恋に、焦がれる

ももくり

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 >相手は誰でも構わない、
 >だって手順は同じだから。
 >触れて慣らして突っ込んでから出す。

 …これは壮ちゃんの名言だ。

 きっと世の男共はこの手順を日々鍛錬していて、無駄なくしかもメリハリをつけて動くことで『女慣れしたイケてる俺!』がアピール出来ると考えているのであろう。男は慣れていた方がヨシとされ、女は不慣れな方がヨシとされる。ここんところを解決しないと真の男尊女卑は解決しないのではないかと思う今日こ…

「はあああっ、あーっ、緊張するッ」
「えっ?」

 聞き間違いだろうか。だって、お得意のセックスだよ?壮ちゃんのライフワークなんじゃないの?なのにそんな弱気な態度、おかしいよ。ベッドで仰向けに寝ている私は、上に覆い被さっているその人の顔を至近距離からマジマジと見つめた。

「だって、一線を超えちゃうんだぞ」
「でもほら、相手は私だし、もっと気軽に挑みなよ」

 あはは、と笑う私に向かって壮ちゃんは真顔で反論するのだ。

「アッちゃんだからこそ、気軽に挑めないんだって。志季が必死に守った大事な大事な妹だぞ?バイト掛け持ちして、周囲に頼れる人が誰もいない孤独にも耐えて、親戚にもいつもペコペコ頭を下げてた。あの苦労を知っているからこそ安易に手出し出来ないと言うか、生半可な気持ちじゃダメって思うよね」

 いや、でもアンタ今まさに手を出すところなんですけど。

 そう思っているのが顔に表れたのか、分かり易く壮ちゃんは強調すべき部分を変えて言い直す。

「『安易に』手出しできないって、ずっと思ってた」
「あ…ん…っ」

 言葉とは裏腹に、上着の裾から手がスルリと入ってくる。少しヒンヤリとした指がお腹の上を滑り、そのまま背中まで辿り着いたかと思うと、背骨に沿って縦にスッと撫でられた。

 再びその指が頭の方へ戻ってブラジャーのホックを難なくはずし、いつの間にか上半身は何も身に着けていない状態に。唾液を塗りたくるかのように、壮ちゃんは首から胸へと舌を下ろしていく。ピチャピチャという卑猥な音が止まった途端、乳首をひたすら吸われ、次は舌先で転がされる。

「アッちゃんのココ、すごく綺麗。透明なピンクで、今まで見た中では一番の美乳だよ」
「やだもう、恥ずかしくて死にそうになるからそういうのは言わないでッ」

 天井に向けていた視線を壮ちゃんに移すと、見られていることに気付いたのかワザと乳首を口から出して見せつけるように舌先で転がし、もう一方の乳首は指で潰したり捏ねたりしている。

「ごめん、大事にしたいのに、なのに、相手がアッちゃんだと虐めたくなるんだ」
「ん、いいよ、全然痛くないから。壮ちゃんの指、気持ちいい」

「下も脱がすから、腰を浮かせて」
「ん…」

 思わずゴクリと喉が鳴った。その短い間に壮ちゃんは私を全裸にし、自分も脱いだ。それから私に両膝を持たせ、自ら秘部が見えるように開脚させる。もちろん恥ずかしかったが、カズとの行為でそうすることが当たり前だと刷り込まれていた私は、素直に従ってしまう。

「胸しか触ってないのに、もうドロドロになってるんだ?可愛いなあ、もう」
「んーっ、壮ちゃ…」

ドロドロと言われたその部分からクチュクチュと音がするのは、指で掻き回されているからだろう。まだ触れられていないのに、期待しているせいか一番敏感なその部分が疼き出す。そしてようやく摘ままれたその瞬間、ビクリと背筋が仰け反った。

「ははっ、もうクリ尖ってきた。このままクリイキしていいよ」
「やだ、怖い、壮ちゃん、なんかおかしい、ジンジンしてすごく熱い」

 そのまま親指で攻め続けられ、人差し指と中指は膣の中を忙しく擦りまくり、遠のく意識の中でヌポッヌポッという聞き慣れない音だけが響き出す。

「えっ、まさか前の男にイカせて貰ってなかったのか?」
「う…、あん…、どれがイクなのか…よく分かんなくて、それっぽい演技してた」

「こんなに感度いいのに?嘘だろ??」
「これ?…壮ちゃん、これ…?ん…、くる、何かくる…いやああっ」

 もどかしいような激しく疼くような不思議な感覚が一気に押し寄せ、全身を震わせるほどの衝撃が走ったが、瞬く間にそれは去り。その余韻だけがいつまでも残った。

「あは、アッちゃんの初めての男になれた」
「はァ、はァ、やっ、待って、壮ちゃん、まだなんかジンジンしてるのっ」

 口に咥えたコンドームの袋を破ると手元も見ずにそれを装着し、壮ちゃんは自分の腰を前に進める。

「はー、ごめん、挿れちゃうよ」
「う、あああん、壮ちゃんの大っきい」

 蜜口で何度か擦ったかと思うと、とうとう屹立した固いものが侵入してくる。私への負担を少なくしようとしてくれているのだろう、そのまま動かなくなった。

「全部挿ったよ。いま、馴染ませてるところだから」
「う…うん」

 もう何も考えられなくなっている私は、ひたすらキスをせがむ。

「いま動くと痛いかも。後でたくさんしてあげるから、ちょっとだけ我慢して。っていうかさ、俺の方が搾り取られそうでヤバイ。記念すべき一回目なのに、すぐ終わっちゃうかも。そしたら二回目で挽回するから許してくれる?」
「ん、んっ」

 そう言いながら動き出した壮ちゃんに振り落とされないよう、その背中にしがみつく。胸もお腹も脚も、密着しまくっているのに、欲張りな私はもっともっとと腰を前に突き出す。

「あは、反応良すぎ。もう子宮おりてきたよ」
「やァ、そんな奥、突かないで、やだ、深い、怖い、…気持ちいいっ」

 私の言葉に更に壮ちゃんの動きは加速し、キュウキュウと膣が彼を締め付けている。

「ん、気持ちいいね、アッちゃん、明恵、明恵、イッていい?もう、俺…、ああ、ヤバイヤバイ…」
「壮ちゃん、私も、またイク、イク、あああッ!!」


 こうして私達は結ばれたのである。

 
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