朝日家の三姉妹<1>~香奈の場合~

ももくり

文字の大きさ
25 / 56

私の決意表明

しおりを挟む
 
 
 ここで私は、胸を張って堂々と答える。

「望むところですよ」
「なっ、何を望むんだよ。お前は恋愛に関して言えば、温室育ちのお嬢様なんだ!いいか?車の運転と同じだぞ、道路に障害物が落ちているのなら避ければいい。ワザワザそこに突っ込んでいく必要は無いんだッ!」
 
 目の前に運ばれてきた紅茶を一口啜り、私は改めて決意表明をした。
 
「傷つかない恋愛なんて無いんですよ…たぶん。どんなに順風満帆な恋愛でも、大なり小なり諍いは起きるはずだから。むしろ無傷でいたいという甘い考えこそが、恋愛を浅くするのかもしれません。
 
 ごめんなさい、大介さん。お察しのとおり私は、アナタと別れてこの内藤さんと付き合いたいのです。だって2人がホテルから出て来るところを見たのに、不思議なほど何も感じなかった。なのに、内藤さんが私に飽きて浮気したらと考えるだけで、胸が張り裂けそうに苦しくなってしまう。
 
 そう、分かってしまったんです。 
 私を傷つけられるのは、内藤さんだけだと。
 
 本気で好きになった人しか、
 私を傷つけることは出来ないのだと。
 
 恋愛は楽しいことばかりじゃなくて、必ず苦しみとか切なさがセットになっているのでしょう。というか本気で好きだからこそ、苦しいし、切ないのかもしれません。
 
 いつまでも子供のままでいたかったけど、そろそろ成長する時期だと思うから。誰かを愛して、痛みを知り、辛抱を覚えて、ようやく私は一回り大きくなれるのです。
 
 自分の責任は自分で取れるから、
 だから心配しないでください!」

 
 …決まった。私、カッコイイ。
 
 キメ顔でふんぞり返っていると、ん?んん?!隣りに座っていた内藤さんがマシンガンの如く私の顔中にキスをしてくる。
 
「にゃいとうしゃん…(※内藤さん)」
「うん、うん、どうしてこんなに可愛いのかな、なんでこんなに可愛いのかなああもうああもう」
 
「ぎゅるしい…(※苦しい)」
「大丈夫、これからは香奈ちゃん一筋で生きる。俺にはキミが最後の女でキミが俺には最後の女」
 
「山本譲二なの?(※『みちのくひとり旅』の歌詞みたいだと言いたいらしい)」
「ああ、やっぱり香奈ちゃんは面白いなあ」
  
 大介さんと奈々さんの視線を感じたけど、まあいいかと思って。
 
 だって分かるでしょ?
 この人が本当に私のことを好きなんだって。
 
 いつか冷めるのかもしれないけれど、
 今、向けられているこの愛情は本物なのだから。
 
 臆病にならずに飛び込むの。
 待ちに待った両想い、楽しまなくてどうするの。
 
 そんなことを考えていたら、暴走が止まらなくなった内藤さんがこれ見よがしに濃厚なキスをしてきて。ウブな私は意識朦朧となってしまうのだ。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

処理中です...