かりそめマリッジ

ももくり

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<茉莉子>

その80

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 ガラス張りで丸見えになってしまう浴室は、残された方が背を向けて座ることで解決したが、問題はその後だった。

「あ~、サッパリしましたわ。って、何ですか、コレッ?!」
「…え?ああ、母さんがそれを着させろってさ」

 シンプルなコットンのパジャマだったはずが、いつの間にかエロ下着にすり替わっている。黒のスケスケレース素材なせいで、隠すべき部分が全然隠れてくれない。

 言わせていただくが、不肖・小椋茉莉子、顔はともあれスタイルは無駄に良いのだ。ボンキュッボンのダイナマイトボディである。

「いや…無理ですってこんなの。脱いだ服を着させて…って、あれ?無いッ」
「洗濯しますと言って家政婦が持ってったぞ」

「じゃ、じゃあ何か部屋着を貸してください!榮太郎の部屋着をッ」

 たぶん私の目は血走っているだろう。そのくらい、このエロ下着は着たくないのだ。

「ごめん、貸したくない。だって…それ着てるところを見たいもん」

 は、はああああん?!
 何言ってるんだこの男はッ。

「だって俺、28年間も性交渉を禁じられてて、ようやく生身の女性と一夜を共にするんだぞ?悪いがそういう演出は望むところだよッ!指南がダメなら、そのくらいサービスしてもいいじゃないか!

 だってっ!28年なんだぞ、28年!!」

 熱すぎるパッションに絆されたと言うか、なんかもう不憫に思えてきて、仕方なく私はそれを身に纏うのである。

 ふあさっ
 (巻いていたバスタオルを外す音)。
 
 スルスルスー
 (スケスケショーツ装着)。
 
 カチ、クイクイ
 (スケスケブラジャー装着)。

 仕上げに鏡で己の姿を映してみる。なんだコレ、恐ろしい破壊力だぞ。

 意味なく後ろ姿のチェックしようと、お尻を突き出しながら振り返ってみた時に

「入るぞ」
「う、ええっ?!…あ」

 痺れを切らした榮太郎が突入して来た。
 だ、大丈夫。この姿勢ならば被害は尻だけだ。

 しかし、右肘で両胸を、左手で下腹部を隠しながら前屈みになっている私の両手首を榮太郎はガッシリと掴み。そのまま真っ直ぐ立たせてしまった。

「うっ、こ…れは…」
「あんまりジロジロ見ないでくださいよ」

 未だかつてこれほどまでに舐めるような視線を受けたことが無いので、一生分の羞恥心を使い果たした気がする。

「な、なんなんだよコレ」
「な、何がですか?」

「こんなカラダしてんの、反則だよ…」
「へ?ひゃあん」

 突然、胸を…それも粒っぽい…ええいハッキリ言ってやろう、乳首!乳首をつままれて驚く。

「あ、ツンと尖ってきた」
「な、ななな、なに触ってんですかッ」

「ごめん。そっちも俺を触っていいから」
「さ、触りませんよッ。だから榮太郎もお触り禁止…って、ああん」

 触りまくられていたりして。

「こんなの触るなって方が無理だろ?」
「やだ、ちょっと、ヤメ…」

 カワイイと思っていても、やはりオスはオス。欲望大放出でギラギラしている榮太郎は最早、私の知っているその人では無くなっていた。

「ヤバイヤバイ、なんかもう…」
「むー、むー、」

 掴まれた両手首を天井に向かって掲げられ、抵抗することも出来ないままキスをされる。未経験とは言え、キスはそれなりの回数をこなしているのだろう。

 とにかくメチャクチャ上手かった。

 アメリカ留学の際にちょっとだけ付き合ったジョージよりも、フランスで言い寄って来たエンゾよりも、エイタローの方が上手!!!

 ダメだダメだと自分を抑えることが、余計に感情を高ぶらせてしまうらしく。自分でも驚くほど欲しくなってくる。だって、かなり長い間そっちはご無沙汰だし!女にも性欲は有るし!こんな下着姿の自分にも興奮してるし!

 目の前の男が非の打ちどころの無い相手で、しかも私を求めているというこの事実。必死に抗う理由を探してみたが、どれも呆気なく消されていく。

「…ごめん、ルール違反だったよね。もう、しないから」
「えっ?!ああっ、うん…」

 せっかくその気になったというのに、それとは逆で榮太郎の方が正気に戻ったらしく。ポンポンと私の背中を撫でたかと思うと、拍子抜けするほどアッサリ離れていった。

 そしてその晩は、何事もなく眠ったのである。

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