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第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
第107話 一種の供養に丁度良い
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【前回】トルニアは精霊達に祝福されている事が分かった
第107話 一種の供養に丁度良い
――お前達も見ているだけはもどかしかっただろうしな。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
俺達が魔法が使えない、非魔法師及び非魔導師なのであれば乗り物の荷台に乗せたり。一度家へ持ち帰ったりするのだが、生憎と俺達は魔法師及び魔導師。わざわざ持って帰らずとも専用のアイテムや異空間に放り込んでしまえば可視化出来る範囲で荷物を持つ必要などない。
何にせよ、大量の荷物を持って足を運んだリューンジュ家。
聞けば、ギルガ達がかる~く調べただけでも無数に重罪が出てきたそうで、この後何が出ようと延命刑は決まっているらしい。
他国では最高刑と呼ばれる死刑ではあるが、この国において死刑は最高刑なりえない。
その理屈は酷く簡単で。
人を散々苦しめてきた癖に、自分はさっさと楽になろうなんて随分と舐めた思考回路してやがるなぁ?
その一言に尽きる。
一応、この国は大陸で一二を争う魔法国家。
それも相まって、魔法を用いた刑罰も当然存在する。その内の1つが終身刑ならぬ延命刑と呼ばれる。
内容はシンプルで罪の数だけ寿命が無理矢理引き延ばされて。病気や怪我はするが年齢は刑務所に放り込まれた時のままずっと魔法で固定され、ひたすらに拷問を受けるという物。
軽い罪や平均的な罪の場合は魔法を用いない刑罰が多いが重罪だったり。知能指数が下がるが超重罪と呼べてしまうような事があれば分類的には通常刑から魔法刑という物に全て切り替わる。
殆どスパイにやるような事をここでもやる。生爪を剝がしたり、生皮を剥いだり、何なら肉を削いで自分の骨を自分で見られるようにするとか。
楽しいんだけどな。
それはさておき、トルニアのような精神的虐待ではなく物理的な虐待を受けていたセディルズにとっては……かなり息が苦しい場所らしい。
ずっと俺の傍にくっ付いては離れようとせず、気を遣ってはいつも俺から離れないギルとニーナが離れてすらも居る。
薄情という訳ではないが……あそこまで距離を取ってるのは初めて見るな。しかも、気を遣って。
「……。」
「大丈夫だ、ちゃんとここに居る。何も怯える必要はない。」
それも無理はない。
ここの腐り具合はかなりの物で、当主だけならまだしもこの屋敷の使用人全員が何らかの前科持ち。又は、現在進行形で犯罪行為を副業がてら行っていると来た。
そんな所に置かれた子供が日々怯えて暮らさない訳がなく。同時に、精神的に甚大なダメージが入らない訳もない。
「セディルズ、お前の部屋は?」
「…………1階の、一番端の部屋だったような。」
「行こうか。」
「せ、せんせさえ良かったら……せ、せんせが扉、開けてくれません、か。」
「あぁ。分かった。」
多少は歩きにくい物の、贅沢は言っていられない。こんな事で満足出来るならそれで良いだろう。
そんな軽い気持ちで歩いているが、この屋敷は先に訪れたケリューカ家とは違って魔法的な問題はそこまでないらいし。
その代わりと言っては色々と物が押収され、何も置いていないこの廊下はかなり新鮮に思える。
辿り着いた、教えられていた扉を開ければ……まぁ、ある程度は予想通り。
念の為、何かあった時の事を考慮してルシウス達を庇うように前へ出て扉を開けてみれば中は荒れ放題。
あまりの量で持ち出せなかったと聞いていた、ルシウスやトルニアから貰った思い出の品なども多数あっただろうがこれでは判別も難しい。
物と言う物は全て壊れ、流石に窓は壊れていない物の天井のランプは破損して。ベッドを始めとした家具も全て壊れて話にならないと来た。
これではここだけ廃屋にでもなっているような場所だ。
ったく、親って言うのはいつの時代も無責任な奴が居るもんだな。権力に眩み、金に目がくらみ、その程度の理由でお前らの無駄な利益に子供を巻き込むなっての。
「…………ごめん、ルシウス。トルニア。……ごめ、ん。」
「き、気にする事ないって! そんな事よりほら、セディルズが無事やった事の方がええって!」
「あ、あぁそうだ、トルニアの言う通りだ! こんな場所に無理していたら、それこそ色々と危なかっただろうからな、うん!」
「それにさ、物なんて幾らでも手に入るやん。やから何も気にせんでええて。」
「……わ、私も、私もそう、思う! その、な、何も知らない癖にってお、思っちゃうかも知れないけど、そ、それでも思い出は色褪せないし、い、命は何よりも尊い物だから!」
「……えぇ、こればっかりは私も同意。貴方は十分頑張ったのよ、セディルズ。もう報われても良いはずよ。」
「……ティア。」
「……僕も構わないと思う。」
「そうか。」
「せ、せんせ……?」
「折角だ、良い物を見せてやる。」
歌うように、声を躍らせるように音色に魔力を乗せて語り掛ける。
魔力に満ち足りたこの世界では先程訪れたケリューカ家のように、実を言ってしまえば特定の条件を満たすだけで簡単に普段は会う事も。視界に納める事も出来ない生き物達に
事が出来る。
それは世界の階層が違いだけで、同じ場所を共有しているという説明が非常に難しい場所に彼らが居るから。
但し、階層が違うからこそ幾ら同じ場所を共有していたとしても邂逅する事が叶わない。それは、殆ど霊感持ちしか幽霊を視れないのとほぼ同じ状況だったりする。
お前達もずっと、ここで見ていたんだろう? なら……この子の事は憐れんでやってくれても良いんじゃないか?
声は、聴き届けられた。
姿は現さない物の、色も強さも優しい竜巻が吹き荒れては室内の物の時間をその鱗粉が触れた所から全て巻き戻していく。
壊れる前に。荒らされる前に。全てを、巻き戻す。
うし。
「ぇ……。」
「「「おぉ~!!」」」
「さっすが師匠!」
「やっぱり、ここでも精霊さんが視ててくれたんだぁ……!」
「さぁ、引っ越しを始めようか。さっさと荷物を纏めて、こんな場所は忘れてしまおう。」
「っ、はい!」
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第108話 全ては彼らを護り、適切な距離を保つ為に」
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
もし作品を気に入っていただけましたら、ブックマークやスタンプで応援いただけると嬉しいです。
感想なども励みになります。
今後とも『夜に煌めく炉は蒼銀で』をよろしくお願いいたします。
第107話 一種の供養に丁度良い
――お前達も見ているだけはもどかしかっただろうしな。
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俺達が魔法が使えない、非魔法師及び非魔導師なのであれば乗り物の荷台に乗せたり。一度家へ持ち帰ったりするのだが、生憎と俺達は魔法師及び魔導師。わざわざ持って帰らずとも専用のアイテムや異空間に放り込んでしまえば可視化出来る範囲で荷物を持つ必要などない。
何にせよ、大量の荷物を持って足を運んだリューンジュ家。
聞けば、ギルガ達がかる~く調べただけでも無数に重罪が出てきたそうで、この後何が出ようと延命刑は決まっているらしい。
他国では最高刑と呼ばれる死刑ではあるが、この国において死刑は最高刑なりえない。
その理屈は酷く簡単で。
人を散々苦しめてきた癖に、自分はさっさと楽になろうなんて随分と舐めた思考回路してやがるなぁ?
その一言に尽きる。
一応、この国は大陸で一二を争う魔法国家。
それも相まって、魔法を用いた刑罰も当然存在する。その内の1つが終身刑ならぬ延命刑と呼ばれる。
内容はシンプルで罪の数だけ寿命が無理矢理引き延ばされて。病気や怪我はするが年齢は刑務所に放り込まれた時のままずっと魔法で固定され、ひたすらに拷問を受けるという物。
軽い罪や平均的な罪の場合は魔法を用いない刑罰が多いが重罪だったり。知能指数が下がるが超重罪と呼べてしまうような事があれば分類的には通常刑から魔法刑という物に全て切り替わる。
殆どスパイにやるような事をここでもやる。生爪を剝がしたり、生皮を剥いだり、何なら肉を削いで自分の骨を自分で見られるようにするとか。
楽しいんだけどな。
それはさておき、トルニアのような精神的虐待ではなく物理的な虐待を受けていたセディルズにとっては……かなり息が苦しい場所らしい。
ずっと俺の傍にくっ付いては離れようとせず、気を遣ってはいつも俺から離れないギルとニーナが離れてすらも居る。
薄情という訳ではないが……あそこまで距離を取ってるのは初めて見るな。しかも、気を遣って。
「……。」
「大丈夫だ、ちゃんとここに居る。何も怯える必要はない。」
それも無理はない。
ここの腐り具合はかなりの物で、当主だけならまだしもこの屋敷の使用人全員が何らかの前科持ち。又は、現在進行形で犯罪行為を副業がてら行っていると来た。
そんな所に置かれた子供が日々怯えて暮らさない訳がなく。同時に、精神的に甚大なダメージが入らない訳もない。
「セディルズ、お前の部屋は?」
「…………1階の、一番端の部屋だったような。」
「行こうか。」
「せ、せんせさえ良かったら……せ、せんせが扉、開けてくれません、か。」
「あぁ。分かった。」
多少は歩きにくい物の、贅沢は言っていられない。こんな事で満足出来るならそれで良いだろう。
そんな軽い気持ちで歩いているが、この屋敷は先に訪れたケリューカ家とは違って魔法的な問題はそこまでないらいし。
その代わりと言っては色々と物が押収され、何も置いていないこの廊下はかなり新鮮に思える。
辿り着いた、教えられていた扉を開ければ……まぁ、ある程度は予想通り。
念の為、何かあった時の事を考慮してルシウス達を庇うように前へ出て扉を開けてみれば中は荒れ放題。
あまりの量で持ち出せなかったと聞いていた、ルシウスやトルニアから貰った思い出の品なども多数あっただろうがこれでは判別も難しい。
物と言う物は全て壊れ、流石に窓は壊れていない物の天井のランプは破損して。ベッドを始めとした家具も全て壊れて話にならないと来た。
これではここだけ廃屋にでもなっているような場所だ。
ったく、親って言うのはいつの時代も無責任な奴が居るもんだな。権力に眩み、金に目がくらみ、その程度の理由でお前らの無駄な利益に子供を巻き込むなっての。
「…………ごめん、ルシウス。トルニア。……ごめ、ん。」
「き、気にする事ないって! そんな事よりほら、セディルズが無事やった事の方がええって!」
「あ、あぁそうだ、トルニアの言う通りだ! こんな場所に無理していたら、それこそ色々と危なかっただろうからな、うん!」
「それにさ、物なんて幾らでも手に入るやん。やから何も気にせんでええて。」
「……わ、私も、私もそう、思う! その、な、何も知らない癖にってお、思っちゃうかも知れないけど、そ、それでも思い出は色褪せないし、い、命は何よりも尊い物だから!」
「……えぇ、こればっかりは私も同意。貴方は十分頑張ったのよ、セディルズ。もう報われても良いはずよ。」
「……ティア。」
「……僕も構わないと思う。」
「そうか。」
「せ、せんせ……?」
「折角だ、良い物を見せてやる。」
歌うように、声を躍らせるように音色に魔力を乗せて語り掛ける。
魔力に満ち足りたこの世界では先程訪れたケリューカ家のように、実を言ってしまえば特定の条件を満たすだけで簡単に普段は会う事も。視界に納める事も出来ない生き物達に
事が出来る。
それは世界の階層が違いだけで、同じ場所を共有しているという説明が非常に難しい場所に彼らが居るから。
但し、階層が違うからこそ幾ら同じ場所を共有していたとしても邂逅する事が叶わない。それは、殆ど霊感持ちしか幽霊を視れないのとほぼ同じ状況だったりする。
お前達もずっと、ここで見ていたんだろう? なら……この子の事は憐れんでやってくれても良いんじゃないか?
声は、聴き届けられた。
姿は現さない物の、色も強さも優しい竜巻が吹き荒れては室内の物の時間をその鱗粉が触れた所から全て巻き戻していく。
壊れる前に。荒らされる前に。全てを、巻き戻す。
うし。
「ぇ……。」
「「「おぉ~!!」」」
「さっすが師匠!」
「やっぱり、ここでも精霊さんが視ててくれたんだぁ……!」
「さぁ、引っ越しを始めようか。さっさと荷物を纏めて、こんな場所は忘れてしまおう。」
「っ、はい!」
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