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28.驚くほど、普通なんですけど
しおりを挟む「実は今日、龍から好きだと言われて…その、分からなくなっちゃったの…自分の気持ちが…。私は圭くんが好きだし、付き合うことになったと龍にも報告したんだけど、彼は『もし、まだ間に合うなら考え直して欲しい』と言ってきて。私、よく考えたら龍も圭くんと同じくらい好き。だから圭くんとの交際を一旦保留にして欲しい。ごめんなさい、我儘なのは百も承知しているし、もしこれで私に愛想が尽きたのなら告白自体を無かったことにしてくれて構わない。でも私、自分の心に嘘は吐きたくないから」
深々と頭を下げ、ゆっくり元に戻すと圭くんは意外にも微笑んでいた。
「そっか…、やっぱり須賀くんも攻めて来たか。上手く出し抜いたつもりだったんだけどなあ~。キヨちゃん、ごめん、俺…本当は知ってたんだ」
「え?知ってたって何を…」
圭くんは静かに答える。龍が私のことを好きだと気付いたが、このまま波風を立てず良い同僚のままでいようとしていることも感じたので、それなら自分が奪い取ろうと決心したのだと。
「俺が動いたせいで彼も動き出したんだろうな。うーん、まあ想定の範囲内か。…いいよ、キヨちゃん。本当は凄く悲しいけど一旦保留にする。でも、必ず俺の元に戻って来てね。俺、お利巧さんで待ってるからさ」
「うう…、圭くん…、ごめんなさい、本当に…」
圭くんと龍、凄く仲の良かった2人が私のせいでギスギスしなければいいなあ。そんなことを願っているうちに、秋山さんの来訪を知らせるモニターフォンの音が鳴り響き。私は思いきり深呼吸して心を落ち着けた。
…………
「りしゅけ~、カワヨ!」
はわわはわわと呟きながら入って来たその人は、意味不明な言葉を発し続けている。──えっと、想像とは全然違ったんですけど。だって圭くんと龍を振って、副社長と結婚した伝説の女なんだよ??デジタルコンテンツ部の男性陣も誰一人としてこの人を悪く言わないし、中身が私に似ているとしても、見た目はきっと妖精のように美しいのだろうと思ったのに。
なんだか驚くほど、普通なんですけど。
まあ、愛嬌は有るよね。こんな全力で犬と戯れる姿を見ていると、カワイイと言えないことも無い。だけど、いい加減、落ち着いてくれないだろうか。テンション高過ぎだし。
「あ!圭くんの彼女さん、初めまして!!デジタルコンテンツ部の方なんですって?私もそこにいたんですよお。旧姓秋山、現在は富樫未来です。平素は主人がお世話になっています」
「いえいえ、こちらこそお世話になっています、姓は堤、名前は希代と申しまして、実はその…、圭くんとの交際は一旦保留にさせて頂きました。理由は龍…須賀さんからも告白され、どちらも同じくらい好きなので暫く考えさせて欲しいと私の方から言い出した次第でございます」
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