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第二章:一年生二学期 ご無沙汰、我が家
第16話 命の優先順位の息は許さずに
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【前回】ゴーレムの作り方を教えた
第16話 命の優先順位の息は許さずに
――この責を、背負わせてしまう事になるから。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
まぁ、こうなるだろうな。
彼らが実戦を始めて約2時間頃。今の所、誰1人として結果は出せていない。
まぁそうだろう、錬金術は魔法とは違う。その大きな違いは、それが発明された根源にある。
魔法は元々、想いから発生した物。誰かを想い、何かを望み、言霊に偶然魔力が乗った事でそれが魔法として扱われ、祝詞が最も魔法に形をより具体的に与えやすいとされ。もっと鮮明にしようとして魔法式が生まれた。
対して、錬金術は最初から魔法式のような物を利用して生まれた。錬金術を行う為の錬金陣に必要な式を書く事で錬金を行う事が出来、錬金陣作成の際には必ずと言って良い程にそれぞれ専用の錬金陣を求められる。
その不便さ故に錬金術を扱う者は年々減っており、このまま錬金術を死に絶えさせてはいけないと立ち上がった一部の者達がまた特殊な魔法とも。錬金術とも言える物を作ったがまぁそれを語るには早い。
まずは初歩の初歩くらい出来てくれんとなぁ。
ただでさえ難しい錬金術。難しかろうと難しくなかろうとも挑戦する彼ら。―――その関係性を利用する事にした。
本来であれば基礎を教えてからやらせるのが基本ではあるのだが、俺はあまりそのやり方を好いていない。そうする事で、視野が狭まってしまう事を恐れた。
一応は部屋の端に錬金術の基礎や初歩について綴られた書籍を山積みにはしておいたがだからといって俺から直接彼らに何かを教える気は今の所、ない。後は自分達だけで是非とも掴んでもらおう。
これだと学習、と言うよりは研究と開発だがあいつらにはこれぐらいが丁度良いだろ。
「おぉ~……。また容赦のない事してるね、ティア。」
「ジーラか。ここ数日は顔出してなかったが……やっぱり忙しいか?」
「ううん、ちょっと私用。」
「子供達か。」
「まぁねぇ~。」
「こ、子供!?」
「る、ルールゥ先生お子さんおんの!?」
「こいつは自分の使い魔の白蛇達を子供、って言ってるだけだ。血縁関係はない。」
「何や、そういう事か……。」
「ルールゥせんせ、ご結婚はされないんですか……?」
「う~ん……七漣星は結婚禁止なんだよ。」
「「「「「え。」」」」」
「正確にはしても良いが、どうせ置いていかれる事になるから推奨されてない。」
「うん。七漣星同士の結婚は容認されてるけどね。一夫多妻とか、多夫一妻とか。一夫一妻とか。」
「俺は興味ない。」
「僕も興味ない。正直、七漣星はお互いの事を家族みたいに思ってるからね~……。別に体の関係なんて要らないかも。」
「逆に面倒なまである。」
「うん。やっぱり、兄弟ぐらいが丁度良いんじゃない? まぁジルディルさんとミティアラさんは祖父祖母だろうけど。」
「あんな自由奔放すぎる祖父祖母は迷惑極まりないがなぁ……。」
増える事はあっても、減る事はない七漣星。その七漣星の中で正式に、書類上も夫婦の関係にあるジルディルとミティアラがおかしいぐらいだ。俺達の感覚としては。
別に結婚や恋愛を否定する気はない。ただ、俺やジーラは一切興味がないだけで、やりたい奴は勝手にやれば良いとは思う。……それをこっちに強制さえしてこなければ。
自分達が結婚して、その先である今が幸せだと言うのは別に好きにすれば良いが、だから貴方も結婚した方が良いよと発言するのはエゴの塊でしかなく、迷惑の塊でしかない。それに対して聞き手が同意するのであれば迷惑とはいえないが、言われて迷惑な事の方が多い。
結局の所、自分の幸せを誰かに肯定してほしいという気持ちばかりが先走って人の事を考えられないという自分が浅慮である事を証明しているだけに過ぎない。そして、固定概念に過ぎない。
固定概念に最初に呼吸を教えた屑を拷問する機会に恵まれたかったよ、全く。
それに、あいつらはそれを理解した上で結婚したが七漣星に生殖能力はない。いや、七漣星になったと同時にその能力を失うと言う方が正しい。
誰も求めていないのもあって研究されていないだけではあるが、その原因はそれぞれが七漣星の義務である何らかのインフラの要である幽炉核に接続されているが故に体の造りが多少変わってしまっていたり。何らかの影響を受けて、生殖能力が落ちるのではないかと言われている。
あんまり想像したくないけどな、俺達に子供なんて。
そもそもの話、俺達には心臓が2つある。この身にある心臓、そして幽炉核。2つの心臓を持っている事が、俺達が七漣星である証明。
そんな七漣星同士が結婚し、生まれたハイブリットな子供の心臓がどうなるのか。そもそも文明的知的生命体として生を受けられるのか。言語を介せるのか。新しい戦争の火種になったりしないか。心臓は1つなのか。体のパーツは、顔のパーツはちゃんと正しい数なのかなどなど、疑問と恐怖と不安がでかい。
何より、そんな事をしなくても世の中には奇形児と表現出来てしまう胎児はちゃんと居るし、その大半が1歳を迎える前に死んでいく。要は、奇形児は元から長生き出来ないという事がそんな事をわざわざ試す前から分かっているという証明でもある。
生物的に生きられないのであれば、それは生み出さない方がその子供の為だ。生後間もない胎児であろうと、成人した大人であろうと、それぞれにある人権は同じ。それならば苦労する事や生に絶望すると分かり切っているのであればそもそもとして最初から産み落とさない方が良いと。その可能性が少しでもあるのなら子供を身籠る事は諦めて、養子を得る方が良いとすらされている。
まぁ、それはこの国に限った話。他所の国の事は知らないが、これを残酷と取るのか。それとも仕方のない事だったと取るのかは人それぞれだろう。
そんな一般的な奇形児の出産原因は多岐に渡り、感染症、化学物質、放射線、遺伝子の異常、染色体異常、先天性心疾患、母斑、医薬品などあるとされているが詳しいメカニズムについては分かっていない事の方が多い。まぁ、遺伝子の異常や染色体異常の大半は近親交配で起こるとほぼ断定されている上、長生き出来ない事や病弱になる事、死産になる事の結果の他にもどういうメカニズムでそうなるかは既に証明されている。
放射能、化学物質に関してもそれなりに詳しい事が分かってはいる。
まぁ、近親交配は子供を殺したい奴がする生への冒涜であると宗教で定められてるし、国家としても児童虐待の一種として重罪認定されてるのもあってここ数百年は見ないがな。後は人権侵害でも裁かれるんだったか。
「まぁ、そういうのもあって俺達七漣星にとって仲間以外の関係は求められてない。……そもそも俺は恋愛についても疑問が尽きないし。」
「まぁ~……仲間とか友人から恋人になるのって、要は独占欲に因る物なんでしょ? 別にそんな事する必要ないでしょ。」
「全くだ。」
「先生達が結婚する未来は一切ないと見た。」
「分かる。マジで欠片も良さが分からん人達って感じがするわ。」
「雌雄一体の生き物みたいな会話。」
「まぁ、師匠達らしいっちゃ師匠達らしいけどね~。」
「う、うん。何か……あ、安心した。」
「なら先生、前に話してた七漣星の夫婦はどうなんだ?」
「あいつらはただの変わり者だよ、変わり者。でも子供は作ってないし、作る気もないとは聞いた。」
「陛下はその気があるなら、って感じだったけど本人達は望まなかったね。“付属物”には興味ないって。」
「まぁ、世話もそうだが色々と大変だろうし。夫の方はともかく、妻の方の身体的な負担は計り知れないらしいからな。」
「それに、あの2人はお互いの事は愛してるけど仕事も愛してるからね~。あの2人にとって、仕事が子供なんじゃない?」
「………………ありそうな話ではあるが、はっきり言われると何か複雑な気分にさせられるな。」
「“それはそれでどうなんだ”って?」
「あぁ。……まぁ、本人達がそれで幸せなら好きにすれば良いし、気が変わったとしても本人達がそれで良いと言うならそれで良いだろ。」
「うん。2人の生き方なんだし、僕達が口を出すような物じゃないのは確かだね。」
「犯罪さえ犯さず、国家に反逆しなければ後は何でも良い。」
「右に同じ~。」
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第17話 極地に佇む事実は真実の鱗片」
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
もし作品を気に入っていただけましたら、ブックマークやスタンプで応援いただけると嬉しいです。
感想なども励みになります。
今後とも『夜に煌めく炉は蒼銀で』をよろしくお願いいたします。
第16話 命の優先順位の息は許さずに
――この責を、背負わせてしまう事になるから。
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彼らが実戦を始めて約2時間頃。今の所、誰1人として結果は出せていない。
まぁそうだろう、錬金術は魔法とは違う。その大きな違いは、それが発明された根源にある。
魔法は元々、想いから発生した物。誰かを想い、何かを望み、言霊に偶然魔力が乗った事でそれが魔法として扱われ、祝詞が最も魔法に形をより具体的に与えやすいとされ。もっと鮮明にしようとして魔法式が生まれた。
対して、錬金術は最初から魔法式のような物を利用して生まれた。錬金術を行う為の錬金陣に必要な式を書く事で錬金を行う事が出来、錬金陣作成の際には必ずと言って良い程にそれぞれ専用の錬金陣を求められる。
その不便さ故に錬金術を扱う者は年々減っており、このまま錬金術を死に絶えさせてはいけないと立ち上がった一部の者達がまた特殊な魔法とも。錬金術とも言える物を作ったがまぁそれを語るには早い。
まずは初歩の初歩くらい出来てくれんとなぁ。
ただでさえ難しい錬金術。難しかろうと難しくなかろうとも挑戦する彼ら。―――その関係性を利用する事にした。
本来であれば基礎を教えてからやらせるのが基本ではあるのだが、俺はあまりそのやり方を好いていない。そうする事で、視野が狭まってしまう事を恐れた。
一応は部屋の端に錬金術の基礎や初歩について綴られた書籍を山積みにはしておいたがだからといって俺から直接彼らに何かを教える気は今の所、ない。後は自分達だけで是非とも掴んでもらおう。
これだと学習、と言うよりは研究と開発だがあいつらにはこれぐらいが丁度良いだろ。
「おぉ~……。また容赦のない事してるね、ティア。」
「ジーラか。ここ数日は顔出してなかったが……やっぱり忙しいか?」
「ううん、ちょっと私用。」
「子供達か。」
「まぁねぇ~。」
「こ、子供!?」
「る、ルールゥ先生お子さんおんの!?」
「こいつは自分の使い魔の白蛇達を子供、って言ってるだけだ。血縁関係はない。」
「何や、そういう事か……。」
「ルールゥせんせ、ご結婚はされないんですか……?」
「う~ん……七漣星は結婚禁止なんだよ。」
「「「「「え。」」」」」
「正確にはしても良いが、どうせ置いていかれる事になるから推奨されてない。」
「うん。七漣星同士の結婚は容認されてるけどね。一夫多妻とか、多夫一妻とか。一夫一妻とか。」
「俺は興味ない。」
「僕も興味ない。正直、七漣星はお互いの事を家族みたいに思ってるからね~……。別に体の関係なんて要らないかも。」
「逆に面倒なまである。」
「うん。やっぱり、兄弟ぐらいが丁度良いんじゃない? まぁジルディルさんとミティアラさんは祖父祖母だろうけど。」
「あんな自由奔放すぎる祖父祖母は迷惑極まりないがなぁ……。」
増える事はあっても、減る事はない七漣星。その七漣星の中で正式に、書類上も夫婦の関係にあるジルディルとミティアラがおかしいぐらいだ。俺達の感覚としては。
別に結婚や恋愛を否定する気はない。ただ、俺やジーラは一切興味がないだけで、やりたい奴は勝手にやれば良いとは思う。……それをこっちに強制さえしてこなければ。
自分達が結婚して、その先である今が幸せだと言うのは別に好きにすれば良いが、だから貴方も結婚した方が良いよと発言するのはエゴの塊でしかなく、迷惑の塊でしかない。それに対して聞き手が同意するのであれば迷惑とはいえないが、言われて迷惑な事の方が多い。
結局の所、自分の幸せを誰かに肯定してほしいという気持ちばかりが先走って人の事を考えられないという自分が浅慮である事を証明しているだけに過ぎない。そして、固定概念に過ぎない。
固定概念に最初に呼吸を教えた屑を拷問する機会に恵まれたかったよ、全く。
それに、あいつらはそれを理解した上で結婚したが七漣星に生殖能力はない。いや、七漣星になったと同時にその能力を失うと言う方が正しい。
誰も求めていないのもあって研究されていないだけではあるが、その原因はそれぞれが七漣星の義務である何らかのインフラの要である幽炉核に接続されているが故に体の造りが多少変わってしまっていたり。何らかの影響を受けて、生殖能力が落ちるのではないかと言われている。
あんまり想像したくないけどな、俺達に子供なんて。
そもそもの話、俺達には心臓が2つある。この身にある心臓、そして幽炉核。2つの心臓を持っている事が、俺達が七漣星である証明。
そんな七漣星同士が結婚し、生まれたハイブリットな子供の心臓がどうなるのか。そもそも文明的知的生命体として生を受けられるのか。言語を介せるのか。新しい戦争の火種になったりしないか。心臓は1つなのか。体のパーツは、顔のパーツはちゃんと正しい数なのかなどなど、疑問と恐怖と不安がでかい。
何より、そんな事をしなくても世の中には奇形児と表現出来てしまう胎児はちゃんと居るし、その大半が1歳を迎える前に死んでいく。要は、奇形児は元から長生き出来ないという事がそんな事をわざわざ試す前から分かっているという証明でもある。
生物的に生きられないのであれば、それは生み出さない方がその子供の為だ。生後間もない胎児であろうと、成人した大人であろうと、それぞれにある人権は同じ。それならば苦労する事や生に絶望すると分かり切っているのであればそもそもとして最初から産み落とさない方が良いと。その可能性が少しでもあるのなら子供を身籠る事は諦めて、養子を得る方が良いとすらされている。
まぁ、それはこの国に限った話。他所の国の事は知らないが、これを残酷と取るのか。それとも仕方のない事だったと取るのかは人それぞれだろう。
そんな一般的な奇形児の出産原因は多岐に渡り、感染症、化学物質、放射線、遺伝子の異常、染色体異常、先天性心疾患、母斑、医薬品などあるとされているが詳しいメカニズムについては分かっていない事の方が多い。まぁ、遺伝子の異常や染色体異常の大半は近親交配で起こるとほぼ断定されている上、長生き出来ない事や病弱になる事、死産になる事の結果の他にもどういうメカニズムでそうなるかは既に証明されている。
放射能、化学物質に関してもそれなりに詳しい事が分かってはいる。
まぁ、近親交配は子供を殺したい奴がする生への冒涜であると宗教で定められてるし、国家としても児童虐待の一種として重罪認定されてるのもあってここ数百年は見ないがな。後は人権侵害でも裁かれるんだったか。
「まぁ、そういうのもあって俺達七漣星にとって仲間以外の関係は求められてない。……そもそも俺は恋愛についても疑問が尽きないし。」
「まぁ~……仲間とか友人から恋人になるのって、要は独占欲に因る物なんでしょ? 別にそんな事する必要ないでしょ。」
「全くだ。」
「先生達が結婚する未来は一切ないと見た。」
「分かる。マジで欠片も良さが分からん人達って感じがするわ。」
「雌雄一体の生き物みたいな会話。」
「まぁ、師匠達らしいっちゃ師匠達らしいけどね~。」
「う、うん。何か……あ、安心した。」
「なら先生、前に話してた七漣星の夫婦はどうなんだ?」
「あいつらはただの変わり者だよ、変わり者。でも子供は作ってないし、作る気もないとは聞いた。」
「陛下はその気があるなら、って感じだったけど本人達は望まなかったね。“付属物”には興味ないって。」
「まぁ、世話もそうだが色々と大変だろうし。夫の方はともかく、妻の方の身体的な負担は計り知れないらしいからな。」
「それに、あの2人はお互いの事は愛してるけど仕事も愛してるからね~。あの2人にとって、仕事が子供なんじゃない?」
「………………ありそうな話ではあるが、はっきり言われると何か複雑な気分にさせられるな。」
「“それはそれでどうなんだ”って?」
「あぁ。……まぁ、本人達がそれで幸せなら好きにすれば良いし、気が変わったとしても本人達がそれで良いと言うならそれで良いだろ。」
「うん。2人の生き方なんだし、僕達が口を出すような物じゃないのは確かだね。」
「犯罪さえ犯さず、国家に反逆しなければ後は何でも良い。」
「右に同じ~。」
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