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第一章
2回目の来店(受け視点)
今日は日曜日。晴れ。清々しい朝の空気を入れるために開けた窓から、陽の光が入ってくる。
そんな店内のカウンター席に座って、こちらをガン見してくる客が一人。
年は多分、二十代前半。天使の輪っかが出来るサラサラの黒髪に、意志の強そうな吊り目の瞳。
白のワイシャツに、黒の細身のパンツと少々軽装だが、着ている人の素材が良いから逆にシンプルな方が似合っている。それに、最近は暖かくなってきたから、少し軽装なくらいが丁度いいんだろう。
この男性こそ、俺の初恋の人。
もう店に来る事は無いと思っていた。寧ろ来ないでほしかった。たまたま近くにあった店に入っただけだろうと、そう思ったから、会うことが無ければ諦めやすくなる。
でも俺の中には、もしかしたら思い出してくれるかもしれないと言う期待と、思い出さなくてもいいから、また会いたいと言う俺が居て……。
そして、思い出した所で無かった事にされる、あの時は俺の事を女の子だと思ってたからプロポーズしただけで、男は無理だと言われるのが落ちだと考えて、会いたい、会いたくないと、心が揺れる。
そんな俺の心を知らずに、目の前の男は俺に話しかけてくる。
「へぇ、君って大学生だったんだ。ここではアルバイト?」
「はい。叔父が店長をしていて、昔から店を継がないか、と言われているんですけど、いきなり継ぐのは不安なので、バイトから、という事で。」
そう、店長は俺の母さんの兄で、両親が交通事故で亡くなった後に引き取られた。少し寡黙で、コーヒーに情熱を注いでいる叔父さんは、両親が死ぬ前から交流があり、よく店にも遊びに来ていた。
「君は店を継ぐのに、結構乗り気なんだね。」
「昔から、この店が好きだったので。言われた時は急だったのでびっくりしましたけど、嬉しかったですよ。」
小さい頃に引き取られて以来、叔父さんの店に居ることが多かったから、自然とお客さんとも仲良くなったりした。
こだわり抜いたメニュー。年季の入ったテーブルや椅子。どれとこれも、思いがつまった物。
「ふふ、素敵だね。俺は昔、絶対につぐもんかって、思ってたよ。」
「そうなんですか?」
「うん。自分の力で何でもしたかったんだよ。今でもそうだけどね。」
そうだったんだ……。確かに、昔からあすくんは、しっかりしてたなぁ。
「翠。レンジなったぞ。」
「あ、ほんと?わかった。」
話に夢中で気づかなかった。叔父さんが教えてくれたから良かったけど、今度から気をつけないと。そう、叔父さん今日は居るよ。まあ俺がバイトで入ってる時は、大体キッチンでコーヒー作ってるけど。
「お待たせしました。ご注文のフレンチトーストと、セットのコーヒーです。」
鳴ったレンジは、あすくんの注文を作っていた物で、今日は心なしか、いつもより美味しそうに焼けた気がする。コーヒーは叔父さんが豆から挽いたやつだ。
あすくんはフレンチトーストに目を輝かせると、パクパクと食べ始めた。
「このフレンチトースト美味しいね。君が作ってるの?」
「え、ぁ、はい。俺が作ってます。コーヒーは、店長がつくってますけど。」
「そっかぁ。」
何故かあすくんは、さっきよりニコニコと、フレンチトーストの続きを食べだした。どうしたんだろう?でも、美味しそうに食べてくれて嬉しいや。えへへ。
あすくんがフレンチトーストを食べ終わり、コーヒーを飲んで一息ついた頃、ピリリリリと機械音が店内に響く。
「はい、白河です。……はい、すぐ向かいます。」
どうやら、仕事の呼び出しの電話だったらしい。
「お会計をお願いしてもいいかな?」
「はい。ーーーー円になります。」
「ごちそうさまでした。美味しかったよ。」
そう言ってあすくんは、ニカッと笑みを俺に向けた。昔と同じ、ちょっと八重歯が見える笑い方。やっぱりかっこいいなぁ。
「あ、そういえば、君名前は?」
「…へ?…えっと、鷹木、翠、です……?」
「俺は白河朱鳥。是非、朱鳥って呼んでね。これ名刺。じゃ、またね、翠君。」
カランカラン。店の扉が閉まる音を聞きながら、暫くボケっと俺はまた立っていた。
「翠、何突っ立ってんだ?」
「あ、なんでもない!」
奥から出てきた叔父さんに、咄嗟に名刺を隠して、机の片付けを始める。
名刺、もらっちゃった。何でくれたんだろ……。
仕事が終わって、自室で一人になったタイミングで名刺を見た。
名刺には、俺でも知ってる有名な会社の名前と、あすくんの名前。そして、営業部と書いてあった。
……やっぱり俺の事、覚えてなかったなぁ。でも下の名前で呼んでねって、なんかちょっと思わせぶりだったな。もしかして覚えてる?いやでも、覚えてるなら、名前を聞いてきたりしないよね。隠す必要もないし。……忘れたいなら話は別だけど。
…………だけど、あすくんに翠君って呼ばれるの、大人の男の人って感じがして、ちょっとドキドキしたな……。
でも、やっぱり寂しいや…。
そんな店内のカウンター席に座って、こちらをガン見してくる客が一人。
年は多分、二十代前半。天使の輪っかが出来るサラサラの黒髪に、意志の強そうな吊り目の瞳。
白のワイシャツに、黒の細身のパンツと少々軽装だが、着ている人の素材が良いから逆にシンプルな方が似合っている。それに、最近は暖かくなってきたから、少し軽装なくらいが丁度いいんだろう。
この男性こそ、俺の初恋の人。
もう店に来る事は無いと思っていた。寧ろ来ないでほしかった。たまたま近くにあった店に入っただけだろうと、そう思ったから、会うことが無ければ諦めやすくなる。
でも俺の中には、もしかしたら思い出してくれるかもしれないと言う期待と、思い出さなくてもいいから、また会いたいと言う俺が居て……。
そして、思い出した所で無かった事にされる、あの時は俺の事を女の子だと思ってたからプロポーズしただけで、男は無理だと言われるのが落ちだと考えて、会いたい、会いたくないと、心が揺れる。
そんな俺の心を知らずに、目の前の男は俺に話しかけてくる。
「へぇ、君って大学生だったんだ。ここではアルバイト?」
「はい。叔父が店長をしていて、昔から店を継がないか、と言われているんですけど、いきなり継ぐのは不安なので、バイトから、という事で。」
そう、店長は俺の母さんの兄で、両親が交通事故で亡くなった後に引き取られた。少し寡黙で、コーヒーに情熱を注いでいる叔父さんは、両親が死ぬ前から交流があり、よく店にも遊びに来ていた。
「君は店を継ぐのに、結構乗り気なんだね。」
「昔から、この店が好きだったので。言われた時は急だったのでびっくりしましたけど、嬉しかったですよ。」
小さい頃に引き取られて以来、叔父さんの店に居ることが多かったから、自然とお客さんとも仲良くなったりした。
こだわり抜いたメニュー。年季の入ったテーブルや椅子。どれとこれも、思いがつまった物。
「ふふ、素敵だね。俺は昔、絶対につぐもんかって、思ってたよ。」
「そうなんですか?」
「うん。自分の力で何でもしたかったんだよ。今でもそうだけどね。」
そうだったんだ……。確かに、昔からあすくんは、しっかりしてたなぁ。
「翠。レンジなったぞ。」
「あ、ほんと?わかった。」
話に夢中で気づかなかった。叔父さんが教えてくれたから良かったけど、今度から気をつけないと。そう、叔父さん今日は居るよ。まあ俺がバイトで入ってる時は、大体キッチンでコーヒー作ってるけど。
「お待たせしました。ご注文のフレンチトーストと、セットのコーヒーです。」
鳴ったレンジは、あすくんの注文を作っていた物で、今日は心なしか、いつもより美味しそうに焼けた気がする。コーヒーは叔父さんが豆から挽いたやつだ。
あすくんはフレンチトーストに目を輝かせると、パクパクと食べ始めた。
「このフレンチトースト美味しいね。君が作ってるの?」
「え、ぁ、はい。俺が作ってます。コーヒーは、店長がつくってますけど。」
「そっかぁ。」
何故かあすくんは、さっきよりニコニコと、フレンチトーストの続きを食べだした。どうしたんだろう?でも、美味しそうに食べてくれて嬉しいや。えへへ。
あすくんがフレンチトーストを食べ終わり、コーヒーを飲んで一息ついた頃、ピリリリリと機械音が店内に響く。
「はい、白河です。……はい、すぐ向かいます。」
どうやら、仕事の呼び出しの電話だったらしい。
「お会計をお願いしてもいいかな?」
「はい。ーーーー円になります。」
「ごちそうさまでした。美味しかったよ。」
そう言ってあすくんは、ニカッと笑みを俺に向けた。昔と同じ、ちょっと八重歯が見える笑い方。やっぱりかっこいいなぁ。
「あ、そういえば、君名前は?」
「…へ?…えっと、鷹木、翠、です……?」
「俺は白河朱鳥。是非、朱鳥って呼んでね。これ名刺。じゃ、またね、翠君。」
カランカラン。店の扉が閉まる音を聞きながら、暫くボケっと俺はまた立っていた。
「翠、何突っ立ってんだ?」
「あ、なんでもない!」
奥から出てきた叔父さんに、咄嗟に名刺を隠して、机の片付けを始める。
名刺、もらっちゃった。何でくれたんだろ……。
仕事が終わって、自室で一人になったタイミングで名刺を見た。
名刺には、俺でも知ってる有名な会社の名前と、あすくんの名前。そして、営業部と書いてあった。
……やっぱり俺の事、覚えてなかったなぁ。でも下の名前で呼んでねって、なんかちょっと思わせぶりだったな。もしかして覚えてる?いやでも、覚えてるなら、名前を聞いてきたりしないよね。隠す必要もないし。……忘れたいなら話は別だけど。
…………だけど、あすくんに翠君って呼ばれるの、大人の男の人って感じがして、ちょっとドキドキしたな……。
でも、やっぱり寂しいや…。
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