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第一章:The Kingdom of Dreams and Madness
関口 陽(ひなた) (5)
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「ここから先が『御徒町』。『上野』の自警団『寛永寺僧伽』と私達『入谷』の自警団『入谷七福神』が一月ごとに交代で管理してるこの『島』の中立地帯だ」
バスの中で私はそう説明した。
前の席に座っているランは、迷彩模様の作務衣の上に青いデニム地の上着、これまた迷彩模様のリボンでセミロングの髪を束ねている、と云う個性的な格好。言葉で説明すると変なのに、実際に見ると結構決っているので、一見、朴念仁に見えるけど、実は、お洒落のセンスが有るのかも知れない。
「『アメ横』ってのは、どこだ? この『島』最大の観光地だって聞いたけど」
「『島』の4つの地区を繋いでる環状の高架道路の下あたりだけど……祭の場所は『アメ横』と『島』の中心部の間あたりの通称『パンダ慰霊広場』だ」
「何で、パンダ? あと『慰霊』って何だ?」
「ああ、『本当の上野』にあった動物園にパンダが居たらしいんでな」
「じゃ、そのパンダって、まさか、富士山の噴火の時に……」
「そう……可哀そうな事にな……」
「……ちょっと待て、『アメ横』と『浅草』の名物は『パンダ焼』って聞いたけど……」
「それがどうした?」
「肝心のパンダが死んだんなら、不謹慎な名物だろ、それ」
「そうかな? いや、でも、富士山の噴火より前から売られてたらしいんで」
「何か、イマイチ、納得がいかん。噴火で死んだのに『焼』は無いだろ」
「あと、この『御徒町』地区の海側には、この『島』の3つの『自警団』が共同出資してる民間刑務所が有る……。あ、留置所とかも兼ねてるけどさ」
「はぁ?」
「いや、こっちにも、警察や検察は一応有るけど、もし連続殺人犯なんかが出た場合は、捕まえても、機能してない警察に引き渡すなんて無謀な真似は、やる訳にはいかない。確実に逃げ出して、しかも、その時に無能だけど罪の無い警官が何人か殺される」
「裁判はどうしてるんだ?」
「『自警団』の顧問弁護士が検事役……で、裁判所の警備は『自警団』の仕事。裁判官は、旧政府が崩壊して以降の『本土』と同じく『島』内の法曹資格持ちの誰かが立候補して、その中から選挙で選んでる」
「なるほど……」
「どうした?」
「いや、この間『千代田区』で会った、あのイケスカないヤツが言ってた通りかも知れないな……なんて思ってな」
「えっ?」
「……人間には『秩序無き所に秩序を築き上げる』本能が有る……か……。案外、そうかも知れないな……ん?」
「……あれ? どうした? 何か気になる事でも有るのか?」
「いや、ちょっと待て……何か変だぞ」
「何がだ?」
「精神操作系の『魔法』を使えるヤツがゾロゾロ居る組織が犯罪者の取調べをやってる訳か? 自白調書とか、どこまで信用出来るんだ?」
「あのな、私らは前世紀の警察じゃないんだ。そんな真似する訳ないだろ」
『間も無く「パンダ慰霊広場前」です』
バスの車内放送が、そう告げていた。
「実はさ……『アメ横』や『浅草』で売ってる伝統工芸品は……さっき話した民間刑務所で作ってるんだ」
「その点は『本土』も似たようなモノらしい。福岡・佐賀・長崎の伝統工芸品のいくつかの技術伝承の最後の砦は……長崎刑務所と福岡刑務所だそうだ」
「お前に渡す予定の『報酬』も、どっかの刑務所で作られたモノだったりしてな」
バスの中で私はそう説明した。
前の席に座っているランは、迷彩模様の作務衣の上に青いデニム地の上着、これまた迷彩模様のリボンでセミロングの髪を束ねている、と云う個性的な格好。言葉で説明すると変なのに、実際に見ると結構決っているので、一見、朴念仁に見えるけど、実は、お洒落のセンスが有るのかも知れない。
「『アメ横』ってのは、どこだ? この『島』最大の観光地だって聞いたけど」
「『島』の4つの地区を繋いでる環状の高架道路の下あたりだけど……祭の場所は『アメ横』と『島』の中心部の間あたりの通称『パンダ慰霊広場』だ」
「何で、パンダ? あと『慰霊』って何だ?」
「ああ、『本当の上野』にあった動物園にパンダが居たらしいんでな」
「じゃ、そのパンダって、まさか、富士山の噴火の時に……」
「そう……可哀そうな事にな……」
「……ちょっと待て、『アメ横』と『浅草』の名物は『パンダ焼』って聞いたけど……」
「それがどうした?」
「肝心のパンダが死んだんなら、不謹慎な名物だろ、それ」
「そうかな? いや、でも、富士山の噴火より前から売られてたらしいんで」
「何か、イマイチ、納得がいかん。噴火で死んだのに『焼』は無いだろ」
「あと、この『御徒町』地区の海側には、この『島』の3つの『自警団』が共同出資してる民間刑務所が有る……。あ、留置所とかも兼ねてるけどさ」
「はぁ?」
「いや、こっちにも、警察や検察は一応有るけど、もし連続殺人犯なんかが出た場合は、捕まえても、機能してない警察に引き渡すなんて無謀な真似は、やる訳にはいかない。確実に逃げ出して、しかも、その時に無能だけど罪の無い警官が何人か殺される」
「裁判はどうしてるんだ?」
「『自警団』の顧問弁護士が検事役……で、裁判所の警備は『自警団』の仕事。裁判官は、旧政府が崩壊して以降の『本土』と同じく『島』内の法曹資格持ちの誰かが立候補して、その中から選挙で選んでる」
「なるほど……」
「どうした?」
「いや、この間『千代田区』で会った、あのイケスカないヤツが言ってた通りかも知れないな……なんて思ってな」
「えっ?」
「……人間には『秩序無き所に秩序を築き上げる』本能が有る……か……。案外、そうかも知れないな……ん?」
「……あれ? どうした? 何か気になる事でも有るのか?」
「いや、ちょっと待て……何か変だぞ」
「何がだ?」
「精神操作系の『魔法』を使えるヤツがゾロゾロ居る組織が犯罪者の取調べをやってる訳か? 自白調書とか、どこまで信用出来るんだ?」
「あのな、私らは前世紀の警察じゃないんだ。そんな真似する訳ないだろ」
『間も無く「パンダ慰霊広場前」です』
バスの車内放送が、そう告げていた。
「実はさ……『アメ横』や『浅草』で売ってる伝統工芸品は……さっき話した民間刑務所で作ってるんだ」
「その点は『本土』も似たようなモノらしい。福岡・佐賀・長崎の伝統工芸品のいくつかの技術伝承の最後の砦は……長崎刑務所と福岡刑務所だそうだ」
「お前に渡す予定の『報酬』も、どっかの刑務所で作られたモノだったりしてな」
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