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~ファンタジー異世界旅館探訪~
【第1章】第38話「出発準備と買出し」(10)
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ホームセンターは需要の違いからか、地方ごとに商品ラインナップに特色が出るが、ここの商品群は、時代のコンパクト化に逆行するかのように、大型商品が目白押しだった。
特に日用品の詰め替えパックなどは、業務用顔負けのサイズが所狭しと通常店舗の二倍の高さの棚一杯に並んでいるのだから、ある意味圧巻だった。
優希は早々に自力で商品を探すのを諦め、店員さんにカートなどが売っている場所を教えて貰った。驚いた事に、ここでは、スーパーなどで一般的に使われるショッピングカートも大小数種類売られていた。優希は思わず手を伸ばし掛けるが、これで荷物を運んでバスに乗り込む自分の姿を想像して思いとどまった。
他にも、業務用の台車や、スチール製のワゴン、アルミフレーム製台車など、農作業にも使えそうなものがあったが、流石に本格的過ぎたので購入は諦め、一般的な物を物色することにした。折りたたみ式のキャリーカートの他にも、布製ワゴンタイプの集束式キャリーカートがあり、そのキャリーワゴンは、アウトドアタイプもあるようで、タイヤのサイズも大きくこれならガラス製品を運んでも問題なさそうだった。
優希は、その中から頑丈な造りの物を選ぶと早速購入した。
ひとまず、目的を達成すると、安心したのかお腹が空いている事に気付いた。時間を確認すると既に一時を回っていたので、荷物を取りに行くのは後回しにして、飲食店を物色する事にした。
ここは、郊外型のチェーン店が集中している事もあり、牛丼やカレー屋。資本系と呼ばれる家系ラーメンや回転寿司など飲食系のチェーン店が多かった。
優希がランチをどこで食べるか迷っていると、一軒のアウトドア専門店が目に入った。そこは店舗の一部が飲食スペースになっていて、ダッチオーブンで作ったデザートやカレーを提供しているようだった。興味をひかれた優希はここでランチを食べる事にした。
幸い、ランチタイムは01:45までだったので、お客が引けた店内でのんびり食事を楽しむ事が出来た。
予想外だったのは併設店舗とは思えない本格的な料理が出てきた事だった。注文したランチセットのビーフカレーは、牛すじが良く煮込まれていて口の中でのほぐれ具合が絶妙なうえ、スパイシーなカレーとの相性も抜群だった。デザートのダッチ・ベイビー・パンケーキも苺のコンフィチュールに生クリームを添えたものでシンプルながら甘く食べ応えも十分なものだった。
買出しもほぼ終わり、お腹も一杯になった優希は追加でコーヒーを注文すると、ここでしばらくのんびりする事にした。
今日買った商品の振り分けをどうするかなど、明日の事をぼんやり考えていると、重要な点を見落としていた事に気付いた。荷物を運ぶなら収納する物が必要だし、森の中を通るなら、トレッキングシューズの方が良いだろう。今、履いているスニーカーでは心許ないかもしれないと思った。
丁度良い具合に、この店はアウトドアショップが本業だったので、優希はコーヒーを飲み干すと、早速、必要な物を物色する事にした。
まずは、自分用のトレッキングシューズをフィッティングしていると、どこからともなく店員さんが、すすすっと近付いて来て的確なアドバイスをしてくれた。それに従って、厚手の靴下と一緒に購入を決めると、ふとノーチェの格好が脳裏を過ぎった。
最後に見た時はメイド服姿だったが、露天風呂に落ちた時に着ていた服は比較的ラフな格好だったはず。確か、食事の仕度をしている途中で逃げて来たと言っていたから、マントなどの旅用の装備は脱いでいたのだろう。それなら、念のため、ノーチェ用の装備も整えた方が良いだろうと考え、ついでに購入する事にした。
幸い、ノーチェの靴のサイズはメイド服に着替えた時に分かったので、優希は自分と同じタイプのシューズと靴下の女性用をノーチェに合うサイズで選んだ。
次に、色々迷った結果、三人分のバックパックはシンプルで容量の多いタイプに決め、ノーチェの物は一回り小型の物にした。色は迷ったが、アルヴァーのマントの色と同じ青系にする事にする。
同じく、手ごろな値段で売っていたフード付きの防水ロングジャケットも紺色を選択して、ノーチェの分はレディースのSサイズにした。少し大きいかもしれないが、袖を絞れるタイプなので問題ないだろう。
アウトドアグッズには明るい色も多かったが、異世界の森で目立つのは危険だろうし、同じ色で統一感を演出する事で、相手から見て一目で仲間同士だと認識させる効果も期待出来るだろうという考えもあった。
アルヴァーの装備は完璧だったからそれに合わせたともいえる。
完璧と言えば、アルヴァーは武装していたが、ノーチェはどうだっただろうか? 小型のナイフ位は持っているかもしれないが、きちんと武装させた方が良いだろう。
優希は広瀬館にある脇差でも持たせるべきかとも考えたが、店内の一角にガラスケースに収められた刃物のコーナーがあったので覗いてみると、そこに丁度良いサイズの剣鉈が展示してあった。
すると、先程の店員さんが、すすすっと近付いて来て「興味がおありですか?」と聞いてきた。刃物に興味があると言ったら、いかにも危ない人みたいだが、ここではそういう事を聞いたのではないだろうと、優希は曖昧に「ええまあ」と答え剣鉈を見せてもらった。その時に、正直、店のイメージとかけ離れていたが、本物志向の本格的な品揃えに驚きもしたので、その事を聞いてみた。
「店の雰囲気に合っていないのは分かっているんですが、店長の趣味なんです。それに意外とネット通販や農業や林業関係のお客様がお買い上げになっているので、当店の密かなヒット商品になっています」
なるほどと納得しつつ、一振りの剣鉈を購入する事にした。刃渡りは長めだが肉厚で、ケガ防止用に刃が付いている面に鍔が付いていた。重さも見た目よりは軽いが軽すぎるという事もなく、重心も丁度良い位置にあり、これならノーチェでも問題なく扱えそうだった。
優希は、店員さんとの会話の中で「キャンプですか?」と聞かれた。まさか異世界の森を抜けて、こちらの世界の商品を運ぶとも言えなかったので、半日ほど山歩きする予定がある事を濁して話した所、川の上流は霧が出やすい事や、まだ冷えやすい季節だと言われて、いつの間にか、アルミ製のサバイバルブランケットや魔法瓶を買う事になっていた。――実に商売熱心な店員さんだった。
結局、割引になるという言葉に釣られて会員カードまで作る事になった。身分証の住所には驚かれたが、旅館の手伝いに来ていると言うと妙に感心された。最終的にSNSの連絡先まで聞かれたが、スマホを今まさに修理中で、この後受け取る事を伝えると、
「私、SNSの中の人担当なんですよ。これがお店のアカウントで、商品の入荷やアウトドアイベントの告知なんかも発信してるので、良かったらフォローして下さい」
と、名刺を渡されたのだった。――本当に商売熱心な店員さんだった。
アウトドアショップでも予想以上に買い込んだため荷物がかさんでしまった。優希は、ホームセンターで購入したキャリーワゴンを活用しようと、早速、展開して荷物を積み込んだ。
そこで、ふと視線を感じて振り向くと、先程の店員さんが意味あり気な笑みを湛えていた。視線を横にずらすと、今、優希が使っているのと同じキャリーワゴンが販売されていた。店員さんは笑みを深めると、小さくお辞儀をして見送りの体勢になっていたが、優希には「次からはウチの店でお買い上げ下さいね」という心の声が確かに聞こえたような気がした。
――ちなみにお値段は……言わぬが花なのだろう。
特に日用品の詰め替えパックなどは、業務用顔負けのサイズが所狭しと通常店舗の二倍の高さの棚一杯に並んでいるのだから、ある意味圧巻だった。
優希は早々に自力で商品を探すのを諦め、店員さんにカートなどが売っている場所を教えて貰った。驚いた事に、ここでは、スーパーなどで一般的に使われるショッピングカートも大小数種類売られていた。優希は思わず手を伸ばし掛けるが、これで荷物を運んでバスに乗り込む自分の姿を想像して思いとどまった。
他にも、業務用の台車や、スチール製のワゴン、アルミフレーム製台車など、農作業にも使えそうなものがあったが、流石に本格的過ぎたので購入は諦め、一般的な物を物色することにした。折りたたみ式のキャリーカートの他にも、布製ワゴンタイプの集束式キャリーカートがあり、そのキャリーワゴンは、アウトドアタイプもあるようで、タイヤのサイズも大きくこれならガラス製品を運んでも問題なさそうだった。
優希は、その中から頑丈な造りの物を選ぶと早速購入した。
ひとまず、目的を達成すると、安心したのかお腹が空いている事に気付いた。時間を確認すると既に一時を回っていたので、荷物を取りに行くのは後回しにして、飲食店を物色する事にした。
ここは、郊外型のチェーン店が集中している事もあり、牛丼やカレー屋。資本系と呼ばれる家系ラーメンや回転寿司など飲食系のチェーン店が多かった。
優希がランチをどこで食べるか迷っていると、一軒のアウトドア専門店が目に入った。そこは店舗の一部が飲食スペースになっていて、ダッチオーブンで作ったデザートやカレーを提供しているようだった。興味をひかれた優希はここでランチを食べる事にした。
幸い、ランチタイムは01:45までだったので、お客が引けた店内でのんびり食事を楽しむ事が出来た。
予想外だったのは併設店舗とは思えない本格的な料理が出てきた事だった。注文したランチセットのビーフカレーは、牛すじが良く煮込まれていて口の中でのほぐれ具合が絶妙なうえ、スパイシーなカレーとの相性も抜群だった。デザートのダッチ・ベイビー・パンケーキも苺のコンフィチュールに生クリームを添えたものでシンプルながら甘く食べ応えも十分なものだった。
買出しもほぼ終わり、お腹も一杯になった優希は追加でコーヒーを注文すると、ここでしばらくのんびりする事にした。
今日買った商品の振り分けをどうするかなど、明日の事をぼんやり考えていると、重要な点を見落としていた事に気付いた。荷物を運ぶなら収納する物が必要だし、森の中を通るなら、トレッキングシューズの方が良いだろう。今、履いているスニーカーでは心許ないかもしれないと思った。
丁度良い具合に、この店はアウトドアショップが本業だったので、優希はコーヒーを飲み干すと、早速、必要な物を物色する事にした。
まずは、自分用のトレッキングシューズをフィッティングしていると、どこからともなく店員さんが、すすすっと近付いて来て的確なアドバイスをしてくれた。それに従って、厚手の靴下と一緒に購入を決めると、ふとノーチェの格好が脳裏を過ぎった。
最後に見た時はメイド服姿だったが、露天風呂に落ちた時に着ていた服は比較的ラフな格好だったはず。確か、食事の仕度をしている途中で逃げて来たと言っていたから、マントなどの旅用の装備は脱いでいたのだろう。それなら、念のため、ノーチェ用の装備も整えた方が良いだろうと考え、ついでに購入する事にした。
幸い、ノーチェの靴のサイズはメイド服に着替えた時に分かったので、優希は自分と同じタイプのシューズと靴下の女性用をノーチェに合うサイズで選んだ。
次に、色々迷った結果、三人分のバックパックはシンプルで容量の多いタイプに決め、ノーチェの物は一回り小型の物にした。色は迷ったが、アルヴァーのマントの色と同じ青系にする事にする。
同じく、手ごろな値段で売っていたフード付きの防水ロングジャケットも紺色を選択して、ノーチェの分はレディースのSサイズにした。少し大きいかもしれないが、袖を絞れるタイプなので問題ないだろう。
アウトドアグッズには明るい色も多かったが、異世界の森で目立つのは危険だろうし、同じ色で統一感を演出する事で、相手から見て一目で仲間同士だと認識させる効果も期待出来るだろうという考えもあった。
アルヴァーの装備は完璧だったからそれに合わせたともいえる。
完璧と言えば、アルヴァーは武装していたが、ノーチェはどうだっただろうか? 小型のナイフ位は持っているかもしれないが、きちんと武装させた方が良いだろう。
優希は広瀬館にある脇差でも持たせるべきかとも考えたが、店内の一角にガラスケースに収められた刃物のコーナーがあったので覗いてみると、そこに丁度良いサイズの剣鉈が展示してあった。
すると、先程の店員さんが、すすすっと近付いて来て「興味がおありですか?」と聞いてきた。刃物に興味があると言ったら、いかにも危ない人みたいだが、ここではそういう事を聞いたのではないだろうと、優希は曖昧に「ええまあ」と答え剣鉈を見せてもらった。その時に、正直、店のイメージとかけ離れていたが、本物志向の本格的な品揃えに驚きもしたので、その事を聞いてみた。
「店の雰囲気に合っていないのは分かっているんですが、店長の趣味なんです。それに意外とネット通販や農業や林業関係のお客様がお買い上げになっているので、当店の密かなヒット商品になっています」
なるほどと納得しつつ、一振りの剣鉈を購入する事にした。刃渡りは長めだが肉厚で、ケガ防止用に刃が付いている面に鍔が付いていた。重さも見た目よりは軽いが軽すぎるという事もなく、重心も丁度良い位置にあり、これならノーチェでも問題なく扱えそうだった。
優希は、店員さんとの会話の中で「キャンプですか?」と聞かれた。まさか異世界の森を抜けて、こちらの世界の商品を運ぶとも言えなかったので、半日ほど山歩きする予定がある事を濁して話した所、川の上流は霧が出やすい事や、まだ冷えやすい季節だと言われて、いつの間にか、アルミ製のサバイバルブランケットや魔法瓶を買う事になっていた。――実に商売熱心な店員さんだった。
結局、割引になるという言葉に釣られて会員カードまで作る事になった。身分証の住所には驚かれたが、旅館の手伝いに来ていると言うと妙に感心された。最終的にSNSの連絡先まで聞かれたが、スマホを今まさに修理中で、この後受け取る事を伝えると、
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本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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