58 / 73
本編
57.情感
しおりを挟む
さて、鬼が出るか蛇が出るか。
さすがにそんな物騒なことにはならないと思うけど、どんな能力が覚醒するのやら。
出来ることならエレナさんみたいにステータス確認とか出来る能力が欲しいんだけど。
そうすれば俺自身のスペックもわかるし、オレールの時にどんな能力が覚醒したのかもわかるもんな。
俺はちょっとだけ期待に胸踊らせつつ、ベッドルームに移動すると、素早く自分に浄化の魔法をかけた。
ここのところずっと気絶状態からのスタートだったため、自らそんな真似をするのは男娼時代以来のことだ。
本来だったらシャワーを浴びて、念入りに男を迎えいれるための準備を施したほうがいいんだろうけど、宰相様も忙しいため、今はその時間が勿体ない。
なので自分でローション仕込みながら、フェラで勃たせてすぐ挿れる感じにしようかと思ってたんだけど。
「……コウキさん、貴方は一体何をしてらっしゃるのですか?」
毛足の長い絨毯の上に跪き、宰相様のズボンに手を掛けたところで訝しげにそう訪ねられてしまった。
「何って、宰相様のを口でしようかと」
途端に宰相様が渋面を作る。
もしかして、口でされるのに抵抗がある、とか?
この世界じゃまずやらない事らしいし、貴族の中には前戯自体面倒だと考える人間もいるって話だし。
以前『月下楼』のオーナーであるアシュリーに教えてもらったこの世界の一般的なセックスは、抱く側が適当に相手の穴を解した後、自分のチンポを扱いて勃たせたらすぐに挿入し、ひたすら腰ふって自分がイッたら終わりっていうお粗末なものだった。
まさか宰相様もその部類だった?
それならそれで時間の短縮になるし、過程がどうであろうと、俺はとりあえず中出ししてもらえばそれでいいんだけど。
さて、どうすんの?
暗にそう尋ねる意味で、上目遣いに宰相様を見つめる。
宰相様は俺の頭を優しく撫でながらも、眉間の縦皺を深くした。
「コウキさん。貴方にとっての性交とは?」
思いがけない質問に、俺は少しも考えることなく口を開く。
「何かを得るための手段、ですかね? 宰相様は?」
まさか『愛を確かめあうもの』だとか言われたらどうしようなんて、絶対あり得ないことを想定しながら質問を返すと。
宰相様は、さっき俺をセドリックのところに迎えに来た時のように、うっかり見惚れそうになるほど麗しい笑みを湛えた。
そして。
「必要に駆られてするもの、といった感じでした。──今までは」
片膝を着き、俺と目線を合わせると唇に軽くキスを落としてくる。
予想外過ぎる展開に、俺は一瞬固まった。
「ですが、今日に限っては、情緒というものを大事にしたほうが良いのではないかと思いまして」
宰相様は甘い声で囁くと、半ば呆然とする俺をあっという間に抱き上げ、ベッドに横たえたのだった。
「運命に引き摺られたくはないと思っていたのですがね……」
俺の服を脱がせながら困ったように笑う宰相様から目が離せない。
誰だ……?この人。この表情とか口調とかまるっきり別人じゃん!
しかもこの言い方って、まさか……。
脳内にさっき聞いたばかりの『血に課せられた運命』の話が甦る。
それってやっぱり宰相様も、実は『勇者である俺』に好意を持ってるってことだよな?
だったら今までの腹黒全開の態度はなんだったのかと首を傾げたくなるけど、それが宰相様の標準仕様なのだろう。
ツンデレ。若しくは俺は決められた運命になんて従わないぜ!っていう感じだったとしても、自分の意思とは関係なしに好意を抱く羽目になるなんて、俯瞰で物事を捉え、常に他人を自分の手のひらの上で転がしておきたいタイプの人には結構な屈辱だったんじゃなかろうかと推察できる。
だってさ、無条件に好意を抱き、助けになりたいと思うなんて、その気になれば王族に宰相の家系っていう国の要をいいように扱える可能性があるってことじゃん。
だからおそらくこの『運命に抗えない気持ち』ってやつは宰相様の持ち札の中でも最もきりたくないカードだったと思うんだ。
それをこの国の未来を守るために差し出してきた潔さは賞賛に値する。
たぶんこれって、『ジェローム・バートランド』個人として、俺、『宇佐美高貴』個人への信頼の表れなのかなとも思うけど。
宰相様は俺に覆い被さると、再び唇を重ね、深いキスを仕掛けてきた。
俺も黙ってそれに応えると、最初で最後となる『ジェローム』との密接な時間に身を委ねた。
◇◆◇◆
「ん…ッ……、そこ…ッ…、そんなにされたら、すぐイクって……!」
「フフッ……、いくらでもイッて下さい。魔力のことを気にされてるなら問題ありませんよ。減った分はすぐに私の口付けで補充して差し上げますし、なんなら体力のほうも回復魔法を使えばいいのですし。それにほら、私の口内にコウキさんの精を放っていただければ私も魔力の補給が出来て良いことづくめです」
「ぁ…は…ッ……、そういうんじゃ、なくて…ッ…!」
宰相様の場合、それ洒落になんねぇから!
さっきの甘い展開は何だったのかと思うほど、宰相様の腹黒仕様は如何なく発揮されようとしている。
俺は今、裸でベッドに仰向けに寝転がりながら宰相様から一方的に愛撫を受けてる状態だ。
ベッドで重なりあいキスをした後、時間を惜しむかのようにすぐに後孔へと伸ばされた手に、この人もやっぱりこの世界の一般的なセックスがお好みなのかと思ったら。
まずはこの客室にも常備されてた『月下楼』でも使ってる最高級の媚薬入りローションを後孔内に仕込まれ。
その後媚薬の効果がじわじわと出始めるまでひたすら全身を舐めつくされた。──それこそてっぺんから爪先まで。
媚薬の効果が出始めた頃合いになると、乳首を指で弄ばれながら、チンポを舐められ咥えられ。奥が疼いて仕方がなくなってからは、パクパクと物欲しそうに口を開いている穴をわざと避け、その周辺ばかりを重点的に舐められた。
そしてやっと後孔に指が入れられたと思ったら、それこそじっくりと内部の感触を確かめるかのように指の腹で擦られ、かき混ぜられ。
今は指を二本入れられながら敏感な凝りをグリグリと刺激され、もう片方の手で屹立を擦られている状態だ。
──正直この人がここまでするとは思わなかった。
宰相様にとってセックスは必要に駆られてするものだって言ってたじゃん!気乗りしないヤツがここまでしないだろ。普通。
絶対コイツ、ムッツリだ。腹黒ムッツリ宰相だ。
しかも早く挿れて終わらせて欲しいと懇願しないと、エンドレスでイカせ続けられそうな気がするし、そのお願いにしても果たしてタダで済むのか俄然怪しくなるような攻めっぷり。
さっき宰相様に対して抱いた、センチメンタルな感情を全部返して欲しいとすら思ってしまう。
俺は密かに悪態を吐きながら必死に快感を逃がす努力をしていた。
「ん…ッ…、さっき、情緒を大事にしたほうがいいって、言いませんでしたっけ……?」
「それはもちろん。だからこうしてコウキさんの反応を私の全てでじっくりと楽しませていただいております。
コウキさんの身体は受け入れる側の天性の素質みたいなものがあるのでしょうか? ほら、もうすっかり内部が柔らかくなって、まるで男を誘うように蠢いていますよ」
「あぁぁ…ッ…!」
危うくイキかけてなんとか根性で凌いだ。
クソッ!絶対ェ、すぐ挿れさせて、一回で終わらす。
──プロ、ナメんなよ。
「全部で楽しんでるなんて意地悪だな……。肝心なとこに俺の欲しいモノはくれないくせに……。 それとも俺に言わせるつもり?
──ジェロームの全てで俺を味わって欲しいって」
拗ねたようにそう言えば、宰相様は驚いたように目を見開き全ての動きを止めた。
その隙になんとか上体を起こした俺は、より一層脚を大きく拡げ、俺の内部に穿たれていた宰相様の手に自分の手を添えた。
「もう指だけじゃ物足りない……。ジェロームの、俺の中にちょうだい……」
男娼時代に培ったリップサービスと、男をその気にさせる恥じらったような表情と媚びた仕草を駆使して、さも切羽詰まったかのような感じで宰相様に訴えかける。
宰相様はそれの真意を見極めようとしているのか、じっと視線を合わせてから軽くため息を吐くと、ゆっくりと指を引き抜いた。
「ぁ…んッ…」
そしてすぐに宰相様の剛直が、まだ閉じていない俺の尻穴にあてがわれる。
「コウキさん。貴方という人は本当に質の悪い人なのですね……」
「ん……」
「これが演技だとわかっていても、こちらはいともあっさり惑わされるし煽られるのですから」
ゆるゆると入り口付近だけを浅く抜き差しされるという、どう考えても焦らされているとしか思えない動きに堪らず腰を揺らすと、宰相様が一気に腰を進めてきた。
「あぁぁ…ッ…、んんッ…! は…ぁ……」
身体が無理に押し開かれる圧迫感と、欲しかったものが与えられ満たされる充足感に俺は大きく息を吐き出す。
宰相様は俺の内部の感触を確かめるように数度抽挿を繰り返すと、徐々にスピードをあげ、激しく腰を打ち付けてきた。
「ぁあ…ッ…!は…ぁ…、ん…ッ…!あ…ッ…、ぁん…ッ…」
こうなれば俺はもう演技する必要もなく、ただ快感を追い求めればいい。
俺は両手を伸ばし身体を密着してくれるよう促すと、身を屈めた宰相様に自分から抱きつき、その唇を塞ぎにかかった。
すかさず舌を絡ませ口腔内を貪る。
宰相様は積極的に俺の動きに応えてくれながらも、抽挿を疎かにすることなく、内部にある俺の感じるポイントをしっかりと刺激しながら腰を振る。
情けなくもすっかり蕩かされた俺の身体はすぐに限界を迎え、今度は一刻も早い解放を求めて切なく震え出していた。
「も、ダメ…ッ…、早く…なかにだして…ッ…!ジェローム…!」
堪らず懇願すると、宰相様は眉間の縦皺を深くし熱の籠った眼差しで俺を見つめながらより一層大きく腰を打ち付け、欲望の証を俺の最奥へと放ってくれた。
俺は宰相様の熱い迸りを身の内に感じた後、内心かなりホッとしながらも、自身の欲望を解放するため一気に高みへと上り詰めた。
さすがにそんな物騒なことにはならないと思うけど、どんな能力が覚醒するのやら。
出来ることならエレナさんみたいにステータス確認とか出来る能力が欲しいんだけど。
そうすれば俺自身のスペックもわかるし、オレールの時にどんな能力が覚醒したのかもわかるもんな。
俺はちょっとだけ期待に胸踊らせつつ、ベッドルームに移動すると、素早く自分に浄化の魔法をかけた。
ここのところずっと気絶状態からのスタートだったため、自らそんな真似をするのは男娼時代以来のことだ。
本来だったらシャワーを浴びて、念入りに男を迎えいれるための準備を施したほうがいいんだろうけど、宰相様も忙しいため、今はその時間が勿体ない。
なので自分でローション仕込みながら、フェラで勃たせてすぐ挿れる感じにしようかと思ってたんだけど。
「……コウキさん、貴方は一体何をしてらっしゃるのですか?」
毛足の長い絨毯の上に跪き、宰相様のズボンに手を掛けたところで訝しげにそう訪ねられてしまった。
「何って、宰相様のを口でしようかと」
途端に宰相様が渋面を作る。
もしかして、口でされるのに抵抗がある、とか?
この世界じゃまずやらない事らしいし、貴族の中には前戯自体面倒だと考える人間もいるって話だし。
以前『月下楼』のオーナーであるアシュリーに教えてもらったこの世界の一般的なセックスは、抱く側が適当に相手の穴を解した後、自分のチンポを扱いて勃たせたらすぐに挿入し、ひたすら腰ふって自分がイッたら終わりっていうお粗末なものだった。
まさか宰相様もその部類だった?
それならそれで時間の短縮になるし、過程がどうであろうと、俺はとりあえず中出ししてもらえばそれでいいんだけど。
さて、どうすんの?
暗にそう尋ねる意味で、上目遣いに宰相様を見つめる。
宰相様は俺の頭を優しく撫でながらも、眉間の縦皺を深くした。
「コウキさん。貴方にとっての性交とは?」
思いがけない質問に、俺は少しも考えることなく口を開く。
「何かを得るための手段、ですかね? 宰相様は?」
まさか『愛を確かめあうもの』だとか言われたらどうしようなんて、絶対あり得ないことを想定しながら質問を返すと。
宰相様は、さっき俺をセドリックのところに迎えに来た時のように、うっかり見惚れそうになるほど麗しい笑みを湛えた。
そして。
「必要に駆られてするもの、といった感じでした。──今までは」
片膝を着き、俺と目線を合わせると唇に軽くキスを落としてくる。
予想外過ぎる展開に、俺は一瞬固まった。
「ですが、今日に限っては、情緒というものを大事にしたほうが良いのではないかと思いまして」
宰相様は甘い声で囁くと、半ば呆然とする俺をあっという間に抱き上げ、ベッドに横たえたのだった。
「運命に引き摺られたくはないと思っていたのですがね……」
俺の服を脱がせながら困ったように笑う宰相様から目が離せない。
誰だ……?この人。この表情とか口調とかまるっきり別人じゃん!
しかもこの言い方って、まさか……。
脳内にさっき聞いたばかりの『血に課せられた運命』の話が甦る。
それってやっぱり宰相様も、実は『勇者である俺』に好意を持ってるってことだよな?
だったら今までの腹黒全開の態度はなんだったのかと首を傾げたくなるけど、それが宰相様の標準仕様なのだろう。
ツンデレ。若しくは俺は決められた運命になんて従わないぜ!っていう感じだったとしても、自分の意思とは関係なしに好意を抱く羽目になるなんて、俯瞰で物事を捉え、常に他人を自分の手のひらの上で転がしておきたいタイプの人には結構な屈辱だったんじゃなかろうかと推察できる。
だってさ、無条件に好意を抱き、助けになりたいと思うなんて、その気になれば王族に宰相の家系っていう国の要をいいように扱える可能性があるってことじゃん。
だからおそらくこの『運命に抗えない気持ち』ってやつは宰相様の持ち札の中でも最もきりたくないカードだったと思うんだ。
それをこの国の未来を守るために差し出してきた潔さは賞賛に値する。
たぶんこれって、『ジェローム・バートランド』個人として、俺、『宇佐美高貴』個人への信頼の表れなのかなとも思うけど。
宰相様は俺に覆い被さると、再び唇を重ね、深いキスを仕掛けてきた。
俺も黙ってそれに応えると、最初で最後となる『ジェローム』との密接な時間に身を委ねた。
◇◆◇◆
「ん…ッ……、そこ…ッ…、そんなにされたら、すぐイクって……!」
「フフッ……、いくらでもイッて下さい。魔力のことを気にされてるなら問題ありませんよ。減った分はすぐに私の口付けで補充して差し上げますし、なんなら体力のほうも回復魔法を使えばいいのですし。それにほら、私の口内にコウキさんの精を放っていただければ私も魔力の補給が出来て良いことづくめです」
「ぁ…は…ッ……、そういうんじゃ、なくて…ッ…!」
宰相様の場合、それ洒落になんねぇから!
さっきの甘い展開は何だったのかと思うほど、宰相様の腹黒仕様は如何なく発揮されようとしている。
俺は今、裸でベッドに仰向けに寝転がりながら宰相様から一方的に愛撫を受けてる状態だ。
ベッドで重なりあいキスをした後、時間を惜しむかのようにすぐに後孔へと伸ばされた手に、この人もやっぱりこの世界の一般的なセックスがお好みなのかと思ったら。
まずはこの客室にも常備されてた『月下楼』でも使ってる最高級の媚薬入りローションを後孔内に仕込まれ。
その後媚薬の効果がじわじわと出始めるまでひたすら全身を舐めつくされた。──それこそてっぺんから爪先まで。
媚薬の効果が出始めた頃合いになると、乳首を指で弄ばれながら、チンポを舐められ咥えられ。奥が疼いて仕方がなくなってからは、パクパクと物欲しそうに口を開いている穴をわざと避け、その周辺ばかりを重点的に舐められた。
そしてやっと後孔に指が入れられたと思ったら、それこそじっくりと内部の感触を確かめるかのように指の腹で擦られ、かき混ぜられ。
今は指を二本入れられながら敏感な凝りをグリグリと刺激され、もう片方の手で屹立を擦られている状態だ。
──正直この人がここまでするとは思わなかった。
宰相様にとってセックスは必要に駆られてするものだって言ってたじゃん!気乗りしないヤツがここまでしないだろ。普通。
絶対コイツ、ムッツリだ。腹黒ムッツリ宰相だ。
しかも早く挿れて終わらせて欲しいと懇願しないと、エンドレスでイカせ続けられそうな気がするし、そのお願いにしても果たしてタダで済むのか俄然怪しくなるような攻めっぷり。
さっき宰相様に対して抱いた、センチメンタルな感情を全部返して欲しいとすら思ってしまう。
俺は密かに悪態を吐きながら必死に快感を逃がす努力をしていた。
「ん…ッ…、さっき、情緒を大事にしたほうがいいって、言いませんでしたっけ……?」
「それはもちろん。だからこうしてコウキさんの反応を私の全てでじっくりと楽しませていただいております。
コウキさんの身体は受け入れる側の天性の素質みたいなものがあるのでしょうか? ほら、もうすっかり内部が柔らかくなって、まるで男を誘うように蠢いていますよ」
「あぁぁ…ッ…!」
危うくイキかけてなんとか根性で凌いだ。
クソッ!絶対ェ、すぐ挿れさせて、一回で終わらす。
──プロ、ナメんなよ。
「全部で楽しんでるなんて意地悪だな……。肝心なとこに俺の欲しいモノはくれないくせに……。 それとも俺に言わせるつもり?
──ジェロームの全てで俺を味わって欲しいって」
拗ねたようにそう言えば、宰相様は驚いたように目を見開き全ての動きを止めた。
その隙になんとか上体を起こした俺は、より一層脚を大きく拡げ、俺の内部に穿たれていた宰相様の手に自分の手を添えた。
「もう指だけじゃ物足りない……。ジェロームの、俺の中にちょうだい……」
男娼時代に培ったリップサービスと、男をその気にさせる恥じらったような表情と媚びた仕草を駆使して、さも切羽詰まったかのような感じで宰相様に訴えかける。
宰相様はそれの真意を見極めようとしているのか、じっと視線を合わせてから軽くため息を吐くと、ゆっくりと指を引き抜いた。
「ぁ…んッ…」
そしてすぐに宰相様の剛直が、まだ閉じていない俺の尻穴にあてがわれる。
「コウキさん。貴方という人は本当に質の悪い人なのですね……」
「ん……」
「これが演技だとわかっていても、こちらはいともあっさり惑わされるし煽られるのですから」
ゆるゆると入り口付近だけを浅く抜き差しされるという、どう考えても焦らされているとしか思えない動きに堪らず腰を揺らすと、宰相様が一気に腰を進めてきた。
「あぁぁ…ッ…、んんッ…! は…ぁ……」
身体が無理に押し開かれる圧迫感と、欲しかったものが与えられ満たされる充足感に俺は大きく息を吐き出す。
宰相様は俺の内部の感触を確かめるように数度抽挿を繰り返すと、徐々にスピードをあげ、激しく腰を打ち付けてきた。
「ぁあ…ッ…!は…ぁ…、ん…ッ…!あ…ッ…、ぁん…ッ…」
こうなれば俺はもう演技する必要もなく、ただ快感を追い求めればいい。
俺は両手を伸ばし身体を密着してくれるよう促すと、身を屈めた宰相様に自分から抱きつき、その唇を塞ぎにかかった。
すかさず舌を絡ませ口腔内を貪る。
宰相様は積極的に俺の動きに応えてくれながらも、抽挿を疎かにすることなく、内部にある俺の感じるポイントをしっかりと刺激しながら腰を振る。
情けなくもすっかり蕩かされた俺の身体はすぐに限界を迎え、今度は一刻も早い解放を求めて切なく震え出していた。
「も、ダメ…ッ…、早く…なかにだして…ッ…!ジェローム…!」
堪らず懇願すると、宰相様は眉間の縦皺を深くし熱の籠った眼差しで俺を見つめながらより一層大きく腰を打ち付け、欲望の証を俺の最奥へと放ってくれた。
俺は宰相様の熱い迸りを身の内に感じた後、内心かなりホッとしながらも、自身の欲望を解放するため一気に高みへと上り詰めた。
31
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる