夜に煌めく炉は蒼銀で

夜櫻 雅織

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第二章:一年生二学期 ご無沙汰、我が家

第9話 問いから学ぶが故の学問なのだから

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【前回】幻魔法を開発させる事にした
第9話 問いから学ぶが故の学問なのだから

――考える癖を就けないと。

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 良い感じに苦労してくれてるみたいだな。

 幻魔法を使わずに幻魔法に見せる。
 一見難しいように見えて、実は模範解答としてはかなり簡単だったりする。幻という物が何なのかを分かっていればの話ではあるが。
 蜃気楼や幻。それは生物が太陽から降り注ぐ光が面白い感じに屈折して発生する物で、構造さえ理解していれば魔法を使わずとも、子供でも蜃気楼を作る事が出来てしまう。
 ただ道具を使わず、その代わりに魔力を利用する事で何処にでも幻を生み出せるのが幻魔法というだけで、原理的には誰でもそれを実現する事が可能。


 しかし、忘れてはならない。魔法というのは“学問”だ。


 学問という事は「何か適当にやってたら出来た」では駄目だ。何故それが実現出来たのか、それを再現するにはどうすれば良いのか、何が足りないのかを学ぶ必要もあればその技術を得る必要もある。
 それを実体験するのにも幻魔法というのは非常に重要な入口となる。
 仮に、幻魔法を使わずに幻魔法を使おうとするのであれば水魔法、光魔法、そして炎魔法は非常に必要となる。何かを何処かに映す為には鏡となる物が必要なのでそれを水鏡で賄い、そこに光を屈折せなければならないので光が必要となり。何処に屈折させた物を出現させるのかを定める為に水蒸気が必要なので熱が必要になる。
 まぁ、泉等があれば適当な場所に水溜まりを作って蒸発させ、そこに上手く光を屈折させて幻を創り出せば良い。口で言うのは簡単だろうが、上手く。鮮明に、泉に映った光景を水蒸気に映させるのはかなり大変だろうが、不鮮明でもそのやり方さえ行えば幻を創り出せる訳だ。

「かなりめんどくさいけどな。」

 だからこそ、幻魔法が生まれた。
 元より大気中には多くの水分が含まれている。その水分を上手く結合し、上手く引き伸ばし、それぞれの水分に対する光の屈折の仕方や角度、屈折量を調整すれば瞬時に幻が生み出せるようになる。
 こう考えると幻魔法というのは意外にもかなり凄かったりする。仮に、大気中水分量がの足りないのであれば水筒の中の水でもぶちまけてしまえば十分に事足りるというのだから、今少し離れた所でかなり苦労しているあいつらに幻魔法を解禁したらそれはもう発狂レベルで崇め奉る物だろう。

 いやぁ、ガキを虐めるのは気持ちが良いな。

 大切である事に違いはない。同時に、大半の人はそういう基盤的な物をまともに理解もせず、当たり前だと思い込んでいる歯車になってしまっている事も。
 だからこそ、あいつらには細かい所まで理解してもらわなければならない。
 それこそ、料理の味を理解しているただのシェフよりもカプサイシンとかいう唐辛子に含まれている成分が辛いから唐辛子は辛いみたいな、何故辛いのかなどを成分として理解している理系の料理人の方が料理が上手いぐらいの理解度の方が丁度良いのが魔法という学問だ。
 もっといえば、カプサイシンとかいう成分は立派な防虫剤としても利用出来るらしい。
 そういう風に、知っていれば色んな事に利用出来るのだからこそ知識は多い方が良い。他の国ではどうか知らないが、この国で学問と称されている事の殆どはそうやって考え方と知識量によって色んな事に応用出来るだけの知識である事が基準となっている。
 それを活かさず、それを理解せずに学生を終えるなんてどれだけの時間の無駄になるか。いや、金ですらも無駄にしてしまっているのだろうが。

 お前らもそうだもんな。学校に行けるのは当たり前、授業を受けられるのは当たり前の環境に居る所為で知識ってもんがどれだけ役に立つのか。どれだけの価値があるのかを正しく理解せずに生きてきたもんな。せいぜいそのまま苦しんでろ、ば~か。


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――次回「第10話 全ては己を知る事から」

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