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第一章 覚醒編

62.喧嘩するほど仲が良い

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「ちょっと待って!何でこんなことになる訳!?」


レイはソファーに座るアスランの膝の上に座らされた状態で、何故か服の下に手を入れられ身体をまさぐられている。

ズボンの袷せ部分はレイの前に跪いているカインによって既に寛げられており、当然のようにそこから差し込まれた手により、性器への刺激が与えられていた。


アスランからピアスをプレゼントされ、それを着ける為に穴を開けてもらうという話だったはずが、何故か二人に身体を触られているという状態にレイは戸惑いを隠せない。


「ピアスの穴あけるんじゃなかったの!?」

「あけるよ。それは兄貴がやる。俺はレイちゃんの痛みがちょっとでも和らぐように気持ちいいことしてるだけ。」


明らかに目的と違う展開になっていることにカインに非難めいた視線を送ると、カインは手の動きを継続させながら、どこかのんびりとした口調で少しズレた答えを返してくれた。


(カインじゃダメだ……。)


そう覚ったレイは今度は背後にいるアスランのほうに顔をむけ、自分の心情を訴えてみることにしたのだが。


「別にこんなことしてもらわなくても痛みくらい我慢できるんだけど……。」

「私がレイ様に痛みだけを与えてしまうことに耐えられないのです。」


レイの訴えは全く取り合ってもらえないどころか、その指の動きがより一層いやらしいものに変わっていく。


「そうそう。それにレイちゃんもおれらが一緒にいるとこもっと見たいって言ってたでしょ?」


ここぞとばかりにレイの言った言葉に乗ってくるカインが恨めしい。


「こんな時ばっかり意気投合するんだから!こういう意味じゃ…ぁ、……あ…ぁん…っ…!」


不満を口にした途端、アスランとカインに敏感な部分を同時に刺激され、抗議の声は途中から喘ぎ声に変わってしまった。

急激に高められていく身体をビクビクと震わせながらも、二人の様子を目で追うと、カインとアスランが意味深に視線を合わせて何やら目で会話をしている様子が見て取れた。


(何て美味しいシチュエーション。こういうとこだけ見てられるんなら、疲れも吹き飛ぶんだけどな……。)


ただでさえ昨夜の疲れが残っいて身体がダルいのに、また二人がかりでイカされたのでは、誕生会どころではなくなってしまう。

レイがそんな事を危惧していると。


「お前ばかりがレイ様に触れるというのは些か癪だが、仕方ない。」


アスランはため息交じりにそう口にした後、レイに触れていた指の動きを中断し、先程カインが持ってきた道具を取り出し始めた。


「はい。レイちゃんはこっちに集中。」

「ぁ…ん…ッ……」


性器を扱かれながら先端部をペロリと舐められ、レイは快感に身を震わす。

自分の脚の間にいるカインは、レイの反応を確めるように上目遣いに見上げながら性器を刺激してくる。

普段見上げてばかりのせいか、その上目遣いが新鮮で不覚にもキュンとしてしまい、与えられる快感を享受しながらも、ついカインの薄茶色の髪を撫でてしまった。


すると。

背後にいるアスランがレイの腰をギュッと抱き、首筋に顔を埋めてきたのだ。


「……ん…っ…」

「レイ様。顔をこちらに向けてください。」


レイが素直にアスランの指示に従うと、すぐに顎を掬われ、唇を奪われる。

薄く開いた唇から進入してきた舌にあっという間に舌を絡めとられ、激しく貪られた。

レイは辿々しい動きながらも、なんとかそれに応えていく。


「時間ないんだろ。さっさとやることやれよ。」


カインの指摘に、アスランは名残惜しそうにゆっくりと唇を離すと、チュッと一回リップ音をさせてから、顔を上げた。

そして。


「目の前で他の男に触れられているあなたを見ると、やはり妬けますね……。」


珍しく拗ねたような表情を見せるアスランに、レイはまたしてもキュンとさせられる。


(何なの……!?何か今日は二人とも可愛いんだけど……。)


「すかさず奪い返しにくる辺りがえげつないよなー。……昨夜散々楽しんだんだから、ちょっとくらい譲ってくれったていいじゃん。」


ぼやくカインにアスランから鋭い声が飛ぶ。


「時間がないと言ったのはお前だろう。さっさと自分のやるべき事をしろ。」

「脱線したの自分のくせに……」


カインは文句を言いつつも、アスランの指示に従う気はあるようで、手を使っての愛撫し再開した。

すぐに全身の力が抜け、レイの身体は与えられる快感に支配されていく。


「ん…、はぁ…ッ……」


溢れ出た先走りの滴でクチュクチュという音がするのが堪らなく恥ずかしい。

レイはその様子を見ていられなくて、思わず視線を逸らしてしまった。

ところが、キラリと光る銀色の物が視界の端に飛び込んできたことで、反射的に身体が強張っていく。


「大丈夫だから、こっちに集中して。」


すぐにレイの性器を柔らかい感触が包み込む。


「…やぁ…ん…っ…」


カインに手と口での愛撫を施され、身体の力が抜けていくのと同時に、レイは漸く、二人がランドルフに性器の皮を取ってもらった時と同じような手段で痛みを和らげようとしていることに気が付いた。


(もしかしてこれが痛みを緩和するためのスタンダードな遣り方なのかな?)


ぼんやりとそんな事を考えていたレイは、その直後重大な問題に直面する。


(待って!耳って二個あるよ!二回イカなきゃ終わらないってこと!?)


恐ろしい事実に気付いてしまったレイは大慌てで二人の作業を中断させた。


「ちょっと待って!一旦やめて。」

「いかがなさいましたか?」


柔らかい笑みを浮かべ、レイに問い掛けるアスランのその手に縫い針らしきものを確認したレイはゾッとしてしまう。


(もしかしてあれで刺そうとしてたのかな。痛そ~。たしかに普通に開けるの怖いけど、二回もイカされるのもホントに困る。)


「あのね…僕、……昨夜のことでとっても疲れていて、……こんな…気持ち…いいこと…されると、すぐイッちゃうし、……そうすると、夜まで……もたなくなっちゃう……」


レイは自分が言っている言葉が恥ずかしくなってしまい、途切れ途切れに言葉を発すると、二人は真っ赤になったレイを見て一瞬固まった。


しかしすぐに通常モードに戻ると。


「わかりました。ではイカないようにギリギリのところでやめましょうか。私もタイミングを見てすぐに終わるように致します。」


アスランがニッコリと微笑み。


「レイちゃん気持ちいいんだ~。嬉しいよ!
──大丈夫。簡単にはイカないようにちゃんと加減するから。」


カインがニヤニヤしながらレイを見上げる。

レイは益々赤くなっていくばかりだ。


「では再開いたしましょうか。本当に時間が無くなってきたようですし。」


アスランがチラリとキャビネット上に置かれた時計に目を向ける。


「じゃあサッとやってパッと終わらせちゃおう!」


カインはそう言うなり、素早くレイのズボンを脱がせてしまった。


「え!?ちょっと!」


戸惑うレイを余所にカインはレイの脚を大きく拡げると、性器を優しく撫でながら、おもむろに後ろの蕾を舐め始めたのだ。


「や…っ…!……ん…っ…、ふ…っ…、あぁ…ん!」


急な刺激に思わず仰け反ったレイの頬にアスランがそっと手を添える。


「レイ様。よろしいですか?」


レイが了承の意味でコクコクと首を縦に振ると。

アルコールのような匂いと共に、耳たぶに冷たい何かが当たった感触がした。


「それでは失礼致します。」


アスランの声にレイはこれから訪れる痛みに備えて身構える。

針の先が耳に当たったと思った瞬間。


「い…っ…!あぁ…ん…!イヤ…っ!そこ…っ!」


カインはレイの性器を咥わえると、後孔に指を侵入させてきたのだ。

レイの身体が与えられた刺激で大きく跳ねると、アスランがそれを受け止め、カインは一時的に動きを止めた。


「ひとつ目は終わりました。あとひとつ頑張って下さい。」

「ん……。」


針が当たった瞬間こそ痛みがあったものの、すぐに大きな衝撃が訪れたため、それほど痛い思いをせずに済んだことが幸いだ。

アスランがもう片方の耳に触れるのと同時に、カインが内部に侵入させている指を動かし始める。


「…いや…ぁ!そこ……、へんになるとこだから…ぁ…!」


グニグニと指を動かされ、敏感なシコリを刺激されていると、身体を駆け抜けるビリっとした快感と同時に、すぐに鋭い痛みが訪れた。


「あぁ…っ…!んんーッ!」


すっかり勃ちあがって切なげに滴を垂らす性器は、直接的な刺激さえあれば達しそうなほどに張りつめていたものの、あえてそこには触れることなく、カインはゆっくりと後孔を侵していた指を引き抜いていった。


「終わりました。レイ様、頑張られましたね。よくお似合いです。……良かった。」


アスランが蕩けるような笑顔で処置が終了したことを教えてくれる。


「──ありがとう……。」


中途半端な快感でどこかぼんやりしていたレイは、突如自分がどういう格好か思い出し、急いで脚を閉じるとシャツの裾で陰部を隠した。

まだ興奮が収まっていない箇所を隠してみたのはいいが、甘い疼きが残る後孔が物欲しそうにヒクつくのが気になり、つい内股になってしまう。


(なんかこれはこれで困るような……。)

「はぁ……」


気を逸らそうと深呼吸してみたが、籠った熱は逃げていかず、切なげな吐息が漏れただけだった。


「なんかレイちゃんとてつもなくエロい顔してんだけど大丈夫?」

「……ん。ちょっと休めば、へいき。」


レイとしても下手に何かされるよりも、今は放っておいて貰うしかない。


「このような状態のレイ様を残していかなければいけないのは大変心苦しいのですが……。」

「いいよ。大丈夫。」


申し訳なさそうな顔のアスランに、レイはなるべく平静を装ってアスランの膝から降りると、すぐ隣へと移動した。


「べつにおれがいるから平気だろ。辛かったらすぐ言って。すぐに抜いてあげるから。」

「……下品な言い方をするんじゃない。オマエが一緒だから心配してるのがわからないのか?」


軽い口調でウィンクしてくるカインにすかさずアスラン咎めるような視線を送る。

カインはそれを受け流すと、すぐにアスランにむかって挑発するような台詞を吐いた。


「嫉妬深い男は嫌われるぜ。」

「お喋りな男もな。」


不快そうに眉を寄せたアスランが間髪入れずにカインに言い返す。


(すごい……。喧嘩するほど仲が良いっていうけど、これものすごく萌える!)


二人の言葉の応酬をソファーで脱力しながら見ていたレイは、目の前で繰り広げられる腐女子の妄想を刺激するやり取りのお蔭で、だいぶ身体の熱も引いてきた。


「ホントに仲良いね……。」


レイが満面の笑みでそう言うと、二人はばつの悪そうな顔でお互いから視線を外す。

その様子もなんだか可愛く感じられ、イケメン二人の絡みをずっと見ていたい気持ちにさせられたものの、時間がそれを許さない事に気づき、レイは断腸の思いで二人の絡みを中断させることに決めた。


「僕の事なら大丈夫だからアスランももう行って。本当にありがとう。」

「──いえ。礼には及びません。それでは失礼致します。」

「カインはお茶の準備をお願い。僕、喉渇いちゃった。」

「……了解。」


それぞれに指示を出し、レイはまだ少しだけ快感が燻り続ける身体で立ち上がる。


「……じゃあ僕シャワー浴びてくるね。」


床に落ちていたズボンを回収したレイは、若干覚束ない足取りでバスルームへ向かったのだった。
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