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彩葉の心配をよそに
ジンはまたトルティーヤの皮の上にレタスと唐揚げをのせオーロラソースをかけくるりと巻き食べようとしていた
どうやらかなりお気に召したようで彩葉は安心していた。


そんな中ドタバタとキッチンの方に足音が近付いて来たと思ったらお皿を持ったシュウがキッチンに舞い戻ってきた


「な、なんなんだぁーこの料理は!!!!」

いきなりの大声にびっくりした彩葉
ジンは食べようとしていたトルティーヤを片手に

「シュウ!なに騒いでやがる!彩葉がびっくりしてんじゃねーか!」


「す…すまない。あまりに美味しくて興奮しちまった。」

そう言うと申し訳なさそうな顔をして謝るシュウ
だが次の瞬間ジンの持っているトルティーヤに気が付いたシュウは騒ぎ出した

「ジンその持ってるのはなんだ!!見たことねぇ!あ!それも試作品か!?俺も食べる!!だから食べさせろ!!いや、食べさせてくれ!!」


興奮気味に早口で言うシュウにジンはと言うと手に持っているトルティーヤをシュウの目の前で食べ始めた


「ぁぁああああ"あ"あ"オレのぉおおお」

シュウ大絶叫
だがシュウのではなくジンの物だ

悲しそうな顔をしながらジンを見るシュウ
逆に満面の笑みで満足そうに食べ終えたジン
真逆の表情をしている2人を見て

「ぶはっ」

彩葉は吹き出した


「彩葉なに笑ってやがる!」

「だってまだ材料あるのにシュウさんの顔が…あははははは」
 
散々笑ってふぅーと一息ついた彩葉は


「シュウさん良かったらジンさんが食べているのを私が作るので食べてみませんか?」

と言うとシュウは話し掛けられた事に一瞬ビクッとしたがとても嬉しそうに

「いいのか!?食べたい食べたい!!」

と言うので彩葉は"是非"と言い
慣れた手つきでササッと作ってシュウに渡した。

彩葉から唐揚げオーロラソースがけのトルティーヤを受けとるや否やすぐにガブリと1口食べたシュウ


「うっまぁーーーーーー!!!なんだこれ!
初めて  モグモグ
食べる  モグモグ
料理だけど   モグモグ
こんな美味い物食べたことねぇ!!モグモグ
しかも食べ始めたら            モグモグ
止まらねぇ美味さだ!!!モグモグ」

トルティーヤを口の中いっぱいにしながら喋るシュウ
そんなに口に入れて詰まらないのか心配だ


「モグモグモグモグうるせぇー!!食べながら喋るな!せめて口の中の食べ物食ってから喋れ!」

案の定ジンからお叱りを受けるシュウであった。
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