魔導兇犬録:闇黒新世界

蓮實長治

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第一章:In My End Is My Beginning

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 ネットカフェに泊まって、店のPCで連絡用のWEBサイトにアクセス。
 定期報告を上げるが、上からの指示は特に無し。
 今回の件には、色んな警察機構カイシャの色んな部署が絡んでいるが、ITに詳しい奴は、ほぼ関わってね~んじゃないのか? と云う状態。
 一応、連絡用のWEBサイトとの通信は暗号化されてるが、店の中にはガラが悪そうなのが結構居て、「探る」と相手に気付かれる可能性が有るんでやってないが、魔法使い・超能力者っぽい「気」の持ち主も若干名。
 妖怪古代種族系に関しては……正直判らない。妖怪古代種族系でも、変身能力を持ったり「気」の量そのものがデカくても、「気」「霊力」「魔力」を生まれつき使えない奴や、後天的に「気」「霊力」「魔力」を操る訓練をしてない奴も多く、そう云う奴を一般人と「気」などの俺達「魔法使い」が検知出来るモノで区別するのは難しい。
「やれやれ」
 ネットカフェのレジで安めのチューハイとツマミを買って、自分のブースに戻る途中に携帯電話ブンコPhoneに着信音。
 番号は……知らないモノ。
「誰だ?」
『お……俺だ……』
「だから誰だ? 何かの詐欺でも、俺には大した金は無いぞ」
『横須賀さん……俺だ……。広域公安の土屋孝明だ』
「はぁ?」
 だが……口調に覚えが……。
「おい、あんた、名前はお互い偽名しか知らない筈だろ」
『あ……すまん……その……』
 クソ。公安は年々マヌケになっていってるが……こう云う点に関しては、未だに有能だ。
「それに、電話で所属と本名を言うんじゃねえ」
『すまん……こっちの居場所を送る。助けに来てくれ』
「何が起きてる?」
『いわゆる「親父狩り」だ。チンピラに追われてる』
 訳が判らん。何がどうなってんだ?
「判った。そっちに向う。『道具』は要るか?」
『連中が持ってのは……刃物とバットぐらいだが……うぎゃあ……⁉』
「どうした?」
『へ……変なモノが……』
「おい、どうなってる?」
 俺は電話をしながらネットカフェを出る。
 電話の向こうからは……意味不明なタワ言。
 どうすりゃいい?
 待て……変なモノ?
 魔法系か? それとも、変身能力者か?
 一か八かだ。
 人通りの無い路地に入り、「使い魔」達を呼び出す。
 この近辺で……それらしい「気」が有る場所を探らせ……。
 居た……。
 系統は不明だが……魑魅魍魎の類が集ってる場所が……。
 それも、「気」の具合からして、自然発生した魑魅魍魎ではなく、何者かに操られている。
 ついでに、かなり弱ってるが、覚えが有る「気」。
 魑魅魍魎どもの「姿」は……中国の大昔の奇書「山海経」あたりで見た覚えが有る妖怪の姿。
 もちろん……「気」「霊力」のパターンを俺の脳内で「翻訳」したものなので、本当の姿ではない。
 だが、その「姿」から判断するに、道教系の術者に使われている「使い魔」だろう。
 術者は……待て……近くに他に人の気配が複数。
 どうやら、公安崩れが言ってた「親父狩り」をやってるチンピラらしい。
 困ったモノだ。
 最近は、しょ~もないチンピラの中にも異能力者が結構混っている。
 とは言え、大半は普通の人間だ。
 しかも、チンピラの中に混ってる術者は……仲間が同業に攻撃される場合を想定してないらしい。
 1人だけ「防護魔法」をかけてる奴と……そうじゃないのが4人。
 俺は、その4人に「使い魔」である「死霊」を取り憑かせる。
 魑魅魍魎どもは……正確には魑魅魍魎を操っている術者は……気配からするに、狼狽うろたえて何をすれば良いか判らないようだ。
 俺の「使い魔」どもは、チンピラ(多分)4人の生気を、たちまちの内に吸い付くす。
 そして……。
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