自己中心主義勇者 egoistic hero

バード・ポー

文字の大きさ
50 / 93

尋問

しおりを挟む
二時間後

マリは泣き疲れてカズマに抱きついたまま一緒に眠っていた。

マリが眠ってから少ししてカズマは目を覚ました。



カズマ:「ここは・・・俺は確か・・・」



カズマは上半身を起こそうとする。

頭に痛みが走る。

手で頭を押さえなでると記憶が蘇ってくる。



『確かあの女が何か唱えた・・・魔法か?』



マリを優しくベッドに寝せてカズマは起き上がった。

待機所のドアを開けるとシュウとドグマが談笑していた。

二人はカズマに気付くと声をかけた。



ドグマ:「よう大将!派手にやられたな!」

シュウ:「あんなオナゴにやられて恥ずかしいべ!」



二人は笑いながらカズマをからかう。

カズマはまだボーっとした頭のまま二人に尋ねる。



カズマ:「あの司令官は今どこだ?」

ドグマ:「向こうの独房にぶち込んでるよ。」



カズマは二人にかまわずに独房の方向に向かった。

シュウとドグマは顔を見合わせた後カズマを追いかける。



ドグマ:「オイ!カズマ!アイツに何する気だ?」

カズマ:「ちょっと聞きたい事があるんだ。オマエ達は来るな。」

シュウ;「いや~また魔法で吹き飛ばされるかもしれねぇからオラ達もついていくだ。心配だべ。」



飄々と言うシュウをカズマは睨みつけた。

ドグマもニヤニヤしている。



カズマ:「勝手にしろ・・・邪魔すんなよ。」



カズマは再び独房へ歩き出した。

独房へ着くとレムが両手と両足に手錠をかけられていた。

守衛が一人いたがカズマは席を外すようにうながした。

レムはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている。

カズマはレムを睨みつけ、質問をはじめる。



カズマ:「お前の名前は?」



レムは答えずにニヤニヤしている。

カズマはレムの背後に回り、レムの右手を持つ。



ボキッ!



カズマはレムの人差し指の骨を折った。



レム:「いてぇ!」



レムが叫び声をあげるとシュウとドグマはカズマに駆け寄る。



ドグマ:「オイ!何してるんだカズマ!」

シュウ:「やりすぎだべ!」



ドグマはカズマの胸ぐらをつかむ。

カズマはそれを振り払った。



カズマ:「邪魔するなっつっただろオッサン。」



カズマは激痛にもだえているレムの髪をつかみ頭を上げさせる。



カズマ:「お前の名前は?」

レム:「レムだ・・・」



レムの顔には脂汗がにじんでいる。



カズマ:「レム・・・鎧兜の男の事を話せ。」

レム:「鎧兜の男?我が軍には大勢いて誰の事を言っているのかわからんな?」



カズマは再びレムの右手をとり中指の骨を折る。



ボキッ



レム:「ギャァァァァ!」



激痛にもだえるレム。

再びレムの髪をつかみカズマは質問する。



カズマ:「テメェが注射打ってあげてる薬中だよ!アイツは何だ!」

レム:「アイツはクローンだ!遺伝子操作で作ったクローンだ!」



独房の薄明りの中カズマはレムを睨みつけている。

指を二本折られた激痛にレムは息を荒くしている。



カズマ:「誰のクローンだ?」

レム:「それは本当に知らん。だが不思議な事に貴様によく似ている。」



そう言いながらレムは薄く笑っている。



レム:「最初オマエを見た時驚いたよ。そっくりだ。オマエのクローンなのか?」



クククとレムは笑っていたがカズマの表情は対照的に凍り付いたままだった。



カズマ:「あの男に何を仕込んだ?筋肉増強剤か?」

レム:「そんな生易しいもんじゃない、モンスターのエキスだよ。」



相変わらずレムは息を荒げながらもニヤニヤ笑っている。



レム:「アイツは実験台さ。あらゆるモンスターのエキスをぶち込んでどれがより効果的か試してるんだ。」



カズマは強く拳を握りしめる。

シュウがその様子に気付いた。

ドグマに目配せをして注意を促す。



レム:「今じゃ立派なバケモノの仲間入りだ。ポンコツだが役に立つぜぇ?オマエにもぶち込んでやろうか?」



ヒャハハとレムは笑い声をあげる。

カズマの目が怒りに燃える。

カズマがレムに向かって拳を撃ち込もうとした瞬間シュウとドグマがカズマの腕を止める。

拳はレムの顔面の直前で止められた。

新兵器を装備した拳が当たっていればレムの頭部は吹き飛んでいただろう。

レムはカズマの拳の勢いで気絶した。

カズマはなおもレムに襲い掛かろうとするがシュウとドグマが取り押さえた。



カズマ:「放せ!コイツぶち殺してやる!」

ドグマ:「やめろ!カズマ!落ち着け!」

シュウ:「カズマさん!深呼吸しろ!」



興奮しているカズマをシュウとドグマがなだめる。

カズマの呼吸は乱れ、目が血走っている。



ドグマ:「そうだ、カズマ。深呼吸しろ。ゆっくりだ。」



シュウとドグマがなだめるうちにカズマは呼吸を整え落ち着きはじめた。

シュウとドグマがカズマを解放するとカズマは独房の壁に背をつけて座り込む。

ドグマは独房から出て回復魔法を使える僧侶を一人呼ぶように命令した。

シュウは座り込んで下を向いているカズマに声をかける。



シュウ:「カズマさん。城にもどるべ。少し休もう。」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...