自己中心主義勇者 egoistic hero

バード・ポー

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アレク訪問

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スイートウォーター城を飛び立ってから3時間程するとサンライト城が遠くに見えてきた。

天気だけが心配だったが、道中大きな乱れはなかったのでかなり助かった。

本来ならば一週間以上かかる道のりである。

気球はそれから一時間程でサンライト城に着いた。

カズマはマリに到着を伝えると城でチーム会議をする事を提案した。

カズマもマナも疲れていたが、それよりも皆に伝えたい情報があった。

二人は城の大広間を通ってエレベーターへ向かった。

すると訓練所のほうからマリとメイが現れた。

メイがカズマを見つける。



メイ:「あ!パーパだ!」



メイはカズマに駆け寄り飛びついた。

カズマはメイを受け止める。



メイ:「パーパおかえり!」

カズマ:「ただいま。ちゃんと訓練してたみたいだな。」



カズマはメイを抱きしめて頭をなでてあげる。

マリがカズマに近づいてきた。



カズマ:「ただいま。」

マリ:「おかえり。ご苦労だった。」

カズマ:「よし!みんなでコンピュータールーム行こうか。シュウとドグマには連絡したか?」

マリ:「ああ、もう少ししたら闘技場を抜けてくるそうだ。」

カズマ:「そうか、ちょっくら皆に見てもらいたいものがある。」

マリ:「見てもらいたいもの?」

カズマ:「まあまず下に降りよう。」



そう言うとカズマはメイを下におろした。

メイはカズマの背後からつかみかかりカズマがおんぶをする。

メイは一日カズマから離れた寂しさを埋めるように甘えていた。



メイ:「パーパ、会議終わったら遊ぼ。」

カズマ:「ダメだ、ちょっと客が来る。」

メイ:「誰?」

カズマ:「後で教えるよ。」

メイ:「パーパかまってよ~」

カズマ:「わーかったって!お客さん帰ったらゲームやる。それでいいだろ?」

メイ:「うん!パーパ大好き。」



コンピュータールームに着くとカズマはDシェルターでもらったメモリースティックを差した。

コンピューターに動画ファイルの再生を指示するとアレクの映像が流れた。



カズマ:「こいつがアレクだ。スイートウォーター城に一人で乗り込んできたらしい。」

マリ:「顔が見えないな・・・」

カズマ:「ああ、兜というより鉄仮面だな。表情を見たかったんだが仕方ない。動きを見て何か気づいた事はあるか?」



カズマは映像をリピート再生にした。

マリは映像をジーっと見ている。

マリの全身から汗が噴き出る。

それから次第に顔が青ざめていく。



マリ:「こいつがアレクなのか・・・?」

カズマ:「ああ、アレクを見るのは初めてか?」

マリ:「初めてだが・・・まさか・・・でも・・・」



マリの動揺している姿を見てマナは心配した。



マナ:「大丈夫ですか?マリ様。」



その時シュウとドグマがコンピュータールームに現れた。



ドグマ:「おお、カズマ帰ってたか。ご苦労だったな!」

シュウ:「カズマさんマナさんお帰りだべ。」

カズマ:「おーいい所に来た。二人もこの映像を見てくれ。アレクだ。」



シュウとドグマはモニター画面の映像を見た。



カズマ:「二人もこれ見て何か気づいた事があれば言ってくれ。」



二人はジーっと映像を見る。



ドグマ:「カズマオマエふざけてんのか?」

カズマ;「何が?」

ドグマ:「オマエスイートウォーター城で自分の動画撮って遊んできたのか?」

カズマ:「何言ってんだよこれはアレクの映像だって・・・今なんつった?」



ドグマの言葉にカズマは凍り付いた。



ドグマ:「だって顔隠してるがこれはオマエだ。動きでバレバレだぞ?」



カズマはシュウに聞いた。



カズマ:「シュウ・・・オマエの感想は?」

シュウ:「オラの感想もドグマ隊長と同じだべ・・・」



その時城門の守衛からドグマのワイヤレスマイクに連絡がきた。



カズマ:「ドグマだ。どうした?」

守衛A:「ドグマ隊長、城門の前でアレクと名乗る男が勇者様を呼んでいます。至急こちらに来てください。」

ドグマ:「わかった。直ちに向かう。」



ドグマはワイヤレスマイクを切り、全員に言った。



ドグマ:「城門にアレクと名乗る者が現れた。カズマ、オマエを呼んでいるそうだ。」

カズマ:「マナ、お前の予想通り来たぜ。」



カズマはそう言うと城門へ向かった。

城門へ行くまでの間、カズマはドグマの言葉を思い浮かべていた。



『俺は自分の動きを客観的に見たことがない・・・だからアレクと瓜二つの動きだという事に気付かなかった・・・』



城門に着くとカズマは鉄仮面を被った。

城門の見張り台に登ると城門の前に立っている男が一人。

カズマは男に向かって叫んだ。



カズマ:「お前がアレクか?」



アレクは嬉しそうに応えた。



アレク:「そうだ!オマエが勇者とやらか!?」

カズマ:「そうだ!俺が勇者だ!はじめまして覇王様!」



アレクは顎髭をさわりながら不敵な笑みを浮かべている。



カズマ:「ゾンビウイルスのお返しはどうだった?」

アレク:「フハハハ!粉々に吹き飛ばしてくれたわ!」

カズマ:「今日はどうした?タイマンでもするか?」

アレク:「勇者とやらがどんな奴か見に来た!その仮面を取れ!面構えを見てやる!」

カズマ:「人見知りするんだ!断る!」



クククとアレクは笑いながらカズマに背をむける。



アレク:「期待外れだったか。臆病者に用はない。」



アレクが城門を後にするのをカズマは見つめていた。



カズマ:「マナ、撮れたか?」

マナ:「はい、バッチリズームでとりました。」

カズマ:「よしそいつを持ってまた会議に戻るぞ。」
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