私に彼氏は出来ません!!

ももくり

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その16

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「そんなの九瀬弟が直接、七海に説明すれば済む話だったんじゃないか?」

 ダルそうに体を起こした湊がそんな質問を投げかけると、祥は一瞬だけ口籠ったが暫くして仕方なさそうに答えた。

「俺からは言い難かったんだよ。だって、もし俺が姉ちゃんの立場だったら、絶対にそのまま母親に報告したと思う。そうすると義母さんは怒り狂って離婚を切り出し、呆気なく家族は解散だ。確かにウチの父が諸悪の根源だということは分かっている。だけど最後の足掻きというか、美空の方から親父にしつこく迫ったという部分を本人から説明して貰うのとそうじゃないのとでは、流れが変わってくると考えたんだ」
「…まあ、それはそうかもしれないわね」

 でも、残念ながら肝心の美空はそれを説明しなかったんだけど。

「それでかあ…なんかおかしいと思ってたんだよ。俺、てっきり自分の気持ちが姉ちゃんに伝わっているんだと思ってて。両想いのはずなのにそういう態度を一切見せないのは、義理とは言え弟と恋愛するつもりは無くて、家族として生きていこうと決めているからなのかなって」
「祥の…気持ち?」

 なんだソレ??

「だけど、どの男と付き合っても長続きしないし、いや、むしろ本気で付き合う気があんのかよって感じのダメ男ばっかり探して来て、これはもしかして『そんな男を選ぶくらいなら、俺にしろよ!』と言って欲しいのかな…なんて思うようになってきたもんでさ」
「あら、まあ…」

 そんな風に解釈したというワケね。じゃあもしかして湊のこともアテ馬を連れて来ただけだと思っていたのかな?いや、待て。そんなこたどうでもイイのだ。もっと重要な部分を聞き流しているぞ、私。

 >両想いのはずなのに

 って、あらヤダ、もしかして…。
 いいえ、そんなはず無いしッ。

「姉ちゃん?何だよそんな怖い顔して」
「ねえ、祥って、まさか本当に私のことが好きなの?」

 何故か祥だけではなく、湊まで同時に仰け反った。

「ええっ、いま分かったの?だって、俺、ずっと態度で表してたし、言わなくても美空や瞬と愁はとっくに気付いてたんだけど!」
「な、なんで私だけ知らないのよおおおおっ」

「鈍い、鈍すぎる…。そっか、俺の気持ちはバレバレで気付かないのは義母さんくらいだと思っていたけど、さすが姉ちゃん。あの義母さんのDNAを一番色濃く継いでいるだけある」
「ちょっと~、どういう意味よ~」

「俺、姉ちゃんのこと大好きで、それを姉ちゃんも知ってると思ってた。だから美空と同じベッドで寝てても絶対に疑われることは無いという自信が有ったんだよ。でも、その根本からして間違っていたんだな」
「いやあ、シスコン気味だなと感じることはあったけどさ、そんな恋愛感情を抱かれているとは初耳だったわ」

 ガックリと項垂れている祥の肩を抱く湊。なんだ、このおかしな構図は。ファサッと前髪を手で払いながら湊は呟いた。

「ごめん、七海。俺もさ、九瀬弟と会ってスグに気付いたぞ」
「なっ、何が?」

「こんな熱い目で姉を見る弟はいないって。見えない尻尾をブンブン振って、全身全霊でスキだと叫んでるのに、気付かないとかさァ、どんだけ鈍いんだっつうの」
「はあ??」

 その言葉で改めて祥を見てみる。バッカじゃないの?!熱い目なんかしているはず無い…って、ん??

 ああ、うん…確かに。

 
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