【R18】君に触れる、全てのものから

すぐる

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第1部

アルコール中毒

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サッカー部のキャプテンでもある藤本への電話が終わり、その後にシャワーを浴び終えた沢海は、脱衣所で全裸で腰にバスタオルを巻いたまま、髪の毛をドライヤーで乾かしていた。

手櫛で簡単に髪を整えると洗面台にあるボディクリームを全身に伸ばしていく。
自分好みのブランドでもあるバニラ系の香りを纏い、ゆっくりと深呼吸をする。

脱衣所を後にすると沢海はキッチンへ行き、ロックグラスに氷を入れ、火照った身体にペリエを流し込む。
冷えた炭酸が乾いた口内を刺激して心地良く、潤してくれる。

沢海はキッチンに併設されているカウンターに座り、ぼんやりと佇むとグラスの氷をカラカラと鳴らした。

「…ペリエの買い置き、もうないんだよな…」

もう一杯ミネラルウオーターを飲みたかったが、空のグリーンボトルがテーブルの上に無造作に転がっているだけしかない。

飲み足りない沢海は立ち上がり、キッチンの引き戸の中を探すがジュース類しかなく、その奥に隠されてあったメーカーズマークを手に取る。
沢海の兄が引越しの時に置いていった未開封の産物でもあり、封を開けて、躊躇いもなくそれをグラスに注いだ。

グラスに注がれた琥珀色のバーボンを電灯に照らしながら揺らすと、反射で少し赤みの色に変化してくる。

沢海は目を眇めてそれをグイッと一気に飲み干すと咽喉に焼けるような感覚が襲ってくる。

「やっぱ、バーボンは強いな…
……あぁ……
でも、おいしい…」

また同じグラスに半分ほどのバーボンを注ぎ、氷が溶けるように人差し指でクルクルと回し、ロックにして咽喉をまた潤していく。

氷の冷たさとバーボンの特有の香りに鼻腔を擽られ、調子に乗ってグラスを何杯も空けていく。

年齢的には当然だが、アルコール類を一切口にはせず、早いピッチでの飲酒に少し酔いが回ってきたのか、目元が重くなり、顔が火照ってくる。

「……ヤバイ……
アルコールが高いんだった…」

このままこれ以上、余計なことを考えなくて済むようにアルコールの力を借りて、今、この時だけでも何も考えないでいたい。
でも、考えないように気を紛らわそうとしても、どうしてもまた考えてしまう。

宮原を好きなのだと自覚をしてからは宮原に対してだけ、自分の自制というものが殆ど効かなくなっている。

頭の中で考えて、分かっていても自分の身勝手な欲望が先走ってしまい、宮原の心も身体も傷付けてしまう。
それ以前の問題で、既に何度も宮原を泣かせてしまった自分がいるのも事実だ。

1人で空回りをして、行き場のない気持ちが乾いた身体を満たしたいと宮原を貪欲に欲している。

ーーー宮原が欲しい。
宮原の傍にいるだけでいい、そんな純粋で無垢な気持ちだけではない。
もっと貪欲で、もっと執拗で、そして情欲の深みに嵌っている。

ーーー宮原が欲しい。
宮原の心も身体も全てが自分だけを求めて、自分だけを見詰めてほしい。
「沢海直哉」以外に変わりはいないのだと認めてもらいたい。

ーーー宮原が欲しい。
宮原が自分以外はいらないと、自分だけが「沢海直哉」が唯一の存在なのだと自覚させたい。

同じ空間にいればいるほど、宮原の事が好きなのだと抑え切れない感情に飲み込まれてしまい、時折宮原を無茶苦茶に壊してしまいたいという衝動に襲われてしまう。

自分にとって大切な存在でもある宮原なのに、どうして自分がここまで振り回されてしまうのか、無性に苛立ちを覚えてしまう。

ーーーオレは宮原とセックスをしたいだけなのか?

頭の中で、そうだと思う自分と、そうではないと思う自分がいる。
肌を合わせてみて分かる事も、肌を合わせないと分からない事もある。

ーーー触れた体温が温かい。
ーーー心臓が鋼のように打つ。
ーーー湿った手のひらを感じる。

『愛している』

全てが愛おしさに満たされたいと願う事が、好きだから心も身体も欲しいと思う事が、今ではとても罪悪を感じてしまう。

宮原の拒絶する声と沢海を受け入れようとはしない宮原の身体を目前にしてしまうと、沢海の思考は止まり、何も考えられなくなってしまう。
ただ、無意識に動いてしまう身体と直情的に漏れてしまう声音に流されてしまう。

ーーーオレは宮原とセックスをしたいだけなのか?

沢海は残りのバーボンをゆっくりと飲み干し、寝室に移動した。

ーーーオレは宮原とセックスをしたい。
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