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予想外の展開に
しおりを挟むあわあわあわ
その場にいた全員が慌てたのは仕方ない。まず、愛子ちゃんと地井さんが『か、彼氏ィ?!』と騒ぎ出し。続けて驚いた私がビールの入ったグラスを倒したからだ。
「おしぼり!早く!!」
「はいっ」
大介さんと私の連携プレイで事態は収束…するはずもなく。それはテーブルが綺麗になろうとも、まだ問題が残されたままだからで。ここでダメ押しするかのように大介さんが言う。
「ごめんな、地井。俺と朝日、付き合うことになったんだ。だからコイツを貶めるような言葉は言わないでくれ」
「あ…あの…俺、本気で並以下とは思ってなくてな、コイツいつも自信無さげにしてるから、克服させるためにワザとキツイ言葉をだな」
部内での立場は大介さんの方が上で、地井さんはどちらかと言うとそれよりも遥かに下だ。しかも滅多に怒らない大介さんが声を荒げたことで、ビビッてしまったのだろう。
滑稽なほどに地井さんは、大介さんのご機嫌を取るため私を褒め始めた。
「いや、本当はずっと香奈のことを狙ってて、なんか急に綺麗になったから、他の男に盗られまいと思って迫ってみたんだけどな。あはは、そっかあ、大介と付き合い出したんだ?だよな、コイツなんでこんなに自信無いのか分かんないけど人気有るからな~。そっかそっかあ残念だけど仕方ない、幸せにしてやってくれ!じゃッ」
人差し指と中指を2本だけピッと立てて、地井さんは他の席へと移動して行く。
ほげ~。
残された私が愛子ちゃんから怒涛の質問攻撃を受けているところに、さり気なく斉藤さんも合流。
「なになに、何の騒ぎだ?」
「え、ああ、友樹。あのさ、この2人が付き合ってるの知ってた?」
「げっ、嘘?!」
「やっぱり友樹も知らなかったんだ~」
…でしょうね。
だって数日前に急遽電話で纏まりましたから。
「お前ら全然そんな雰囲気じゃ無かっただろ?」
「そうそう、よく隠し通せたよね~」
…でしょうね。
というかむしろ隠すことが何も無かったですし。
そして案の定、斉藤さんはスピーカーの役割をしてくださるのだ。
「お~い、皆んな聞いてくれよッ。大介が香奈と付き合ってるんだってさ~!」
ええっ…という不協和音が店内に響いたかと思うと、一斉に私の元へ寄って来る。
>俺、本当は香奈ッペのこと狙ってたんだぞ!
>そっかあ、大介かあ。チクチョウ。
>一生誰のモノにもならないで欲しかった…。
>何だよ、男に興味無いのかと思ってたのにッ。
およよよ。
予想外の反応に、戸惑いを隠せない私。こ、こんな騒ぎになるとは…。
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