夜に煌めく炉は蒼銀で

夜櫻 雅織

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第二章:一年生二学期 ご無沙汰、我が家

第2話 全ては役目を果たしてから

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【前回】船に乗って、本土へ
第2話 全ては役目を果たしてから

――物事は順番に、そして着実に。

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「ただいま、我が家。」
「ディール、約束憶えとるやろな。」
「ちゃぁ~んと憶えてるわよ。剣の稽古でしょ? 約束したからにはちゃんと付き合ってあげるわよ。……でも私、この手の事は手を抜きたくないのよね。幾ら日頃から色々と家事全般をしてくれているとはいえ、加減してもらえるとは思わない事ね。」
「願ってもないわ。最初から最後まで、容赦なく頼む。」
「そういう事なら大船に乗って良いわよ、ベク師匠から得た技術を全部叩き込んでやるもの。」

 俺達七漣星の私用利用、又は療養地としている内の1つであるあの島。あそこへ彼らを連れて行った事は結果として色んな結果をもたらしてくれた。
 まず、俺がずっと景色を楽しみながら寝たり。時々は精霊達に寄り添われて熟睡していたりした所為か、何かと俺にちょっかいを掛けてきていたあいつらは精霊達や、自分達の中で遊ぶ事を覚えたらしい。
 ルシウスとセディルズ、リシェラは魔法に関する研究を重ね。見ての通り、トルニアとディールは剣術に精を出すようになった。
 個人的には我々七漣星と同じく、この帝国を古くから共に支えてきた四大大公家の1人であるリシェラが歳の近い友人を得られた事は非常に喜ばしい。それも、同じ四大大公家以外の者と。
 学者がよく生まれる傾向にあるウィータ大公家は比較的、大人しい性格の後継が生まれ易い。そして、リシェラもその例から洩れなかった。
 むしろ、リシェラはウィータ大公家の血筋でもかなり臆病な部類で、初めて俺と会った時でさえもびくびくとして。いつも、母親の陰に隠れては顔まで逸らす程に人を怖がり、強い人見知りだった。
 そんな子供が今は同じく四大大公家が1つ、ヘメレ家の御令嬢のディール以外の友人を作り、共に勉学に勤しんでいると知ればあの両親の事だ、泣いて喜ぶ可能性ですらもある。

 対して、四大大公家の溶岩口もこうして大人しくなったのも収穫か。

 四大大公家の溶岩口。これはヘメレ家の代名詞であり、当然ながらそこの御令嬢たるディールもそれに該当する。
 大人しい者の多いウィータ家に対し、ヘメレ家は異常な程に活発かつ熱血的な性格の人間が生まれ易い。その上、剣術と商業の才に富んでいる事から明るく元気過ぎる事からウィータ家とが真逆の意味で手に負えない。

 まぁでも、会話すら難しかったリシェラと落ち着く事すらまともに出来なかったディールには良い経験になったんだろうな。結果オーライか。

「……書かなきゃいけねぇよなぁ。」
「何の話?」
「ウィータ家とヘメレ家宛ての手紙。」
「あぁ~……。そういえば、この子達が幼少期の時に僕達が預かった時も出してたね。確か、ティアの意見や僕達の意見が欲しいんだっけ?」
「あぁ。親として、子供の様子が知りたいってのも勿論なんだろうが、実践的。又は実用的な面でも色々気にしてるんだろうよ。四大大公家ってのもあって命は狙われるし、ある程度の実力を求められる。だが彼らもそこを追求し過ぎる程、人間を辞めていない。」
「“適性があるようなら、何処までも伸ばしてあげてほしい。役目は果たしてもらわなければならないが、だからといって子供達の趣味にまで口を出す気はない”。」
「子供の将来の夢やら憧れを趣味と呼称する辺りは流石だが、それでも言葉遣いに問題があるだけであいつらの行いは個人を尊重している事に違いはない。……実際、あいつらは口だけじゃない。」
「やらなければならない事さえ終わってたら文字通り、何でも許しちゃうもんねぇ……。厳しいのか、甘いのか。」
「責務を正しく果たしているのであれば俺も別にそれで良い。」
「別に、僕も否定する気はないよ。……さ、僕達も中に入ろっか。僕も手紙書かなきゃだしさ。」
「あぁ。」


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――次回「第3話 言ってられるのも今の内だろうが」

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