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お前お前お前お前
しおりを挟む「言われてみれば香奈ちゃん、何だか綺麗になったみたい。服装とかお化粧は元々センス良かったけど、それ以外の何かがね、う~ん、上手く言えないんだけど…」
「や、やだなあ、愛子ちゃんったら!恥ずかしいからもう止めてよッ」
バシバシとその背中を叩いていたら、空気を読まずに地井さんが割り込んでくる。
「なあ、俺さあ、今度検品担当になるんだぜ!それって異例の出世だぞ!普通は入社5年以上の社員でないと出来ない作業なんだからな」
「……」
それがどうした。
地井さんをシラーッとした目で見る、私と愛子ちゃん。こちらの反応に気付こうともせず、彼は続けた。
「俺の両親、離婚してるって前に言っただろ?ご存知のとおりウチには親父とバアさんの3人しかいなくて、このバアさんが腰を痛めて家事が出来なくなっちゃったんだよなあ」
そんなのどうでもいいんですけど。
「だから~、女手が欲しいってこと。ほんと俺さァ、出会いとか全然無い職場にいるし、この際もう贅沢言わないでおこうかなって。つまり、お前で我慢してやるよ」
はへ??
『お前』が誰なのかを一瞬悩み、明らかに怒っている愛子ちゃんを見てようやく理解する。
そっか、私のことだったんだ…、
って、えええっ?!わ、私??
ニブニブの私に代わって、愛子ちゃんが反論してくださるらしく。スッと目で私を制したかと思うと、素敵な笑顔を浮かべたままで彼女は言った。
「バカじゃないの」
「はあああッ?!何だよソレ?!俺、愛子に言ってないんだけどッ。勝手に割り込んでくるんじゃねえよッ」
「死ね」
「おいこら、何様のつもりなんだよお前ッ」
「愛子様」
「ほ?ほおおおっ、お前の方こそバカだろ?!」
「バカはお前だ」
「お前って言うなよッ!失礼だろッ」
「お前、いつも私たちを『お前』って言ってる」
「俺は男だからイイんだよッ!お前、女のクセに言っていいわけ無いだろッ?」
「お前お前お前お前お前お前お前」
「う、わあああッ」
…愛子ちゃん、強い。
負ける気がしないんですけど。
ここで黙っていては申し訳ないので、微力ながらも加勢することにした。
「お前お前お前お前」「お前お前お前お前お前」
「くっそ、お前まで『お前』とか言うなッ!!」
なんだこの低レベルな争いは。そろそろ飽きてきたので、話を纏めてしまおうか。
「あのう、一応質問ですけど『貰う』ってどういう意味ですかね?」
「結婚してやるって意味に決まってるだろ?!どうせお前みたいな並以下の女は誰も相手に…」
地井さんの視線が話の途中で泳ぎ出し、最終的に私の背後で落ち着いたので、その先を私も見てみると
「俺の彼女を『並以下』とか言うなよな!!」
などと本気で怒る大介さんがいたのである。
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