6 / 34
第一章 自分探し
第6話 異常と異端の高みは遠く
しおりを挟む
【前回】体質にて話を聞いた
第6話 異常と異端の高みは遠く
――だが性質は何方も同じ。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
「あぁ、そうそう。奏も色々聞きたい事があるだろうとは思うんだけど、ちょっと伝えたい事があって。」
「どうぞ。」
「どうも。実は、学校側から無期限の休みを貰ってさ。まぁ宿題は就いてるけど。」
「無期限の休み……?」
「そ。お前が起きた時、どんな状態が分からなかったからって事で学校側が色々気を遣ってくれたんだよ。まぁ……あんまり校内を歩き回ったりっていうのは出来ないから校内の案内はちゃんと奏が授業に出られるぐらいには快復したら休憩時間とか放課後を利用しながら案内するよ。」
「……まぁ、それまでに記憶が戻っているのを期待したいがな。」
「まぁ、そうだけど何かあった時の可能性は捨てない方が良いさ。」
「それで、宿題の方は放置して良いのか。」
「大丈夫。というか、お前のもあるからな。」
「あぁ……成程。宿題、か。」
確かに考えてみれば俺の分もなければおかしいだろう。
思わず聞き忘れてしまっているが、そもそも俺がどれぐらいの時間、昏睡状態にあったのかも分からない。ただ少しでも昏睡状態にあったのだからその分学業が止まってしまうであろう事はしっかりと考えなくても分かる事だ。
となると、現状は俺の記憶を戻す事よりも宿題を片付ける方が優先だろうか。それとも、記憶を戻して……とはいっても戻せるのかも分からないのだから蓮燔の助力を借りつつ、自室にあると願いたい資料達を利用して地道に片付けておくのが無難だろう。
「……ちなみに蓮燔、俺の宿題って。」
「無期限。まぁ俺の宿題の提出期限は明後日までだけど終わらせてるから……。やってみるか?」
「あぁ。」
「じゃあ、俺は昼飯の用意してくるから適当に時間潰しといてくれ。宿題はこれとこれとこれ。後、教科書はこっちな。一応は教科書さえあれば出来る宿題だけど……。んで、もう1個がちょっと特殊でさ。」
「穴埋め式の宿題が3つ。……内容的に殆ど復習みたいなもんか。それで、もう1つは? レポートか何かか?」
「正解。人狼についてのレポートなんだけど、これは教科書に載ってないから街に行って本を買うか、図書館に行くか……。」
「後者はこの学校の敷地内なんだろ、なら無理だな。」
「御名答。って訳で俺が何か良さげな本数冊買ってきてやるよ。」
「いや、そこのパソコンのパスワードをあぶり出せばその必要もない。」
「ったく、簡単に言いやがる……。」
そういえば。
「蓮燔、魔法は……杖を使わずに行う物なのか? さっき、魔力の循環や供給は杖がなくても出来たみたいだけど。」
「世間一般的には杖を使うけど、俺と奏は使わない。」
「平均的な事……だったら世間一般的なんて言葉は使わないか。どれぐらい珍しい事なんだ?」
「前例がなさ過ぎて魔法を使うあらゆる業界でお前と俺の名前を知らないレベル。」
………………ほう。
「つまり、俺とお前以外行使不可能な技術、と。」
「そーいう事。それだけでも凄いってのに、お前は無詠唱で魔法を使うんだよ。」
「……それの何が凄い事なんだ?」
「上位悪魔と魔王にしか出来ない事だって言われる程の技術なんだよ。普通、無詠唱ってのは不可能でさ。その理由が魔法を使う際に唱える祝詞に言霊っていう……まぁ、言葉に魔力を乗せる工程を挟む事で魔法を発動させてるんだよ。なのに、お前はその工程を飛ばして魔法を行使する事が出来る。オリジナル魔法を作る事だってなかなか凄い事だっていうのに、お前の保有オリジナル魔法は100以上。大体1つの魔法に必要とする魔法式は100でも多いのにお前が創るオリジナル魔法を構成している魔法式は6,000以上。……異常なんて言葉ですらも浅い。」
「……随分と持ち上げられたもんだ。」
「実際お前は凄い奴だよ。お前は凄いからこそ色々と疎まれてたし、変なちょっかいも掛けられてたけどぜ~んぶ相手にしなくてさ。だからなのか知らないけど、今度は俺が標的になってさ。」
「……俺とつるんでるから。」
「そ。まぁでもそれもお前が何とかしてくれたよ。」
「聞かせてくれ。」
「俺に手を出してきた100人以上も居た奴らをたった1つの魔法で城内、校舎の周りにある塀にまで突き飛ばして矢の雨を降らせたんだ。」
「ただのやばい奴なんだが。」
「 “俺に手を出すのは別に構わん。お前等如きのちんけで幼稚な魔法が俺に届きはしない。……だが、俺の大事な物に手を出すって言うならお前等は俺にとってただの敵。敵は排除するに限る。ほら、死にたきゃ魔法撃ってこいよ。灰も残さずに燃やし尽くしてやる” ってさ。」
「うん、危ない奴だな。」
「まあ、俺はその危なさに助けられたけどな。……じゃ、キッチン行ってくる。」
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第7話 反響する激情」
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
もし作品を気に入っていただけましたら、ブックマークやスタンプで応援いただけると嬉しいです。
感想なども励みになります。
今後とも『いつぞやの約束は夜空の向こう』をよろしくお願いいたします。
第6話 異常と異端の高みは遠く
――だが性質は何方も同じ。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
「あぁ、そうそう。奏も色々聞きたい事があるだろうとは思うんだけど、ちょっと伝えたい事があって。」
「どうぞ。」
「どうも。実は、学校側から無期限の休みを貰ってさ。まぁ宿題は就いてるけど。」
「無期限の休み……?」
「そ。お前が起きた時、どんな状態が分からなかったからって事で学校側が色々気を遣ってくれたんだよ。まぁ……あんまり校内を歩き回ったりっていうのは出来ないから校内の案内はちゃんと奏が授業に出られるぐらいには快復したら休憩時間とか放課後を利用しながら案内するよ。」
「……まぁ、それまでに記憶が戻っているのを期待したいがな。」
「まぁ、そうだけど何かあった時の可能性は捨てない方が良いさ。」
「それで、宿題の方は放置して良いのか。」
「大丈夫。というか、お前のもあるからな。」
「あぁ……成程。宿題、か。」
確かに考えてみれば俺の分もなければおかしいだろう。
思わず聞き忘れてしまっているが、そもそも俺がどれぐらいの時間、昏睡状態にあったのかも分からない。ただ少しでも昏睡状態にあったのだからその分学業が止まってしまうであろう事はしっかりと考えなくても分かる事だ。
となると、現状は俺の記憶を戻す事よりも宿題を片付ける方が優先だろうか。それとも、記憶を戻して……とはいっても戻せるのかも分からないのだから蓮燔の助力を借りつつ、自室にあると願いたい資料達を利用して地道に片付けておくのが無難だろう。
「……ちなみに蓮燔、俺の宿題って。」
「無期限。まぁ俺の宿題の提出期限は明後日までだけど終わらせてるから……。やってみるか?」
「あぁ。」
「じゃあ、俺は昼飯の用意してくるから適当に時間潰しといてくれ。宿題はこれとこれとこれ。後、教科書はこっちな。一応は教科書さえあれば出来る宿題だけど……。んで、もう1個がちょっと特殊でさ。」
「穴埋め式の宿題が3つ。……内容的に殆ど復習みたいなもんか。それで、もう1つは? レポートか何かか?」
「正解。人狼についてのレポートなんだけど、これは教科書に載ってないから街に行って本を買うか、図書館に行くか……。」
「後者はこの学校の敷地内なんだろ、なら無理だな。」
「御名答。って訳で俺が何か良さげな本数冊買ってきてやるよ。」
「いや、そこのパソコンのパスワードをあぶり出せばその必要もない。」
「ったく、簡単に言いやがる……。」
そういえば。
「蓮燔、魔法は……杖を使わずに行う物なのか? さっき、魔力の循環や供給は杖がなくても出来たみたいだけど。」
「世間一般的には杖を使うけど、俺と奏は使わない。」
「平均的な事……だったら世間一般的なんて言葉は使わないか。どれぐらい珍しい事なんだ?」
「前例がなさ過ぎて魔法を使うあらゆる業界でお前と俺の名前を知らないレベル。」
………………ほう。
「つまり、俺とお前以外行使不可能な技術、と。」
「そーいう事。それだけでも凄いってのに、お前は無詠唱で魔法を使うんだよ。」
「……それの何が凄い事なんだ?」
「上位悪魔と魔王にしか出来ない事だって言われる程の技術なんだよ。普通、無詠唱ってのは不可能でさ。その理由が魔法を使う際に唱える祝詞に言霊っていう……まぁ、言葉に魔力を乗せる工程を挟む事で魔法を発動させてるんだよ。なのに、お前はその工程を飛ばして魔法を行使する事が出来る。オリジナル魔法を作る事だってなかなか凄い事だっていうのに、お前の保有オリジナル魔法は100以上。大体1つの魔法に必要とする魔法式は100でも多いのにお前が創るオリジナル魔法を構成している魔法式は6,000以上。……異常なんて言葉ですらも浅い。」
「……随分と持ち上げられたもんだ。」
「実際お前は凄い奴だよ。お前は凄いからこそ色々と疎まれてたし、変なちょっかいも掛けられてたけどぜ~んぶ相手にしなくてさ。だからなのか知らないけど、今度は俺が標的になってさ。」
「……俺とつるんでるから。」
「そ。まぁでもそれもお前が何とかしてくれたよ。」
「聞かせてくれ。」
「俺に手を出してきた100人以上も居た奴らをたった1つの魔法で城内、校舎の周りにある塀にまで突き飛ばして矢の雨を降らせたんだ。」
「ただのやばい奴なんだが。」
「 “俺に手を出すのは別に構わん。お前等如きのちんけで幼稚な魔法が俺に届きはしない。……だが、俺の大事な物に手を出すって言うならお前等は俺にとってただの敵。敵は排除するに限る。ほら、死にたきゃ魔法撃ってこいよ。灰も残さずに燃やし尽くしてやる” ってさ。」
「うん、危ない奴だな。」
「まあ、俺はその危なさに助けられたけどな。……じゃ、キッチン行ってくる。」
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第7話 反響する激情」
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
もし作品を気に入っていただけましたら、ブックマークやスタンプで応援いただけると嬉しいです。
感想なども励みになります。
今後とも『いつぞやの約束は夜空の向こう』をよろしくお願いいたします。
0
あなたにおすすめの小説
【短編】記憶を失っていても
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。
そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。
これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。
※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
龍は唄う 神子と子守唄を
イチイ アキラ
恋愛
『神子が御実家より帰宅される途中、事故に遭い――片目を失った。』
入院していた病室で、さおりはその新聞を読んで「え?」と混乱していた。
何故なら片目を失ったのはさおりであり――さおりは神子ではない。
神子はさおりの双子の妹の、しおりであるからだ。
しかも「しおり」は第三皇子の婚約者であるという。
さおりは片目と記憶を失い、神殿で暮らす事となる。
しおりと皆に勘違いされたまま。
復讐は、冷やして食すのが一番美味い
Yuito_Maru
ファンタジー
3度目の人生を生きるピオニー・レノドン。
1度目の人生は、愛した幼馴染と家族に裏切られ、無垢で無力のまま命を落とした。
2度目は、剣を磨き、王太子の婚約者となるも、1度目より惨めに死んでいった。
3度目は、微笑の裏で傭兵団を率い、冷たく復讐の刃を研ぐ。
狙うは、レノドン伯爵家、そして王家や腐った貴族たち。
「復讐とは、怒りを凍らせて成就する歪んだ喜びだ」――ピオニーは今、その意味を体現する。
-----
外部サイトでも掲載を行っております
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる