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その18
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違いない…
※お得意のひとりエコー
断言されると、なんだかそんな気がしてくるものだ。
「賢い選択をするんだ、九瀬さん。俺はこう思う…試しに湊と付き合ってみるべきだと。こう言ってはナンだが、あの男はそれなりの数の恋愛をこなしているし、もし破局してもすぐ次の相手に移れる身軽さを備えている。義弟の場合はそうもいかないだろう?何といっても家族だから、そう易々と別れることは出来ないはずだ」
「確かにそうですね」
自分の気持ちなのにハッキリしないなんてポンコツだとは思うが、だって仕方ないではないか。日々、恋愛から遠ざかり、のんべんだらりと生きて来たツケを払う時がココにきてとうとう訪れたのだ。そしてこれだけはなんとなく分かる。
どっちと付き合っても上手くいきそうにないと。
だって、一方はモテモテでイケイケの湊で、もう一方は長年“家族”というカテゴリーから抜け出すことが出来なかった祥なのだ。どう考えてもすんなりいくはずが無い。
「普通の恋愛になる気がしないんですけど。っていうか、“普通の恋愛”が何なのか、正直、私にはもう分からなくなってきています」
「それなら良いお手本がここにいるじゃないか!俺と朱里を是非、参考にしろ」
本気でそんなこと言ってます?
自分の胸を叩きながら誇らしげに微笑む廣瀬さんの姿を軽く睨むと、その隣で座っていた朱里ちゃんがボソリと呟く。
「廣瀬さん、魂胆みえみえですよ」
「何がだ?」
「どうせ未だに私と湊の仲を懸念していて、完全にそのルートを断ち切ろうという姑息な考えから七海さんに勧めているんですよね?ほんと狡賢いんだから」
「ち、ちちがうっ」
おい、あんた、動揺し過ぎだぞ。
そっか、そういう邪な考えでの湊推しだったのか。そりゃあ自分の彼女が昔好きだった男と同じ職場にいれば、早々に排除したくもなるよね。だからって友情がどうの、恋愛設定の更新がどうのと長時間語り続けた挙句に、本当は私のことなんかどうでも良くて、ただひたすら朱里LOVEでしたと知ってしまったこの虚無感。
「ほ、本当に違うんだぞ、九衛門さん」
「九瀬です。誰ですか、九衛門って」
「俺は本当に九瀬さんのことを考えて親身になってあげたんだ」
「はいはい、そういうことにしておきましょうね」
「酷いっ、俺の気持ちを無下にしてッ」
「はいはい、ありがとうございました」
というフワッとした感じでその場はお開きになり、なんだかんだで私はその数日後から湊と付き合うことになった。残念ながら祥にはそのことを未だに報告出来ていない。…出来ていないというか、出来なかったと言った方が正しいだろうか。
あの『両想いだったのに』発言以来、祥と殆ど顔を合わせていないからだ。言い逃げしたままの祥と、諦めず毎日私に話し掛けてくれる湊。元々、湊と付き合う方向で心は決まっていたのだが、この行動の差でより一層その気持ちは固まった。
しかし友人から彼氏に変わった途端、私と湊の関係は微妙に変化してくる。
「あっ、湊ォ。この後ウチに来ない?この前の晩みたいに満足させてあげるわ」
「ごめん、遠慮しとく。実は俺さァ、今このコと付き合ってるんだ」
これまでは華麗にスルーしていた他の女性との会話が、しっかり耳に入る様になり、その内容にいちいち苛ついてしまう。湊の身体に気安く触れたり、話し掛けてくる女性達が嫌で堪らなくて、彼女達と自分の容姿を比べて激しく落ち込む。
そう、私は意外と湊のことが好きだったみたいだ。
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