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第二章
これからの事 ルイス視点
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「ラ、ラインハルトぉ~!!」
何故か満足そうな顔で鼻血を出しながら気絶したラインハルト。
咄嗟に地面に落ちないよう支えられたが、人間に戻ったからか支えきれずに下敷きになる。
取り敢えず、ラインハルトの下から抜け出して、そっとラインハルトの頭を太ももの上に置く。男の太ももで悪いが床よりマシだろう。
「ど、どうしたらいいんだこれ!!?ひ、ひと、ファーリーさん呼ぼう!!」
「お呼びですかな!?」
うわびっくりした!!
ファーリーさんを呼んだ方がいいのか、混乱して叫んだ瞬間ファーリーさんの声が扉の外から聞こえた。そういえば、ここ応接間だから扉薄かったな。
「ら、ラインハルトが鼻血出して倒れました!!」
「なんですと!?」
取り敢えず俺も叫び、ラインハルトが倒れた事を知らせる。
バーン!!という効果音が付きそうな感じで扉を開けたファーリーさんは、目を少し見開き固まる。
「なになに~?どうした、の……って、……?」
ラインハルトのお兄さん、クリストファーさんだっけ、も騒ぎを聞きつけてやって来たと思えば、同じ様に固まってしまった。知らない奴が居るからびっくりしてるんだな、わかる。でも先にラインハルト見てくれ。
「ラインハルトが急に鼻血出して倒れてしまったんですけどどうしたらいいですか!?」
「、ハッ!お、お医者様をお呼びしてきます!!」
俺の言葉にはっとして動き出してくれたファーリーさん。走って何処かへ行った。
そして、クリストファーさんは何故か上着を脱ぎながら近づいてくる。
ラインハルトにかけるのかな、と思っていると、フワッと俺にかけられた。
「君は、ノーネ君かな?」
なんで俺にかけるんだろう、と頭にハテナを浮かべる俺に質問するクリストファーさん。取り敢えず敬語で返す。
「はい。ノーネと呼ばれてました。でももうルイスなので、そちらで呼んでくれると嬉しいです。」
「そっか…。話が聞きたいんだけどいいかな?」
あ~……、リアンレーヴの件かな?でも俺あんまり記憶ないんだけど……。俺の答えを待ちながらラインハルトを軽々と持ち上げソファーに移動させるクリストファーさん。
「俺、記憶が朧げで、あんまり話せないと思うんですけど……。」
「朧げでもいいから聞かせてほしい。ま、その前に服だよね!」
え、服?誰の?
「わかってないかもだけど、ルイス君、君裸だよ?」
_________へ?
「うわぁぁぁぁぁあ!!!!」
「お、お恥ずかしいところをお見せしました……。」
服を借りて、ソファーに座っている俺。対面にはクリストファーさんがにこにこと笑って座っている。
「大丈夫だよ~!こちらこそ、不可抗力とはいえ婿入り前の子の裸見ちゃってごめんね。」
「いえ、それより、ラインハルト、さんは大丈夫ですか?」
喋る途中で、ラインハルトを呼び捨てはだめじゃないかとさん付けにする。あ、様の方が良かったかもしれない…!
「ああ、大丈夫大丈夫。ちょっと刺激が強かっただけだから。」
……?刺激?失明したのが急に治ったからか?
「ま、それは置いといて。ルイス君はこれからどうするの?」
「一度教会に帰ってから、働く先を探そうと思ってます。」
「働くの?」
え、なんでちょっとびっくりしてるんだ?
「え、働きますよ。俺成人したので働けますし。」
「結婚したいなぁ~、とかは無いの?」
結婚、結婚かぁ~。ラインハルトの事好きだけど、ラインハルトは辺境伯で、片や俺はといえば孤児。普通に結婚は無理だろう。だからといって、他の誰かと結婚する気はないしなぁ。
「特に結婚する気は無いですね。」
「そう。じゃあ、働きたいと思ってる所とかはあるの?」
「あ、それはあります。」
「そうなの?どこどこ~?お兄さんに教えてご覧?」
働きたい所、と言われて、思わず即答してしまう。クリストファーさんは興味津々です!と言ったふうに答えを急かしてきた。
これって言ってもいいんだろうか?
「…えと、できたら、ここで働きたいな、と思ってます。」
ここで嘘ついてもな、と正直に話す。すると、またクリストファーさんは少し驚いた顔をした。
よく驚く人だなぁ、と思いながら、クリストファーさんを見つめる。
「ここで働きたいの?」
「はい。」
「結婚する気はないんだね?」
「はい。」
「教会に一度帰る?」
「はい。神父様達も心配してると思いますし。」
さっき聞いた事を確認するようにもう一度聞かれる。それに流れ作業の様に答えていく。
「ラインハルトの事好き?」
「はい、?へ?」
急な質問に、半分『はい』と答えてしまう。本当に嘘ではないから困る。
「え、えと、す、すきって…?」
「勿論、恋愛的な意味でね?」
好き、好きだけど、恋愛的な意味で好きだけどさ。
………言ってしまって、いいんだろうか……?
「安心して。誰にも言わないし、何を言っても怒ったりしないよ。」
「………。」
怒ったりしない。本当だろうか。誰にも言わないなんて、信用できなくないか?
「…すきです。ずっと一緒に居られたら、と思うくらい。ラインハルトのことが好きです。」
一言言ってしまうと、言わなくていい事まで喋ってしまう。
顔がほんのり熱くなって、声にも熱が乗る。
クリストファーさんは、そんな俺にきょとんとする。…そんなに驚かなくてもいいだろうに。
「ラインハルトと結婚したいとかはないの?ラインハルト妻も夫もいないよ?」
「?妻も夫もいないのに妾はとれませんよ?というかラインハルトは俺のこと好きなのかわかりませんし。」
「へ?めかけ?」
え、そうだよな?ラインハルトがキスしてくれって言ったのは、キスしたら失明が治るからだろ?
なんで俺が人間に戻れたのかは謎だけど。
「ちょ、ちょっと待って……!妾としてじゃなくてさ、夫としてラインハルトと結婚したくないかって僕は聞いてるんだよ?」
「平民って貴族の人と結婚できるんですか?」
純粋な疑問だった。平民で貴族の人と結婚した人なんて聞いたことないけど。
クリストファーさんは、急に脱力した様にソファーに沈み込んで天を仰ぐ。
それでも次の瞬間こちらをバッと向き、真剣な表情になる。
「あのね、ルイス君。」
クリストファーさんの真剣な表情に、俺もすっと背が伸びる。
___「貴族は別に平民と結婚しちゃ駄目なんて法律は無いんだよ。」
「はい?」
「確かに結婚してる人は少ないって言うか、今は居ないけど偶に居るし、平民から貴族に成り上がった人だっていっぱい、は言い過ぎだけど居る。だからね、ルイス君とラインハルトは結婚出来ない訳じゃないんだよ。わかった?」
「は…はい……?」
怒涛の勢いで話され、わかったようなわからない様な…?つまりどういうこと?
「まあ、それは置いといて。ルイス君はここで働きたいんだね?」
「は、はい!ここで働きたいです。働きたいですけど、ここの仕事が俺にちゃんとできる内容かどうかわからないので、少し決めかねてます。」
な、なんか急に話変わったな。
「ふむふむ。じゃあ俺がここの仕事ができるかどうか質問してあげよう!」
し、仕事内容を教えてくれるんじゃないんだな…。
ウキウキした雰囲気を出しながら喋りだすクリストファーさん。
「まずは一つ目!敬語はさっきからそこそこ喋れているけど、読み書きはできる?」
「はい。専門的な物で無ければできると思います。」
「ウンウン、いいね!じゃあ、魔法はどのくらい使える?」
「成人前にフェンリルになってしまったで、魔法を教えてもらっていません。ですから魔法は使えません。」
「そうなの?でもラインハルト一緒に討伐に参加していたって聞いたよ。血生臭い事は得意なの?」
「そこまで得意ではありません。できればしたくないです。ですが、それしか手段が無いならできます。と言っても、フェンリルではなくなったので戦力にならないと思いますが。」
「ふむふむ。じゃあ家事とかは?どのくらいできる?裁縫とかは?」
「炊事洗濯掃除、一通りできると思います。教会でやっていたので、こちらのやり方とは違うかもしれませんけど。裁縫もこちらのやり方とは違うかもしれませんけど、教会のほうで服の直しとかをしてたのでできます。」
「結構できる事多いね~。教会に居たって言うけど、人と話すのは得意だったりする?」
「知り合いは多い方だと思います。教会に居る人は勿論、市場とかにもよく買い出しで行っていたので。」
「ほうほう。では最後に問題です!」
え、ここで問題か?答えられる自信ないんだが。
「ラインハルトは、1万フィリンをもって市場に行ったよ。そこで、そうだなぁ、りんごを沢山買った事にしよう。少しお高めのりんごで、300フィリンした。お釣りを貰うと、丁度1000フィリン。さて、ラインハルトは何個りんごを買ったでしょう?」
フィリンはこの国の硬貨の名前だ。桁が変わるごとに硬貨も一回りずつ大きくなる。
えーっと、9000フィリン分の300フィリンのりんごの数だから……。
「30個です。」
「大正~解!自分で言っておいてなんだけど、そんなにりんご買ってどうするんだろうねラインハルト。」
確かに。前世でもそんな事あったな。池の周りを一定の速度で走る人の問題とか。計算を間違えると物凄い速さで走る事になってた。
「まあ、りんごを何故か30個も買ったラインハルトは置いといて、ルイス君はここの仕事できると思うよ。ね、ファーリー。」
「そうで御座いますね。本人にその気があれば、私の技術もお教えしますから、頑張り次第では執事も夢ではないかと。」
……び、びっくりしたぁ……。ファーリーさんいたのか。
「し、執事にもなれるんですか?」
「はい。最初は下働きからになってしまいますが、ルイス様であれば大丈夫かと思います。」
ファーリーさんが言ってくれるなら自信がつくな。
「あ、でも、ここって新しい下働きとかの募集してるんですか?」
「そうですねぇ。特にしてはおりませんが、そろそろ私も歳ですので、後任が欲しかったところなのです。ルイス様さえ良ければ、ラインハルト様にお伝えしますよ。」
一瞬ガクリとなりかけたが、その後の言葉で希望が見える。
「よろしくお願いします!勿論使えなければ即クビにしていただいていいので!」
こうして、俺はアルンディオ伯爵家で働ける事となる。
___と、その前に、教会へ一旦帰らねば。
何故か満足そうな顔で鼻血を出しながら気絶したラインハルト。
咄嗟に地面に落ちないよう支えられたが、人間に戻ったからか支えきれずに下敷きになる。
取り敢えず、ラインハルトの下から抜け出して、そっとラインハルトの頭を太ももの上に置く。男の太ももで悪いが床よりマシだろう。
「ど、どうしたらいいんだこれ!!?ひ、ひと、ファーリーさん呼ぼう!!」
「お呼びですかな!?」
うわびっくりした!!
ファーリーさんを呼んだ方がいいのか、混乱して叫んだ瞬間ファーリーさんの声が扉の外から聞こえた。そういえば、ここ応接間だから扉薄かったな。
「ら、ラインハルトが鼻血出して倒れました!!」
「なんですと!?」
取り敢えず俺も叫び、ラインハルトが倒れた事を知らせる。
バーン!!という効果音が付きそうな感じで扉を開けたファーリーさんは、目を少し見開き固まる。
「なになに~?どうした、の……って、……?」
ラインハルトのお兄さん、クリストファーさんだっけ、も騒ぎを聞きつけてやって来たと思えば、同じ様に固まってしまった。知らない奴が居るからびっくりしてるんだな、わかる。でも先にラインハルト見てくれ。
「ラインハルトが急に鼻血出して倒れてしまったんですけどどうしたらいいですか!?」
「、ハッ!お、お医者様をお呼びしてきます!!」
俺の言葉にはっとして動き出してくれたファーリーさん。走って何処かへ行った。
そして、クリストファーさんは何故か上着を脱ぎながら近づいてくる。
ラインハルトにかけるのかな、と思っていると、フワッと俺にかけられた。
「君は、ノーネ君かな?」
なんで俺にかけるんだろう、と頭にハテナを浮かべる俺に質問するクリストファーさん。取り敢えず敬語で返す。
「はい。ノーネと呼ばれてました。でももうルイスなので、そちらで呼んでくれると嬉しいです。」
「そっか…。話が聞きたいんだけどいいかな?」
あ~……、リアンレーヴの件かな?でも俺あんまり記憶ないんだけど……。俺の答えを待ちながらラインハルトを軽々と持ち上げソファーに移動させるクリストファーさん。
「俺、記憶が朧げで、あんまり話せないと思うんですけど……。」
「朧げでもいいから聞かせてほしい。ま、その前に服だよね!」
え、服?誰の?
「わかってないかもだけど、ルイス君、君裸だよ?」
_________へ?
「うわぁぁぁぁぁあ!!!!」
「お、お恥ずかしいところをお見せしました……。」
服を借りて、ソファーに座っている俺。対面にはクリストファーさんがにこにこと笑って座っている。
「大丈夫だよ~!こちらこそ、不可抗力とはいえ婿入り前の子の裸見ちゃってごめんね。」
「いえ、それより、ラインハルト、さんは大丈夫ですか?」
喋る途中で、ラインハルトを呼び捨てはだめじゃないかとさん付けにする。あ、様の方が良かったかもしれない…!
「ああ、大丈夫大丈夫。ちょっと刺激が強かっただけだから。」
……?刺激?失明したのが急に治ったからか?
「ま、それは置いといて。ルイス君はこれからどうするの?」
「一度教会に帰ってから、働く先を探そうと思ってます。」
「働くの?」
え、なんでちょっとびっくりしてるんだ?
「え、働きますよ。俺成人したので働けますし。」
「結婚したいなぁ~、とかは無いの?」
結婚、結婚かぁ~。ラインハルトの事好きだけど、ラインハルトは辺境伯で、片や俺はといえば孤児。普通に結婚は無理だろう。だからといって、他の誰かと結婚する気はないしなぁ。
「特に結婚する気は無いですね。」
「そう。じゃあ、働きたいと思ってる所とかはあるの?」
「あ、それはあります。」
「そうなの?どこどこ~?お兄さんに教えてご覧?」
働きたい所、と言われて、思わず即答してしまう。クリストファーさんは興味津々です!と言ったふうに答えを急かしてきた。
これって言ってもいいんだろうか?
「…えと、できたら、ここで働きたいな、と思ってます。」
ここで嘘ついてもな、と正直に話す。すると、またクリストファーさんは少し驚いた顔をした。
よく驚く人だなぁ、と思いながら、クリストファーさんを見つめる。
「ここで働きたいの?」
「はい。」
「結婚する気はないんだね?」
「はい。」
「教会に一度帰る?」
「はい。神父様達も心配してると思いますし。」
さっき聞いた事を確認するようにもう一度聞かれる。それに流れ作業の様に答えていく。
「ラインハルトの事好き?」
「はい、?へ?」
急な質問に、半分『はい』と答えてしまう。本当に嘘ではないから困る。
「え、えと、す、すきって…?」
「勿論、恋愛的な意味でね?」
好き、好きだけど、恋愛的な意味で好きだけどさ。
………言ってしまって、いいんだろうか……?
「安心して。誰にも言わないし、何を言っても怒ったりしないよ。」
「………。」
怒ったりしない。本当だろうか。誰にも言わないなんて、信用できなくないか?
「…すきです。ずっと一緒に居られたら、と思うくらい。ラインハルトのことが好きです。」
一言言ってしまうと、言わなくていい事まで喋ってしまう。
顔がほんのり熱くなって、声にも熱が乗る。
クリストファーさんは、そんな俺にきょとんとする。…そんなに驚かなくてもいいだろうに。
「ラインハルトと結婚したいとかはないの?ラインハルト妻も夫もいないよ?」
「?妻も夫もいないのに妾はとれませんよ?というかラインハルトは俺のこと好きなのかわかりませんし。」
「へ?めかけ?」
え、そうだよな?ラインハルトがキスしてくれって言ったのは、キスしたら失明が治るからだろ?
なんで俺が人間に戻れたのかは謎だけど。
「ちょ、ちょっと待って……!妾としてじゃなくてさ、夫としてラインハルトと結婚したくないかって僕は聞いてるんだよ?」
「平民って貴族の人と結婚できるんですか?」
純粋な疑問だった。平民で貴族の人と結婚した人なんて聞いたことないけど。
クリストファーさんは、急に脱力した様にソファーに沈み込んで天を仰ぐ。
それでも次の瞬間こちらをバッと向き、真剣な表情になる。
「あのね、ルイス君。」
クリストファーさんの真剣な表情に、俺もすっと背が伸びる。
___「貴族は別に平民と結婚しちゃ駄目なんて法律は無いんだよ。」
「はい?」
「確かに結婚してる人は少ないって言うか、今は居ないけど偶に居るし、平民から貴族に成り上がった人だっていっぱい、は言い過ぎだけど居る。だからね、ルイス君とラインハルトは結婚出来ない訳じゃないんだよ。わかった?」
「は…はい……?」
怒涛の勢いで話され、わかったようなわからない様な…?つまりどういうこと?
「まあ、それは置いといて。ルイス君はここで働きたいんだね?」
「は、はい!ここで働きたいです。働きたいですけど、ここの仕事が俺にちゃんとできる内容かどうかわからないので、少し決めかねてます。」
な、なんか急に話変わったな。
「ふむふむ。じゃあ俺がここの仕事ができるかどうか質問してあげよう!」
し、仕事内容を教えてくれるんじゃないんだな…。
ウキウキした雰囲気を出しながら喋りだすクリストファーさん。
「まずは一つ目!敬語はさっきからそこそこ喋れているけど、読み書きはできる?」
「はい。専門的な物で無ければできると思います。」
「ウンウン、いいね!じゃあ、魔法はどのくらい使える?」
「成人前にフェンリルになってしまったで、魔法を教えてもらっていません。ですから魔法は使えません。」
「そうなの?でもラインハルト一緒に討伐に参加していたって聞いたよ。血生臭い事は得意なの?」
「そこまで得意ではありません。できればしたくないです。ですが、それしか手段が無いならできます。と言っても、フェンリルではなくなったので戦力にならないと思いますが。」
「ふむふむ。じゃあ家事とかは?どのくらいできる?裁縫とかは?」
「炊事洗濯掃除、一通りできると思います。教会でやっていたので、こちらのやり方とは違うかもしれませんけど。裁縫もこちらのやり方とは違うかもしれませんけど、教会のほうで服の直しとかをしてたのでできます。」
「結構できる事多いね~。教会に居たって言うけど、人と話すのは得意だったりする?」
「知り合いは多い方だと思います。教会に居る人は勿論、市場とかにもよく買い出しで行っていたので。」
「ほうほう。では最後に問題です!」
え、ここで問題か?答えられる自信ないんだが。
「ラインハルトは、1万フィリンをもって市場に行ったよ。そこで、そうだなぁ、りんごを沢山買った事にしよう。少しお高めのりんごで、300フィリンした。お釣りを貰うと、丁度1000フィリン。さて、ラインハルトは何個りんごを買ったでしょう?」
フィリンはこの国の硬貨の名前だ。桁が変わるごとに硬貨も一回りずつ大きくなる。
えーっと、9000フィリン分の300フィリンのりんごの数だから……。
「30個です。」
「大正~解!自分で言っておいてなんだけど、そんなにりんご買ってどうするんだろうねラインハルト。」
確かに。前世でもそんな事あったな。池の周りを一定の速度で走る人の問題とか。計算を間違えると物凄い速さで走る事になってた。
「まあ、りんごを何故か30個も買ったラインハルトは置いといて、ルイス君はここの仕事できると思うよ。ね、ファーリー。」
「そうで御座いますね。本人にその気があれば、私の技術もお教えしますから、頑張り次第では執事も夢ではないかと。」
……び、びっくりしたぁ……。ファーリーさんいたのか。
「し、執事にもなれるんですか?」
「はい。最初は下働きからになってしまいますが、ルイス様であれば大丈夫かと思います。」
ファーリーさんが言ってくれるなら自信がつくな。
「あ、でも、ここって新しい下働きとかの募集してるんですか?」
「そうですねぇ。特にしてはおりませんが、そろそろ私も歳ですので、後任が欲しかったところなのです。ルイス様さえ良ければ、ラインハルト様にお伝えしますよ。」
一瞬ガクリとなりかけたが、その後の言葉で希望が見える。
「よろしくお願いします!勿論使えなければ即クビにしていただいていいので!」
こうして、俺はアルンディオ伯爵家で働ける事となる。
___と、その前に、教会へ一旦帰らねば。
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