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27.圭くんは粘っこい
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「お邪魔します」
「お帰り、キヨちゃん!」
ドアを開けた途端、ハグしてくる圭くん。そんな彼に思わず素っ気ない態度を取ってしまったのは、龍から告白されたり田島さんから身代わりの話を聞かされたせいである。しかし、圭くんは挫けない。足元に纏わりつく利介よりもハイレベルな粘着っぷりを見せながら、朗らかに言うのだ。
「キヨちゃん、何かあったの?ほら、俺に何でも言ってみて、相談に乗るからさ」
「とっ、とにかく利介にご飯をあげないと…」
はぐらかす私に、圭くんは尚も粘る。
「キヨちゃんのこと、何でも知りたい!教えて」
「ふっぐ…」
教えてと言っておきながら、なぜ口を塞ぐようにキスしてくるのか??
「ん、美味しい!キヨちゃんの唇、美味しい!」
「ふっぐ…」
目がエロいので昨晩のリベンジを狙っているのだろう。このまま寝室へ連れ込もうという意欲満々だ。根性で利介に食事を与えていたら、圭くんのスマホが鳴り。慌てた様子で別室に移ったかと思うと、スグに戻って来た。
「なんか未来が今からここに来るってさ」
何の用で?と訊きたかったが、どうしてか声にならなかった。そんなことを訊いては感じ悪いかなと思ったし、それにどうせ来た時に判明すると考えたからである。
「聡介夫婦は秋山家の長男とその嫁だから葬式後も実家に残るけど、未来の方は『他家に嫁いだ身だから』とご両親が帰るように言ったらしいんだ」
「そうなんですか」
「それで、利介がウチにいることを知って今夜は自分たちが預かりたいと騒いでる。あいつ、すげえ犬バカだから」
「あ…はは…」
渇いた笑いになってしまったのは、秋山さんのことを『あいつ』と呼んだ時の表情があまりにも愛おしそうで。もう手が届かなくなった彼女と会うのは辛くないのかな…とか思ったら、自分のことのようにブルーな気分になってしまったのだ。
「あ、未来にキヨちゃんと付き合い始めたこと、報告しちゃったよ。それと荷物持ちとして富樫副社長も一緒に来るってさ」
「ふ、副社長も?」
何でソレを先に言わない?!いや、薄っすらと予感はしてたけどさ、でもッ。
「あと10分くらいで到着するって言うから、利介の荷物をまとめてくるね」
「えっ、あ、圭くん!話が有ります!」
副社長に公表される前に、伝えなくては…自分の正直な気持ちを。
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