朝日家の三姉妹<1>~香奈の場合~

ももくり

文字の大きさ
26 / 56

香奈、連れ込まれる

しおりを挟む
 
 
 …結局、大介さんは私と別れることを了承し、奈々さんの方も離婚の方向でコーチと話し合う覚悟をしたらしい。彼女いわく、これ以上人生を無駄にすることがバカバカしく思えてきたのだと。
 
「両親の手前、結婚生活を続けて来たんだけど。いい加減、自分のために生きようかなと思ってしまったの。だって、あのバカ男に騙された時って、私まだ高校生の小娘だったのよ?!それが10年経過して大人になったことで目が覚めてしまったというか。それなのに必死で自分を騙して、我慢し続けてた。もうここらでアイツを捨てても許されると思ったの」
 
 はァ…とかなんとか相槌を打つ我らを放置して、2人は軽やかに去っていく。
 
「…あ、伝票置いていっちゃいました」
「ん、いいよ、俺が全部払うから」
 
 って重い!人の肩にもたれ掛からないでッ。
 
「怖いほどサクサク話が進んじゃいましたね」
「あー、うん。なんか俺ら、物語の中心人物のはずなのに置いてけぼりにされた感、満載だな」
 
「ですねー」
「さて…と、じゃあ次なるステージへ突入だ。今晩は帰らないと自宅に電話しておきなさい」
  
「へ?どこに行くんですか?」
「キャッ、俺にそんなこと言わせるなよ」
 
 本気の本気で分からない。
 
「多分もうウチの両親たち、寝てるはずですよ。2時間前に『友人たちと飲みに行く』と電話しておいたので、そのまま友人の家に泊まると思ってるんじゃないかな?私、こう見えてすごく信頼されているので」
「へええ、そうなんだ」
 
 …というか姉や妹と比べると男ッ気が無いので心配されていないだけなのだが。例え朝帰りしても女友だちと一緒だと思われているようだし。
 
「じゃあ行こうか」
「え?ああ、はい」
 
 会計を済ませ、ゆっくり店を出る。少し歩くといきなり内藤さんに手首を掴まれて、驚くほど自然にそこへと連れ込まれた。
 
「香奈ちゃんは初めてなんだから高級ホテルのスウイートルームでシャンパン飲みながら薔薇の花びらを浮かべたお風呂に入りお姫様抱っこでキングサイズのベッドまで運んでそりゃもうラグジュアリーな夜を演出したいと思ったけどだってもうこんな時間だろ?チェックインするのは厳しいしじゃあ改めて別の日にとも考えたけどでもやっぱりこういうのは勢いが大切って言うかいやもう俺自身が我慢できないんだよ」
「ほえ~、これが噂のラブホテルですか…」
 
 息継ぎを忘れた内藤さんは案の定、ゼエゼエしている。
 
「…お、おえ、お、ゴホッ、俺、香奈ちゃんと会ってない3カ月の間、禁欲生活を守ってたよ。だからさ、ご褒美、くれるよね?」
「いや、それは内藤さんが勝手に我慢した…」
 
 だけとはとても言えない雰囲気だ。ルームキーを手にした内藤さんはウキウキと私の手を引っ張り、先へ先へと進んで行く。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...