魔導兇犬録:哀 believe

蓮實長治

文字の大きさ
62 / 83
第七章:HIGH POWERED

(7)

しおりを挟む
「おい、見てみろ……すげ~ぞ」
 山籠りの修行中にやって来た高木さんにひなたさんが、そう言った。
「……すまん……霊感ゼロなんで、さっぱり判らん」
「そうだったな……」
「で、何が起きてんだ?」
「あはは……な……何とか……コントロール出来るようになりました」
「あぎゃ♪」
 あたしと、あたしの新しい守護天使は、そう言った。
 と言っても、霊感ゼロの高木さんには……守護天使の「声」は聞こえないだろうけど。
「こいつの使い魔……中国の風水で言う『龍脈』や『龍穴』から、大地の霊力を取り込める。単純なパワーなら……元の十数倍だ。一時的とは言え……並の『魔法結社』や『魔法』流派の総帥クラスさえ余裕で上回る力を出せる」
「おい……それ……。まさか……」
「は……はい……この子が生まれた時に起きたアクシデントで……あの時、あたしを助けてくれた人の能力をコピーしたみたいです」
「明日からは……あいつと同じように、他の奴が使う魔法を増幅ブースト出来るか試してみる」
「霊感ゼロなんで実感が湧かないけど……すごい事だけは理解出来る」
「高木さんの御蔭です」
「へっ? 私の?」
「あの……以前、教えてもらった……呼吸の度に数を数える方法で……心を落ち着かせる事が出来るようになったんで……」
「へえ……数息観か……」
 ひなたさんがそう言った。
「すうそくかん?」
「ああ、天台大師って云う昔の中国の坊さんが書いた『摩訶止観』って本に載ってる瞑想法だ。日本だと、天台宗や日蓮宗の修行に取り入れられてる」
「坊主やってる伯父さんから教えてもらった。で……そっちは……何やってる?」
 高木さんは……そう言って地面に描かれてる曼荼羅っぽいモノの真ん中で必死に精神集中してるアカリちゃんを指差した。
「とりあえず……『護法』が使えるようになるか試して……ん?」
 その時……。
 ドドドドド……っ‼
 曼荼羅に描かれてる梵字から……次々と何かの霊力が吹き出し……その霊力はいくつもの塊になり……。
「す……すげえ……一体一体は……そこそこ以下だけど……えっと……1、2、3……全部で一六体か……」
「や……やった……」
 アカリちゃんの周囲には……何体もの……あたしには数十㎝ぐらいの大きさの「仏像っぽい格好のロボット」みたいに見える「使い魔」が出現していた。
「だから……何が起きてんだ?」
「こいつ……一度に大量の『護法』を使う才能が有ったみたいだ」
「そうか……あ、そうだ。上着持って来いって連絡、こいつ用か?」
 そう言って、高木さんは……背負ってたリュックを下し……。
「はい……」
「あ……あの……なに……これ?」
「上着だ」
 その上着は……。
 赤とピンクの中間ぐらいの色。
 所々に……白い虎縞。
 フードは……とぼけた感じの恐竜の顔。
 頭のてっぺんから背中にかけて黄色いモヒカン・ヘア風のタテガミ。
「こ……これ……着ろって……?」
「私の彼女からの借り物だ。大事に使ってくれ」
 あ……やっぱり……高木さん……彼女……居たんだ……。
 心を落ち着ける為に……何度も深呼吸……。
 1……2……3……4……5……6……7……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

処理中です...