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第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
第99話 押しつけ完了、っと
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【前回】必要に応じられてさらっと教員免許を獲得してしまったのをようやっと自覚したティア
第99話 押しつけ完了、っと
――逃がさないわよ?
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
「……じゃあまぁとりあえず、問題点を全部吐き出していきますのでそれに伴って各自、改善を図っていっていただければと思います。」
「え。ティア、手本見せてくれないの?」
「お前はどれだけ俺のキャパシティを圧迫したいんだ? ……ったく。では語学から。」
「は、はい!」
「まず、教科書を読んでいるだけだと取られても仕方ないのない様子だろうな。折角魔法学校の授業なんだ、何を言っているのか分からなくても、その時その時に関連する魔法を使って予測出来るようにすれば少しは印象に残るかと。元々、この世界だって今では異種族同士でも会話が出来るが数百年前まではそうでもなかった。」
「そうなんですか?」
「……シャル?」
「私もそんな文献読んだ事ないわよ。確かに“不思議だなぁ”とは思ってたけど。」
「不思議に思った事があんならちゃんと調べろよ……。まぁとにかく、数百年前まで遡れば今の環境というのは全く以て当たり前じゃない。それこそ、ジェスチャーとかで必死に意思疎通を図った結果に出来たのが今の社会体制なんだ。だからこそ、言葉の大切さについては特に説いていかなければならない。」
「し、師匠。」
「何だ。」
「こ、この学校……ルーン文字とエルフ文字、がね。す、凄く混同してるの。だからその、そこらへんの改善……とかも図ってくれたらも、もっと良い授業になると思うの。」
「……だそうだ。まぁ実際、授業に関する苦言っていうのは俺に聞くよりもこいつらに聞いた方が良いだろうな。…………色々納得はいってないが、磨く上で助言やらこういう文句ぐらいは幾らでも言ってやるから、こいつらも活用した方が良いんじゃないかとは思う。特に、リシェラとディールは四大大公家の人間なのもあって、幼い頃から俺を含む隠密機動メンバー各位からそれなりの授業を受けてる。俺よりもずっと優秀な苦言をくれるだろうさ。」
「……わ、私、師匠の役に立ててる?」
「これから立ってもらう。……まぁ、体に気を付けつつ頑張ってくれ。」
「……! うん、うん、任せて、師匠! わ、私、師匠の為に頑張るから!」
「くれぐれも倒れないように、な。……次、古代史。こっちは内容が内容なのもあるだろうが、さっきのように聞けば納得出来るような要素が強いのも歴史だ。ただまぁ興味がなければ面白くなくなりがちなこっちは語学よりもより魔法を活用し、そのつまらなさをカバーしなければあんたが幾ら努力や改善、工夫した所で水泡に帰す。」
「……楽しいのに。」
「ぼ、僕も歴史……楽しいと思う。」
「ディール。」
「う”っ。や、やっぱり私……?」
「お前は昔から歴史関連は全部悲惨な事になってたがその点、お前は何かを面白くするのが上手い。古代史に関してはお前が荒らしまくった方が良いだろうな。」
「それ、褒めてるつもり?」
「全力で貶してる。」
「真顔で言う事じゃないわよ、それ。」
「お前の歴史に対する興味と理解力のなさに比べれば全てがマシに思えるな。」
「う、うぐぐ……。」
「魔法史。こっちは……まぁ、ルードゥ先生がちょっと喋り過ぎな気もする。授業の内容、授業の仕方云々と言うよりはあんたが喋り過ぎてる。まぁ相当魔法史が好きなんだろうが、ここはあんたの話や意見を聞かせる場じゃなくて学生に学ばせる場。変に喋り過ぎるのはよした方が良い。」
「す、すみません……。どうにも熱が入ってしまって。」
「熱意があるのは悪い事じゃない。ただ、その熱意の使い方を間違えてるから気を付けた方が良い。まずはそれで何処まで変わるかを見ないとこれ以上は何も言えない。理科。こっちは……。………………普通に楽しい。」
「え。」
「ちょ、ティア?」
「……理科が楽しくない奴の気持ちが分からないんだが。確かにまぁ生物は俺もそんなに好きじゃないけど。」
「はぁ……。何で絶好調だったのに、急に落ちるのよ。」
「なら聞くが、お前は自分が好きな物に対してもっとより良くする為の問題点を出してくれと言われてぱっと出るのか?」
「……無理。」
「そういう事だ。」
とはいえ、このまま何も言わないというのも問題ではある。
実際問題、さっきの歴史関連でもそうだったがどの科目でもそれを楽しめる人も居れば、楽しめない人も居る。完璧ではないだろうが、それでも多少は万人受けに近付ける努力は必要だろう。
うーん……。
「折角実験を許可されてる授業なんだし、教員が見本として実験をする場合には魔法を使って。生徒達が実験をする際は実験器具を敢えて使わせ、魔法に依存させないとかな。次は……音楽か。これはまぁ……シャンディア先生の教え方、というよりは教科書の方に問題があるんじゃないかと俺は思ってる。」
「教科書……ですか?」
「あぁ。実物を見ている訳じゃないからあんまり詳しい事は言えんが、まだかなり古い教科書を使ってるか、教科書の基準が低いかのどっちかの方が納得がいくぐらいには酷い。」
「じゃあ、作ってくれる?」
「……言うとは思ったが本当に言うとは。」
「てぃ~あ。」
流石にこれは押し付けられねぇか。
「……まぁ、考えてはおく。次に……数学。」
「ど、どうでした?」
「……頭が痛い。」
「うっ。」
「……これでも俺は元々数学が得意じゃないんだ。だからまぁ多分、誰が数学の授業をしても痛いには痛いんだろうが……生憎、流石の俺も長い間続けるのは難しいな。」
「数学……楽しいよ?」
「わ、私も楽しいと思います。」
「ならお前らがやってくれ……。正直、数学に関しては本当にお手上げだ。」
「……大丈夫?」
「大丈夫。……それで? お前のも見ろって?」
「な、何で見てくれないの? 凄く気になるんだけど。」
「……いや、別にルシウス達の成績見てんだからわざわざ言う必要なんてないと思ってるんだが。」
「なんて言いながら、ちゃんと動画は見てくれてたじゃない!」
「……………………つーか、お前の授業は色々と問題が多いんだよ。」
「もっと詳しく。」
「……お前が全く教え方をされて何故そうなるのか分かるか? どういう原理でそうなって、どういう法則が働いてそうなるのか。どういう事をしたらどうなるのか。どういう事をしたら危険な物に変わり、どういう事をしなければ安全な物であり続けられるのか。そういう事を本来基礎と呼ぶべきなんだよ。前提知識がないのに化学式をなり建てようとしているようなもんだ。元素の名前も知らないのにH2とO2を足して? なんて言われても何で周期表上はHとOなのに2が付いているのか、なんて質問が飛んできても文句言えねぇんだからな。」
「私自身も、ちゃんと魔法について分かってないって事?」
「ずっとそう言ってる。それでもまぁ……何とかなってるのはこの3人だったり、あの2人だったりが上手くバランスを取ってくれてるから。一応報告は聞いてるぞ、あいつらクラスメイトに教えてるって。生徒に負けてどうするんだ、お前。」
「うぐっ。」
「そもそもとして、お前が担当してる魔法学って言うのはこの学校で最も重要視されるべきであり、何よりそれ相応にしっかりとしなければならない科目。他の授業とは違って“模倣されてしまう事”の危険性も教えなければならない。魔法は悪用を防ぎ、応用を重ね、常に進化を遂げ続ける分野。科学と同じく魔法使いというのはそもそも研究者なんだ。色んな魔法を調べて、“オリジナルの魔法を作る”。それが本来魔法と魔法使いのあるべき姿だ。……それをありのまま教えているようではシャルを魔法使いと呼ぶより、歴史上ではただの危険人物と捉えられても何ら違和感がない。」
「……はい。」
「……もっと頭を使え。お前、地頭が良いんだから。」
「ちなみにだけど……ティア。」
言わんとしている事は分かる。そして、不愉快な事にそれが最善手である事を分かってしまっている。
誰に何を言われようと、王城内でもそうだがこの国で魔法に一番詳しいのは俺だ。自惚れでも何でもなく、事実としてそうだ。それを証明する為の大会のような物にも毎年出場し、数年前に殿堂入りして久しい。
まぁ、それぐらい良いか。
「……教科書だろ。作ってやる。」
「ありがとう、ティア……!」
「今回だけだからな。」
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第100話 この阿呆夫妻は……。」
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
もし作品を気に入っていただけましたら、ブックマークやスタンプで応援いただけると嬉しいです。
感想なども励みになります。
今後とも『夜に煌めく炉は蒼銀で』をよろしくお願いいたします。
第99話 押しつけ完了、っと
――逃がさないわよ?
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「……じゃあまぁとりあえず、問題点を全部吐き出していきますのでそれに伴って各自、改善を図っていっていただければと思います。」
「え。ティア、手本見せてくれないの?」
「お前はどれだけ俺のキャパシティを圧迫したいんだ? ……ったく。では語学から。」
「は、はい!」
「まず、教科書を読んでいるだけだと取られても仕方ないのない様子だろうな。折角魔法学校の授業なんだ、何を言っているのか分からなくても、その時その時に関連する魔法を使って予測出来るようにすれば少しは印象に残るかと。元々、この世界だって今では異種族同士でも会話が出来るが数百年前まではそうでもなかった。」
「そうなんですか?」
「……シャル?」
「私もそんな文献読んだ事ないわよ。確かに“不思議だなぁ”とは思ってたけど。」
「不思議に思った事があんならちゃんと調べろよ……。まぁとにかく、数百年前まで遡れば今の環境というのは全く以て当たり前じゃない。それこそ、ジェスチャーとかで必死に意思疎通を図った結果に出来たのが今の社会体制なんだ。だからこそ、言葉の大切さについては特に説いていかなければならない。」
「し、師匠。」
「何だ。」
「こ、この学校……ルーン文字とエルフ文字、がね。す、凄く混同してるの。だからその、そこらへんの改善……とかも図ってくれたらも、もっと良い授業になると思うの。」
「……だそうだ。まぁ実際、授業に関する苦言っていうのは俺に聞くよりもこいつらに聞いた方が良いだろうな。…………色々納得はいってないが、磨く上で助言やらこういう文句ぐらいは幾らでも言ってやるから、こいつらも活用した方が良いんじゃないかとは思う。特に、リシェラとディールは四大大公家の人間なのもあって、幼い頃から俺を含む隠密機動メンバー各位からそれなりの授業を受けてる。俺よりもずっと優秀な苦言をくれるだろうさ。」
「……わ、私、師匠の役に立ててる?」
「これから立ってもらう。……まぁ、体に気を付けつつ頑張ってくれ。」
「……! うん、うん、任せて、師匠! わ、私、師匠の為に頑張るから!」
「くれぐれも倒れないように、な。……次、古代史。こっちは内容が内容なのもあるだろうが、さっきのように聞けば納得出来るような要素が強いのも歴史だ。ただまぁ興味がなければ面白くなくなりがちなこっちは語学よりもより魔法を活用し、そのつまらなさをカバーしなければあんたが幾ら努力や改善、工夫した所で水泡に帰す。」
「……楽しいのに。」
「ぼ、僕も歴史……楽しいと思う。」
「ディール。」
「う”っ。や、やっぱり私……?」
「お前は昔から歴史関連は全部悲惨な事になってたがその点、お前は何かを面白くするのが上手い。古代史に関してはお前が荒らしまくった方が良いだろうな。」
「それ、褒めてるつもり?」
「全力で貶してる。」
「真顔で言う事じゃないわよ、それ。」
「お前の歴史に対する興味と理解力のなさに比べれば全てがマシに思えるな。」
「う、うぐぐ……。」
「魔法史。こっちは……まぁ、ルードゥ先生がちょっと喋り過ぎな気もする。授業の内容、授業の仕方云々と言うよりはあんたが喋り過ぎてる。まぁ相当魔法史が好きなんだろうが、ここはあんたの話や意見を聞かせる場じゃなくて学生に学ばせる場。変に喋り過ぎるのはよした方が良い。」
「す、すみません……。どうにも熱が入ってしまって。」
「熱意があるのは悪い事じゃない。ただ、その熱意の使い方を間違えてるから気を付けた方が良い。まずはそれで何処まで変わるかを見ないとこれ以上は何も言えない。理科。こっちは……。………………普通に楽しい。」
「え。」
「ちょ、ティア?」
「……理科が楽しくない奴の気持ちが分からないんだが。確かにまぁ生物は俺もそんなに好きじゃないけど。」
「はぁ……。何で絶好調だったのに、急に落ちるのよ。」
「なら聞くが、お前は自分が好きな物に対してもっとより良くする為の問題点を出してくれと言われてぱっと出るのか?」
「……無理。」
「そういう事だ。」
とはいえ、このまま何も言わないというのも問題ではある。
実際問題、さっきの歴史関連でもそうだったがどの科目でもそれを楽しめる人も居れば、楽しめない人も居る。完璧ではないだろうが、それでも多少は万人受けに近付ける努力は必要だろう。
うーん……。
「折角実験を許可されてる授業なんだし、教員が見本として実験をする場合には魔法を使って。生徒達が実験をする際は実験器具を敢えて使わせ、魔法に依存させないとかな。次は……音楽か。これはまぁ……シャンディア先生の教え方、というよりは教科書の方に問題があるんじゃないかと俺は思ってる。」
「教科書……ですか?」
「あぁ。実物を見ている訳じゃないからあんまり詳しい事は言えんが、まだかなり古い教科書を使ってるか、教科書の基準が低いかのどっちかの方が納得がいくぐらいには酷い。」
「じゃあ、作ってくれる?」
「……言うとは思ったが本当に言うとは。」
「てぃ~あ。」
流石にこれは押し付けられねぇか。
「……まぁ、考えてはおく。次に……数学。」
「ど、どうでした?」
「……頭が痛い。」
「うっ。」
「……これでも俺は元々数学が得意じゃないんだ。だからまぁ多分、誰が数学の授業をしても痛いには痛いんだろうが……生憎、流石の俺も長い間続けるのは難しいな。」
「数学……楽しいよ?」
「わ、私も楽しいと思います。」
「ならお前らがやってくれ……。正直、数学に関しては本当にお手上げだ。」
「……大丈夫?」
「大丈夫。……それで? お前のも見ろって?」
「な、何で見てくれないの? 凄く気になるんだけど。」
「……いや、別にルシウス達の成績見てんだからわざわざ言う必要なんてないと思ってるんだが。」
「なんて言いながら、ちゃんと動画は見てくれてたじゃない!」
「……………………つーか、お前の授業は色々と問題が多いんだよ。」
「もっと詳しく。」
「……お前が全く教え方をされて何故そうなるのか分かるか? どういう原理でそうなって、どういう法則が働いてそうなるのか。どういう事をしたらどうなるのか。どういう事をしたら危険な物に変わり、どういう事をしなければ安全な物であり続けられるのか。そういう事を本来基礎と呼ぶべきなんだよ。前提知識がないのに化学式をなり建てようとしているようなもんだ。元素の名前も知らないのにH2とO2を足して? なんて言われても何で周期表上はHとOなのに2が付いているのか、なんて質問が飛んできても文句言えねぇんだからな。」
「私自身も、ちゃんと魔法について分かってないって事?」
「ずっとそう言ってる。それでもまぁ……何とかなってるのはこの3人だったり、あの2人だったりが上手くバランスを取ってくれてるから。一応報告は聞いてるぞ、あいつらクラスメイトに教えてるって。生徒に負けてどうするんだ、お前。」
「うぐっ。」
「そもそもとして、お前が担当してる魔法学って言うのはこの学校で最も重要視されるべきであり、何よりそれ相応にしっかりとしなければならない科目。他の授業とは違って“模倣されてしまう事”の危険性も教えなければならない。魔法は悪用を防ぎ、応用を重ね、常に進化を遂げ続ける分野。科学と同じく魔法使いというのはそもそも研究者なんだ。色んな魔法を調べて、“オリジナルの魔法を作る”。それが本来魔法と魔法使いのあるべき姿だ。……それをありのまま教えているようではシャルを魔法使いと呼ぶより、歴史上ではただの危険人物と捉えられても何ら違和感がない。」
「……はい。」
「……もっと頭を使え。お前、地頭が良いんだから。」
「ちなみにだけど……ティア。」
言わんとしている事は分かる。そして、不愉快な事にそれが最善手である事を分かってしまっている。
誰に何を言われようと、王城内でもそうだがこの国で魔法に一番詳しいのは俺だ。自惚れでも何でもなく、事実としてそうだ。それを証明する為の大会のような物にも毎年出場し、数年前に殿堂入りして久しい。
まぁ、それぐらい良いか。
「……教科書だろ。作ってやる。」
「ありがとう、ティア……!」
「今回だけだからな。」
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