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イラスト投稿サイトにエロ絵を投稿したらグロ絵扱いされました
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「お前、最近、イラストをUPするのに、ePNGって形式を使ってるだろ」
大学の頃のサークルの同期……工学部の情報で画像処理関係の研究室だったヤツ……はトイレから戻って来ると、そう言った。
「あ……ああ。そう言えば、イラスト描くのに使ってるアプリをバージョンUPしてから……『一般的な形式にエクスポート』をやると、その形式がデフォルトになってた」
「あと、イラスト描くのに使ってるのはPC?」
「うん」
「でも『脳内端末との通信』をONにしてるだろ」
「ああ。手ブレ補正なんかは、ONにした方がうまくいくんで」
「で、ePNGのeって何の略が知ってるか?」
「へっ?」
「2つの意味が有るんだよ。Extended……つまり『拡張された』『機能を追加された』って意味と、Emotional……つまり『感情的』『情緒的』って意味の……」
当時、あの「陰謀論」を半笑い気味で聞いていた。
あの伝染病のワクチンを打つと……ナノマシンが脳内に電子回路を作り、携帯電話用の電波を受信出来るようになる……など、馬鹿馬鹿しいにも程が有る。
ところが……真実は……脳に携帯電話機能が付加されるどころか、Wi-Fi機能や目や耳との連携機能までオマケで付いてきた。
あっと云う間に、スマホは廃れ、WebもTV番組も脳で直接見るようになり、サブスクで配信されてる音楽は脳で直接聞くようになり……SNSにUPする動画や写真は目で見て耳で聞いたモノを直接UPするのが一般的になった。
直接と言っても、写真であれば、物理的な意味で正確なモノではなく、人間の脳による無意識の補正が入ったものだ。例えば……感心出来ない話だが、紙の本のマンガのページを「目で見た通り」にSNSにUPしたら……通常のカメラで撮影した時に、どうしても出る「いわゆる本の『のど』の部分の影」は巧い具合に補正されるようになっていた。
とは言え、趣味で描いてるイラストにはPCは必須だった。「脳内端末」が普及した結果、明らかになった事実……それは、プロ・アマ含めて「絵師」の多くは、具体的な絵を脳内だけで作り上げる事が出来るほどの「想像力」など無い、と云う事だった。
だが、PC用のイラスト作成ソフトと「脳内端末」が連携する事によって、絵を描き終えるまでの時間は、かつての半分以下になっていたが……。
『ふざけんじゃねぇ‼ グロ絵なら、ただのR18じゃなくてR18Gにしろ‼』
今日も今日とて、イラスト投稿サイトにUPした絵に、謎の罵倒コメントが付いていた。
1人または少数のヤツが複アカを使って粘着してるのかと思ったが……それにしては数が多すぎるし……自分で絵を描いてるヤツの場合だと、アカウントが違えば絵柄が全く違う場合が多々有った。
まぁ、「女の子がレ○プされている」ように見えるエロ絵だが……グロでは無い。
血も内臓も出ていない。性暴力はともかく、物理的な暴力は振るわれていない。
しかも……運営に通報したヤツまで出たらしくて「単なるR18ではなく、なるべくR18Gにして下さい」「グロテスクな表現が有る事を示す注意書きやタグを付けて下さい」と云う警告まで出るようになった。
いつの間にか、レ○プは「グロ表現」と見做されるようになったのだろうか?
「で……お前、まだ、イラストは描いてんの?」
大学の頃に入ってた漫研の先輩の結婚式で再会した同期は、俺にそう聞いてきた。
「ああ……でもさ……何か変なコメントばかり付くんだよね」
「どう云う事だ?」
そんな話をしてる内に、どの大学の頃の友人は、なら、その絵を見せてみろ、と言い出し、脳内端末経由でイラスト投稿サイトのURLを送ると……。
そいつの顔は突然青冷めた。
そして、手で口を押えて、慌てて席を立つと駆け出して行き……。
「何から説明すりゃいいか……まずは、今送ったURLを見てみろ。『脳内端末』でな」
送られてきたURLを開くと……。
『画像の新しいフォーマットePNGとは何か?』
そんなタイトルのページだったが……技術的な説明は良く理解できない。
だが……どうやらサンプルらしい写真が掲載されていて……。
1枚目は若い女性タレントの写真。そこそこの美人だ。
2枚目……同じ写真……いや……待て……どう見ても同じ写真なのに、何故か、絶世の美女に見える。
3枚目は別の女性タレント。
俺の感覚では……ブスか良くて「並」だ。
4枚目は……全く同じ写真なのに、その女性タレントが何故か可愛く見えてしまい……。
5枚目と6枚目は料理の写真。超むずかしい「間違い探し」級に、どこがどう違うのか判らないのに……美味そうに見えるのは6枚目の写真だった。
「な……なんだ、こりゃ?」
「『脳内端末』の普及で、画像や音声や映像に『感情』を乗せる事が可能になったんだよ。例えば、世の中の九〇%の人間からしたら『ブス』に思える女でも、写真を撮ったヤツにとっては『美人』だったら、その写真を見たヤツも『美人』『かわいい』と思うようになってしまうんだよ」
「はぁっ?」
「で、お前さ、あの絵、仕事のストレス解消の為に描いたりしてない?」
「あ……言われてみれば……」
「そして、否定的なコメントが付くようになってから、更に、ストレスが増えただろ」
「そりゃ、あんな事を書かれりゃさぁ……」
「あのさ……イラストをUPした後、PCでしか見てないだろ……ちゃんと脳内端末で自分のイラストを確認しろ」
「へっ?……うわあああああああああッ‼」
ヤツに言われた通りにした瞬間……俺自身が描いたエロ絵から伝わってきたのは……俺が普段溜め込んでいる、最早、おぞましいレベルの怒りや不満だった。
大学の頃のサークルの同期……工学部の情報で画像処理関係の研究室だったヤツ……はトイレから戻って来ると、そう言った。
「あ……ああ。そう言えば、イラスト描くのに使ってるアプリをバージョンUPしてから……『一般的な形式にエクスポート』をやると、その形式がデフォルトになってた」
「あと、イラスト描くのに使ってるのはPC?」
「うん」
「でも『脳内端末との通信』をONにしてるだろ」
「ああ。手ブレ補正なんかは、ONにした方がうまくいくんで」
「で、ePNGのeって何の略が知ってるか?」
「へっ?」
「2つの意味が有るんだよ。Extended……つまり『拡張された』『機能を追加された』って意味と、Emotional……つまり『感情的』『情緒的』って意味の……」
当時、あの「陰謀論」を半笑い気味で聞いていた。
あの伝染病のワクチンを打つと……ナノマシンが脳内に電子回路を作り、携帯電話用の電波を受信出来るようになる……など、馬鹿馬鹿しいにも程が有る。
ところが……真実は……脳に携帯電話機能が付加されるどころか、Wi-Fi機能や目や耳との連携機能までオマケで付いてきた。
あっと云う間に、スマホは廃れ、WebもTV番組も脳で直接見るようになり、サブスクで配信されてる音楽は脳で直接聞くようになり……SNSにUPする動画や写真は目で見て耳で聞いたモノを直接UPするのが一般的になった。
直接と言っても、写真であれば、物理的な意味で正確なモノではなく、人間の脳による無意識の補正が入ったものだ。例えば……感心出来ない話だが、紙の本のマンガのページを「目で見た通り」にSNSにUPしたら……通常のカメラで撮影した時に、どうしても出る「いわゆる本の『のど』の部分の影」は巧い具合に補正されるようになっていた。
とは言え、趣味で描いてるイラストにはPCは必須だった。「脳内端末」が普及した結果、明らかになった事実……それは、プロ・アマ含めて「絵師」の多くは、具体的な絵を脳内だけで作り上げる事が出来るほどの「想像力」など無い、と云う事だった。
だが、PC用のイラスト作成ソフトと「脳内端末」が連携する事によって、絵を描き終えるまでの時間は、かつての半分以下になっていたが……。
『ふざけんじゃねぇ‼ グロ絵なら、ただのR18じゃなくてR18Gにしろ‼』
今日も今日とて、イラスト投稿サイトにUPした絵に、謎の罵倒コメントが付いていた。
1人または少数のヤツが複アカを使って粘着してるのかと思ったが……それにしては数が多すぎるし……自分で絵を描いてるヤツの場合だと、アカウントが違えば絵柄が全く違う場合が多々有った。
まぁ、「女の子がレ○プされている」ように見えるエロ絵だが……グロでは無い。
血も内臓も出ていない。性暴力はともかく、物理的な暴力は振るわれていない。
しかも……運営に通報したヤツまで出たらしくて「単なるR18ではなく、なるべくR18Gにして下さい」「グロテスクな表現が有る事を示す注意書きやタグを付けて下さい」と云う警告まで出るようになった。
いつの間にか、レ○プは「グロ表現」と見做されるようになったのだろうか?
「で……お前、まだ、イラストは描いてんの?」
大学の頃に入ってた漫研の先輩の結婚式で再会した同期は、俺にそう聞いてきた。
「ああ……でもさ……何か変なコメントばかり付くんだよね」
「どう云う事だ?」
そんな話をしてる内に、どの大学の頃の友人は、なら、その絵を見せてみろ、と言い出し、脳内端末経由でイラスト投稿サイトのURLを送ると……。
そいつの顔は突然青冷めた。
そして、手で口を押えて、慌てて席を立つと駆け出して行き……。
「何から説明すりゃいいか……まずは、今送ったURLを見てみろ。『脳内端末』でな」
送られてきたURLを開くと……。
『画像の新しいフォーマットePNGとは何か?』
そんなタイトルのページだったが……技術的な説明は良く理解できない。
だが……どうやらサンプルらしい写真が掲載されていて……。
1枚目は若い女性タレントの写真。そこそこの美人だ。
2枚目……同じ写真……いや……待て……どう見ても同じ写真なのに、何故か、絶世の美女に見える。
3枚目は別の女性タレント。
俺の感覚では……ブスか良くて「並」だ。
4枚目は……全く同じ写真なのに、その女性タレントが何故か可愛く見えてしまい……。
5枚目と6枚目は料理の写真。超むずかしい「間違い探し」級に、どこがどう違うのか判らないのに……美味そうに見えるのは6枚目の写真だった。
「な……なんだ、こりゃ?」
「『脳内端末』の普及で、画像や音声や映像に『感情』を乗せる事が可能になったんだよ。例えば、世の中の九〇%の人間からしたら『ブス』に思える女でも、写真を撮ったヤツにとっては『美人』だったら、その写真を見たヤツも『美人』『かわいい』と思うようになってしまうんだよ」
「はぁっ?」
「で、お前さ、あの絵、仕事のストレス解消の為に描いたりしてない?」
「あ……言われてみれば……」
「そして、否定的なコメントが付くようになってから、更に、ストレスが増えただろ」
「そりゃ、あんな事を書かれりゃさぁ……」
「あのさ……イラストをUPした後、PCでしか見てないだろ……ちゃんと脳内端末で自分のイラストを確認しろ」
「へっ?……うわあああああああああッ‼」
ヤツに言われた通りにした瞬間……俺自身が描いたエロ絵から伝わってきたのは……俺が普段溜め込んでいる、最早、おぞましいレベルの怒りや不満だった。
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