セカンドライフ!

みなみ ゆうき

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本編

85.翻弄されました!

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何度も唇を重ね手早くシャワーを浴びた後、すっかり臨戦態勢となった下半身を何とか宥めつつキングサイズのベッドが置かれた寝室へと移動した。

あの日と同じくどこか余裕の表情をした東條が憎たらしくて、キスしながら下半身に手を伸ばすと、そこは少しだけ変化の兆しを見せていた。


「……俺もしたいんだけど」


手のひらで包み込むようにして軽く扱きながら上目遣いで自分の希望を口にすると、東條が満足そうに口の端を上げる。
妙に色っぽい笑みに、俺は思わず見惚れてしまった。

東條は俺を抱き上げベッドに横たえると、すぐに覆い被さり深いキスを仕掛けてくる。


「その前に俺にたっぷり光希を味あわせろよ」


キスの合間に囁かれた一言に。
悔しいけれど一番最初の時から東條のキスに滅法弱い俺は、すぐにされるがままの状態に陥った。


舌先で唇を舐められ半開きになったところで再び東條の舌がスルリと進入してくる。
口腔内を舐められ、舌を絡め取られて吸われれば俺はもう腰砕け状態で。
そんなキスをされながら更に乳首を弄られれば、気持ち良すぎてうっかりイキそうになってしまった。


「たったこれだけで随分いい反応してくれるよな。最初の時より明らかに感度も上がってる気がするし」

「あ…ぅッ…」


他の人間に触らせた事を咎めるかのように少し強めに乳首を摘ままれ指の腹で捏ねられれば、俺の身体は大きく跳ねる。

そんな俺を見た東條は満足そうに目を眇めると、もうひとつの乳首を舌先でチロチロと舐め始めた。

柔らかい舌で先端を舐められ、乳輪ごと吸われて口に含まれたら、指での刺激と相俟って全身が痺れたかのように身体が言うことを聞かなくなる。


「ん…ッ…、ぁあ…ッ、ふッ…、んッ…、はぁ…ッ……」


でも他の感覚はやたらと鋭くなっているようで、最早何をされても快感に直結しているらしい俺のモノはまだ触れられてもいないのに痛いくらいに自己主張を始める始末で。
口からひっきりなしに漏れる微かな喘ぎすらも自分のものじゃないような不思議な錯覚に陥り、俺はまるでいやらしい夢でも見ているかのような状態になっていた。

ところが。


「乳首だけでイキそうか? ココ、まだ大して何にもしてないのにダラダラだぞ?」

「あぁ…ッ……!」


不意討ちとも云えるタイミングでいきなり先走りの滴で濡れた屹立を撫でられ、不覚にも俺はたったそれだけの刺激でいとも呆気なく達してしまった。

東條の手の中に出された自分の欲望の証を見て暫し呆然とする。


──ホントにあり得ない……。何この身体の反応と早さ。

東條相手だとこんなに堪え性がなくなるなんて、どんだけコイツとのセックスが良かったって脳が記憶してんだか……。


東條はぼんやりとしたまま寝転がっている俺に軽く口付けすると下半身のほうへと移動し、さっきまで俺の精液にまみれていた筈の手のひらにいつの間にか準備していたらしいローションを出すと、人肌に温まった粘液で後ろの穴に触れてきた。

そして周辺をゆっくり撫で、指先で窄まりを擽りながら、焦らすような動きで少しずつ中に指を侵入させてくる。


「ん…ッ…」


俺はというと、たった今出したばかりなのにまた緩く勃ち上がり始めた自分のモノに焦りながら、今度こそはと口を開いた。


「ちょっと待てって。だから俺もしたいんだってば」


一方的にされるのも悪くはないが、俺的には翻弄されっぱなしっていうのにちょっと抵抗がある。
っていうか、確実にまた呆気なくイカされるチョロい俺に危機感しか感じない。

東條はそんな俺の切実な気持ちを感じ取ってくれたのか、余裕の表情のまま上体を上げた。


「じゃあ俺ももっと光希を可愛がりたいから一緒にしようぜ」

「え……!?」


一緒にということは俺は東條から恥ずかしい部分が丸見えの状態で奉仕することになるわけで……。

すでに全部見られてるから今更っていえば今更なんだけど、自分から相手の顔を跨ぐのって結構抵抗あるんだよな……。


俺が少しだけ躊躇っていると東條はさっさと自分がベッドに横たわり、俺がそれを跨ぐように四つん這いになる体勢に持っていってしまったのだ。

しかしすぐに自分の状態がどうかより、目の前に現れた東條の立派な屹立に内側から沸き上がってくる期待が抑えきれなくなった俺は、早速舌を使って先端をペロリと舐め上げるとやや性急に口腔内に招き入れた。

質量を増した東條のモノは、懸命に口を開けて奥まで咥えようと試みてもなかなか簡単にはさせてもらえないような立派なサイズで、正直この状態で思ったとおりにフェラするのが難しい。
今まで触ったことのある颯真や会長様のと比べても、規格外とも云える大きさだった。
……まあ、二人も充分デカかったんだけどさ。


俺は片手で自分の体重を支えながら、もう片方の手を屹立に添え、口だけじゃカバーしきれないところに愛撫を加えて必死に東條のモノを育てていく。

東條はそんな俺に応えてくれるつもりなのか、すかさず俺の後孔に指を這わせると焦れったく感じるほど慎重な動きでそれを内部に進入させていった。


「は…ぁ…ッ…」


襞を捲られ、指を抜き差しされ、粘膜を擽られるともう堪らなくなり勝手に腰が揺れ始める。

一方的に翻弄されないようにと自分から奉仕を申し出たにも関わらず、これから与えられるであろう大きな快感への期待に情けなくもフェラするどころじゃなくなってしまった俺は、東條の屹立に縋りつくように手を添えながら、ただ申し訳程度に先端部を舌で舐めることしか出来なかった。


ちょっと前の俺なら考えられなかったことだが、すっかり性感帯となり果てている俺の後ろの穴は、今与えられている愛撫だけじゃ物足りないとばかりにもっと強い刺激を求めて疼き出している。

更にそれだけでは厭きたらず、さっき一回果ててから全く触れられてもいなかった俺のモノまでもが勝手に反応してかなりヤバいことになってきた。


「ん…ッ……」


快感に身体を震わせながら小さく喘ぐと、東條は指を増やしローションでぐちゃぐちゃになった内部を大きくかき混ぜた。


「あぁ…ッ……!」


途端に鋭い快感が俺の身体を駆け抜ける。


「ここだろ?光希のいいところ」

「は…ぁ…、ん…ッ…、ぁ…んッ…」


指先がその部分を掠める度、自分でもビックリするほどひっきりなしに声が漏れた。


「中、スッゲェ柔らかくなってるし、入り口はヒクヒクしながら俺の指を咥え込んでる。
──なぁ、光希。ここからどうして欲しい?」


意地悪にも抽挿を止めることなく聞いてくる東條に、俺は一気に強まっていく射精感を必死に堪えながら上体を捻ると、背後の男を思い切り睨み付けてやった。


「そんな潤んだ目で睨んだって逆効果なことくらいわかるだろ? どう見てももっとして欲しいって誘ってるようにしか見えねぇよ」

「……それがわかってるんだったら早く俺の望みどおりにしろよ」

「口に出さなきゃ俺が考えてる事と光希が望んでることが一致してるかどうかわかんないだろ?」


ここまできてわざと意地の悪い事を言い出す東條に焦れた俺は、目の前にある東條の屹立を握ると、根元から先端にかけての裏筋を意味深に舐め上げた。


「他の人間が入る余地もないくらいアンタの存在で埋めてくれるんだろ? だったら早くコレで俺の中をいっぱいにしろよ。
──アンタが俺をこんな風にしたんだから、ちゃんと責任取るのが筋だろ?」


狂おしいくらいの快感ですっかり頭のネジがぶっ飛んでいた俺は、ただただ早く東條のモノで奥まで満たして欲しい一心で、言葉の意味を深く考えることなくそう言い放った。


東條はというと。

そんな俺の希望を受けてすぐに俺の中から指を引き抜くと、自分の身体を起こし、やや性急ともいえる動きでバックの体勢へと持っていった。

俺のおざなりな愛撫でもちゃんと勃ち上がっている東條の性器の先端が、今は男を迎え入れる入り口と化している部分に当てられる。

俺は早く挿れて欲しい気持ちを必死に抑えながら、出来るだけ身体の力を抜いた。


「ふ…、ぁ…ッ……!」


初めてではないとはいえ、やっぱり圧迫感は凄まじく、勝手に身体が強張っていくのをやめられない。


すると東條は俺の項に何度も口付けると、少し力を失いそうになっていた前側を扱き、何度か浅い抜き差しを繰り返しながら、俺の中が東條の大きさに馴染むまで待っていてくれた。

強引そうに見えて実は自分の欲望など二の次で俺の事を最優先してくれているであろう東條に不覚にもキュンとする。

それと同時に内側から一気に快感の波が溢れ出てきた俺は、無性に東條とキスをしたくて堪らなくなった。


「東條センセ……。こっちじゃなくて前からしたい……」


顔だけ後ろに向けてそう訴えると、東條が少しだけ困ったような表情になる。


「こっちのほうが絶対身体が楽だぞ?」

「……いいから前からして」

「俺はお前に気持ちいいことしかしたくないんだよ」


その言葉に東條が俺を本当に大事にしようとしてくれているのがわかり、自然と笑みが溢れた。


「だってこの体勢だとキス出来ないじゃん。俺、アンタのキスが好きなんだ。それこそ頭の中が全部ぶっ飛びそうになるくらい気持ちいいから……」


素直な気持ちを口にすると、東條は背後から俺をギュッと抱き締めた後、器用にも中のモノを抜かずに俺の身体を反転させ向かい合わせになる体勢にしてくれた。


「うぁ…ッ……!」


東條を跨いで座るような格好になったことで、自分の体重で勝手に奥深くまで東條の存在を感じることになった俺は、あまりの衝撃にうっかり声を上げてしまった。

そんな俺を目の前の東條が心配そうな表情で見ている。

俺は大丈夫だという言葉の代わりに東條の首の後ろに腕を回すと、すぐに唇を重ねてやった。





「ん…ッ…、ふぅ……、は…ぁ…、あ…ッ…、んぅ……」


舌を絡ませた濃厚なキスをしながら、乳首を摘ままれ。下側から東條の剛直で最奥まで穿たれるという事を繰り返しているうちに、俺は完全に東條が与えてくれる快楽の虜になっていた。

完勃ち状態の性器が東條の腹筋で擦れていく感触と、東條のモノが内側のいいところを擦っていくのが堪らず、自らも夢中で腰を振る。

ついさっきまであの日東條としたセックスが俺の人生で一番気持ちのいいセックスだった筈が、あっという間にそれを凌駕してしまっていた。


「こうやって大きく動くと、俺のモノを逃がさないように光希の中がうねって吸い付いてくるな……。スゲェいい……」


キスの合間に呟かれた一言に東條がちゃんと感じてくれていることがわかり単純に嬉しくなる。
もっと感じて欲しくて、中を締め付けるようにしながら腰を揺らすと、反対に俺のほうが気持ち良くなりすぎて慌てて動きを止める羽目になってしまった。

しかし東條はそれを見逃してはくれず、俺の腰をがっちり抑えると、下側から容赦なく俺のイイトコばかりを攻めてきたのだ。


「あ…ッ……!それ、ヤバいって、イク…ッ!イクから……!もうっ!んーーーッ!!」


俺の制止を振り切ってガンガン突き上げてくる東條に、俺は最早我慢するということを忘れ、思い切り欲望の証を吹き上げながら達してしまった。

同時に後ろがキュッと締まり、意図せず思い切り東條を締め付けると、それまでまだ余裕の表情をしていた東條も切なそうに眉根を寄せて腰の動きを止めていた。

俺一人だけじゃなく、ほぼ同時に東條も達したらしいことがわかり正直ホッとする。


思い切りイッたことで身体の力が抜けた俺が肩で息をしながら東條に身体を預けると、東條は俺の髪を撫でながら唇に触れるだけのキスを落としてきた。


なんかこういうのってすごく照れ臭いけど悪くはないな……。

なんて思っていると。

東條は俺の耳許に唇を近付け。


「愛してるよ。光希」


素晴らしくセクシーな声で囁いてくれたのだった。



明らかに一方的に翻弄されるだけで終わった感は否めないが、悔しいとかそういう気持ちは微塵も沸いてこない。

それどころかちょっと恥ずかしい気持ちになりながらも、ずっとこうしていたいというか、またしたいというか。とにかくこれで終わりなのがもったいなく感じられるほど東條とのセックスは超ド級に気持ち良かった。

今まで何回も不特定多数の人間と身体を重ねて来たけれど、ここまで心に直結したような気がするのは、あの夜も含めて初めての経験だ。


──もしかしてこれが満たされるってやつなのかな……?

俺は過ぎた快感のせいで指先を動かすことすら億劫な身体を何とか動かし東條の下から抜け出すと、そのままベッドに突っ伏した。
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