いつぞやの約束は夜空の向こう

夜櫻 雅織

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第一章 自分探し

第6話 異常と異端の高みは遠く

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【前回】体質にて話を聞いた
第6話 異常と異端の高みは遠く

――だが性質は何方も同じ。

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「あぁ、そうそう。奏も色々聞きたい事があるだろうとは思うんだけど、ちょっと伝えたい事があって。」
「どうぞ。」
「どうも。実は、学校側から無期限の休みを貰ってさ。まぁ宿題は就いてるけど。」
「無期限の休み……?」
「そ。お前が起きた時、どんな状態が分からなかったからって事で学校側が色々気を遣ってくれたんだよ。まぁ……あんまり校内を歩き回ったりっていうのは出来ないから校内の案内はちゃんと奏が授業に出られるぐらいには快復したら休憩時間とか放課後を利用しながら案内するよ。」
「……まぁ、それまでに記憶が戻っているのを期待したいがな。」
「まぁ、そうだけど何かあった時の可能性は捨てない方が良いさ。」
「それで、宿題の方は放置して良いのか。」
「大丈夫。というか、お前のもあるからな。」
「あぁ……成程。宿題、か。」

 確かに考えてみれば俺の分もなければおかしいだろう。
 思わず聞き忘れてしまっているが、そもそも俺がどれぐらいの時間、昏睡状態にあったのかも分からない。ただ少しでも昏睡状態にあったのだからその分学業が止まってしまうであろう事はしっかりと考えなくても分かる事だ。
 となると、現状は俺の記憶を戻す事よりも宿題を片付ける方が優先だろうか。それとも、記憶を戻して……とはいっても戻せるのかも分からないのだから蓮燔の助力を借りつつ、自室にあると願いたい資料達を利用して地道に片付けておくのが無難だろう。

「……ちなみに蓮燔、俺の宿題って。」
「無期限。まぁ俺の宿題の提出期限は明後日までだけど終わらせてるから……。やってみるか?」
「あぁ。」
「じゃあ、俺は昼飯の用意してくるから適当に時間潰しといてくれ。宿題はこれとこれとこれ。後、教科書はこっちな。一応は教科書さえあれば出来る宿題だけど……。んで、もう1個がちょっと特殊でさ。」
「穴埋め式の宿題が3つ。……内容的に殆ど復習みたいなもんか。それで、もう1つは? レポートか何かか?」
「正解。人狼についてのレポートなんだけど、これは教科書に載ってないから街に行って本を買うか、図書館に行くか……。」
「後者はこの学校の敷地内なんだろ、なら無理だな。」
「御名答。って訳で俺が何か良さげな本数冊買ってきてやるよ。」
「いや、そこのパソコンのパスワードをあぶり出せばその必要もない。」
「ったく、簡単に言いやがる……。」

 そういえば。

「蓮燔、魔法は……杖を使わずに行う物なのか? さっき、魔力の循環や供給は杖がなくても出来たみたいだけど。」
「世間一般的には杖を使うけど、俺と奏は使わない。」
「平均的な事……だったら世間一般的なんて言葉は使わないか。どれぐらい珍しい事なんだ?」
「前例がなさ過ぎて魔法を使うあらゆる業界でお前と俺の名前を知らないレベル。」

 ………………ほう。

「つまり、俺とお前以外行使不可能な技術、と。」
「そーいう事。それだけでも凄いってのに、お前は無詠唱で魔法を使うんだよ。」
「……それの何が凄い事なんだ?」
「上位悪魔と魔王にしか出来ない事だって言われる程の技術なんだよ。普通、無詠唱ってのは不可能でさ。その理由が魔法を使う際に唱える祝詞に言霊っていう……まぁ、言葉に魔力を乗せる工程を挟む事で魔法を発動させてるんだよ。なのに、お前はその工程を飛ばして魔法を行使する事が出来る。オリジナル魔法を作る事だってなかなか凄い事だっていうのに、お前の保有オリジナル魔法は100以上。大体1つの魔法に必要とする魔法式は100でも多いのにお前が創るオリジナル魔法を構成している魔法式は6,000以上。……異常なんて言葉ですらも浅い。」
「……随分と持ち上げられたもんだ。」
「実際お前は凄い奴だよ。お前は凄いからこそ色々と疎まれてたし、変なちょっかいも掛けられてたけどぜ~んぶ相手にしなくてさ。だからなのか知らないけど、今度は俺が標的になってさ。」
「……俺とつるんでるから。」
「そ。まぁでもそれもお前が何とかしてくれたよ。」
「聞かせてくれ。」
「俺に手を出してきた100人以上も居た奴らをたった1つの魔法で城内、校舎の周りにある塀にまで突き飛ばして矢の雨を降らせたんだ。」
「ただのやばい奴なんだが。」
「 “俺に手を出すのは別に構わん。お前等如きのちんけで幼稚な魔法が俺に届きはしない。……だが、俺の大事な物に手を出すって言うならお前等は俺にとってただの敵。敵は排除するに限る。ほら、死にたきゃ魔法撃ってこいよ。灰も残さずに燃やし尽くしてやる” ってさ。」
「うん、危ない奴だな。」
「まあ、俺はその危なさに助けられたけどな。……じゃ、キッチン行ってくる。」


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――次回「第7話 反響する激情」

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