魔導兇犬録:哀 believe

蓮實長治

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第五章:Over the Limit

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「誘拐犯、プリティ・ガーネットを解放しなさいッ‼」
「……なあ、この馬鹿を黙らせるような『魔法』って無いか? 人聞きが悪くてしょうがない」
「ごめんなさい……無いです」
「大体、他の『魔法少女』の正体バラしていいのか?」
「誰も聞いてないから大丈夫ですッ‼」
「その大声だと、バスの運転手には聞こえてるぞ」
 スペクトラム・スカーレットを名乗る中学生ぐらいの「魔法少女」は、あたし達と同じくJR久留米駅方面行きのバスに乗り込んだ。
 やがて、あたし達が乗ってるバスは次のバス停に到着し……。
「え……?」
「どうした?」
「せ……先生……なんで……?」
 スペクトラム・スカーレットの視線の先に居るのは……バスに乗り込んで来た、あたしと同じ位の年齢の男の子1人と……サングラスをかけて白い杖を持ってる四〇~五〇ぐらいの男の人。
 男の子の方は……前の方の席に向かい……次の瞬間……。
 「気」「魔力」「霊力」……呼び方は色々と有るけど……何かの「力」が、目が見えないらしい男の人から放射される。
 軽い力で……あたし達に対した悪影響は無さそうだけど……でも……。
 眞木さんのお姉さんが席を立つ。
「おい……携帯電話ブンコPhoneその他、電源がONになってる電子機器を持ってたら……全部、電源を切れ」
「えっ……?」
 眞木さんのお姉さんに、そう言われて、ポカ~ンとした表情かおになるスペクトラム・スカーレット。
 ひゅん……。
 白い杖にサングラスの男の人が……左手を軽く振ると、そんな音がする。
 そして……眞木さんのお姉さんの右手首に……紐が巻き付いていた。
「ふむ……声も足音もするのに……『気』が感じられない……。おそらくは……服に隠形の呪法がかけられているようだな……」
 サングラスの男の人がそう言った。
「えっ?」
 あたしの口から出た「えっ?」には2つの意味が有った。
 1つは……目の前で起きてる予想外の事態。
 もう1つは……次のバス停で待ってる人が居たのに……バスが止まら……あ……嘘でしょ……コースが違う……。
 良く見ると、サングラスの人と一緒に乗り込んできた若い男の子は……席に座ってなくて、なぜか、運転手さんの横に……待って……あの男の子が持ってるのは……ナイフ?
 眞木さんのお姉さんの手首に巻き付いた紐の、もう片方の端は……サングラスの男の人が左手で握っていた。
「身長は……一五〇㎝台前半……体重は身長の割に有るが……筋肉が多め……。骨格は筋肉に比べて……やや発達が遅れているが平均以上かつ許容範囲内。やや、オーバートレーニング気味だが……これも許容範囲内。総合的な身体能力は……一般的な高校のアマチュア・スポーツの大会なら……県大会なら上位に行けるが、全国大会だと初戦敗退の可能性大……と言ったレベルか……」
「本当は……見えてんの……?」
 あたしが、そう言うと……スペクトラム・スカーレットは首を横に振る……。
「じゃあ……魔法?」
「いえ……先生が言うまで……あたしも気付かなかったけど……あの人の服か何かに……気配を隠す呪法がかかってます。『気配を隠す呪法がかかってる』事までは判りますが……隠されてる気配まで読むのは……すぐには無理な筈です」
「じゃ……何で、判るの?」
「先生は……相手の体のどこかに触ってさえいれば……相手の体格や姿勢を把握出来ます……」
「さっきから、先生って言ってるけど……」
「はい……あたし達に……『魔法』を教えてくれた……」
「特務憲兵隊i部隊所属……部隊内でのコードネームは『暗闇の賢者』だ」
 その時……眞木さんのお姉さんは……溜息をついた……。
「ダサいな……」
「何?」
「よく、そんなダサいコードネームを大真面目な表情かおして名乗れるな? いい齢して、精神年齢は小学生か?」
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