エバーラスティング・ネバーエンド──第三人類史

悠木サキ

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第一章

52 戦闘開始③

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 駆逐艦『ゲイル』から出撃した赤国の攻撃隊は、五つの戦闘班を形成して『アマネ』に迫る。
 各戦闘班は、互いに間隔を空けて、『アマネ』右舷を五等分する形で横並びに展開した。
 攻撃隊が接近したのを受け、彼らの母艦である駆逐艦『ゲイル』は砲撃を中断した。展開した攻撃隊を砲撃に巻き込まないためである。
 これより攻撃を開始する攻撃隊が敵艦の戦闘能力を削いだのち、砲撃を再開する段取りであった。

 戦闘班の一つ、グレンらの班は左から二番目──『アマネ』の右舷後方に面する位置にいた。
 グレンが、先頭に立ち『律動』によって創造した鋼鉄の盾を掲げるディッツの肩を叩き、彼に顔を寄せた。
「距離百まで接近して同航する!高度は五十!」
「おう!」
 グレンの呼び掛けにディッツが応じる。
 ディッツは巨大な盾を掲げるせいで前方が見えない。戦闘班全体の動きを指揮するのは後続のグレンの役目であった。残りの一人、ベルニカは黙って彼らの後ろについてきている。

 『思念動力』によって空中を移動していくグレンら三人はそのまま前進していき、『アマネ』まで百メートルの位置まで到達した。
「ここでいい!」
 ディッツの後ろに続くグレンが彼の肩を叩き、停止を知らせる。
 敵艦まで百メートル、海上からの高さは五十メートルほどの位置で、彼らは体の正面を『アマネ』右舷に向けたまま、『思念動力』の力のベクトルを右方向に変えて働かせた。
 それによって、彼らの体は、高度は維持したまま空中を横にスライド移動し始め、航行する『アマネ』と同じ速度で並走する形となった。

「よしっ」
 『アマネ』右舷後方と正対したグレンが、自身の小銃の弾倉に『心』を込めて、銃の槓桿(コッキングレバー)を引く。
 そしてディッツが掲げる盾の陰から少し身を乗り出して、小銃を『アマネ』右舷に向けた。
 狙いは甲板上の敵戦闘員──特に防空を担う対空迎撃要員だ。
 カンッ! カンッ!
 しかし、敵艦甲板上からの敵の弾幕は当然厚い。距離も百メートルしか離れていないので、敵の銃撃がディッツの盾に当たる音が間断なく聞こえる。
 それでも、グレンは臆することなく小銃の照準を甲板上にいる敵兵に合わせた。
 百メートル先の敵兵は、甲板上の掩体に体を隠しながら、こちらに向けて射撃をしている。
 この距離と状況では、甲板上のどの敵兵が対空迎撃要員かは判明しなかった。
 とりあえずグレンは、数ある敵兵のうちの一人に狙いをつける。
──ダンッ!ダンッ!ダンッ!
  グレンは小銃を短い間隔で一発ずつ撃ちかけた。
 連射するのではなく、一発ごとに射撃の反動を逃がしてから狙いをつけ直しすぐに次弾を発射する。
 冷静に狙いをつけた単射を繰り返すグレン。小銃の銃口の上に付いた照星の向こう──敵艦甲板上で、狙いをつけていた敵兵が一人倒れた。
 
 

 
 
 
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