12 / 52
12.松前さんをギャフンと言わせたい
しおりを挟むぷぷぷ。
あちこちから笑いが聞こえてくる。タクシーの運転手っぽい人とか、もろサラリーマンとか、謎の若者とか、とにかくほぼ全員が笑っていた。しかし、松前さんはこんな時でも強気の姿勢を崩さない。キッと私を睨みながら言うのだ。
「そ、それでもこの人は私を選んだのよッ。堤さんは選ばれなかった!!負けたクセに何を偉そうに講釈を垂れてんの?!私はっ、嫌われてなんかいないッ、皆んなから愛されてるの!!」
いやいや、嫌われてると言ったの私じゃないし。あ~、でも間違いは正しておかないとね。
「鈍いにもほどがあるわよ、松前さん。仕事のやり方をこうすればイイと注意してくれた人に逆ギレして、パワハラだなんだのと文句を言ったんですって?それに相手によって態度を変えてるそうじゃない。偉い人にはヘコヘコ、そうじゃない人にはツンツン。典型的なゴマすり女ね。
しかも仕事量だって他の人の三分の一しか熟していないと聞いたわよ。幾ら新人とは言え、役立たず過ぎるって陰で皆んな怒ってるみたい。雑用は拒否する、仕事量は少ない、なのに残業だけメチャ多くて口癖が『忙しい、疲れた』。ほんと、どこに疲れる要素が有るのか教えて欲しいんですけど」
あいよ、チャーシュー麺お待たせ!…そう言って店長が一気に3つとも運んで来た。その職人芸に思わず拍手してしまう。『いただきます』と手を合わせスグにそれを食べ出す私を見て、尚も松前さんは絡んでくる。
「そっ、そんなことを言うのはどうせ山口さんか鹿島さんでしょう?!お二人とも堤さんと仲が良かったですもんね!アナタの機嫌を取ろうとして言ったに決まってるじゃないですかッ!」
ああ、もう煩いなあ…。
口の中のチャーシューを急いで飲み込みながら私は渋々という感じで反論する。
「山口さんは、人の悪口なんて言わないわ。私が聞いたのは、斉藤さんと嶋さんと近藤さんと南さんと…ああ、もう以下敬称略でいくわね、崎村、小早川、田辺…ん?寺本って言ったっけ?まだよね…じゃあ寺本の計8人が定期的に愚痴会という名の飲み会を開いていて。メンバーは常に入れ替わるみたいなんだけど、とにかくそこで松前さんをどうやって追い出すかを検討しているみたいよ。ほら、人事って能力じゃなくて頭数で計算するでしょ?松前さんが出て行ってくれないと次の人を補充出来ないからって。
可哀想に、皆んな相当ストレス溜めているみたい。だってアナタの熟せない三分の二の仕事が、全て彼らに押し付けられているんですもの。ただでさえ忙しいのに仕事を増やされ、しかもその原因である松前さんが偉そうにしてるからムカついて仕方ないんですって。せめて謙虚にしてあげたら?もしくは、皆んなのためにも部署異動を申請するといいと思うの。そうね、そうしなさい。それで皆んな大喜びするわ」
ひと通り伝え終えた私は、再びチャーシュー麺を啜り出した。
0
あなたにおすすめの小説
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる