異世界ハニィ

ももくり

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53.修業生活は恥ずかしい?

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 ………
 そんなこんなで、2カ月後。
 
 
 
「モモッ。すまない、1匹だけ仕留め損ねた!」
「気をつけろ、そいつは成獣だから毒を吐くぞっ」

 アーサーヴェルトとニーニが叫び、それに対して私は言葉よりも行動で答える。
 
 シュバッ、ボオオオ…
 プンギャアアア!!
 
 断末魔の叫びを残して、灰となってゆく魔獣。パッと見は長毛の猪といった感じだが、その繁殖力は凄まじく。一組のつがいがいれば年に数回出産し、最低でも20匹以上の子を成すらしい。だから、根絶やしにしなければならぬのだ。
 
「ぶはっ、相変わらず容赦無いなあ、モモは。火魔法…それも有り得ないほど高温の炎で一気に焼き殺すんだから」
「お褒めに預かり、光栄です」
 
 ニーニに向かってペコリとお辞儀をしつつも、思わずお尻の辺りを気にしてしまう私。いや、だって。話せば長いことながら、でも簡単に説明すると
 
 1) 選択肢を増やすため強くなることを決意。
 2) アーサーヴェルトに弟子入り。
 3) 1カ月みっちり特訓を受ける。
 4) 実践デビュー。
 5) 火魔法を使う際に高温過ぎて火傷する。
 6) ノノくんが心配して耐熱服を作成依頼。
 7) 耐熱服を着用して戦う。←いまココ。
 
 ほんとさあ、なんつうモンを着せるのよッ。…そう、耐熱服はボディスーツになっており、例えるならば古くはキャッツ●イの三人娘、新しいのでは『ルパン●娘』の深キ●ンといった感じの仕上りなのである。
 
 うん、ピッチピチなんだよ!!
 
 一応、胸の辺りは女子が着ることを考慮してくれたのか、セーラー服の襟が前後逆に着いているような作りにしてくれたけど、問題は下半身だ。なんてったってパンティーラインがまる分かり。こんなの着てたら痴女だよ、痴女。だが、残念なことに私の攻撃で最も効果的なのが高温焼殺だったりするワケで。しかも、これを使うには対象となる魔獣にある程度は近付かなければならず、かと言って近寄り過ぎると火傷してしまうという悪循環。
 
 治癒って、自分で自分にはかけられないから、そのたびルイに治して貰っていたんだけど、それを見かねたノノくんがどこぞの研究所に依頼して完成したのがコレなんだな。その経緯から考えれば、たぶん国規模で開発しているプロジェクトなのだろうし。だから、着ないなんて絶対に許されないというか、実はノノくん自身もこの耐熱服には怒っていて、デザイン変更を求めたけどダメだったんだって。『このセーラー襟が追加されたことだけでもヨシとしよう』とも言っていたから、これ以上の改善は絶望的に違いない。
 
「さあ、これでひと仕事終えたな!もう宿舎にもど…ハッ」
「そろそろ帰ろ…アッ、ごめん」
「う、ううん、こっちこそ」
 
 ついうっかり振り返ってしまったアーサーヴェルトとニーニが、顔を真っ赤にしながら謝罪してくれた。ええ、そうですよ。彼等はとても紳士なんでね、この耐熱服を着用しているときは私を見ないようにしてくださるんですわ。くそう、なぜこんな辱めを受けなければならないのだ。くそう、くそう。
 
 ──こうしてモモの修業生活は続くのであった。
 
 
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