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よく有る悪の組織の幹部怪人ですが、チート兵器「完全論破装置」を使ったせいで……うぎゃああああッ!!!!
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「おい、何だ、この変な貼り紙は?」
アジトの廊下に貼ってあったそれを持って、俺は、組織の科学技術担当であるコードネーム「貧乏神博士」の部屋にやって来ていた。
「いや、また新しい発明が……」
「次は誰が死ぬんだ?」
「人聞きの悪い事を言うな」
「この前の『対正義の味方用5怪人ボール』は輸送中に爆発して、エリート怪人5人と戦闘員100人が死んだぞ」
「ちょっとした振動で爆発するから輸送に気を付けろ、と言ってた筈だ」
「トラックの荷台の振動で爆発するような代物なら……蹴った瞬間に爆発しないか?」
「言われてみれば、そうだな……」
「で、今度は何を作った?」
俺は、そう言って、廊下の壁に貼ってあった紙を貧乏神博士に突き付けた。
そこに書いてあるのは……。
『新兵器の名前「H.I.R.O.Y.U.K.I.」が何の略称か考えてくれた人にはボーナスを出します』
「ああ、新兵器の名前が……何の略だったか、自分で忘れてしまってな……」
「何の兵器だ、一体?」
「完全論破装置だ」
「はぁ?」
「この装置を通した声を聞いた者は、自分が完全論破されたと云う錯覚を抱く」
「た……たしかに、君の言う通りだ……。我々のやっている事は……独り善がりな『正義の暴走』以外の何物でもない」
正義の味方達のリーダー格であるクリムゾン・サンシャインに「お前たちは、自分のやってる事を正義だと思い込んでるだけの暴徒に過ぎない」と罵ると……返ってきた反応が、それだった……。
もちろん、その声は……俺のマスク内部に取り付けられた「完全論破装置H.I.R.O.Y.U.K.I.」を通したモノだった。
『やったぞ、効いたぞ……。君の支離滅裂な主張でさえ、自分達が完全論破されたと思ったようだ』
貧乏神博士から無線通信。
でも……まだ、安心は出来ない。
なにせ、正義の味方どもよりも数多くの我々の同志を葬ってきた貧乏神博士の発明だ。
「だが……そんな事は……前々から判っていたよ……」
えっ?
そう言ったクリムゾン・サンシャインの声は……まるで……地獄の底から響いてくるような……。
「ひょっとして、我々が、元から『正義の味方』ならぬ『正義の暴徒』だと自分で気付いていないと勘違いしていたのかね? では自分が『正義の暴徒』だと自覚していた『正義の暴徒』に……『お前たちは正義の味方ではない。単なる暴徒だ』と反論不能なほどに緻密な論理で指摘したら、何が起きると思う?」
「お……おい……貧乏神博士……何が起きてる?」
『マズい……効き過ぎた……』
「何がだ?」
『完全論破されたと云う催眠の副作用で……奴らに記憶改竄が起きたようだ……。最初から自分達が「正義の味方」ではなく「正義を振り翳す暴徒」だと自覚していた、と思い込んでしまったらしい』
「えっ……ま……待て……ちょっと……」
「そうだ……俺達は……正義を振り翳して……お前たち『悪の組織』をいたぶる事を楽しんでた単なるサディストのならず者だよ……。さて、俺達の秘密に気付いてしまった以上……口を封じるしかあるまい……」
「お……お……そっちも……ちょっと待て……」
「もう遅い。お前はムカツかせてはいけない相手をムカツかせた」
「おい、技術部門に礼を言っといてくれ。新装備の『催眠音波キャンセラー』は巧く作動したようだって」
俺達でもドン引きすようなやり方で、戦闘員達を虐殺した正義の味方の1人は……どこかに、そう連絡していた。
でも……何だって?
今日、起きた事は芝居だったのか?
俺達の新兵器の対応策を既に……いや……変だ?
何で……今日投入したばかりの新兵器への対応策が……既に……。
し……しまった……。
俺達の組織が正義の味方にやられ続けているのは……まさか……。
「本部!! 至急、全構成員の身元を再調査……ぐえええええッ!!」
「まだ生きてやがったか……見苦しい……」
正義の味方の剣が倒れている俺の体に突き刺さる……。
たのむ……同志達よ……気付いてくれ……。
俺達の組織内に……正義の味方のスパイが……。
アジトの廊下に貼ってあったそれを持って、俺は、組織の科学技術担当であるコードネーム「貧乏神博士」の部屋にやって来ていた。
「いや、また新しい発明が……」
「次は誰が死ぬんだ?」
「人聞きの悪い事を言うな」
「この前の『対正義の味方用5怪人ボール』は輸送中に爆発して、エリート怪人5人と戦闘員100人が死んだぞ」
「ちょっとした振動で爆発するから輸送に気を付けろ、と言ってた筈だ」
「トラックの荷台の振動で爆発するような代物なら……蹴った瞬間に爆発しないか?」
「言われてみれば、そうだな……」
「で、今度は何を作った?」
俺は、そう言って、廊下の壁に貼ってあった紙を貧乏神博士に突き付けた。
そこに書いてあるのは……。
『新兵器の名前「H.I.R.O.Y.U.K.I.」が何の略称か考えてくれた人にはボーナスを出します』
「ああ、新兵器の名前が……何の略だったか、自分で忘れてしまってな……」
「何の兵器だ、一体?」
「完全論破装置だ」
「はぁ?」
「この装置を通した声を聞いた者は、自分が完全論破されたと云う錯覚を抱く」
「た……たしかに、君の言う通りだ……。我々のやっている事は……独り善がりな『正義の暴走』以外の何物でもない」
正義の味方達のリーダー格であるクリムゾン・サンシャインに「お前たちは、自分のやってる事を正義だと思い込んでるだけの暴徒に過ぎない」と罵ると……返ってきた反応が、それだった……。
もちろん、その声は……俺のマスク内部に取り付けられた「完全論破装置H.I.R.O.Y.U.K.I.」を通したモノだった。
『やったぞ、効いたぞ……。君の支離滅裂な主張でさえ、自分達が完全論破されたと思ったようだ』
貧乏神博士から無線通信。
でも……まだ、安心は出来ない。
なにせ、正義の味方どもよりも数多くの我々の同志を葬ってきた貧乏神博士の発明だ。
「だが……そんな事は……前々から判っていたよ……」
えっ?
そう言ったクリムゾン・サンシャインの声は……まるで……地獄の底から響いてくるような……。
「ひょっとして、我々が、元から『正義の味方』ならぬ『正義の暴徒』だと自分で気付いていないと勘違いしていたのかね? では自分が『正義の暴徒』だと自覚していた『正義の暴徒』に……『お前たちは正義の味方ではない。単なる暴徒だ』と反論不能なほどに緻密な論理で指摘したら、何が起きると思う?」
「お……おい……貧乏神博士……何が起きてる?」
『マズい……効き過ぎた……』
「何がだ?」
『完全論破されたと云う催眠の副作用で……奴らに記憶改竄が起きたようだ……。最初から自分達が「正義の味方」ではなく「正義を振り翳す暴徒」だと自覚していた、と思い込んでしまったらしい』
「えっ……ま……待て……ちょっと……」
「そうだ……俺達は……正義を振り翳して……お前たち『悪の組織』をいたぶる事を楽しんでた単なるサディストのならず者だよ……。さて、俺達の秘密に気付いてしまった以上……口を封じるしかあるまい……」
「お……お……そっちも……ちょっと待て……」
「もう遅い。お前はムカツかせてはいけない相手をムカツかせた」
「おい、技術部門に礼を言っといてくれ。新装備の『催眠音波キャンセラー』は巧く作動したようだって」
俺達でもドン引きすようなやり方で、戦闘員達を虐殺した正義の味方の1人は……どこかに、そう連絡していた。
でも……何だって?
今日、起きた事は芝居だったのか?
俺達の新兵器の対応策を既に……いや……変だ?
何で……今日投入したばかりの新兵器への対応策が……既に……。
し……しまった……。
俺達の組織が正義の味方にやられ続けているのは……まさか……。
「本部!! 至急、全構成員の身元を再調査……ぐえええええッ!!」
「まだ生きてやがったか……見苦しい……」
正義の味方の剣が倒れている俺の体に突き刺さる……。
たのむ……同志達よ……気付いてくれ……。
俺達の組織内に……正義の味方のスパイが……。
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