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第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
第46話 朝はどうにも苦手で
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【前回】ティアが目覚める前から備える生徒達
第46話 朝はどうにも苦手で
――どうにも全てが鈍くなる。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
コンコンコンッ。
『すみません、ちょっと両手塞がってるんで誰か開けてくれません?』
「トルカ……?」
「お前やセイズよりもより早く起きて朝食の用意をな。まぁ大方、お前達の分も準備出来てるだろうよ。とりあえず開けてやったらどうだ。」
「それもそうだな。」
扉を開ければ煉掟の言う通り、そこに居るのはトルカだけだ。
いつもなら使用人達に作らせる事が多い物の、今回は先生が絡む関係もあって自分でやりたかったんだろう。
ホテルワゴンに色々と乗せて持ってきたらしい。
「あれ、ルシェル。起きてたんだ?」
「あぁ。セイズもついさっき起きてそこで読書してる。」
「……おはよ、トルカ。」
「おん、おはよう。先生どう?」
「せんせはまだ寝てるよ。1度も起きてない。」
「へぇ……。じゃ先生、相当疲れてたって事なのかなぁ。煉掟さん、ま、まだ先生は起こさない方が良いですか……?」
「……いや、俺も気は引けるが食事を抜かせて体調を悪化させるのも良くない。≪深淵からの呼び声≫、ティアを起こしてくれるか。」
【えぇ、任せて。】
何処からともなく現れた≪深淵からの呼び声≫にふー……っ……とまるでそよ風のように、漣のように優しく吹きかけられた吐息だけで目を覚ました先生は意外にも寝起きが悪いと言うか、寝起きに弱いらしい。
目が開いただけで非常にぼーっとしており、正直言って本当に起きているのかどうかですらも酷く怪しい。
そんな先生は≪深淵からの呼び声≫に背を押されたり、煉掟の手がその脇に入れられ、半ば無理に体を持ち上げられ、≪深淵からの呼び声≫に身を預けるようにして体を起こした事で、ようやっと目が覚めたらしい。
ただ忘れてはならない、先生は元々かなりのヘビースモーカーだ。
先生が元々住んでいた部屋である、学校の地下にあった部屋は基本的にいつだって煙草の匂いが充満していたし、俺達が来て数分後にはどういう原理なのか、一瞬にして換気されてその匂いが消えた事もある。
あの魔法も便利そうだから覚えないとな。
そしたら先生ももっと楽に自分のやりたいようにやれるだろうし、元々煙草をよく吸う人はストレスが少ない人だ。
現状俺達に先生の負担を増しにしてやれない以上、出来る事からやってかないと何の意味もない。
大方、先生は起きて直ぐにやる事が喫煙なんだろう。
まるで初めからそこにあったかのように、何かを唱える事もなく。何らかの道具を使う訳でもなく、虚空から姿を現したライターと紙煙草の箱が出現し、その一本を―――取ろうとして、煉掟に頭を軽く小突かれる。
「……いってぇ。」
「子供の前だぞ、ティア。……今は我慢だ。」
「…………あぁ、そうか。……そっ、か。……おはよう、お前ら。」
「あ、あぁ……。おはよう、先生。」
「お、おはようございま~す。」
「……う、うん。おはよ、せんせ。」
「……? 何。」
「先生ってそっちが地声なん?」
「んあ……? ……あぁ、そう。こっちが地声。……ふふ、男より低いから誰か分かんねぇだろ。……悪ぃな、低くて。」
「そ、せ、責めたい訳じゃないんだ! むしろ威厳があってかっこいいと思う!」
「うん、びっくりはしたけど……でもやっぱりそれで良いと思う、俺も。だって先生はかっこいいから。」
「……せんせ、もうちょっと喋って。」
「めんどくせぇ……。……ほら、1回離れろって。ちょっと煙草吸って」
「そ・の・ま・え・に! 先生、朝ご飯作ったから食べて。先生の口に合うか分からないけど、ちゃんと作ったんだから。」
「…………? お前が……? あぁでも、そうか……。……前、言ってたな。何を……?」
「煉掟さんから色々教えてもらって、カレイの煮つけ、アサリの味噌煮、炊き込みご飯作った。丁度冷蔵庫に素材あって良かった……。」
「……煉掟。」
「軽く食事を済ませようと思っていたのか? そんな事をさせる訳がないだろう、しっかりと食べるんだ。……どうせあの地下室に住んでた時も結構そういう事をしてたんじゃないのか?」
「……シャルの過保護もすげぇから……そんな事も言ってられなかった。あいつもあいつでめっちゃうるせぇし……。……あぁでも、ちょっと朝からパンはきつい。」
「先生は、朝食は絶対ご飯じゃないと駄目なのか?」
「……パンより溜まるだろ、胃に。パンは……食ってる気がしねぇから論外。」
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第47話 どうしてもプレゼントしたくて」
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
もし作品を気に入っていただけましたら、ブックマークやスタンプで応援いただけると嬉しいです。
感想なども励みになります。
今後とも『夜に煌めく炉は蒼銀で』をよろしくお願いいたします。
第46話 朝はどうにも苦手で
――どうにも全てが鈍くなる。
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コンコンコンッ。
『すみません、ちょっと両手塞がってるんで誰か開けてくれません?』
「トルカ……?」
「お前やセイズよりもより早く起きて朝食の用意をな。まぁ大方、お前達の分も準備出来てるだろうよ。とりあえず開けてやったらどうだ。」
「それもそうだな。」
扉を開ければ煉掟の言う通り、そこに居るのはトルカだけだ。
いつもなら使用人達に作らせる事が多い物の、今回は先生が絡む関係もあって自分でやりたかったんだろう。
ホテルワゴンに色々と乗せて持ってきたらしい。
「あれ、ルシェル。起きてたんだ?」
「あぁ。セイズもついさっき起きてそこで読書してる。」
「……おはよ、トルカ。」
「おん、おはよう。先生どう?」
「せんせはまだ寝てるよ。1度も起きてない。」
「へぇ……。じゃ先生、相当疲れてたって事なのかなぁ。煉掟さん、ま、まだ先生は起こさない方が良いですか……?」
「……いや、俺も気は引けるが食事を抜かせて体調を悪化させるのも良くない。≪深淵からの呼び声≫、ティアを起こしてくれるか。」
【えぇ、任せて。】
何処からともなく現れた≪深淵からの呼び声≫にふー……っ……とまるでそよ風のように、漣のように優しく吹きかけられた吐息だけで目を覚ました先生は意外にも寝起きが悪いと言うか、寝起きに弱いらしい。
目が開いただけで非常にぼーっとしており、正直言って本当に起きているのかどうかですらも酷く怪しい。
そんな先生は≪深淵からの呼び声≫に背を押されたり、煉掟の手がその脇に入れられ、半ば無理に体を持ち上げられ、≪深淵からの呼び声≫に身を預けるようにして体を起こした事で、ようやっと目が覚めたらしい。
ただ忘れてはならない、先生は元々かなりのヘビースモーカーだ。
先生が元々住んでいた部屋である、学校の地下にあった部屋は基本的にいつだって煙草の匂いが充満していたし、俺達が来て数分後にはどういう原理なのか、一瞬にして換気されてその匂いが消えた事もある。
あの魔法も便利そうだから覚えないとな。
そしたら先生ももっと楽に自分のやりたいようにやれるだろうし、元々煙草をよく吸う人はストレスが少ない人だ。
現状俺達に先生の負担を増しにしてやれない以上、出来る事からやってかないと何の意味もない。
大方、先生は起きて直ぐにやる事が喫煙なんだろう。
まるで初めからそこにあったかのように、何かを唱える事もなく。何らかの道具を使う訳でもなく、虚空から姿を現したライターと紙煙草の箱が出現し、その一本を―――取ろうとして、煉掟に頭を軽く小突かれる。
「……いってぇ。」
「子供の前だぞ、ティア。……今は我慢だ。」
「…………あぁ、そうか。……そっ、か。……おはよう、お前ら。」
「あ、あぁ……。おはよう、先生。」
「お、おはようございま~す。」
「……う、うん。おはよ、せんせ。」
「……? 何。」
「先生ってそっちが地声なん?」
「んあ……? ……あぁ、そう。こっちが地声。……ふふ、男より低いから誰か分かんねぇだろ。……悪ぃな、低くて。」
「そ、せ、責めたい訳じゃないんだ! むしろ威厳があってかっこいいと思う!」
「うん、びっくりはしたけど……でもやっぱりそれで良いと思う、俺も。だって先生はかっこいいから。」
「……せんせ、もうちょっと喋って。」
「めんどくせぇ……。……ほら、1回離れろって。ちょっと煙草吸って」
「そ・の・ま・え・に! 先生、朝ご飯作ったから食べて。先生の口に合うか分からないけど、ちゃんと作ったんだから。」
「…………? お前が……? あぁでも、そうか……。……前、言ってたな。何を……?」
「煉掟さんから色々教えてもらって、カレイの煮つけ、アサリの味噌煮、炊き込みご飯作った。丁度冷蔵庫に素材あって良かった……。」
「……煉掟。」
「軽く食事を済ませようと思っていたのか? そんな事をさせる訳がないだろう、しっかりと食べるんだ。……どうせあの地下室に住んでた時も結構そういう事をしてたんじゃないのか?」
「……シャルの過保護もすげぇから……そんな事も言ってられなかった。あいつもあいつでめっちゃうるせぇし……。……あぁでも、ちょっと朝からパンはきつい。」
「先生は、朝食は絶対ご飯じゃないと駄目なのか?」
「……パンより溜まるだろ、胃に。パンは……食ってる気がしねぇから論外。」
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