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~ファンタジー異世界旅館探訪~
【第1章】第1話「ファーンラント・アルヴァー」(1)
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アルヴァーは、交易都市ミラーレから半日ほどの距離に広がる森林地帯でフィールドワークに励んでいた。
「やはり、この森の植生は他とはかなり異なっているようだ」
厚手の紙に、目に付いたシダ科植物群生のスケッチを素早く描いていく。
僅かな時間で仕上がったそれは植物の特徴を良く捉えていた。
最後に文字で周辺環境や色などの情報を追加して、マント裏のポケットに仕舞うと、次の植物を探して移動していく。
そうして手持ちの紙を半分ほど消費した頃、不意に手を止めたかと思うと、ゆっくりと周辺を伺い始めた。
『獣の気配……魔力の流れから魔獣の類ではなさそうだが……確認する必要があるか』
僅かに身を屈めつつ、森の木々の間をすり抜けるように進む。
アルヴァーの身に付けるマントは深い色のブルーに染められているが、木陰に入り込むと驚くほど周囲に溶け込んでいた。
森に流れる僅かな魔力の流れから風向きを読み、風下からゆっくりと近づいていく。
向こうに気配を察知されるギリギリの距離まで詰めると、その場に溶け込むようにしゃがみ込み相手が近づくのを待つ。
すると、ガサガサと下草を掻き分けて複数の小さな気配が近づいて来た。
僅かに体勢を気配の方に向けると、マントの裏地のポケットの一つを探って中のものを取り出し、その時を待った。
そして、ついに茂みから複数の小動物が飛び出してきた。
『あれは、野生種の豚の幼体? 見た事が無い種だ。体毛の模様が独特だな……』
アルヴァーはじっくり観察すると取り出した紙に出来るだけ写実的に書き写していった。
やがて、十分に観察を終えると幼体を驚かせないように、ゆっくりとその場を離れた。
親である成体の気配が近づいて来た為だ。
出来れば成体もこの目で観察したい所だったが、野生生物は子育て中は気性が荒い事が多い。
なるべく自然のままの状態で観察したい学者気質のアルヴァーにとっては危険を冒してまで確認するメリットは少なかった。
獣の親子と十分な距離を取った後は、水袋に口を付けると一休みする事にした。
木の実をハチミツと小麦粉で固めた携帯食を口に含みつつ、周辺の地図を開くと現在位置を確認する。
「ふむ、今は街道脇から5ルート(約2.5km)程入った所だな。ここからだと、さらに北上して川沿いに下った方が早いか……」
さらにスケッチを2枚増やし、そろそろ川と合流するという所で、水の匂いに続き濃厚な魔力の流れを強烈に感じた。
素早く大木の陰に身を潜めると、アルヴァーは魔力感知の為の準備に入った。
高濃度の魔力は存在感が強く逆に流れを感じ取れない為、瞳を閉じ魔力の流れだけを感じられるように集中する。
『……魔力自体は自然のものの様だ、生物のものではない。しかし、何故、これほど近付くまで気付かなかった? ……ん、これは川沿いに放出されている? しかも下流に向かうほど急激に感知出来なくなる……上流に何かあるのか?』
アルヴァーは集中を解き魔力の源を確かめる為に立ち上がった。
「やはり、この森の植生は他とはかなり異なっているようだ」
厚手の紙に、目に付いたシダ科植物群生のスケッチを素早く描いていく。
僅かな時間で仕上がったそれは植物の特徴を良く捉えていた。
最後に文字で周辺環境や色などの情報を追加して、マント裏のポケットに仕舞うと、次の植物を探して移動していく。
そうして手持ちの紙を半分ほど消費した頃、不意に手を止めたかと思うと、ゆっくりと周辺を伺い始めた。
『獣の気配……魔力の流れから魔獣の類ではなさそうだが……確認する必要があるか』
僅かに身を屈めつつ、森の木々の間をすり抜けるように進む。
アルヴァーの身に付けるマントは深い色のブルーに染められているが、木陰に入り込むと驚くほど周囲に溶け込んでいた。
森に流れる僅かな魔力の流れから風向きを読み、風下からゆっくりと近づいていく。
向こうに気配を察知されるギリギリの距離まで詰めると、その場に溶け込むようにしゃがみ込み相手が近づくのを待つ。
すると、ガサガサと下草を掻き分けて複数の小さな気配が近づいて来た。
僅かに体勢を気配の方に向けると、マントの裏地のポケットの一つを探って中のものを取り出し、その時を待った。
そして、ついに茂みから複数の小動物が飛び出してきた。
『あれは、野生種の豚の幼体? 見た事が無い種だ。体毛の模様が独特だな……』
アルヴァーはじっくり観察すると取り出した紙に出来るだけ写実的に書き写していった。
やがて、十分に観察を終えると幼体を驚かせないように、ゆっくりとその場を離れた。
親である成体の気配が近づいて来た為だ。
出来れば成体もこの目で観察したい所だったが、野生生物は子育て中は気性が荒い事が多い。
なるべく自然のままの状態で観察したい学者気質のアルヴァーにとっては危険を冒してまで確認するメリットは少なかった。
獣の親子と十分な距離を取った後は、水袋に口を付けると一休みする事にした。
木の実をハチミツと小麦粉で固めた携帯食を口に含みつつ、周辺の地図を開くと現在位置を確認する。
「ふむ、今は街道脇から5ルート(約2.5km)程入った所だな。ここからだと、さらに北上して川沿いに下った方が早いか……」
さらにスケッチを2枚増やし、そろそろ川と合流するという所で、水の匂いに続き濃厚な魔力の流れを強烈に感じた。
素早く大木の陰に身を潜めると、アルヴァーは魔力感知の為の準備に入った。
高濃度の魔力は存在感が強く逆に流れを感じ取れない為、瞳を閉じ魔力の流れだけを感じられるように集中する。
『……魔力自体は自然のものの様だ、生物のものではない。しかし、何故、これほど近付くまで気付かなかった? ……ん、これは川沿いに放出されている? しかも下流に向かうほど急激に感知出来なくなる……上流に何かあるのか?』
アルヴァーは集中を解き魔力の源を確かめる為に立ち上がった。
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