仲では無いとアーヴァインははっきりと言える。


ならば、何故こんな物語をベアトリーチェは書いたのか。


確かにここ最近話す時間も取れなかった。何処へ行っても男爵令嬢が顔を出すからだ。自分がうざいと感じる人間をベアトリーチェに会わすつもりは微塵も無かったアーヴァインである。故にそれはもう避けまくった。全ては男爵令嬢を排除……上手く自分に構うのを諦めて貰う為に。そうしている内に、今度はベアトリーチェもアーヴァインを避け出した。これは全くの誤算であった。
学園内で気配を察知してダルトンがあそこに彼女が居ると教えてくれて顔を向ければ、にっこり笑って何処かへ行ってしまう。違う日は会釈して何処かへ……別の日は……以下同文。それが続いていよいよやばいとは思っていたのだが、まさかこんな形で抗議されるとは思いもしなかった。
すぐ逃げられるが、やたら近くに現れるとは思っていたのだ。あれはネタを拾っていたに違いない。男爵令嬢の声は大きくて良く通る。彼女はその台詞を盗み聞きしていたのだ。……公爵令嬢としてははしたないにしても。

全くの創作ならば気にはしないが、半分事実が混じっているならこれは彼女の抗議文だとアーヴァインは捉えた。これを呑気にただの趣味で書いたなどと放置すると不味い事になるに違いない。後半はもう有り得ない事だらけなので、一点を除き無視する。
……となれば、主人公とヨアキムの出会いから関係を考える。
話は男爵が平民との間に出来た庶子を引き取り学園に通わせるのから始まる。貧しい生活の中頼りの母も亡くした少女は、孤児院で賢明に生きていた所に、男爵が迎えに来るのだ。そうして右も左も分からない彼女は軽いマナーレッスンを施され学園に転入する。
そうしてぶん投げられて困ったのは学園だ。物語はそうとは書いてなかったが、マナーに不安がありまくる彼女に、王子でも会わせれば萎縮するか、言動に感化されるかで必死に勉強するだろうと考えたに違いない。そう思うのは何故か? 自分がぶん投げられた被害者だからである。……話を戻して、そうして2人は教師から紹介される。ヨアキムは面倒だと態度に出しながらも主人公の面倒を見ていく。

そう、ここでもう有り得ないのだ。

仮に教師から頼まれたとしても、ならばいっそ女性である婚約者に一緒に頼めば良いのではないか。婚約者でなくとも、配慮出来る部下に任せれば良い。ヨアキムはそれが出来たのにやらなかった。

そして、自分は出来ない状態だった。紹介されて瞬く間に男爵令嬢は好き好きアピールを始めたからだ。これはアーヴァインが何も自惚れているのではなく、長年メイガスの行動を見ていた彼だから瞬時に分かったのだ。メイガスは心から本気の行動で、男爵令嬢は打算やら何やらあって抱える思いは違うかも知れないが。
とにかくアピールを始めた男爵令嬢をベアトリーチェには見せられないし、見せたくない状態だったのだ。
そうして自分で処理をしようとアーヴァインはベアトリーチェを遠ざけた。

だがこれがアーヴァインの失敗だった。

(初手から失敗していたとは……) 

もう後悔しかない。アーヴァインは格好付けずにベアトリーチェに相談するべきだった。解決するのは自分でも、どんなに困っているのか、それでもベアトリーチェに迷惑を掛けたくないのだと正直に言えばそれだけで良かったのだ。

これは予想ではなく事実ベアトリーチェはアーヴァインの婚約者への対応に抗議している。そう考えがまとまり、アーヴァインは確信した。
ならば最後のセリスの台詞は、アーヴァインに気付かせるつもりが、本心が露見してしまった結果なのではないのかと。

その確信が理解の後遅めの実感となった。途端にアーヴァインはいい年をしてベッドを転がった。顔が燃える様に熱い。心臓が煩い。

初顔合わせで黄色い薔薇をベアトリーチェの髪に挿したのは自分だ。彼女の髪に、咲き誇るあの薔薇がきっと似合うと思ったからだ。

実際は茎が思ったより強くて子供の力では摘むのに時間もかかったし、当然トゲが刺さってベアトリーチェに心配をかけた。庭師にトゲを取って貰い、包帯を巻いた手で、彼女の髪に挿したのだ。

あの時の甘酸っぱい記憶と、彼女の笑顔が蘇り、アーヴァインは悶絶する。暫く……随分長い時間悶えて呼吸を落ち着かせた後、アーヴァインは体を起き上がらせた。その表情は何処か晴れ晴れとしたものだった。





✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎





アーヴァインが次の日ストーカーの正体をダルトンとメイガスに告げると、2人は酷く驚いた。まさか婚約者がストーカーだとは思わないし、ベアトリーチェがそんな事をしでかすとは思えない。何より小説の中で王太子が公爵令嬢を断罪する場面があるからだ。
だが、続くアーヴァインの申し出を聞き更に驚く。

「ベアトリーチェさんを尾行する? 本気ですか? 」

「尾行と言うか、まあ見かけたら近くに行く感じだ」

「話しかけないのに? 」

「話しかけないのに」

「……それは何で」

「趣味嗜好を知る為? 」

「いや話しかけましょうよそこは」

それは真っ向から問答する期間を過ぎたとアーヴァインは感じ取り、本音をこっそりと聞ければとの思いであったのだが、何故婚約者の趣味嗜好を知る為にこそこそしなければならないのか、とっとと聞けばそれで済む話ではないかと、メイガスには理解不能だった。メイガスは好きな相手にはとにかく正面から行きたい、そんな男なのである。
いぶかしげに見てくるメイガスに、アーヴァインは仕方ないなという風に、1、2回で済ませると宣言したのだった。


それからは行動が早かった。生徒会役員に、ベアトリーチェを見かけたら教えるように指示し、こっそりと様子を見に行く。けれど、1人でいる時は勿論会話が無いし、ベアトリーチェの2人の親友の内の1人、ジョリーン・ヴェスタと2人でもキャスティーネ・ジェストがいないとメイガスが乗らないので、3人になる所を狙った。何だか若い女性を尾け狙う悪者の様だと、無口なダルトンは思っていたが、口には出さなかった。因みにジョリーンはダルトンの末妹である。男5人の中で生まれた待望の姫。ヴェスタ家ではジョリーンを溺愛しているのだが、それは顔に出さないダルトンである。

そうして、絶好の盗み聞きが出来るタイミングがやって来た。学園のカフェテラスで3人が小説の駄目出しをし始めたのだ。テラスから見えない位置に陣取り、会話に耳を傾けていた直後アーヴァインは打ちのめされる。

「そうして、それでも節度ある距離を保っていないのなら、再度忠告。それでもなんだかんだで立場が分からない様なら親に連絡。婚約解消よ」

思わず手に持っていたカップを落としてしまった。ダルトンは慌ててテラス席を確認したが、此方へ来る事は無さそうだ。

「……ちょっと殿下、大丈夫? 」

「あ、あぁ……」

(危ない所だった……)

勿論今の事ではなく、男爵令嬢の事だ。煩わされた男爵令嬢の対処は婚約者を充てがった事で解決した。王太子が勧めた縁談では男爵家が無駄に喜びそうなので、ダルトンの縁者で尚且つ遠い血筋を選び、更にその家からまた縁者を探し出して見目の良い、ついでに学園に通う者を捜し当てるのに時間が掛かった。
そうして、男爵家には王太子に接近禁止を命じ、とっとと婚約者を充てがったのである。その相手には申し訳ない事をしたが、男爵令嬢は婚約者を気に入り、積極的に会いに行っているらしいので、うざいかも知れないが絆される可能性はあるだろう。どうしたって最初はうざいかも知れないが。

そんな事を思っていると、

「愛に飢えているから、どうやったら愛されるか態度を研究しても良さそうだけれど。それとも、機能不全の家庭だと、そうする気力が無くなるかしら? そうしたら、虐める気力も無くなりそうだけれど。……そもそも、婚約者と仲が良いからって近付く異性を虐める気にもならないのよね。好きにしてって感じ」

などと聞こえて、思わず倒れるところだった。放置宣言は流石に痛い。嫉妬なら大歓迎だが、無関心は無い。無いったら無い。

「ちょっと殿下、バレる! 」

小声でメイガスが苦言を呈すが、それどころでは無い。これは生半可なフォローでは済まない気がする。アーヴァインは話終えた3人の後ろ姿を見送ると、生徒役員室へと戻った。

「本当にベアトリーチェさんが書いたんですか? あの小説ぼろくそに駄目出ししてましたけど」

メイガスの言葉にもアーヴァインは揺るがない。あの言葉はアーヴァインが聞いていると知っていて放った言葉なのだ。伊達に何日も役員に命じて見守って来た訳ではない。ベアトリーチェはアーヴァインが何やら周囲を嗅ぎ回っている事に気付いて、3人の時間を取ってみせたのだ。そして彼女の機嫌はすこぶる悪い。淑女の見本の様な彼女の携える微笑程、当てにならないものは無い。

「メイガスの言いたい事も分かるが、後一回だけ付き合ってくれ。という訳で、お前はそれまで書類作成だ。これと、後これは今期で使う分だから急いでくれ」

渋るメイガスをこき使い、アーヴァインはまたベアトリーチェが作ってくれるだろう機会を伺うのだった。




──そうして得た機会も最悪だった。

ジョリーン・ヴェスタに自分が他に心を傾けるんじゃないかと言われ、そんな事になれば南の国の王弟、イスハークと婚約しようかなんてベアトリーチェの口から例え軽口とはいえ、飛び出したのだ。勿論言い寄られて心が傾くわけは無いし、ベアトリーチェがイスハークに嫁ぐなんて問題外だ。

「まぁ、生まれてから婚約者しか相手がいなかった訳だものねぇ。……万が一を考えて、婚約者候補を改めて考えておこうかしら? ほら、わたくしはセリスの立場なんだし」

なんて言われたら、流石にアーヴァインも頭に来る。この会っていない間にどれだけベアトリーチェに心を割いて、ベアトリーチェとの時間の為に前倒しで仕事を片付けたのか。まあ、とっとと会いに行ってとっとと謝れば良い話だったのだが、拗らせているアーヴァインが気付く筈もない。

「メイガス、ダルトン。苦労を掛けたね、もうストーカーごっこは辞めるから」

そう言ったアーヴァインの笑顔の仄暗さと言ったら。後にメイガスは語った。開けているのにあれだけ光の入らない瞳がこの世にあるなんて初めて知った、と。

その後のアーヴァインの行動は、学園に通う者に説明させたならば、きっと全員が全員こう言うだろう。

『あの2人に近寄ってはならない。近付いたら甘すぎて胸焼けを起こし、砂糖を吐いてしまいに意識を。果ては魂まで持って行かれる』、と。

美男美女の甘ったるいやりとりは、それだけで周囲に注意喚起を促さねばならない程だった。それでも、そんなやり取りを見守る周囲と、当の本人達にとって、卒業までの日々は優しく穏やかだった。





──その後、新たに発売されたベアトリーチェの新作を読んで、アーヴァインが内心ぶち切れるのだが、それは割愛しておく。





✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎





随分前に雪解けを終え、春の優しい日差しが差し込む頃。ある晴れた日、王太子妃専用の庭先で、少し歳を重ねたアーヴァインと、アーヴァインに面差しが良く似た子供が対峙していた。それもその筈で、その子供はアーヴァインとベアトリーチェの息子、ベルウェル御歳5歳だ。ベアトリーチェに似た柔らかなブルネットの髪に、白い肌。瞳はアーヴァイン譲りの金の瞳が、がっしりと肩を掴んで来る父親へ向けられる。

「良いか、ベル。これからお友達と会うから、挨拶をしっかりとするんだよ」

そう言い聞かすアーヴァインは、まるでこれから死地に向かうかの様な真剣さである。そんな父に困惑気味のベルウェルであったが、アーヴァインが「分かったかな? 」と念を押すと、元気良く返事をした。

「なかよくなれるかなぁ? 」

無邪気に問うてくる息子に、アーヴァインは優しく微笑んだ。

「仲良くなって、沢山遊んで沢山喧嘩しなさい」

「けんか? 怖いよ~」

同じ年の子と触れ合う機会が無かったベルウェルは、喧嘩は騎士団の訓練ぐらいに捉えているかも知れない。まごつくベルウェルの頭を何度も撫でてやる。

「じゃあ、いっぱい喋ってお互いに楽しく過ごしなさい。一人じゃなくて、お互いに」

「おたがい? 」

「そう、ベルとお友達が一緒に楽しくなる事を沢山見つけられると良いね」

「ふーん? うん、わかった! 」

そう言い聞かせて、アーヴァインはベルの手を引き庭の四阿へと連れて行った。そこには侍女が茶会の用意をしていたが、客人がいない。どうやら庭を見て回っているらしい。

「ベル、父さんは母さんを迎えに行って来るから、ここでお客様を待っていられるかい? 」

「うん! でもかあさんはうごいてだいじょーぶ? 」

「その為に父さんが迎えに行くんだ。良いね、お友達とお客様に会ったら元気良く挨拶だ。出来るかな? 」

「はい! できます! 」

その返事を聞いて、アーヴァインはベアトリーチェを迎えに行く。今、彼女は2人目の子を宿し、臨月を迎えている。本来なら今日の茶会はもう少し前にやりたかったのだが、冬が来る前には予定が合わず、子供が生まれた後だとより大変だからという理由で、日取りが今日に決まったのだった。

ベルウェルは四阿の椅子へ待機していた従者に座らせて貰い、目の前に果実水が用意されるのをそのキラキラとした瞳で期待を込めて待っていた。そんな時、ガサガサとちょっと離れた庭の生垣から音がして、ベルウェルはお客様が来たかと思い、ぴょんと椅子を跳ね降りて、音の方へと向かった。

そうして辿り着いてみれば、ガサガサと音がするのに、一向に人が出る気配がないので、ベルウェルはもしや以前見た猫が居るのではないかと、生垣へ手を突っ込んだ。
途端に、短い悲鳴があがり、慌てて生垣から後退る。それと同時にひょっこりと生垣から顔が覗いて、驚くベルウェルと目が合った。

その瞳は綺麗な青空の色で、葉の隙間から覗く髪の毛は初雪が光に照らされた様な銀色。ちょっと葉っぱが付いている頬はどうやら驚いて赤みが増しているらしい。

お互いしっかりと目が会い数十秒。

「と……」

「と? 」

ベルウェルの言葉をおうむ返しするその子が、首を傾げる。

「とうさーん! に、にわにてんしさまがいるー!! 」

「?! どこ?! てんしさまどこ?? 」

そう言って生垣からごそごそとドレスを着た女の子が生えてきたのを見て、ベルウェルはどうすれば良いのかわからない。父親を連れてくれば良いのか、いや母親を急がせる訳にはいかない。でも天使様を放置も出来ない。パニックになっていると、女の子が大きな目に涙を溜め始めた。

「ど、どうしたの? 」

「リボンが……ないの」

見れば、頭を触ってリボンが無い事に気付いたのだろう。女の子の瞳にはみるみる涙が溜まり、ぽつりと滴が落ちた。ベルウェルは慌ててハンカチを取り出すと、女の子の目の前に突き出した。

「これつかって! リボンがないの? 」

「ゔん……」

「じゃあさがしにいこう? 」

「うん……」

ベルウェルはぐしゃぐしゃと涙を拭く女の子のハンカチを奪って、丁寧に拭いてやる。そうして、落ち着いた頃に手を繋いで庭の奥へリボンを探しに行ったのだった。



……まさか、両方の親達に見られているとも知らずに。



一連の流れを見守っていた親達……アーヴァインとベアトリーチェ、そしてメイガスとキャスティーネは追い掛けたいのを我慢して、後は護衛に任せて四阿の席へと着いた。

「お二人共、うちの娘が申し訳ない」

「いや、メイガスの子らしくて……何でもない。緊張しなくて返って良かったかも知れないね」

メイガスの謝罪に、アーヴァインはつい口が軽くなってしまい慌てて軌道修正したのだが、全く修正されてなかった。しかし、長い付き合いの4人はメイガスは勿論、他2人もアーヴァインの猫被りは薄々分かっているので、笑いを堪えるだけだ。
今日はベルウェルと、メイガスとキャスティーネの娘のアイリスとの初顔合わせだったのだ。少し早く着いた3人は、案内された庭を見て回っていた所、アイリスが猫を見つけて1人で追い掛けて行ってしまったのだ。

「まるで物語の様な出会いでしたわね」

思い出して微笑むベアトリーチェに、キャスティーネは困った様に頷く。

「そうですわね。もう少しアイリスがお淑やかだと良かったんですけれど……」

「子供はあのぐらい元気な方が良い」

「ですよね! しかもアイリスを天使だなんて、流石将来の息子は分かってるなって。だってキャシーの娘ですから」

「分かったから」

メイガスの溺愛に容量も期限も無いことをアーヴァインは再度認識しながら、メイガスに子供の教育は任せられないと、キャスティーネと無言で頷き合う。それに気付いたメイガスがぷりぷりとして文句を垂れるのだが、歳を取らない秘術でもあるのか、その容姿は美少女のそれだし、迫力は皆無だった。

「うふふ、わたくし達の出会いだって、物語の様でしたわよね? アイン様? 」

「……そうかな? 私が格好悪い真似をしただけだと思うんだけど」

「いいえ? わたくしはきっとあの時に恋をしたのですわ」

そう言ってお腹を撫でるベアトリーチェにアーヴァインはにやける顔を何とか引き締めて、彼女の撫でていないもう片方の手をそっと握った。驚いたのはメイガスとキャスティーネだ。

「まあ。リーチェが惚気るなんて珍しいですわ。どんな出会い方でしたの? 」

「最初は普通に挨拶しただけだよ。ねえ、リーチェ」

「ええ、そうですわね」

「でも、その後は……」

「その後は? 」

キャスティーネが興味深げに覗き込んで来るが、アーヴァインは意味ありげに笑う。

「それは公然の秘密なんだ。すまないね」

それを聞いてベアトリーチェがくすくす笑いだすのだが、キャスティーネもメイガスも不思議がるだけだった。



この庭に、あの黄色の薔薇が咲き誇る季節がやって来るのは、後もう少し。




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みんなの感想(1件)

高校生の母
2025.11.02 高校生の母

面白かったです。٩(♡ε♡ )۶
ジョリーンはまだ結婚して
いないのかな?

解除

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