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第二章:一年生二学期 ご無沙汰、我が家
第5話 切り札は幾つも持ち、可能な限り隠す物
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【前回】魔法だけでなく、剣術も教える事にした
第5話 切り札は幾つも持ち、可能な限り隠す物
――切れるカードが多ければ多い程に寿命は延びる。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
「さぁお前ら、そこから好きに自分の使いたい武器を選んでこい。」
「え、先生俺らと組手してくれるん!?」
「授業だからな。ほれ、さっさと選べ。」
本来、このシャレル魔導学校で剣術を始めとした実技訓練及び授業は高学年及び中学年からやる物であって、こんな第1年生の2学期からやるような物ではない。
それでもこうやっているのはディアルが俺の好きにして良いと言ってくれたからこその物で、俺の経験上実技に関しては早ければ早い方が良い。むしろ、遅いと困る。
何でもそうだが癖という物が付くので身体的にも、精神的にも、価値観的にも、そして思考的にも柔軟な子供の時期というのは吸収力がとんでもない。それこそ触れるだけで泉の水を枯らしてしまう程に伸びしろがある訳なのだが、それも人によって個人差がある。
それに対し、大人というのは極端に吸収力がない。
これまで自分が培ってきた物がある所為で余計な固定概念や基礎概念が自分の中で組み立てられてしまっており、更にはそこに無駄なプライドなんて物でコーティングされている所為でまともな判断力を持っていない。
勿論、その判断力というのは物事を軽んじるという意味だ。
大人であるからこそそれなりにしっかりとしていて、まともな判断力を有してはいるのだが意外にも本能と知能の両方で考える子供には劣るという論文が幾つもある。それもこれも成長するにつれて自然と疎かにしてしまう好奇心、チャレンジ精神、そして何より偏見を持たないという3点を捨ててしまうから。
視野が狭いと死野が拡がるからな。視野の広さの素晴らしさを教えるのはなるべく早い方が良い。
一応持ってはいるが、全く使う事のない俺用のレイピア。手加減をすれば良いので今回は真剣しか持ってきていない。
一方で、今回こいつらの為に用意した武器は全て木造。まぁ中には本物の武器と近付ける為にしっかりと分量を調整した上で鉄が少量入っている為、場合によっては持ち上げる事すら出来なくて組手どころではない可能性も大いにある。
「先生はレイピアなのか?」
「あぁ。俺が七漣星に入団した際、七漣星最高指揮官たるジルディルに貰った物だ。……まぁ、俺は魔法特化型だからこんな武器を使う事は大分限られてはいるんだがな。それでもまだ俺が純粋だった頃はこのレイピアを利用し、如何にして新しい魔法を作ったもんだ。……それで? 武器は決まったのか。」
「俺は剣にした!」
「俺も。……まぁ、俺は剣でも大剣やねんけど。」
「ぼ、僕はレイピア。せんせと……お揃い。」
「……ちゃんと考えた上で選んでるんだろうな、それは。」
「うん。僕、あんまり筋肉ないし……。最初は弓も考えたけど、元々魔法が遠距離……だから。近付かれたら危ないもん。」
「もっちろん私も剣よ! 元々師匠が私に教えてくれたのも剣だったもの!」
「……あれはご当主に剣を教えるよう言われたからなんだが。」
「え、そうなの!?」
「わ、私は……双剣。」
ほう?
「という事はあれを見せてくれるのか?」
「そ、それは……。……ま、だ。」
「そうか。まぁ時が来るのを大人しく待つか。」
「それで……先生。この後はどうするんだ?」
「俺がお前達の魔法の腕を確かめた時と一緒だ、好きに好きなだけ打ち込んでこい。全員纏めて掛かってきて良いぞ、その程度でやられる俺ではないからな。一応怪我をしても軽く済むように木造の武器にはしたが……まぁ、腕や足が千切れない限りは俺の回復魔法でも治してやれるから安心しろ。」
「…………先生は手足が千切れるような場所に居た事があるのか?」
「むしろ戦場で、何故手足が千切れないと思ってる? むしろそれでも生きて帰れたら十分だろう。」
「……。」
「雑談もそろそろ終わりにしろ、さっさと来い。」
1つ断っておくが、別に俺は剣術をこいつらに教える気はない。
貴族や王族ではよくある話だが、俺はあまり流派的な物に興味はない。あれも固定概念の1つであり、そして何より死野を拡げてしまいかねない。
そもそもとしてどうしても流派を持ちたいのであれば多数持つべきだと思う。そうでなければ1つでも対策を打たれてしまえばそれだけで威力が半減してしまうという勿体ない事になってしまう為、それであれば最初から流派なんて叩き込まずに自由にやらせる方が良い。
その方がもし彼ら何かと相対する時にある程度の法則が分かるよりも何もかもが未知数の方が戦場では有利になる。
だからこそ、敢えて法則性が全くない我流、又は自由形の方が良い。このまま好きに打ち込ませて自分達なりに対処法を戦いの中で見つけてくれるような形になってくれなければ困る。
まぁでもこれは出自が出たか。
比較的トルニアは動ける物の、やはりディールとリシェラには敵わない。
幼い頃から2人を見てきたので分かっている事ではあるのだが、何方も武術としてそれなりに完成している。
女性というのは比較的筋肉が付きにくく、それもこれも子供を産む為に脂肪を蓄える為だとは聞くがそれでもこの2人に関しては良い感じに成長しているらしい。ディールの剣はまるで薙ぐように使われており、斬撃というよりは打撃のイメージが強い。これでも真剣を持たせれば人を真っ二つに出来てしまうのだが。
対して、リシェラ。此方は称するなら蝶のように舞い、蜂のように刺すだろうか。かなり慣れた様子で双剣を揮っている。
一撃の重さに速度。何方もそれぞれ自分達の特徴を活かせているようだな。……とりあえず、このまま好きに打たせ続けてみるか。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第6話 平和を憂う」
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
もし作品を気に入っていただけましたら、ブックマークやスタンプで応援いただけると嬉しいです。
感想なども励みになります。
今後とも『夜に煌めく炉は蒼銀で』をよろしくお願いいたします。
第5話 切り札は幾つも持ち、可能な限り隠す物
――切れるカードが多ければ多い程に寿命は延びる。
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「さぁお前ら、そこから好きに自分の使いたい武器を選んでこい。」
「え、先生俺らと組手してくれるん!?」
「授業だからな。ほれ、さっさと選べ。」
本来、このシャレル魔導学校で剣術を始めとした実技訓練及び授業は高学年及び中学年からやる物であって、こんな第1年生の2学期からやるような物ではない。
それでもこうやっているのはディアルが俺の好きにして良いと言ってくれたからこその物で、俺の経験上実技に関しては早ければ早い方が良い。むしろ、遅いと困る。
何でもそうだが癖という物が付くので身体的にも、精神的にも、価値観的にも、そして思考的にも柔軟な子供の時期というのは吸収力がとんでもない。それこそ触れるだけで泉の水を枯らしてしまう程に伸びしろがある訳なのだが、それも人によって個人差がある。
それに対し、大人というのは極端に吸収力がない。
これまで自分が培ってきた物がある所為で余計な固定概念や基礎概念が自分の中で組み立てられてしまっており、更にはそこに無駄なプライドなんて物でコーティングされている所為でまともな判断力を持っていない。
勿論、その判断力というのは物事を軽んじるという意味だ。
大人であるからこそそれなりにしっかりとしていて、まともな判断力を有してはいるのだが意外にも本能と知能の両方で考える子供には劣るという論文が幾つもある。それもこれも成長するにつれて自然と疎かにしてしまう好奇心、チャレンジ精神、そして何より偏見を持たないという3点を捨ててしまうから。
視野が狭いと死野が拡がるからな。視野の広さの素晴らしさを教えるのはなるべく早い方が良い。
一応持ってはいるが、全く使う事のない俺用のレイピア。手加減をすれば良いので今回は真剣しか持ってきていない。
一方で、今回こいつらの為に用意した武器は全て木造。まぁ中には本物の武器と近付ける為にしっかりと分量を調整した上で鉄が少量入っている為、場合によっては持ち上げる事すら出来なくて組手どころではない可能性も大いにある。
「先生はレイピアなのか?」
「あぁ。俺が七漣星に入団した際、七漣星最高指揮官たるジルディルに貰った物だ。……まぁ、俺は魔法特化型だからこんな武器を使う事は大分限られてはいるんだがな。それでもまだ俺が純粋だった頃はこのレイピアを利用し、如何にして新しい魔法を作ったもんだ。……それで? 武器は決まったのか。」
「俺は剣にした!」
「俺も。……まぁ、俺は剣でも大剣やねんけど。」
「ぼ、僕はレイピア。せんせと……お揃い。」
「……ちゃんと考えた上で選んでるんだろうな、それは。」
「うん。僕、あんまり筋肉ないし……。最初は弓も考えたけど、元々魔法が遠距離……だから。近付かれたら危ないもん。」
「もっちろん私も剣よ! 元々師匠が私に教えてくれたのも剣だったもの!」
「……あれはご当主に剣を教えるよう言われたからなんだが。」
「え、そうなの!?」
「わ、私は……双剣。」
ほう?
「という事はあれを見せてくれるのか?」
「そ、それは……。……ま、だ。」
「そうか。まぁ時が来るのを大人しく待つか。」
「それで……先生。この後はどうするんだ?」
「俺がお前達の魔法の腕を確かめた時と一緒だ、好きに好きなだけ打ち込んでこい。全員纏めて掛かってきて良いぞ、その程度でやられる俺ではないからな。一応怪我をしても軽く済むように木造の武器にはしたが……まぁ、腕や足が千切れない限りは俺の回復魔法でも治してやれるから安心しろ。」
「…………先生は手足が千切れるような場所に居た事があるのか?」
「むしろ戦場で、何故手足が千切れないと思ってる? むしろそれでも生きて帰れたら十分だろう。」
「……。」
「雑談もそろそろ終わりにしろ、さっさと来い。」
1つ断っておくが、別に俺は剣術をこいつらに教える気はない。
貴族や王族ではよくある話だが、俺はあまり流派的な物に興味はない。あれも固定概念の1つであり、そして何より死野を拡げてしまいかねない。
そもそもとしてどうしても流派を持ちたいのであれば多数持つべきだと思う。そうでなければ1つでも対策を打たれてしまえばそれだけで威力が半減してしまうという勿体ない事になってしまう為、それであれば最初から流派なんて叩き込まずに自由にやらせる方が良い。
その方がもし彼ら何かと相対する時にある程度の法則が分かるよりも何もかもが未知数の方が戦場では有利になる。
だからこそ、敢えて法則性が全くない我流、又は自由形の方が良い。このまま好きに打ち込ませて自分達なりに対処法を戦いの中で見つけてくれるような形になってくれなければ困る。
まぁでもこれは出自が出たか。
比較的トルニアは動ける物の、やはりディールとリシェラには敵わない。
幼い頃から2人を見てきたので分かっている事ではあるのだが、何方も武術としてそれなりに完成している。
女性というのは比較的筋肉が付きにくく、それもこれも子供を産む為に脂肪を蓄える為だとは聞くがそれでもこの2人に関しては良い感じに成長しているらしい。ディールの剣はまるで薙ぐように使われており、斬撃というよりは打撃のイメージが強い。これでも真剣を持たせれば人を真っ二つに出来てしまうのだが。
対して、リシェラ。此方は称するなら蝶のように舞い、蜂のように刺すだろうか。かなり慣れた様子で双剣を揮っている。
一撃の重さに速度。何方もそれぞれ自分達の特徴を活かせているようだな。……とりあえず、このまま好きに打たせ続けてみるか。
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